神契「そういえば先生、この子の飼い主さんとかどうするんでしょう?」
先生「うーむ、困ってるんだよ。実は」
神契「そうですかー、私の家に住ませてあげれればいいんですが……」
先生「これ以上増えたら大変だろう?」
神契「お母さんがいいって言ってくれれば大丈夫だと思いますけど」
先生「はっはっは、君のお母さんなら必ずOKするさ」
相変らずこの二人の会話には参加できない。
先生「ところで君、君も来てくれたんだね」
遊佐「あ、まぁ。流石に昨日のアレを見たら心配でしたから」
先生「最近は飼い主も酷いのが多くてね。動物を平気で捨てる。君達のような子が増えてくれれば、きっと動物達も住みやすいのにね。でも、結局は人間のやってることは動物達にとっては酷い仕打ちにつながるんだろうけどね」
遊佐「……」
神契「……」
先生「でも、私達の仕事は困っている動物を救うことだからね」
遊佐「はい」
先生「つまらん愚痴を言ってしまったね。今日はもう帰りなさい」
遊佐「あの、先生」
先生「ん?」
遊佐「きっと動物達は先生に感謝してますよ」
俺はなんとなく励ましてみる。
先生「そうだと、いいね」
俺たちはそのまま病院を後にした。
遊佐「そういえば神契さん」
神契「はい?」
遊佐「家族全員動物好きだって言ってたけど、どんな感じなの?」
神契「えーっと、よくみんなに変わった家族だって言われますから、恥ずかしいんですけどー」
遊佐「いいじゃんいいじゃん。教えてくれよ」
神契「えーっとですね、おじいちゃんとお母さんとお父さんとお姉ちゃんがいますー」
へぇ、おじいちゃんと住んでるのは結構めずらしいな。
神契「おじいちゃんはいつも杖を持っていて振り回してよく怒りますがいいおじいちゃんです」
いつの時代の雷親父だ?
神契「お母さんは結構厳しいですー。よく怒ります……」
よく怒る家族……というより神契さんが怒られているだけでは?
神契「それで、えっと、お父さんはいつも元気ですー」
お父さんは何か適当だな。
神契「お姉ちゃんは大抵家に居ないことが多いです。風のように足が速くてよく家を抜け出してしまいます」
神契さんのお姉さんだとは思えないな。
遊佐「へぇ、にぎやかそうな家族だね。それでペットも飼ってるんだろ?」
神契「そうですねー。今はフェレットのカー君とコウモリのボロ君と犬さんのフェンリル君が居ます」
遊佐「さっきも思ったんだけど、コウモリって飼えるの?」
神契「うちでは飼ってますけどー」
飼ってるというより、それ住み着いてるんじゃないだろうか……?
遊佐「そっか」
神契「遊佐さんは何か飼っているんですかー?」
遊佐「俺? 俺は今は何も飼って無いよ。一人暮らしだし」
神契「え、一人暮らししてるんですか? すごいですねー。さみしくないんですか?」
遊佐「慣れたしなぁ。何とも言えないかな。動物がいればまた変わるんだろうけど」
神契「そうですね。きっとかわいいと思うんですけど」
遊佐「だけど飼うのも大変そうだし、俺が飼ったら動物がかわいそうだから止めとくよ」
神契「そんなことないですよー。きっと遊佐さんはいい飼い主さんです」
遊佐「それはどうだろうな?」
俺は笑いながら答える。
神契「あ、私こっちです。今日は本当にお付き合い
ありがとうございましたー」
遊佐「あぁ、いいって。また行く時は呼んでくれよ。都合がよかったらいくからさ」
神契「あ、それじゃあ、またよろしくお願いします」
ぺこぺこ謝る仕草が相変らずかわいらしい。
神契「それではまた明日」
遊佐「おう。またな」
俺は帰りにペットのことを考えながら歩いた。
テレビをつけてぼーっとする。
テレビからニュースが流れている。それは犬が斜面の途中にいて降りられなくなった
というニュースだった。その犬の首には首輪がついており犬はやせており明らかに
捨てられた印象を受ける犬だった。
遊佐「うーん。困った飼い主だぜ。きっと神契さんならかわいいかわいい言って飼ってやるに違いないんだろうけどな」
おれはテレビを切ってベットに寝転んだ。
7/6(金)
遊佐「果てしなく眠い」
ましろ「どうしたの?」
ましろが聞いてくる。
遊佐「いや、昨日寝すぎて逆に眠いというか……」
ましろ「困った人だね遊佐君は」
遊佐「へーへー」
下駄箱から教室までの相変らずの会話。教室へついて俺は席について伏せる。
中島「おい、起きろ」
遊佐「何だよ中島……」
中島「いや別に暇だから話そうと思って」
遊佐「俺は眠いんだよ、寝かせてくれ……」
たくっ。
授業は気合を入れて起きていた。が半分は寝てた。
遊佐「ぐおー、終わったか……」
俺は机に倒れこむ。
中島「何でお前はそう学校にきては寝てるんだ?」
中島が話しかけてくる。
遊佐「俺にもわからん」
中島「今日はゲーセン行こうぜゲーセン。俺も暇だからさ」
遊佐「んー、そうだなぁ、んじゃ行くか?」
俺は鞄を持って中島と一緒に教室を出てゲーセン行く。
中島「今日は格ゲーは止めようぜ。シューティングとかさ」
遊佐「格ゲーが苦手だからって逃げるのはよくねぇぜ?」
中島は格ゲーが苦手らしい。
中島「お前とやっても強すぎておもしろくねえよ……」
遊佐「まぁ俺はお前が弱すぎておもしろくないしな」
中島「それはそれでむかつくんだが、っとありゃ?」
遊佐「どうした中島」
中島「いんや、ほらあそこ、同じクラスの神契さんが居たからさ」
確かにあのぽやぽやした感じの歩き姿は神契さんだ。
遊佐「で、どうした?」
中島「いや、家あっちだっけと思って」
遊佐「何で神契さんの家をお前は知っているんだ」
中島「バカだな、クラスの女の子の情報くらいはしっかりゲットしてるぜ!」
そんな親指を立てて歯を見せられても困るんだが。
遊佐「それはよかったな」
俺は適当にながす。神契さんは多分また病院にでも行くのだろう。
中島「まぁ、さっさとゲーセン行こうぜ」
都合がよかったら行くって言ったしな。まぁ今日はいいか。
遊佐「おう、俺の格ゲーの犠牲になりやがれ」
中島「それはいやなんですけど!」
最終更新:2007年02月19日 23:23