あれから数日。
聖と杏の仲直りだが、結構すんなりと行ったようだ。
ようだ。というのは、俺は現場に居なかったからだが。
ましろちゃんに、その場に居ない方がいいと言われたのだ。
確かに言われてみればそうかもしれない。
けど、俺の事好きとか信じられないね。
だって今も――。

杏「今日は春巻きが食べたい」
聖「いや、今日は遊佐の家に夕飯を作りに行く日なんだが……」
杏「いいでしょ?」
聖「じゃ、じゃあ、作っておいておくから、温めて食べてくれ」
杏「出来立てがいい」
聖「い、いやしかし……」
杏「ね?」
遊佐「杏! いい加減にしてくれ!」
杏「……何か?」
遊佐「いつもいつも俺と約束がある日に聖に無茶言いやがって!」
杏「……たまたまよ」
遊佐「うそつけ!」

この前までの姿は何だったんだよ。

聖「ま、まあまあ、また今度つくりに行くから、今日は許してくれないか?」
遊佐「聖、杏に甘くないか?」
聖「そ、そうかな?」
杏「ありがとうお姉ちゃん」
聖「よし、特製のやつを作ってあげるからな。杏」

だ、ダメだ……。
聖が骨抜きになっている……。
そして骨抜きにした当人がこちらをチラッと見て。

杏「……ふっ」

俺を鼻で笑った。
くそう、杏め……俺に恨みでも……あるんだろうなぁ……。
いつになったら聖とのらぶらぶな時間が過ごせるんだろう……。
最終更新:2008年11月10日 06:48