主人公名前未定の為、○○に。
シーフの名前は史布代(仮)
ひとまず担任はシャントット。
主人公はまだ転校してきたばかり、という設定にしてある。

学園の校門が閉まるまであと五分。
俺が今走っている位置から学園までは…走って、およそ7分ちょい…。
「くそっ!朝から全力ダッシュかよ――!」
普段いつも仕事をしてくれている目覚ましが、今日に限ってストライキを起こしやがった。
つかえねぇ目覚ましだ、おかげで朝飯食う時間が無かったじゃねぇか。
つっても、いつも朝飯食う時間が無いのは言うまでも無いが。
「寝、寝起きに全力でダッシュは…きっついな…ハァ…ハァ…」
そこの角を曲がれば、あとはひたすら真っ直ぐだ。
――ギリギリだが、なんとか間に合いそうだな…。
(SE)何かにぶつかった音
ドンッ!
角を曲がった瞬間、何かが後ろからぶつかった。
「い、いてて…」
何かが後ろからぶつかってきたおかげで、顔を電柱に強打した。
「ごめんごめん、大丈夫?急に出てきたから避けられなかったよ」
「あ、あぁ…鼻が強烈にいてぇけど、なんとか大丈夫だ」
と、言いながら後ろを振り向いたら…そこには青い髪の女の子がいた。
「そう?良かった良かった。綺麗に顔面から電柱にぶつかったからさ~
 心配したよ~」
心配してると言ってるわりには、随分口調が軽いのが気になるが、まぁいいか…。
「そっちこそ大丈夫か?見た感じ、怪我はしてねぇみたいだけど」
「うん、私は大丈夫。って、同じクラスの○○君だよね?」
どうも見覚えがあると思ったら、同じクラスの奴だったらしい。
「そうだけど…えっとキミは、同じクラスのー…えーっと…」
「史布代だよ。席離れてるから、話す機会あんまり無かったもんね、しょうがないよ」
あぁそうだった、そういえばそんな名前だったな。
「すまん、まだ顔と名前が一致しない奴が多くてさ」
「あー。転校してきたばっかりだもんねー、すぐに覚えちゃうよ
 みんな個性強いからさー、あはは」
確かに、クラスの奴らは個性強いな。
「あ、そうそう…曲がり角は注意しなきゃだめだよ?
 車がスピード出して走ってきたら危ないし」
そんなことを、俺を轢いた本人が言うのはどうかと思うが…。
「どう考えてもそれは俺の台詞だろ…」
あぁ、そういえば何か忘れてるな。
「あーっと…もう行かないと、学園送れちゃうよ?」
「やべ…遅刻寸前だったんだ!」
校門がが閉まるまで…あと1分!?無理だろ、どう考えても…。
「それじゃ、おっさきに~!」
女の子は軽快に学園までの道を走っていった。
「お、おい!って、はやっ!!」

「あーあ、完全にアウトかよ」
校門の前で風紀委員の不二子さんが仁王立ちしているのが見える。
「あ、あー…不二子さん!おはようございます!今日も綺麗ですね!」
不二子さんの鋭い眼光が突き刺さる。
「最近、ここで良く会うな」
「そうですねぇー、奇遇ですねー…そ、それじゃ!」
爽やかな笑顔で不二子さんの横を通り過ぎようとすると、肩をつかまれた。
「おい、貴様…他に言う事があるんじゃないか?」
「え、えーっと…愛してます!」
「!?」
――よし、不二子さんが硬直してる!行くなら今しかない…
「それじゃあ、ホームルームに遅れるので、この辺で…」
「おい…逃がすとでも思ったのか?
 あのような心の篭ってない告白などで、取り乱すはずがなかろうが」
――やっぱダメだったか…。大人しく怒られよう…。
「すいません…以後気をつけます…」
「はぁ…全く、転校したばかりといえど遅刻はしないように」
不二子から、少しづつ怒りが抜けていく。
「はい、すいません…」
「ほら、生徒手帳を出せ。担任の先生に渡しておくから、取りにいくように」

――朝からひどい目にあったぜ…。そういえば、史布代は大丈夫だったんかな。
ガラガラー…っと教室に入る。
「あら、○○君?ワタクシのホームルームに遅れるとは…毎日良い度胸ですこと」
担任のシャントット先生が微笑んでいる。
――そうだった…不二子さんをなんとかやり過ごしても、シャントット先生がいたんだった…。
「えーっと…すいません遅刻しました」
「謝らなくて良いんですのよ?ちょーっとモルモットになっていただくだけですから」
こりゃあ、相当怒ってるな…。
「明日は遅刻しないよう気をつけます!う、美しいシャントット先生!」
「…」
ここ数日でシャントット先生への対抗策を編み出した。おそらく…これでいけるはずだ。
「今、何と?」
「はい、『美しい』シャントット先生…と」
やたらと美しいを強調する。
「次遅刻したらモルモットですわよ。席についてよし」
「はい、美しいシャントット先生ありがとうございます」

「あー…まだ1時限目もまだだっつーのに…すげーつかれた」
朝から全力で学園まで走ってきたのと、不二子さんとのやりとり。
はてはシャントット先生への『美しい』とか…。意外とこれは体力を消費するな。
ま、モルモットにされなかっただけマシと言えばマシか。
「おっ、なんとか無事みたいだねー」
誰かと思い振り向いてみると、史布代だった。
「史布代か…史布代はどうだった?あそこからじゃ完全に遅刻だったろ?」
あの曲がり角から学園までは、一本道ではあるが…一分じゃ到底無理だ。
「ううん、ギリッギリでセーフだった。結構危なかったけどねー」
うそだろ…あそこから学園まで走って間に合ったのか?
「たしかに史布代速かったよな、あっという間に見えなくなったし」
「へへへ、手先が器用なのと足が速いのが自慢なんだー」
史布代がえっへん。と胸を反らして自慢している。
胸は平均サイズやや下くらいだな。うん。
「次からはさー、もう少し早起きしないとダメだよ」
「いや、今日はたまたま目覚ましがな…」
そう、元はと言えばあの目覚ましが原因なんだ。あの目覚ましさえ鳴っていれば――。
「えー?だってほとんど毎日遅刻してない?」
痛い所を突いてきた。しかし、朝の二度寝はヤメられそうにない…。
だって、朝の二度寝ほど気持ち良いモノなんてないだろ?そうだよな?
「え、えーーっと…あ!そろそろ一時限目始るぞ!」
教室の時計を見ると、もう一時限目の始る時間だったので、とりあえず話題を変えてみた。
「あ、ホントだ…じゃっ、またあとでねー」
「おう、またあとでな」


意見あればどうぞ

最終更新:2009年06月03日 10:50