遊佐「しかしあれだな……」
中島「どうしたんだ? まさかビビッタか?」
グラウンド中に広がる生徒達とその熱気が伝わってくる。
遊佐「ああ、すこしな。全員かなり気合入った顔してるように見えるぜ」
中島「この学校最大の行事といっても過言ではないからな。俺たちも気合入れていこうぜ」
遊佐「わかったよ」
想像以上だった。まさかここまでとは……。負けられないわけでもないがどうせなら勝ちに行きたいのは俺だって一緒だ。
中島「それじゃあさっさと並んで
開会式をまとう」
遊佐「おう」
進行「えー、では次は校長先生のお話です」
どんどん、うぉー。どどどん。うぉー
遊佐「な、なんだこのBGMは?」
ざわざわ……。
中島「来るぞ!!」
どどんどどん。たった~たったたらららら、たらたらたらららたららら!
BGMが盛り上がってゆく!何が現れるんだ!
周り「田中Pが来るぞ!!!」
ぷしゅー!!!
炭酸ガスか!?(テレビの演出で使う白いやつ)
そこには腕組みをした田中校長が出現していた。
周り「たなP-!!!」
中島「何て威圧感だ……」
なおもBGMは止まらない。
田中「今日はまさにバリスタ日和。大いに盛り上がっていて好評でうれしい」
一瞬静まり返る。
田中「全力で戦え! 男なら勝て! 女でも勝て! 勝たぬ奴に語る資格なし!」
そういうと今度は普通に階段を下りていった。
進行「なんと熱い激励の言葉か!
ありがとうございました! 続いて過去三連覇を成し遂げた麻安登理事長からも特別にお言葉があります」
その言葉の後どこからか理事長が前かがみの体勢のまますばやい動きで前進してきた。そしてトンッと台に飛び乗る。
麻安登「ほっほっほ、今年は星の輝きを手にするのは一体どのグループか楽しみじゃの。もし戦いが嫌なら……やめてもいいんじゃよ?」
どぉおん! うぉおあぉおぉあおああああああ!
進行「でたー! 理事長の得意の殺し文句! やめてもいいんじゃよ!! これで戦慄を覚えた者の数知れず、幾人もがその老体の前に死体を晒していったぁあ!」
なんだこの盛り上がり! っていうか進行役も熱すぎだろ……。
中島「へっ……楽しくなってきたじゃねえか」
遊佐「盛り上がりが異常だな。しかしおもしろいなこれは……。やる気がでてくるぜ」
進行「熱くなりすぎました……。続いて生徒会長の開会宣言です」
あ、そういえば生徒会長の開会宣言があるんだな。あの時の内容が今わかる。
台に上って一礼する会長。
甲賀「今日もいい天気でバリスタも開催できることをうれしく思います」
そのまま当たり障りの無い開会の言葉が続いていく。
甲賀「ではがんばりましょう! 開会を宣言します!」
言葉が締めくくられ拍手が起こる。特に変わった事はなかった。が、
甲賀「そしてここからは私的なことでマイクを使わせてもらいます」
何?
甲賀「みんなも知ってるように、今年優勝できたら私も過去2回目の三連覇なんだけどそれに関しての話なんだけど!」
周りがざわざわしだした。麻安登理事長は笑い、田中校長はそれを落ち着いた表情でみている。
甲賀「もし私の風船を割れた人がいたら!!!」
生徒達(男)「いたら!?」
甲賀「私の大切なものをあげちゃう!」
その場に何かが走った。それは衝撃であり、混乱であり、狂乱であった。
遊佐「はぁ!!???」
生徒達(男)「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
生徒達(女)「えぇえええええええええええぇええ!?」
こうして開会式は、生徒達にこのバリスタは波瀾の展開を見せてゆくことを予感させて終了したのであった。
中島「大切なものって何かな!? なぁ遊佐!」
遊佐「……何だろうな」
聖「相変らずあの会長は何を考えているんだろうな」
ましろ「うーん、普通じゃ言わないことだから何かあるのかなぁ?」
早乙女「……うむ」
大切なものって……あれか? いやでも普通公の場で言わないだろう……?学校側で問題にならないのか?
遊佐「なぁ中島」
中島「ん?」
遊佐「先輩達と当たるには最後まで勝ち残らなきゃならないよな」
中島「そうだな。俺達とは別枠だからな。なんだ遊佐、お前も狙ってんのか~?」
聖「中島っ!」
なんというか、もやもやした気持ちだった。
遊佐「狙ってる……っていうより負けられなくなったというか……」
中島「ほう……? よーし! みんなここは遊佐の恋路を応援してやろうぜ!」
遊佐「はい?」
ましろ「うんうん、それがいいそれがいいよ」
遊佐「なんで恋路の応援なんだよ!?」
聖「お前も大概鈍いんだな、自分のことに関しても」
神契「は、ははは……」
鈍いって……そんなこと言ってるんじゃないだろう?
早乙女「……それで、遊佐は勝ち目があるのか?」
早乙女さんも割って入ってくる。まさか早乙女もなのか?
遊佐「いや、でも別に俺は……」
ましろ「駄目だよ逃げちゃ! 素直になろうよ」
聖「相手も人間だ。勝ち目がないわけではないだろうしな。遊佐はもっと積極的になってもいいと思うぞ」
こりゃかなりのプレッシャーだ。どうするんだよ俺は……?
遊佐「…………わかったよ。いっちょやってみるぜ!」
中島「おーっし、そのためにはまず勝ち進まないとな!」
こうして、俺達は妥当甲賀先輩を目標に闘うことになった。
最終更新:2008年02月06日 02:34