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遊佐「こ、こうなったら!」
俺は強引に霞を。
遊佐「どりゃぁ!」
上からどかせる。
遊佐「そして……」
右手は膝裏に、左手は肩に。
そう、いわばお姫様抱っこというやつ。
遊佐「せーの」
ぐっと力を入れて持ち上げる。
霞「んー」
遊佐「あ、こら。首に手をやるんじゃない」
寝てるのかどうか疑わしくなってきた……。
遊佐「そーっと」
ベットの上に霞を下ろす。
遊佐「そして」
半分にさぶとんを持ってきてベットの淵に並べる。
つまりバリケード。
遊佐「安眠のためだ」
はぁ……。汗かいちゃったぜ。
遊佐「まったく、しょうがないやつだ」
静かな寝息が聞こえる。
薄い布団を霞に掛けてやる。
遊佐「これで寝れる……」
俺はベットの横に寝ると一番離れた位置で寝た。
ふぁ……、これで……寝れる。
…………………………。
遊佐「……」
あー、やっと寝られたと思えば。
遊佐「こんばんは」
俺はあの位置に座っていた。
??「こんばんは」
遊佐「今日はどうした、んですか?」
霞?「や、お礼を言っとこうかなと思ってね」
遊佐「お礼、ですか」
何と無く感づいていた。
別に、霊感とか信じてないんだけど。
でも、無視できないっていうか……。
霞?「ありがとうね」
遊佐「いえ、惚れた、から。あたり前です」
霞?「そっか。もうわかってるのかな?」
遊佐「なんとなく、ですけど」
不思議な縁があったものだと思う。
霞?「それなら言わなくてもいっかな」
見た目は同い年に近いというのに。
遊佐「はい」
俺の隣にその人が座る。
霞?「一緒にずっと待ってたからね」
遊佐「ごめんなさい」
霞?「私はいいんだけどね」
遊佐「ま、ここは一つ素直に受け取っといてください」
霞?「ふふ」
遊佐「……」
そろそろ、夜が明ける。
霞?「それじゃ、また、会えるかな?」
遊佐「きっと会いますよ」
霞?「それはそうだね」
遊佐「私はわたし、でしたよね」
霞?「うん」
遊佐「それじゃ、また会いましょう」
俺は立ち上がる。
霞?「うん、目覚めの時間だよ」
遊佐「よっと!」
俺はそこから飛び降りた。
そして、浮遊感を感じながら。
遊佐「……ふは」
目を覚ました。いつもに増して、リアルだったなぁ。
起き上がろうと、す……。
なんだ?
遊佐「なんか、こう」
手に変な感触が。
遊佐「……」
ぐぐっと曲がりにくい首を曲げて横を見る。
遊佐「のぎゃーーーーーー!?」
わ、わ、わ忘れてた!!!!
霞ってば、寝てたら服が……!
しかもまた落ちてきてる!!
遊佐「あのバリケードを乗り越えて!?」
と、とにかく隠すんだ!
俺は足元でくるまってる布団を引っ張る。
遊佐「せい!」
ばさ、っとかける。
遊佐「これでよし!」
ってよくねえよ!!
……。
遊佐「しょうがないやつだなぁ」
まったく、かわいい寝顔して。
怒るに怒れないっての。
霞「……ふぅ」
寝息が聞こえてきて、心臓が一つ跳ねる。
ああ、認めるさ! めちゃくちゃかわいい!!
遊佐「……好きだぞ」
寝ているときに言うのも、すっげー恥しい。
俺は部屋をでて顔を洗いにいった。
遊佐「朝飯……でも作るか」
全然料理なんてやったことないけど。
ベーコン焼いてパン焼いてくらいなら俺だってできるさ。
遊佐「コーヒー淹れることもな」
さて、っと。
遊佐「適当に……」
………………。
遊佐「よっと」
机に料理を並べていく。
霞「……ん」
遊佐「よ、おはよう」
起き上がる霞。
霞「おは、よぉ……」
霞「んー、いい匂いだ、ね」
遊佐「どうよ」
霞「わたしが作ってあげたのにー」
遊佐「いいって、もう作ったし」
遊佐「さ、食べようぜ」
霞「うん」
遊佐「ま、慣れないとこで作ったから。まー不味くはないと思うけど」
誰でも作れそうなものばかりだし。
霞「ありがとう」
遊佐「バターとジャム、どっちがいい?」
霞「ジャーム―」
遊佐「ほいよ」
霞「あんがとー」
ジャムを塗る霞。
なんていうか、絵になってる?
遊佐「……」
霞「何?」
遊佐「いや、何でもない」
俺も自分のパン食べよっと。
久々にパンなんて焼いたなー。
いつも朝適当にすましてるし。
遊佐「どう? 焼き加減とか」
霞「らいひょうふー」
あ、なんか久しぶりだ。
遊佐「はは」
霞「ひゃに?」
遊佐「食べてからしゃべれ」
こんな日々が好きだった。
霞「ひゃっれ、しゃへりはへふぇふぃはのふぁふふぁふん」
遊佐「あー、俺が悪かったよ」
遊佐「ふぁぁ」
あくびが出る。
正直あんまり寝た気がしない。
霞「眠い?」
遊佐「ちょっと、な」
霞「寝てもいいよ?」
遊佐「うーん」
まだ朝早いし、少しくらいならいいかな。
本人もそう言ってるし。
遊佐「それなら、寝かせてもらおうかな……」
布団に横になる。
霞「あー、だめだよ。寝るならベッドで寝て」
遊佐「んー?」
霞「ほらほら」
遊佐「わ、わかったよ」
正直、今はベットは……、まぁいいか。
遊佐「んじゃ、よっと」
遊佐「少ししたら起こして……」
いい匂いがする。
悪くない……かも。
遊佐「……」
がしゃがしゃ………………。
ぶぃー………………。
ばさっ………………。
………………。

