8/11
なんだかんだいって忙しい日々が過ぎて行った。
夏休みも三分の一くらい終わった。
霞のいる喫茶店でバイトをして、充実した日々をすごしていた。
それでいて今日は休み。なぜなら松下さんが忙しいらしい。
理由はよくわからなかった。
しかし、事件は昨日起こった。

8/10(回想)
霞「明日泊まりに行くから!」
日差しが差し込む公園のベンチ。
バイトに行く前に二人で適当にぶらぶらしていた。
遊佐「はい?」
突然だった。
遊佐「どこへ?」
霞「遊佐君のところへ」
遊佐「へぇー」
…………。
遊佐「いや、おかしいだろ!?」
霞「だってー」
遊佐「だってじゃない……。だいたいなぁ!」
まずすぎだろ。
遊佐「二人はまずいって」
どうして霞はこういうところ疎いのだろう……。
霞「でも、明後日はもう花火大会だよ」
遊佐「うん、それで?」
霞「だから一緒に花火見にいこうよ」
遊佐「行くのはもちろんだけどさ……」
そりゃ、絶対行くんだが。
遊佐「わざわざ前の日に泊まることないだろ」
霞「だって……」
う……。こんな霞、初めてみるかも。
霞「また、どっかいっちゃいそうなんだもん……」
ぐ…………。どうすればいいんだ。
頭がぐるぐる回る。汗が出る。
遊佐「絶対どこにもいかないって。大体今はこっちに住んでるんだぞ」
そりゃ、魅力的な提案ではあったが……ってそれはまずいって!
気合いを入れろ俺の理性! まだはじけ飛ぶわけにはいかないだろ!
霞「むー」
遊佐「ぐぁ」
遊佐「そ、それに親から許可が下りないだろ」
さすがに無理だろ。
霞「えへへ」
遊佐「ま、まさか」
霞「もうもらった」
遊佐「ノゥ!!」
俺は地面に両手をついた。
遊佐「何かがおかしい」
親にして子ありなのか……?
もっと母親はひ弱そうなイメージだったのに。
子供にそんな許可おろしてどうするんだ。
霞「どうしたの?」
遊佐「苦悩してる」
見てわかってくれ……。
霞「というわけで明日行くね」
遊佐「いや、ちょっとそれはやばいって」
はっきりいって情けない……。
遊佐「いや、待てよ」
そんなに意識しなけりゃいいんじゃないか。
ただ泊まりに来るだけだし。
うん、別に大丈夫さ。
遊佐「なんて考えられるか!!」
くわっ!!
霞「わっ」
遊佐「あーもう!」
遊佐「どうしてもか?」
霞「そうしたいな」
遊佐「く……しょうがないな」
誰にもばれないようにしなければ。
学校とかにばれたら……。
遊佐「頼むからばれないようにしてくれよ……」
覚悟を決める。
約束を守らなかったのは俺だったからな……。
俺がしっかりすれば問題ない。
霞「わかった」
遊佐「来るなら人目のつかない時間な」
霞「いつ頃かな?」
遊佐「うーん……夜の八時とかかな」
内心気が気じゃない。
だって、男女二人って……。
遊佐「……」
俺だけなのか気にしてるのは。
遊佐「なんで俺だけ苦悩せにゃならんのだ」
すごい理不尽だと思うんだけど。

そして次の日というわけだ。
遊佐「はぁ……」
あんまり、というかかなり乗り気じゃない。
泊まりに来てくれるのはそりゃうれしいけどさ。
遊佐「緊張する……」
早まるなよ、俺。
既に掃除は終えた。
落ち着かない……。
遊佐「はぁ」
時間がくるまで、どうすりゃいいんだ。
遊佐「……今は七時か」
もうちょっとで……。
ピンポーン……
遊佐「どわぁあああ!?」
霞「遊佐君ー」
まだ七時だろ!?
扉を開ける。
遊佐「か、霞?」
霞「こんばんは」
遊佐「は、早いよ……」
満面の笑顔だった。
遊佐「ま……」
霞なら……早くくることもあり得るか……。
霞「?」
遊佐「……まじできちゃったんだな」
霞「うん」
遊佐「……ま、上がりなよ」
部屋に案内する。
霞「ありがとう
遊佐「ああ」
霞「ここが遊佐君の部屋なんだ」
遊佐「ああ」
霞「これ何?」
遊佐「ああ」
霞「ねぇ」
遊佐「ああ」
霞「さっきからああしか言ってないよ」
遊佐「ああ」
霞「遊佐君ってば!!」
遊佐「うわぁっ!」
び、びっくりした!
遊佐「ど、どうしたの?」
霞「さっきからああしか言ってないよ」
遊佐「う、ご、ごめん」
霞「どうしたの?」
遊佐「い、何でもない」
霞「変なの」
遊佐「……」
俺の気持ちもしらないでー……。
遊佐「くくー」
遊佐「はぁ……」
もういいや、何かすでに疲れたよ。
遊佐「んじゃま、今日はこのベットで寝てくれ……」
遊佐「俺は布団を引いて寝るから」
霞「えー」
遊佐「えーって、何か不満が?」
霞「一緒に」
遊佐「寝ないって!!」
霞「そう?」
赤面してしまう。
遊佐「……どういう神経してるの」
霞「わかんない」
遊佐「あー、トイレと風呂……」
いや! 焦るな!
遊佐「はそこだから」
はぁ……。いったいどうなるんだ。
いや、どうなるんだじゃない!
がんばれ俺の理性!!
最終更新:2007年04月18日 19:09