遊佐「んー。やっぱ結構広いな」
何となくぶらぶらと校内をうろつく俺。
トイレのついでに散策を試みたんだが……。
遊佐「軽く迷ったかな?」
学校って基本的に同じマップ、もとい、廊下だからなぁ。
クラス表記とか見れば大体分かるんじゃね?
ってのは、甘かったか。
うっかり特別教室とかが並ぶところに入り込んでしまった。
授業遅れるかもしれないなぁ。
遊佐「こういうとき、ましろちゃんとかに会えれば助かるんだけどな」
ほとんど人の姿はないし。
知り合いがいる可能性は皆無だろうなぁ。
まあ、嘆いても仕方ないか。
??「おい、貴様。何をしている」
聞き覚えはあるけど、振り向きたくない声が聞こえた。
うん。振り向かないでおこう。
俺は直感を大事にするほうなんだ。
??「待て」
いきなり高圧的に声をかけてくるヤツに、ろくなヤツはいないしな。
??「待てといっているだろう」
さて、教室はどっちかなぁ。
??「人の話を聞け」
遊佐「むぉ!?」
急に膝の後ろに何かが当たり、俺はかくんと倒れそうになった。
こ、これはなつかしの……。
遊佐「膝カックン!?」
聖「やっと気づいたか」
あきれたような表情を浮かべながら、聖がため息をはく。
後ろから声をかけてたのは聖だったか。
くそう。驚きのあまり振り向いてしまった。
やっぱり振り向きたくなかったな。
なんか苦手だし。
聖「で、お前はこんなところで何をしている?」
遊佐「ぶらぶらしてる」
聖「ぶらぶらって……なぜこんなところまで……」
遊佐「何かまずいのか?」
聖「あー。いや。そこそこ遠いしな?」
遊佐「ああ、やっぱ遠いんだ?」
道理で教室に戻れないわけだな。
遊佐「ところで聖は何をしてたんだ?」
聖「野暮用だ。気にするな」
遊佐「ふむ……」
聖「なんだ?」
遊佐「トイレか」
シンプルな俺の答えに、聖はため息一つで曖昧な表情を浮かべる。
聖「まあ、そういうことにしておけ」
ちっ、なんか気になるな。
とはいえ女子の秘密を無理やり聞き出す。なんて無粋な事はしないぜ?
俺は紳士だからな。
別に聖が怖いわけじゃないぞ?
聖「私はそろそろ戻るが、お前はどうする?」
遊佐「ん? ああ、俺もそうする」
聖「そうか。じゃ、またな」
軽く手を振って足早に去っていく聖。
俺はそれを見送って……。
遊佐「ちょっと待て!」
聖「何だ?」
遊佐「いや、普通そこは二人で一緒に教室に向かいながら、何かストロベリーな会話したりとかそういう話じゃないのか?」
聖「うむ。全力で遠慮させてもらおう」
遊佐「つっこみすら無しで拒否かよ!」
聖「ちなみに私はましろ以外ノーサンキューだ」
いや、それもどうだよ? 性別的に。
聖「大体、お前も私とそんな話があっても嬉しくないだろ」
遊佐「自信たっぷりだな」
聖「校内で転校して欲しい人物ランキングで1位だからな」
遊佐「どんなランキングだよ」
聖「ちなみに敵に回したくないランキングでは3位だ」
遊佐「なんで誇らしげなんだ?」
聖「ふっ。このランキングで上位と言う事は、だ」
遊佐「ふむふむ」
聖「私がきっちりとましろをガード出来ているということだ」
遊佐「……なんで?」
聖「転校して欲しい=ましろにちょっかい出したい。敵に回したくない=ちょっかい出したら怖い。と言うことだろう」
ポジティブに思えたけど、何か違う気がする。
聖「という訳で先に戻るぞ」
遊佐「いやいや待て」
聖「何だ? しつこいやつだな」
遊佐「一緒に行こうぜ」
聖「何でだ?」
1.聖と話がしたいから
2.迷ったから
――――――1選択のケース(好感度変化なし
遊佐「聖と話がしたいからだ」
聖「ほう。変わり者だな」
遊佐「という訳でいいかな?」
聖「分かったよ」
良かった。これで授業に間に合いそうだな。
聖「で?」
遊佐「へ?」
聖「私と何を話したいんだ?」
しまったぁぁぁぁぁ!
遊佐「え、えーっと……」
聖「どうした?」
遊佐「改まって聞かれると……思いつかない……」
うん。無難に答えておこう。
事実だし。
聖「ああ、そうだ」
遊佐「な、なんだ?」
――――――2選択のケース(聖 好感度+1
遊佐「簡単に言えば」
聖「ふむ」
遊佐「迷ったからだ」
えっへん。
聖「威張って言うことか?」
遊佐「だから助けてくれよぅ」
聖「ぐぅっ。小鹿のような瞳で私を見るなっ」
聖は、ひるんでいる。
聖「分かった。分かったから……」
遊佐「
ありがとう! 愛してる!」
聖「はいはい……」
なんだよ。愛の告白はスルーかよ。
遊佐「いや。本当に助かるよ」
聖「後でジュースくらいおごってもらうさ」
遊佐「ただじゃないのか」
聖「当たり前だ」
遊佐「まあ、いいか。聖は美人だし」
聖「眼科いってこい」
遊佐「へ?」
流されると思ってたんだが。
聖「誰にでもそんなことを言ってると、株が下がるぞ」
遊佐「いや、割と本心だけど……」
黙ってたら、だけどな。
聖「はいはい」
今流すのかよ。
聖「そんなことよりだな」
遊佐「ん?」
――――――選択分岐ここまで
聖「先に言っておくが、ましろに近づいたら殺すからな?」
遊佐「笑顔で怖いこと言うなよ」
聖「私にボコられるのなら、まだ幸せだと思えよ?」
遊佐「ど、どういう意味だ?」
聖「ましろファンにリンチされるよりはマシだろう?」
遊佐「そ、そんなに人気あるのか? ましろちゃん」
聖「当たり前だ。ましろは地上に降りた最後の天使だぞ」
そんな大げさな。
聖「信じていないな? いいか? ましろはな……」
語りだした!?
…………
……
聖「つまり、ましろは……はっ」
教室目前になるまで、聖のましろちゃん談義は続いていた。
聖「あー……。こほんっ」
正気に戻ったか。
聖「ま、まあ。そういうわけだ」
しかし、気になっていたんだが……。
遊佐「なあ、俺にましろちゃんの魅力を説いて、俺が興味を抱いたらどうするんだ?」
聖「うっ」
遊佐「もしも、その勢いで仲良くなったりしたら……」
聖「病院送りくらいにはするぞ」
遊佐「ひでぇな」
聖「ま、まあ。とにかく気をつけるんだな」
良く分からない締めで、聖は教室に戻っていった。
しっかし……。
遊佐「あいつも大概変わり者だなぁ」
っと、俺も教室に戻るか。
最終更新:2008年10月01日 02:18