さて、今日の運勢は、と。
聖「む。なんだ遊佐か」
遊佐「小吉か」
聖「は?」
遊佐「いや、なんでもない」
朝の人物占いは小吉と。
聖「丁度良かった。少し手伝ってくれ」
遊佐「昨日みたいなのはゴメンだからな」
聖「いや、職員室から教材を運んでくるだけだ」
遊佐「一人でいけるんじゃないか?」
聖「かさばるものらしいから、手伝いが必要なんだ」
遊佐「というかなんで聖なんだ?」
聖「たまたまそこで遭遇して頼まれたんだ」
遊佐「やれやれ。お人よしだな」
聖「褒め言葉と受け取っておくさ」
遊佐「まあいい。手伝うよ」
聖「すまんな」
遊佐「ちっちっち。こういう時は
ありがとうだろ」
聖「はっきり言ってキモイ。主に言動がキモイ」
遊佐「ひどいな」
ちょっぴり傷つくじゃないか。
聖「それはともかくさっさと行くぞ」
遊佐「へいへい」
…………
……
遊佐「確かにでかいな」
聖「だな」
中身の良く分からないダンボール二つ。
ドクロマークが不穏さを醸し出しているぜ。
試しに持ち上げてみると、確かに軽かった。
けど……。
遊佐「なんかこの箱動いた?」
聖「適当な事をいうな」
遊佐「遊び心のないやつめ」
お約束ネタなのにな。
聖「ほら、ホームルームの前に戻るぞ」
遊佐「はいよ」
…………
……
遊佐「ところでさ」
聖「なんだ?」
遊佐「前も聞いた気がするけど、何でましろちゃんに過保護なんだ?」
聖「別に過保護じゃない」
遊佐「ま、過保護はおいといて、何でそんなことしてんのかってことだよ」
聖「答える必要はない」
遊佐「いやいや、お前も自分の幸せのために動くべきだろ」
聖「……必要ない」
遊佐「おいおい。何事も自分の足元を固めてから、基本だろ?」
聖「必要ないんだ」
遊佐「必要ないってお前、それはないだろ」
聖「私にそんな気はないし、権利もない」
遊佐「へ?」
権利が、ない?
聖「あ、いや。ましろを守っていることが幸せなんだ。放っておけ」
慌てて取り繕う聖。
慌てたって事は、さっきのは本音になる……のか?
遊佐「けどさ……」
聖「ほら、急がないとホームルームに遅れるぞ」
遊佐「あ……」
駆け足気味に聖は去っていった。
遊佐「何なんだ?」
うーん。気になるな。
ましろ「あれ? 遊佐君?」
遊佐「あ、ましろちゃん」
考え事をしてたら、いつの間にかましろちゃんがPOPしていた。
ましろ「さっき聖ちゃんが通っていったけど、何かしたの?」
遊佐「『あった』じゃなくて『した』なんだね」
ましろ「あはは。気にしない気にしない」
ちょっぴり傷ついたぞ。
本日二度目だ。
通算は数えない。切なくなるから。
遊佐「何か気になる点でもあったの?」
ましろ「んー。若干へこんでたかな」
遊佐「ふむ」
あの聖がねぇ。
ましろ「で、なにをしたの?」
遊佐「『した』で確定なんだ」
ましろ「気にしない気にしない」
にこやかな笑顔で誤魔化された。
何となく腑に落ちないけど、今回は流そう。
遊佐「まあ、ましろちゃんはある種当人だから、聞いてみようかな」
ましろ「ん? わたしに関係すること?」
遊佐「うん」
中心に近いところだ。
遊佐「聖がましろちゃんを守っていることについて、何か分かる?」
ましろ「む、ヘヴィな問題だね」
遊佐「ヘヴィなのか」
ましろ「神秘の光の追加効果くらいヘヴィだよ」
遊佐「ごめん。わけが分からない」
ましろ「まあ、それはおいておいて、知りたい?」
遊佐「え?」
ましろ「知りたい? 聖ちゃんのこと」
遊佐「それはまあ、知りたいけど」
ましろ「どうして?」
遊佐「どうしてって?」
ましろ「ほら、友人としてとか、異性としてとか」
遊佐「え? そういわれると」
ましろ「どうかな?」
遊佐「それは……」
1.良く分からないけど気になる。
2.もちろん友人として気になる。
――――――1選択時(聖好感度+5
遊佐「良く分からないけど、とにかく気になるんだ」
ましろ「ふぅむ」
遊佐「ダメかな?」
ましろ「分かったよ。教えてあげる」
――――――2選択時(聖好感度-2
遊佐「もちろん友人としてだよ」
ましろ「本当に?」
遊佐「……多分」
ましろ「ふむ……。しょうがないなぁ」
――――――選択分岐終了
良く分からないけど了承してくれたようだ。
ましろ「で、何が聞きたいの?」
遊佐「うーん。何で聖はましろちゃんを守りたがってるのか? かな」
ましろ「理由? それとも、きっかけ?」
遊佐「できれば両方」
ましろ「じゃあ、理由だけね」
遊佐「きっかけは?」
ましろ「それは大したことがあったわけでもないんだよ」
遊佐「というと?」
ましろ「たまたま、そこにわたしが居た。それだけだし」
遊佐「そんないい加減な」
ましろ「多分、誰でも良かったんだよ。本当はね」
遊佐「そうかな?」
ましろ「それに守るって意味も多分……」
遊佐「え?」
ましろ「喋りすぎたかな」
小さく舌を出して、ましろちゃんが苦笑いする。
ましろ「ああ、最初のに答えなきゃだね」
遊佐「ん?」
ましろ「代償行為」
どことなく冷たく、ましろちゃんは囁いた。
ましろ「わたしからあげれるヒントはこれだけ」
ましろ「じゃ、教室で」
遊佐「あ……」
呼び止める暇も無く、ましろちゃんは去っていった。
遊佐「代償……?」
言葉通りとすれば……。
何かの代わり?
とすれば何を?
いや、誰を守りたかったんだ?
それに、ましろちゃんが言いかけた、守る事の意味って何だ?
文脈から考えれば……。
聖が――。
聖「遅い! 何をやっている!」
遊佐「うぉ!?」
いつの間に戻ってきたんだ?
聖「ったく。もうすぐホームルームが始まるぞ! 急げ!」
遊佐「分かった分かった。すぐ向かう」
後でじっくり考えてみるか。
最終更新:2008年10月16日 02:43