オカルト研究会の裏山調査の結果報告に、部室にやってきた主人公。
で、弓削に続きまして、黒井さんを書いてみました。
とりあえず、イメージと違っちゃうかもしれないけど、なるべく出してみることに~w



【遊佐】「例の裏山の騒動なんだけどな、危険だけはなさそうだったぞ」
【遊佐】「野犬とか、そんなんじゃなかった」

【黒井】「……そうですか」
【黒井】「それは何よりな事です」
【黒井】「では、このような噂がたった原因はなんだったのでしょうか?」

【遊佐】「どうやら、小さな女の子が忍び込んで遊んでいたみたいなんだ」
【遊佐】「まあ、あれを遊びって言ってもいいもんかは、わからんが」

【黒井】「……そこで何を……?」

【遊佐】「え? なんか、しゃがみこんで、草村に分け入ったり……」
【遊佐】「泥に手を突っ込んだりかなあ?」
【遊佐】「泥遊びというには、ちと、理解はできんかったけど」
【遊佐】「ま、子供の時なんて、そんなもんか」

【黒井】「……そう」
【黒井】「またなのね」
【黒井】「思うに、希望とは、もともとあるものだとも言えないし、無いものだとも言えない」
【黒井】「狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きく、その路は広く、これより入るものは多し」
【黒井】「生命にいたる門は狭く、その路は細く、これを見出すものは少なし」
【黒井】「その女の子は……」
【黒井】「どちらの道を選択するのでしょう?」
【黒井】「希望は手は届くのかしら……」

【遊佐】「すまん。何を言っているのかさっぱりわからん」


まあ、悪いやつでは決してないんだが。
この言い回しは、うん。さすがにどうかと思うわけで……


【黒井】「その女の子は、きっと『四葉』を探してるんでしょう」

【遊佐】「四葉?」

【黒井】「クローバーの四葉とは違います。この研究会の噂にあるのですよ」
【黒井】「この裏山には、マンドラゴラの四葉があるって」

【遊佐】「は? マンドラゴラ?」


マンドラゴラって、伝説上の化け物、だったけ?
その四葉?
うーん、わけがわからん。


【黒井】「そんな顔しないでください、私も見たことなんてありませんよ」
【黒井】「マンドラゴラなんてあるはずありません。噂です。さりとて、なぜ先の女の子は知ったのでしょう?」
【黒井】「そしてどんな願いを持って探してるのでしょう?」
【黒井】「ふふ、ふふふ。私にはそちらの方が興味深いですね」

【遊佐】「その四葉の噂って……」

【黒井】「持ち主に幸運をもたらすそうです」


はあ、またこりゃ、べたべたな。


【遊佐】「え、じゃあ、「またなのね」なんてのは?」

【黒井】「以前は、その噂がでた時、結構、探す人がいたのです」
【黒井】「まあ、無いものですからね」
【黒井】「次第に人数なんて減っていきます」

【遊佐】「はあ、マンドラゴラの四葉ねえ」


あの青い女の子は、その、マンドラゴラの四葉を探してたってわけか……?




主人公、裏山に何度か行って、次第に少女と仲良くなる。
少女は『蜜柑』と名乗る。
そして蜜柑の目的は、やはり、マンドラゴラの四葉。
主人公と蜜柑は四葉を探すことに~(o*。_。)oペコッ



【蜜柑】「あったあ」

【遊佐】「え!?」


本当に見つかったのか!? んな馬鹿なあ!


【遊佐】「ちょ、ちょっと見せてくれるか!?」
【蜜柑】「うー」


じっっと、睨み付けられました……


【遊佐】「安心しろってば、横取りなんてしないってばよ」

【蜜柑】「ならいい」
【蜜柑】「ゆざなら特別」

【遊佐】「お、ありがとな」


わしゃわしゃと、蜜柑の頭をなでてやった。


【蜜柑】「う~、子供扱いするな」
【遊佐】「はは、わりぃわりぃ」


俺は蜜柑の指差す方に目を凝らす。
様々な草にまぎれて……
……おぉ、確かに四葉だ!
どれどれ。
一枚、二枚、三枚……四枚。
確かに四葉だ。
うん、間違いない。


【遊佐】「うん、四葉だな」

【蜜柑】「えへへ……」


蜜柑は本当に嬉しそうに飛び跳ねている。
にしても。
これってば。
……
……普通の四葉のクローバーだよなあ。
いや、まあ。
これにしたって、珍しいもんではあるが。
まあ、マンドラゴラの四葉ってやつじゃ、少なくともないよな。


