たわいのない話をくっちゃべって、時間は九時を回った。
霞「で、これ」
遊佐「で、明日の計画ね」
意外と細かいとこ気にするな。
霞「うん」
遊佐「どうするかなー?」
霞「明日は屋台とか出るし」
遊佐「そうだな……、始まるの何時だっけ」
霞「花火は七時からだよ」
遊佐「それなら、早く出て屋台とか回るか」
霞「うん。五時位?」
机をはさんで二人で明日の計画を普通に話しているわけだが。
霞「リンゴ飴とかー」
遊佐「買う物の計画もか?」
霞「うん」
遊佐「そういうのは行ってから考えた方が楽しそうだが」
霞「そうかも」
遊佐「七時には間に合うようにしねえとな」
霞「そうだね」
んー、それじゃあどうするかな。
遊佐「まぁ屋台がその辺にでるならこんな感じじゃないか」
広げた紙に時間と予定を書き込む。
遊佐「なんでわざわざ紙に……」
霞「気分かな」
遊佐「わからんでもないけど」
どうせ明日持って行かないだろう。
遊佐「大体こういう予定はうまく行かないと思うが」
霞「うーん」
遊佐「そんな真剣に悩むなって」
遊佐「だからこういうのは行って楽しめばいいの」
霞「うーん」
遊佐「この」
ぺしっと頭をたたいてやる。
霞「あう」
遊佐「あー、もう」
遊佐「計画は後回しだ」
俺は立ち上がる。
遊佐「……風呂行ってくるから」
本当は今日入りたくないけど……。
不潔だと思われたくないし。
霞「はーい」
遊佐「霞は、そのなんだ。後で入れな」
俺は部屋から出ていく。
遊佐「はぁ……」
もう、疲れた……。
………………。
遊佐「出たぞー。今風呂入れなおしてるから」
霞「うん」
風呂は洗って入れなおしている。
それくらいはしとかないとな。
遊佐「で、まだ計画をって」
紙を持ち上げる。
遊佐「ぎっしりだな」
霞「うーん」
遊佐「いや、ぎっしりすぎだな」
霞「だってー」
遊佐「はぁ、まぁいいさ」
ここは付き合うのが、筋ってもんだよな。
霞の前に座る。
遊佐「んで、出発は四時の予定?」
霞「えーっと」
遊佐「それまでどうすんだ?」
霞「そうなんだよね」
遊佐「うーん」
俺は髪をタオルで拭きながら悩む。
遊佐「俺が考えとくわ。とりあえず風呂入ったら?」
霞「うん」
霞が鞄から風呂セットを取り出す。
遊佐「準備がいいな」
霞「えへへ」
部屋を出て行こうとする霞。
霞「覗かないでねー」
バタン
へぇ霞も一応気にするんだ。
………………。
遊佐「って覗かねえよ!」
何、へぇそうなんだ、的な気持になってんだ。
遊佐「助けてくれー」
俺は枕に顔を突っ込んだ。
遊佐「……」
ってこれ霞が使うやつじゃねえか!
がばっと離れる。
遊佐「いや、まだ使ったわけじゃないし」
なんか俺一人であほなことをしてないか。
遊佐「はぁ」
冷静を装ってるつもりでも、駄目だな。
遊佐「とりあえず、明日のこと考えてごまかそ」
朝起きてー、飯食ってー……。
遊佐「うーん」
いつもの生活しか思い浮かばない。
遊佐「適当に街をぶらぶらするかな」
計画終了。
遊佐「ふぅ」
終わっちまったよ。
遊佐「何か飲もう」
冷蔵庫からお茶を取り出す。
遊佐「ふぅ」
なんか今日は溜息多いな。
遊佐「嫌がってるわけじゃないんだぞ」
緊張してるのが正しい。
遊佐「……今日はさっさと寝てしまうのが正解だな」
とりあえず霞が風呂から出てくるのを待つ。
………………。
霞「出たよー」
髪を拭きながら出てくる霞。
遊佐「おう」
遊佐「というわけで、今日はさっさと寝る」
霞「えー、もっと話そうよ」
遊佐「んー」
遊佐「何を?」
霞「なんだろう」
遊佐「はぁ」
全く……。
遊佐「また明日の計画でも考えるか?」
霞「うん!」
遊佐「夕方からはまぁいいとして、朝どうするつもりだ?」
霞「そうだねー」
遊佐「適当にぶらぶらするのでいいかなと思うんだけど」
霞「どこを?」
遊佐「駅前とかさ」
霞「なるほど」
遊佐「具体的なことは何も考えてないけどな」
遊佐「と、いうわけで寝る」
霞「どういうわけなの?」
遊佐「あーもう、ちったぁ俺の気持ちも考えてくれ」
遊佐「……緊張して疲れちゃったんだよ……」
情けないことこの上ない。
霞「そう……なの?」
遊佐「そう、なの。情けないけどな」
霞「そっか」
遊佐「歯磨いてくるか」
霞「はーい」
なぜか二人で洗面所で歯磨きをする。
遊佐「よし、寝るか。霞はベット。俺は下の布団。オッケー?」
霞「むー」
遊佐「いいから、ほらぁ」
………………。
遊佐「…………」
霞「すぅー」
結局俺より先に寝てしまったようだ。
遊佐「ふぅ……」
俺は両手を伸ばす。
んー、と一伸び。
少しは疲れがとれた気がする……。
このまま……寝てし……まい……た……、
どさっ!!
遊佐「うぎゃぁあ!」
何かが腕の上にぃいいい!?
遊佐「……」
何かがじゃなくて、この場合は……」
霞……だよな。
遊佐「おい、霞」
腕からどいてくれ……。
遊佐「おーい?」
むにゅ。
遊佐「―――――!!」
ぎゃぁあぁあああーーー!??
遊佐「…………!」
た、助けてくれ!!
あ、お、う。あ、あた、あたって!!
遊佐「お、起きろ! 霞!」
霞「むにゃ」
遊佐「うぎゃぁあーーー」
もういやーーー!
霞「ほにゃー」
しがみつくんじゃないぃい!!
最終更新:2007年04月20日 21:58