父「ガハハ!」
何でこんな状況になってるんだろう。ソファーのある部屋に案内される。
父「まぁ座れ座れ。おい母さんお茶!遊佐君にお茶淹れて上げなさい」
お父さんがどこかへ行く。
母「はいはい」
遊佐「あ、すいません」
母「いいのよ、晶子が男友達なんて連れてくるのは初めてなんだから」
神契「あ、あう。もう……」
遊佐「あ、あの」
母「あぁ、はいはい。今淹れてきますからね」
おかしいでしょうこの家族!
神契「ご、ごめんね遊佐君……」
遊佐「いや、全然。みんな良い人だな」
神契「う、うん。お父さんもお母さんもやさしいの」
遊佐「そっか」
遊佐「でもいきなり家に上がることになるとは思わなかったな」
神契「わ、私も。お父さんったら強引なんだから」
遊佐「まぁ、おかげで神契さんの家に上がらせてもらえたわけだから……」
神契「え?」
遊佐「あ、ま、それよりさ。カー君とかに会わせてくれよ」
神契「カー君? ちょっと待ってね。探してくる」
そういうと立ち上がって部屋を出て行く。一人にされてしまった。
遊佐「うーむ。こういう場合はどうすりゃいいんだ」
とりあえず座ったままぼーっとする。すると部屋のドアが開いた。
遊佐「お、フェンリル君じゃないか」
フェンリル君がこっちへやってくる。
遊佐「よしよし」
フェンリル君を撫でる。毛皮が柔らかい。まさか俺にも懐いてくれるとは思わなかった。
ひょこっと家具の影から何かが出てくる姿がみえた。
遊佐「ん?」
きゅー、っと一鳴き。
遊佐「これがカー君かな」
母「あら、カーちゃんにフェンリルちゃん」
お茶とお菓子を持ったおばさんが入ってくる。お茶をテーブルに置いてカー君とフェンリル君を撫でる。
母「どうしたの? ん? 遊佐君に会いに来たの?」
いや、それはどうだろう。
母「そっかそっか。遊佐君」
遊佐「あ、はい」
母「あなたこの子達にとっても好かれてるみたいよ」
遊佐「あ、それはうれしいです」
母「ところで晶子はどこへ行ったのかしら?」
遊佐「カー君を探しに行ったんですが、カー君この部屋にいたみたいです」
母「あー、暖かくしてあったからこの部屋にいたのね」
そうしてると神契さんが戻ってくる。
神契「あ、カー君ここにいたー。カー君」
カー君を呼ぶと晶子の方へカー君は近づいていく。そして持ち上げるとするすると首に移動する。
神契「ちょいちょい」
人差し指でカー君の頬を晶子が撫でる。カー君も心なしかうれしそうに見える。
遊佐「神契さんとカー君仲良しですね」
母「カー君は一番晶子に懐いているみたいね。お父さんは大きいから逃げられてばかりだけど。それじゃ私はこれで」
そりゃ怖いだろうな……。動物好きなのに逃げられるのもさみしい。
神契「うふふー。カー君、ほら遊佐君にあいさつだよ?」
カー君をもう一度持ち上げて俺の前にとん、と置く。
遊佐「こんにちは、カー君」
きゅきゅー、といってぐるっと一回転。確かにかわいい。
遊佐「にしても、本当かわいいな」
神契「そうですよね。やっぱりかわいいです」
再び神契さんの元へ駆け寄るカー君。
神契「よいしょっと」
カー君を抱えたままソファーへ座る神契さん。
遊佐「好きなんだなぁ」
神契「え?」
遊佐「いや、神契さんってペットの話とかペットとそうやって遊んでる時、すごい楽しそうだからさ」
神契「そ、そうでしたか?」
遊佐「うん、とってもうれしそうな顔してた」
神契「は、はう……」
遊佐「それが神契さんらしいと思うけどね」
全然神契さんのことを知らないけど動物好きな神契さんだからこそそうなるのだろう。
神契「私らしい、ですか。よくわかりませんが、遊佐君がそういうのならそう思います」
俺はお茶を飲みながらフェンリル君を見た。フェンリル君はゆったり伏せて目をつぶっている。
神契「あの、遊佐君」
遊佐「ん? 何?」
神契「遊佐君って転校してきてそろそろ??くらいだよね」
遊佐「あぁ、そうだな」
神契「そんなに経つんだね。早いね」
遊佐「あぁ、俺ももうすっかり慣れたしな」
神契「もうクラスの一員だもんね」
遊佐「まぁ、中島とバカ騒ぎしてばっかりだけどな。あいつは最初から俺と仲良くしてくれたし感謝しねえとな……」
神契「うふふ」
なぜか上がることになった神契さんの家で俺はゆっくりした時間を過ごしていた、はずだった。
爺「小童」
遊佐「……この声は、うわ、やっぱりじいさん!」
爺「何故おぬし家(ウチ)にあがりこんでおる」
神契「あ、おじいちゃん。お父さんが上がれって遊佐君に」
爺「かー! こんなどこの馬の骨かもわからんやつを上げよって!」
あー、そういえばこの家にはこのじいさんも居たんだった……。すっかり忘れていた。
遊佐「あ、あの。そろそろ帰りますから」
爺「そうじゃそうじゃ。去ね去ね」
神契「もう! おじいちゃんってば!」
遊佐「ほら神契さん。いいからいいから。それじゃおじさんとおばさんにもよろしく言っといて」
神契「あ、はい。今日は
ありがとうございました」
遊佐「お礼を言うのは俺だろ? ありがとうな」
爺「晶子、こいつに礼をすることなんぞないぞ」
このじいさんはどうして俺をそう邪険に扱うんだ? そして帰ろうとしたとき、
父「遊佐君! 飯! 飯を食べていきたまえ!」
ごつい親父さんが飛び込んできた叫ぶ。
俺は5秒間は思考が停止していたと思う。
何故なんだーーーーーーーーーーーー!?