【蜜柑】「おねえちゃん」
【蜜柑】「喜んでくれる、かな……」


泥んこまみれの、蜜柑。
キレイだったはずの青い服は、今日も、泥まみれだ。
でも、そんなものは気にならないんだろう。
蜜柑は、嬉しそうに四葉を見つめていて――


【遊佐】「ああ、間違いないな」
【遊佐】「蜜柑のねーちゃん、喜びすぎて、どうにかなっちゃうかもしれんな」
【遊佐】「なんてったって、マンドラゴラの四葉だぞ」

【蜜柑】「えへへ……」


そう、これは『マンドラゴラの四葉』
幸運をもたらすアイテム。
それ以外の何物でもない――!


【遊佐】「よし、じゃあ、これをねーちゃんに渡すんだろ?」
【遊佐】「善は急げ、蜜柑!」
【遊佐】「ついてこーい!」

【蜜柑】「あ、まて、まって~」


こいつ、こんなに一生懸命がんばったんだ!
蜜柑のお姉さんに渡すのを見ていたい。
で、お姉さんに、こいつのがんばりを伝えてやりたい。
それぐらい、こいつはがんばったんだ。
……
余計なおせっかいにも程があるとは思うけど、な。



→場面は校庭へ。



もうすっかり夕方になっちまった。
周囲の生徒も見かけなくなってきた。
そんな時間。
俺と蜜柑は、ぽつん、と立っていて。


【遊佐】「蜜柑はいつもここで、ねーちゃんと待ち合わせして帰ってたのか?」

【蜜柑】「うん」
【蜜柑】「おねーちゃん、一人じゃ危ないからって」

【遊佐】「はあ、良いねーちゃんだなあ」


ぽこん!


【遊佐】「いたっ!」


足に衝撃!
いや、あまり痛くはないが、反射的に口に――
見れば、蜜柑が、俺の足に前蹴り。


【蜜柑】「おねーちゃんは世界一のおねーちゃん」
【蜜柑】「当たり前の事言うな」

【遊佐】「……はいはい。すんませんでした……」


いやー、すんごいねーちゃんラプっ子だなあ。
どんな人なのやら? ちょっと楽しみかも。


【蜜柑】「あ、おねーちゃん!」


とてとてと、蜜柑が人影に走りよっていく。
夕暮れ、影になってまだよくわからない。
が、蜜柑は走りよっていった。


【??】「ふふ、今日も真っ黒ね」
【??】「楽しかった?」

【蜜柑】「うん! 聞いて、聞いて。おねーちゃん!」


蜜柑は女の人に抱きついていった。


【??】「あら。どうしたの蜜柑? 今日はいつも以上に元気ね?」

【蜜柑】「渡したい物があるの!」


そこにいたのは――


【遊佐】「え、りゅーさん?」


見知った人でした。
ああ、世間は狭いって、こういう時に使うものなのかねえ?


