戦く狂戦士 ◆iwVqxDO6jU
森の音楽家クラムベリーは強者を求めている。
「はぁ……期待外れですね」
偽ることのない落胆した言葉。それが、聖杯戦争における初戦闘においてクラムベリーの感じた感想だった。
敵はアサシン陣営。マスターは名家の魔術師であり、サーヴァントもマスター殺しに長けたクラス。
通常なら真っ向から勝負を仕掛けるのは愚策と言っていい主従だ。
ただ強者を求めるクラムベリーの思考は異なる。
避けるべき戦闘を自ら彼ら引き起こし、そして勝利した。
魔術師と聞いて期待していたが、残念ながら実力はそう強くはなかった。魔術を扱うとはいっても所詮人間。
魔法少女の中でも生粋の武闘派であるクラムベリーが求めるレベルには達していなかった。
魔術とやらも確かに興味深かったが、彼女の魔法『音を自由自在に操ることができるよ』の方が応用力に長けている。
つまるところ、この魔術師は運がなかったのだ。
「そちらはどうでしたか? バーサーカー」
クラムベリーの問いかけに応じ、ぬっ、と巨大な影が暗がりから姿を表す。
住民族風の衣装と、鋭利な四つ又の大槍を軽々と片手で操る大男。
3つのレンズ状の覗き穴が付いた異形の仮面が、じっとクラムベリーを見つめていた。
狂戦士……バーサーカー。クラムベリーの僕にして、彼女と同じ戦闘狂でもある。
バーサーカーは首をかしげると、ポツリと仮面の下で口を開いた。
「アサシン、少しだけ楽しめた。でも脆かった。残念」
マスターと同じく、バーサーカーも不完全燃焼な様子だ。もっとも、狂化の恩恵もあるとはいえ、基礎ステータスが高い彼と真っ正面から殺し合える相手など、それこそ三騎士のクラスくらいだろう。
「貴方もですか……。お互い、苦労しますね」
クラムベリーはバーサーカーが嫌いではなかった。むしろ、どちらかと言えば好ましい部類にはいる。
自身と同じく戦いを求める姿勢は非常に好感を持てるし、何より強い。
他にそそられる主従が居ないのであれば、彼と殺し合うのも一興と考えるほどに。
召喚した直後に試しにと戦ってみたが、バーサーカーは尋常じゃない耐久と剛力により、百戦錬磨のクラムベリーにしても侮れない実力を示した。
「大丈夫。まだ獲物、沢山居る。遊べない。ない」
それはバーサーカーにも言えることで、彼もまた好戦的なマスターを認めている。
生身で自身と打ち合える相手など、そう多くは居ない。まして女なら尚更である。
人間ではなく魔法少女とやららしいが、それを差し引いても文句なく実力者だ。
殺しという名の狩りを楽しむために召喚に応じた身としては、当分は他の主従で我慢するにしても、一通り遊び終わったら、最後には是非とも遊びではなく全力で狩りたい相手だ。
「えぇ、折角の聖杯"戦争"なのですから、早く強者と出会いたいものです」
マスターとしては異例なことだが、クラムベリーは聖杯自体にはあまり興味はない。
参加資格である白紙のトランプにしたって、てっきり相棒の使い魔が試験のために用意した魔法の道具かと勘違いし手にしたにすぎない。
ただ、クラムベリーはまだ見ぬサーヴァントやそのマスターとの戦闘を目的としていた。
ある意味、"強者と殺し合いたい"というのが彼女の願いかもしれない。
「狩り、楽しい。お前、面白い」
「誉め言葉として受け取っておきましょう」
魔法少女は闘争を、狂戦士は殺戮を。
性別、能力、境遇、外見、それぞれ全く異なる両者の利害は、最悪なことに一致していた。
【CLASS】バーサーカー
【真名】門都@烈火の炎
【マスター】森の音楽家クラムベリー
【属性】混沌・狂
【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具B+
【クラススキル】
狂化:D
狂戦士のクラススキル。
筋力と耐久をランクアップさせるが、言語能力が単純化し、
複雑な思考ができなくなる……のだが、元より理性が薄いため、あまり変わっていない。
【固有スキル】
加虐体質:A
戦闘において、自己の攻撃性にプラス補正がかかるスキル。
プラススキルのように思われがちだが、これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、
普段の冷静さを失ってしまう。
攻めれば攻めるほど強くなるが、反面、防御力が低下してしまう。
心眼(偽):C
直感・第六感による危険感知
戦闘続行:A+
名称通り戦闘を続行するための能力。
ランクA+なら、霊核が破壊された後でも、最大5ターンは戦闘行為を可能とする。
「往生際の悪さ」とも称される
【宝具】
『無名と開講』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:20 最大捕捉:10
生前に使っていた魔道具。核だけの魔道具「無名」と大型の手甲状の魔道具「門構」のふたつでひとつの宝具。
それぞれ単体では意味がないが、両方合わせると力を発揮する。
門構に無名をはめ込むことにより、「門構えの漢字」に象徴される意味、現象を発生させる(闇→周囲が暗闇に、聞→感知能力の強化、開・閉→門を出現させて相手を閉じ込める、閃→光を発生させるなど)バーサーカーらしからぬトリッキーな宝具。
【weapon】
鋭利な四つ又の大槍
【人物背景】
暗殺集団「裏麗」の首領「死四天」の一人にして、裏麗最強とされる人物。
先住民族風の衣装と鋭利な四つ又の大槍を軽々と片手で操る大男。
性格は残忍でクレイジー。
殺人を「狩り」と称し、殺人を楽しむだけに戦う戦闘狂。
【サーヴァントとしての願い】
殺す。楽しい。ヒャヒャハハハハハ!!
【出展】魔法少女育成計画
【マスター】森の音楽家クラムベリー
【人物背景】
人間としての生活を捨て、森の中で世捨て人のような生活をしている魔法少女。
ファンタジー作品のエルフのような外見をしており、基本的に変身後は十代の少女の姿となる魔法少女としては珍しく、外見年齢は20歳ぐらいと高い。
全身に薔薇を纏っており、彼女と出会ったことのある魔法少女の中には薔薇を見るだけで彼女を連想する者もいるほど。
また、物語途中で判明するが、線の細い印象に反して身体能力は魔法少女基準でも恐ろしく高い。
性格は一見物静かでマイペース。
滅多に動揺することがなく、自分の精神の高揚を恋心に喩えるなど独特の感性の持ち主である。
過去のとある事件により精神のタガが外れており、己の充足を何よりも優先し他者に斟酌しないタイプ。
魔法少女育成計画シリーズにおいては一貫して重要なポジションにいる魔法少女であり、本人が直接登場しない話でも間接的に言及されることが少なくない。
【能力・技能】
『魔法少女』
魔法の国から与えられた力。魔法少女『森の音楽家クラムベリー』に変身できる。
魔法少女時は身体能力や五感や精神が強化され、容姿や服装も固有のものに変化する。
通常の毒物は効かず、食事や睡眠も必要としない。 通常は気絶などで意識を失えば変身状態は解除されるが、彼女は人間としての顔を捨てているため、常時変身状態が維持される。
『音を自由自在に操ることができるよ』
音を自在に変化させられる魔法を操る。
音を任意の方向から発生する、音を声のように変調する、音量を爆音にして衝撃波として放つことが出来る。
また、この魔法の影響によって森の音楽家クラムベリーの聴力は非常に強化されている。
【マスターとしての願い】
聖杯への興味は無いが、強い参加者と戦いたい。
最終更新:2016年12月11日 18:45