遊佐「神契さんのおじいさん、元気よすぎだよ」
神契「あはは……。私もそう思いますー」
遊佐「しかも、剣道の道場をしてるなんてな……」
学校まで神契さんと歩いていく。朝早いから登校していく奴はほとんどいない下駄箱で靴をぬぐ。
遊佐「神契さんっていつも朝早いんだね」
神契「はいー。大体このくらいに来ますから。教室の鍵を開けるのは私の役目なんですー」
遊佐「そうなんだ、それはいつもご苦労様」
神契「いえいえー」
教員室で鍵を取りに行って教室の鍵を開ける。
遊佐「誰もいないな」
当たり前だ。
遊佐「うーん、いつも朝早くから来て何をしてるんだ?」
神契「宿題したりしてますー。あとはぼーっとしてたり」
あははー。っと笑う。
遊佐「偉いな。宿題めったにしねえや」
神契「駄目ですよー。宿題はしないと」
お、言ってくれるな。
遊佐「出してもらったときはやろうと思うんだけど、帰ると何かな」
神契「あ、なんとなくそれはわかります」
遊佐「だろ? しかも宿題に限って机に忘れたりするわけだ」
神契「あ、私もよくありますー」
遊佐「神契さんもそれで学校でやってるんだろ?」
神契「あはは、実はそうなんです」
俺と神契さんはまだまだホームルームが始まりそうのない教室で2人で話す。
気づけば時間がすぎ教室に人が増え始める。
遊佐「あ、今日はさ病院いくの?」
神契「今日もいくつもりでしたけど」
遊佐「そっか、それじゃ俺も予定入らなかったら行くよ」
神契「あ、あの、
ありがとうございます」
遊佐「それじゃまた」
俺は席に戻った。
今日は珍しく目が覚めたまま授業を受けた。うん、早寝早起きはすばらしいな。
まぁ、実践できないだろうけど。
遊佐「うん、今日は充実した一日だった」
中島「珍しいな」
遊佐「中島、お前も俺のように生きろよ」
中島「できるだけ、止めとくよ」
さて今日はどうしようかな。
1中島を誘って遊びに行く
2神契さんを誘って病院へ
朝の約束もしたし予定も入ってないしな。
遊佐「それじゃあな中島」
中島「あぁ、今日は俺も部活だ」
遊佐「精が出るな。がんばれよ」
俺は中島を送り出して神契さんの席に向かう。
遊佐「よ、神契さん」
神契「ひゃい」
相変わらず慣れてもらえないようだ。
神契「あ、遊佐さん。予定はないのですか?」
遊佐「うん。何も無いけど。一緒に行っても大丈夫かな?」
神契「あ、はい。大丈夫ですー」
いやなのか、そうじゃないのか微妙な反応だが本人がいいといってるしな。
遊佐「それじゃ行こうか」
最近教室の視線を感じるが、まぁ噂にはなるよなぁ。気にしないこともないけど。
神契「あ、はい」
神契さんもそれを感じ取ってるのだろうか、動きがぎこちない。
遊佐「うーん」
神契「どうしました?」
遊佐「いや、教室で誘うと迷惑かな? なんか視線感じるし」
神契「あはは……。そうですね」
遊佐「それじゃ明日からは俺も絶対いくから校門で待ち合わせってのはどう?」
神契「待ち合わせ、ですか?」
遊佐「そそ、まぁ何か用があるときは教室で言えばいいしさ」
神契「そう、ですね。恥ずかしいですけど……」
遊佐「ま、まあ教室でも恥ずかしいものあるけど教室よりはマシかなと」
神契「わ、わかりました。じゃあ明日からはそうしましょう」
遊佐「OK」
その後も適当な会話をしながら歩いていく途中。
神契「あ! わわわ、遊佐君隠れて!」
いきなり神契さんが叫ぶ。
遊佐「え? えええ? 何?」
神契「いいからはやくー!」
俺をグイグイ電柱の後ろへ押しやる。
ここで隠れてるとは言えないが。
??「晶子ー! やっほー」
神契「お、お姉ちゃん、どこかいくの?」
??「友達と遊びにねー」
神契「大学はいいの?」
??「いいのいいの。単位は足りてるしねー。で、晶子」
神契「何?」
??「そこに隠れている男は何?」
神契「あ、あう……」
ばればれだった。どうやらこの人は神契さんの姉らしい。
遊佐「ども。神契さんのクラスメートです」
俺は無駄な隠れ場所から出てきて挨拶する。
姉「何で隠したの晶子~?」
神契「だ、だってお姉ちゃんに見られたら何か言われそうだったんだもん」
姉「そりゃ言うわよー。こんな奥手な晶子が彼氏なんか作ってるとは思わないもんねー」
神契「か、彼氏じゃないよー……。本当に友達なの。遊佐君に少し用事付き合ってもらってるだけだってば!」
手をぱたぱたさせて必死に否定する。まぁ実際彼氏じゃないが……。
姉「あぁ、昨日おじいちゃんが言ってた人ね。合点いったわ」
遊佐「あの、何でしょう?」
姉「ふむ、悪く無いわね、晶子。ちょっと来なさい」
神契「あ、お姉ちゃん? うひゃー」
引きずられて向こうにいく晶子とその姉。何か喋ってる。時折神契さんの声が聞こえる。
神契「む、無理だよー!」
神契「え、だって、え、えぇ? 違……わないけど、でも無理だってばー!」
ぐりぐりされる神契さんの姿。よく見たら二人とも似てる。
姉「いいからしっかりしなさい! ほら!」
神契「あうあう……」
よろよろしながら戻ってくる神契さん。家族の中でもおっとりしてるのだろう。
いつもあんな風にもみくちゃにされてるところを想像するとちょっと笑ってしまう。
姉「それじゃあそこの彼氏、晶子をよろしくねーん」
嵐が過ぎ去ったようだ。
遊佐「大変だったな」
神契「あう、大変でした」
遊佐「いつもあんな感じ?」
神契「はい……」
遊佐「そうか……。大変そうだな」
なんというか、風のように自由奔放なお姉さんだったな……。
最終更新:2007年01月15日 21:40