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早乙女「……すぅー……はぁ……」
大きく深呼吸をして気を込める。一意専心……。
対峙した相手……は誰だったか。関係ない。
狙うのはただ一つ。
早乙女「……めぇええぇっん!!」
大振りの一撃。
そして、止められた。
相手「っ!」
流れるような捌き。

ぱぁんっ!!!
……
ぱんっ!

神契「……はぁはぁ」
神契……?
神契「あ、あぁご、ごめんなさい」
割れた風船は二つだった。私のものと相手方のと。先に割れたのは私のもの……。
そして相手がのを割ったのは私ではなく、神契であった。
神契「真剣勝負の邪魔を……っ」
神契、どうしてそんなに泣いている。
神契「早乙女さんを助けないと……そう思ったらぁ……」
一瞬相手と目が合うと私はつい笑ってしまった。
相手「君のこの戦いも真剣勝負だったのだろう?」
早乙女「……」
相手「今は、バリスタ中だからこれも戦いだ。まー、予想外だったのは認めるけどね」
ははっ、と笑う。嫌味は全くないと感じる。
私は、自然と手を神契の頬に手をあてた。
早乙女「そうだ、よく私を守ろうとしてくれた。感謝する」
そういって今度は頭をなでた。
相手「今度の真剣勝負は、道場だな早乙女。今日は引き分けだ」
早乙女「はい。今度は必ず勝ちます」
相手「お前は本当、惜しい奴だよ」
早乙女「それは私自身が」
一番思っている。
相手「そうだろうな……」
それにしても、神契はやさしすぎる。
それに、もしかすると今の真剣勝負に対する考え方はあの方の影響かもしれない。
早乙女「私は負けた。神契を守ることができなくなってしまった」
どうしたい?
神契「はい……」
早乙女「なら、わかっているな?」
神契「はい、行きます……」
もしかしなくてもこの子は強い子だ。


聖「ほら、立ってましろ」
ましろ「う、うん」
ましろをの手を引いて立ち上げてあげる。
やっとピンチから切り抜けたけど……。
ましろ「と、とにかく何とか一人倒せたから……大丈夫かな?」
聖「そうだけど、油断せずに移動しよう」
遊佐の方が心配だからな。まったく、私が奴の心配をしなくてはならないのはなぜだろう。
……きっとあいつが損得勘定じゃない、そういう行動を見せてくれるからだろうな。
ましろ「う、うん」
とにかく上へ行こう。上から攻められるのはきびしいものがある。


途中経過の放送で分かった事実は俺たちの思惑をひっくり返した。
遊佐「早乙女がやられた……のか」
さっきの相手もやられたようではあったが。相討ちだろうか?
中島「やべーな……これは」
遊佐「バカ、弱気になるな。まだこっちのが人数は勝ってるんだ」
状況からいうと聖が一人倒したというところだろう。俺たちは逃げてばっかりだし。
中島「まぁ、ここら当たりが俺とお前らしいコンビだよな」
遊佐「あん?」
中島「活躍してないってところがよ」
遊佐「ここから活躍するんだよ俺たちは」
そうはまったく思えないけど自分への励ましだ。
遊佐「よし、逆走だ」
中島「はぁ? なんで?」
キョトンとしてんじゃない。
遊佐「神契さんが残ってる」
中島「あー、それは非常にやばいな」
うー、聖達の居場所もわかんないままだし。とりあえず神契さんは回収をしなくては。
神契「遊佐さぁーん」
遊佐「おぉおおぉう……神契さんじゃないか。大丈夫?」
神契「はい、なんとか……はーぁ」
へたっと地面に座り込んでしまう神契さん。
中島「おぃおぃ大丈夫かよ」
神契「な、なんとか」
遊佐「仕方ない、俺がおんぶして逃げる」
中島「お、お、おんぶ……だと」
おんぶ、何かまずいか?
ぱっと神契さんを見る。はっ! おんぶだと!?
いやいや、まてまてこれはいたって当たり前の行為だ。だってそうだろう?
遊佐「……んじゃここに居てもまずいから」

遊佐「はぁ、はぁ。とにかくここで待機だ」
神契さんをおぶってなんとか最上階へ。
聖「遊佐っ」
遊佐「聖じゃないか。無事みたいだな」
聖「なんとかな」
ましろ「わたしもねー」
中島「早乙女がやられちまうとはなー」
神契「……」
遊佐「中島、それを言うな」
中島「ん? あ、あぁ……」

遊佐「なぁ中島、ずっと考えてたんだけどよ。ここの学校の放送室ってどこだ?」
中島「そら職員室の方だけど」
ここからだと、階段下りて行ってすぐか……。
遊佐「みんなに相談がある」
聖「相談だと?」
遊佐「ああ……。きっとみんな納得しないとは思うけどな」

こっそり忍び込んだ放送室。使い方は勘で。
きっとお咎めがあるんだろうなぁ。まぁ仕方ないわな。
電源を入れると全体が動き出したような音がした。あとは流す場所のスイッチを入れて。
遊佐「あー、聞こえますかー?」
俺のアホな声が外から聞こえてくる。校舎中に流れているはずだ。
遊佐「えーっと、忍に言いたいことがあります」

放送『忍に言いたいことがあります』
スピーカから遊佐の声が聞こえる。
中島「始まったなぁ」
聖「あいつもアホだからな……」
神契「あはは……」
ましろ「でも、アウトローでかっこいい?」
聖「何を言ってるんだましろは」

遊佐「俺と一対一で勝負してほしいんだ。場所は屋上で」
あー、何言ってるんだろう俺は。
遊佐「まぁ、男としての意地だと思って聞いてくれ」
でも、一度始めたら引き返せないこの想いは本気だ。
ぶつんっ!
電源を慌てて切るが、今さら遅い。
……ガラにもないことやっちまったなぁ。こんなことは一生に一度も必要ないって。


中島「……なぁ、今の告白にカウントされるの?」
ましろ「微妙だね~」
聖「……馬鹿だからな」
神契「あ、あはは……」」
中島「まぁ、遊佐の本気だからなぁ。誰も邪魔しないだろうけど」
聖「じゃあ別に私たちが見張らなくてもいいか」
ましろ「そうだね。きっと必要ないよ」
中島「でも見てえなぁ。遊佐の一世一代の行動を」
聖「グラウンドからなら声くらいは聞こえるかもな」
神契「じゃ、邪魔するのもよくないんじゃないかな……?」
中島「まああいつがやることだから。絶対失敗しないさ」
ましろ「何でそう言い切れるの?」
中島「だって、あいつ主人公だし」
聖「はぁ?」
中島「俺達は脇役ってことだ」
神契「脇役……」
ましろ「そうかもねー」
最終更新:2008年04月05日 00:48