7/10(火)
今日もいつものように登校。あー、眠い。
遊佐「お?」
いつもとは違った下駄箱。最近遭遇率高いな。
1まず聖に声をかける
2まずましろに声をかける
(当たり障りのない選択でw)
→まず杏に声をかける
遊佐「よ! 杏、おはようさん」
杏「ん、···よう」
聞こえなかったが、おはようと言ったようだ。うむ。進歩進歩。
ましろ「おはよー」
聖「おはよう」
いつものメンバーに一人加わって、何か違う感じがしたが、悪くない気分だった。
遊佐「やっぱよ、朝ご飯はパンが一番じゃね?」
ましろ「私もパンだよ」
聖「私達はごはんだ」
杏「……」
そんな当たり障りのない会話をしながら階段を上ってく。
教室のドアを開ける。
遊佐「おはよーっす」
そこら辺にいた男子に声をかけながら自分の席に向かう。
少し杏に目を向けたが挨拶はなかった。まぁ、最初はこんなもんだろ。
俺は昨日家で考えた。もちろん杏のことだ。不良と呼ばれている彼女だが、しばらく話したりした感じ、無理をしているように感じだ。つまり不良になりたいわけではなく演じている感じだ。俺は杏のことはまだ全然しらないが、俺もみんなと変わらないほどしかしらなかった頃とは違う。彼女にも自然に笑えるようなそして自然に振舞えるような。そういう手助けをできればいいな、なんて思った。別にいらないお世話かもしれない。だが、みんなにも彼女を知ってもらいたい。
昼休憩。俺はある決心をしていた。
遊佐「な、杏。一緒に飯食おうぜ」
杏「……え」
明らかに怪訝そうな顔。ここでたじろぐわけにはいかない。
遊佐「いや、まぁなんだ。ここじゃ流石に俺も恥ずかしいから屋上でってどこで食べるんだよ!」
俺は慌てて一人で突っ込む。
杏「別に好きにすれば?」
遊佐「お、いいの? サンキュー」
俺は杏の前の空いた席に座った。
遊佐「杏は弁当とかもってきてるのか?」
杏「いつも何も食べてない」
それ、一緒に食べるんじゃなくて俺だけ食べてるんじゃ……。
遊佐「腹減らない?」
杏「慣れた」
遊佐「あ、そう。んじゃ半分やるよ。食べてみ食べてみ。案外おいしんだってこのカツサンド。3限目終わった後にフライングして買わないとなかなか買えない人気の一品だぞ」
杏「……」
遊佐「遠慮すんなって」
杏「……」
遊佐「おーい?」
杏は手にパンをとってまさしく恐る恐るといった感じで食べた。
遊佐「どうだ? なかなかいけるだろ?」
杏「……」
杏「悪くない」
うーむ。おいしいのかおいしくないのか分からないな。まぁ食べてもらえただけでもよしとしよう。
遊佐「んじゃさ、明日から2個買ってこようか? もちろんお金は払ってもらうけど」
杏「明日も?」
遊佐「んまぁ。杏がいたらだけど」
杏「……好きにすれば?」
少しわかったけど。好きにすればというニュアンスは必ずしも拒否ではないようだ。
遊佐「んじゃ買ってくるからな」
杏「それなら飲み物も頼むわ」
お、逆に頼まれるとは思わなかった。
遊佐「そうだな。明日は飲み物も買ってくるよ」
杏「そうね」
そうして杏は窓の方を向いた。けど別に悪い雰囲気ではないとおもう。
放課後。んー、今日もよく寝た!
……いいのか俺よ。
遊佐「んじゃ、帰りますか」
今日も友達に誘われたが断ると、
中島「最近お前付き合い悪いな、まさかお前……!」
遊佐「ばーか。そんなじゃねえよ」
中島を適当にあしらって俺は教室を後にした。先に出た杏を追いかけた。
遊佐「杏。一緒に帰ろうぜ」
杏「勝手にしなさい」
遊佐「おう」
そのまま校門を抜ける。
遊佐「いやー、暑いな。夏真っ盛りってか」
杏「……」
遊佐「あのさ」
杏「何?」
遊佐「勝手についてきてる俺が聞くのもなんだけど、俺がいるとやっぱ鬱陶しいかな?」
杏「あなたがそう思うならそうなんじゃない?」
遊佐「いや、何となく喋ってくれないからさ」
杏「喋るのは苦手なのよ」
遊佐「あ、そっか。まぁ別に適当に相槌うつくらいでもいいから何か言ってくれないと、めっちゃ不安になるからさ」
杏「そうね」
遊佐「そうそう、そんな感じで」
遊佐「でさ、昼飯の話で明日のジュースは何がいい?」
杏「別に」
遊佐「そんなこと言ったら、黒酢買ってくるぞ」
まぁ黒酢売ってる時点でおかしいのだが、一部の生徒には人気がある。俺は嫌いだ。あの喉に残る感じ……。
杏「……ヨーグルトで」
遊佐「OKわかったぜ」
杏「……あなたって私に関わって疲れないの?」
遊佐「ん、別に疲れないぜ」
まぁ話にくいことには間違いないが。
杏「それでも、私が嫌だといったら?」
遊佐「嫌、なのか?」
杏「別に。好きにすれば」
今のもきっと拒否じゃないだろう。
遊佐「んじゃ好きにするぜ。それでよ、その好きにすればっての口癖だよな」
杏「そうかもね」
遊佐「それじゃ。俺はこっちだから。また明日な」
ふん、と小さく言うと杏はあっちへ去っていった。
7/11(水)
次の日はいつものように二人と合流して教室へ。今日は杏はいなかった。
遊佐「今日は杏はいねえか」
聖「でもあの子、朝出たはずなんだけど」
遊佐「ふーん。また屋上にでもいるかな」
1屋上に行く
2まぁ、いいか
遊佐「ちょっと行って来るわ」
聖「あ、あの。頼みごとがあるんだけど」
遊佐「え? 何だ?」
聖「最近遊佐、杏と仲良くしてくれてるよね」
遊佐「仲が良いというより、俺が一方的な気もするけど」
聖「でも、最近あの子、学校に来るようになてるし、やっぱり遊佐のおかげだと思うの」
遊佐「そうかねぇ」
聖「それで、頼みごとっていうのは、これからも杏と仲良くしてやって欲しいの」
ましろ「聖ちゃん……」
遊佐「なんだ。俺はもとからそのつもりだぜ。んじゃ屋上へ見に行ってくるわ」
そうして駆け出そうとした時、教室のドアが開けられた。
遊佐「よぅ、杏。おはよ」
杏「……はよう」
昨日よりはすこしはっきりと聞こえた。
遊佐「うむうむ。遅れずによく来た」
遊佐「んじゃ昼飯な。買ってくるから、飲み物は黒酢だっけ?」
杏「ヨーグルトだ」
遊佐「そうだっけ?」
杏「……」
ふん、といって席に向かっていった。
遊佐「冗談だって。んじゃまた後でな」
俺は聖からの頼みごとを聞いたとき、聖の妹への確かな思いやりを感じた。
最終更新:2007年02月19日 22:51