かつて百勝将軍と称えられた男がいた。戦場に彼の旗が掲げられただけで、いつも敵は浮足立ち、総崩れとなり敗走した。常勝の将軍は、凱旋するたびに王から多額の恩賞をせしめ、一方で部下には威張り散らしていた。富と名声をほしいままにする将軍の真の姿を暴いたのは、兵士中もっとも小柄で弱々しいノノヤだった。彼の勝利を訝しんだ彼女は、敵が敗走した後の戦場に軍規を破り残ってみた。そして敵将と酒を酌み交わす将軍の姿を目にし、意を決して告発したのだった。ノノヤは、その真実の舌を称えられ、後にサリャクの聖人に列せられた。
~『コネクト!オン』2011年5月号「ギルドリーヴプレート研究」より