遊佐「……ん」
目が、覚めた。
時計を見る。……げ、もう十一時!?
遊佐「霞? おーい?」
部屋に霞は見当たらなかった。
遊佐「あれ?」
よく見たら、なんか部屋が。
遊佐「片付いてる」
昨日それなりにきれいにしたつもりだったんだけど。
遊佐「……霞か?」
それ以外に考えられないけど。
遊佐「っと」
起き上がる。
霞「あ、起きた?」
ドアが開いて部屋に入ってきた霞は。
遊佐「ぷっ、あははは」
霞「え、え?」
遊佐「顔、汚れてるぞ」
霞「ありゃ」
遊佐「掃除してくれてたんだ?」
霞「うん。お礼にと思って」
遊佐「……ありがとな」
霞「どういたしまして。あっ、顔洗ってくる」
寝てる間に掃除してくれてたんだなぁ。
遊佐「よっし」
俺もがんばるか……。デートをな。
洗面所に向かう。
遊佐「掃除はその辺でいいから、そろそろ出るか?」
霞「うん、そろそろ行こ」
遊佐「寝てしまった分と掃除してもらった分、お返ししないといけないからな」

夕方になるまで昼ごはんを食べたり、店を回ったり。
普段はあまり見られない霞の姿を見ながら、楽しみながら時間を過ごした。
遊佐「霞、靴そろそろ変えた方がいいんじゃないか?」
霞「うーん、まだはけそうだけど」
遊佐「……よし! 俺がプレゼントしよう」
霞「えー、いいよー」
遊佐「そう言うと思った」
額を人差し指でついてやる。
遊佐「自分のかわいい彼女を着飾ってやりたいんだよ」
遊佐「それに、何のためにバイトしてるとおもってんだ」
本当は生活費のためだったけど。
これくらい言えば霞も折れる。
と、いうわけで。
遊佐「やっぱ霞はスニーカーだよな……」
走ってるイメージがぴったしなわけで。
遊佐「どれがいい?」
霞「うーん」
…………。
霞「これがいいな」
遊佐「よっし、すいませーん」
店員「はい?」
遊佐「この靴の合うやつ、試させてもらえませんか?」
店員「このタイプですね。えーっとサイズは?」
遊佐「サイズは?」
霞「いくつだったかな」
いくつか試してみる。
霞が立ち上がって歩いてみる。
霞「大丈夫、っぽい」
遊佐「それでいい?」
霞「うん」
遊佐「それじゃ、これお願いできますか?」
店員「わかりました」
これで今日の目的の一つ、果たせた。
霞「ありがとう……」
遊佐「うむ、気にするな」
ま、財布にはちょっと痛かったけどこれくらい。

遊佐「四時になったな」
霞「うん」
遊佐「んじゃ屋台まわろうか」
霞「おー」
霞「あ、リンゴ飴!」
遊佐「甘いものばっか食べるなよー」
霞「大丈夫!」
昨日の計画では甘い物の方が多かった気がするが。
遊佐「普通の飯も食べるんだからな」
霞「はーい」
満足そうに買い物をする霞。
遊佐「……」
楽しそうだから、いっか。
遊佐「わた飴か」
俺も微妙に食べたくなってきた。
霞「いる?」
遊佐「んじゃちょっとだけ」
霞「はい」
遊佐「サンキュ」
う、うまい。
遊佐「と、そろそろ五時か」
案外時間たつの、早いもんだ。
霞「どうする?」
遊佐「そうだな、早めに行っとくかな」
そのためにも何か食べるものを。さんざん食べたけど。
遊佐「焼きそばとか定番の物買っていくか」
霞「おっけー」
暗くなる前に、話しときたいこともあるしな……。
できれば早めに行っときたかった。
……結局計画通りじゃないけど。
最終更新:2007年05月10日 02:06