【村崎】「む? 奇遇だな、○○じゃないか?」
【村崎】「ふふ、こんな時間まで、また」

【遊佐】「蜜柑のおねーちゃんて、もしかして……?」

【村崎】「ああ。私の妹だ」
【村崎】「ふふ、これは何かの縁か?」
【村崎】「にしても、いつの間に二人は知り合っていたんだ?」


りゅーさんは抱きついた蜜柑の頭をなでながら、


【村崎】「このお兄さんと一緒に遊んでもらったの、蜜柑?」

【蜜柑】「うん! いろいろ手伝ってもらった」

【村崎】「そうか。それはよかったわね」

【蜜柑】「えへへ」


りゅーさんが、蜜柑を抱きかかえながら、俺に微笑んでくれた。


【村崎】「遊び相手になってくれたのだな、蜜柑と供に礼を言う」
【村崎】「ありがとう

【遊佐】「あ、りゅーさん。いえ、何も俺はしてないっすから」
【遊佐】「お、俺はいいから。ほら、蜜柑」
【遊佐】「あれ、あれ渡すんだろ?」

【蜜柑】「うん!」

【村崎】「なんだ、二人で秘密毎か?」

【蜜柑】「はい、これ!」

【村崎】「ん、これは……」


小さな蜜柑の手から、四葉がはりゅーさんに手渡させる。
大切な四葉。
そう、マンドラゴラの四葉を――


【蜜柑】「おねーちゃん、いっぱいジャンプするから」
【蜜柑】「高く、たっかく飛ぶから」
【蜜柑】「危なくないように」
【蜜柑】「これでおねーちゃん、絶対だいじょうぶ!」

【村崎】「み、蜜柑……」

【蜜柑】「もう絶対大丈夫」
【蜜柑】「もっともっと高く飛んで」

【村崎】「蜜柑……」
【村崎】「これを私に渡すため、毎日遅くまで、泥だらけになって――」

【蜜柑】「えへへ」


蜜柑はりゅーさんの事を思って。
本当にそれだけで、これを。


【遊佐】「まー、俺が言うのも無粋かもしれないっすけど」
【遊佐】「蜜柑、本当に一生懸命でしたよ」
【遊佐】「ほめてやってくださいね」


【村崎】「ああ、本当に……」
【村崎】「私には過ぎた妹だよ」
【村崎】「ありがとうね、蜜柑」
【村崎】「本当に本当に嬉しいわ」

【蜜柑】「よかったぁ!」

【村崎】「私には何も返す事はできないかもしれないが」
【村崎】「蜜柑。これだけは誓うわ」
【村崎】「高く、高く飛ぼう」
【村崎】「大空に手が高く届くぐらい、蜜柑の思いを持って飛んでみせよう――」


いつも凛としていたりゅーさん。
初めて。やわらかくてやさしい笑みを見せてもらった。



→帰宅シーンへ。



今日はいつも以上に元気だった蜜柑。
ちょっとしたら、足元がおぼつかなくなってきた。
で。
疲れていたんだろう。今は、俺の背中で「くー、くー」と寝息を立てている。
俺はりゅーさんと蜜柑を送る事を申し出た。
りゅーさんは部活で疲れているだろうし、それに、最近、この辺は治安が悪いって聞いているし。


【村崎】「重くないか?」
【村崎】「辛かったらいつでも言うのだぞ、私が変わろう」

【遊佐】「余裕ですよ、軽いぐらいです」

【村崎】「そうか。さすが男性と言うべきなのかな」
【村崎】「最近では、蜜柑も大きくなってきてな……」
【村崎】「正直、辛くもあって」
【村崎】「ただ、それが嬉しくもあるんだ」
【村崎】「不思議な感じだ」

【遊佐】「はは、りゅーさん。まるでお母さんの台詞っすよ」

【村崎】「はは、そのような気持ちに近いかもしれないな」

【蜜柑】「すー、すー」

【村崎】「ふふ、すっかり寝入ってしまったか……」

【遊佐】「疲れてるんすよ、こいつ」
【遊佐】「あのオカ研の裏山ですもん」

【村崎】「そうか、そうなのだな」


蜜柑の髪を、そっとりゅーさんは梳いた。


【村崎】「それにしても、蜜柑はずいぶんと遊佐になついたな」

【遊佐】「え?」

【村崎】「これは珍しいんだ」
【村崎】「これからも、蜜柑と遊んでやってくれないか?」

【遊佐】「ええ」
【遊佐】「全然いいですよ」

【村崎】「ありがとう」

【遊佐】「はは、りゅーさん。今日はありがとうばっかっすね」

【村崎】「ああ」
【村崎】「ボキャブラリーの無さがうらめしいな」
【村崎】「だから」
【村崎】「だからこそ、せめて誓おう」
【村崎】「今日の全ての感謝の気持ちを」
【村崎】「この四葉にかけて、どこまでも高くジャンプすると――」
最終更新:2007年04月03日 11:36