武僧ルート1

【時期】体育祭終わって数日後?
【設定】体育祭が終わり夏休みが近づくにつれ、皆が夏休みをどう過ごすか考えてる
【場所】教室
【登場人物】聖、ましろ、しのぶ、中島、主人公


●放課後間近の教室
体育祭終了後の授業というのは、何処の学校でもやはり皆だれているものだ。
普段、授業中に騒ぎ立てている奴もこの日ばかりは一日静かで、
先生もその辺分かっているのか、特にお咎めもなく静寂に包まれた一日が過ぎていった。
その先生自体にも覇気が無く、先生によっては自習にし、教団を枕に寝息を立てている様だ。
かく言う俺も、例外ではなく、机につっ伏し安らかな眠りを貪っていた。

それにしても、夢というものは良いもので、この授業中に見た夢はまさに天国。
柊ましろにあんなことやこんなことをしても、聖の監視は無く好き勝手やりたい放題!
とか……、夢の中くらい自由にさせて欲しいものだったが……。

【聖】「お前……、夢の中でましろに何をした……。」
【俺】「……何も。」

聖は現実世界からでも俺の夢の中を監視できるようで。
望んでみたわけでもない夢の内容に腹を立てた聖は、
俺に「私とましろの近くでは寝るな、寝たら殺す」と警告され、
結局、眠いのに寝れないという地獄のようなラスト30分を味わった。

●放課後の教室
今日の授業が終わるチャイムが、目覚まし時計代わりに響き渡る。

【先生】「はーい、じゃあ今日はこれで終わりねぇ~。ホームルームも省略~。」
【聖】「きりーつ!れい!」

さようならの挨拶が済むと、寝ぼけ顔でそれぞれが帰りの支度を始めた。
俺も、帰りの支度をしていると、後ろから中島が声をかけてきた。

【中島】「おまえ、夏休みどうすんのよ?」
【俺】「そういえば、何も考えてないな。」
【中島】「まじかよ!?もうすぐ夏休みだぜ!?普通なら春休み前から考えておくぜ!?」
【俺】「……お前だけだ、そんな奴。」

この学校に転校してきてからの2週間は、あっという間だった。
けれど、たった2週間だったがそれなりに友人と呼べるものも沢山出来た気がする。
彼らとの夏休みを満喫するのも悪くないな、なんて思っていると、
夏休み談義が聞こえたのか、ましろ達が寄って来た。

【ましろ】「わたし達は海行くよー。」
【聖】「お前達は来るなよ?目がいやらしい。」
【中島】「まだ何も想像してねぇっつーの!」
【聖】「じゃあ、そのいやらしい目は普段からか。」
【中島】「むきー!そんな目してねぇっつーの!」

【俺】「海か…、もう久しく行ってないな。」
【ましろ】「遊佐君も、一緒に行く?武僧先輩とか誘ってー。」

武僧先輩誘ってか…。うーむ、武僧先輩の水着か…、いいねぇ。
あの胸ならビキニか!?いや、背がちっこいからチューブトップ系なんてのも似合うかな!?かな!?
意外とワンピースだったり!?いやいや、あの性格だ。露出はきっと多いに違いない!

【しのぶ】「ニヤニヤして、都の水着想像してる?あっはっはっは、スケベ!」
【俺】「ぬあああ!びっくりした!ビキニとか似合うかなぁ~なんて、これっぽっちも!」
いつもの如く突然沸いて出てきた甲賀先輩に、妄想を中断させられた。

【聖】「エロ、スケベ、変態。」
【ましろ】「あははは!遊佐君も男の子だもん、仕方ないよね?」
【中島】「やーい、スケベスケベスケベスケベスケベスケベスケッ!」

俺の武僧先輩直伝の正拳突きを中島にお見舞いすると、
ぐひょ!?とか良く分からない効果音を発しながら崩れ落ちた。
しばらくは沈黙してくれるだろう。

【しのぶ】「あっはっはっは!自分に素直なのはいい事だよ!
      でも残念だネェ。」
甲賀先輩が腕組をして、哀れみの目を俺に向けてくる。

【俺】「な、何がですか…?」
【しのぶ】「都を海に誘っても、きっと来ないよ。あの子泳げないから。」
【一同】「えっ!?」
誰もが驚いた様子だった。
それはそうだろう、学校一番の運動神経を持っているのではないかと云われているような人だ。
まあ確かに、そういう人に限ってこういうことがあったりするのは、良くあることなのだが、
それでも意外に感じたのはなぜだろう。

回想:
【舞】「都ネェは、運動なら何でも出来はる~。舞に泳ぎを教えてくれはったのも、都ネェなんどすえ」

そうだ、思い出した。久々津さんの話なら、武僧先輩は泳げるはずでは…?
【俺】「先輩、本当に泳げないんですか?」
【しのぶ】「そんなに都のビキニ見たかった?
      君なら、直接本人に頼んでみれば見せてくれるかもよ?」
【俺】「えっ、マジで!?って、いやそうじゃなくて…。
    水着はどうでもいいんですよ。ただ、ちょっと気になって。
    武僧先輩は泳げるって聞いたことがあったから。」
【しのぶ】「あー…、正確には泳げた、が正解。
      まあ色々とあるのさ。」
甲賀先輩は、詳しいことは聞くんじゃないよ?と言わんばかりの目で、俺を凝視している。

【ましろ】「どんな人にも、苦手なことはきっとあるよ。」
【聖】「まあ、どっちにしろお前達と一緒に行くつもりは、まったく無いが。」
二人して残念だったね、というまなざしで俺を見ないでくれ!

俺はスケベのレッテルを貼られ、その後も夏休みの計画について皆と雑談が続き、
いつの間にか復活していた中島も、近づく夏休みに期待を募らせては、はしゃぎ回っていた。

まだ日は高く、蝉の鳴き声が響き渡る中、放課後がゆるやかに流れていった。
最終更新:2007年09月08日 10:21