Iron Blood,Deep Blood◆uL1TgWrWZ.





 ――――少女は、逃げていた。
 息せき切って、少女は走る。
 黒髪の、巫女姿の少女。美少女と言っていいだろう少女。
 表情は乏しいが、それでもなお必死さを感じさせる形相で。
 少女は逃げていた。走っていた。
 スノーフィールドの街を、ただひたすらに。
 運動が得意なわけではなく、走るのに適した服装でもないが、それでも。
 できるだけ人目の多い繁華街を走るように心がけていたが、いつからか周辺に人の姿はない。
 なんらかの結界――――人払いが行われている。
 そのことに気づいてからは、入り組んだ路地へと足を向ける。
 追いつかれてはならない。
 追いつかれてはいけない。
 追いつかれてしまえば殺されるから―――――――――“ではない”。
 逆だ。
 おかしなことに、それはまるっきり逆の話で。
 少女は――――姫神秋沙は、“相手を殺さないために”逃げるのだ。

「(――――そう。私は。忘れていた)」

 月の聖杯に奪われていた記憶。
 灰の山と吹雪に囲まれ、ただ一人佇んでいた忌むべき映像。
 思い出した。
 思い出してしまった。
 自分の前に現れた、あの“吸血鬼”を見て思い出した。
 自らの五体に流れる血――――『吸血殺し(ディープブラッド)』の存在を。
 嗚呼、記憶を奪われ、ただの人として生活することのなんと甘美だったことか。
 いつまでもそのぬるま湯に浸かっていたいほど、その日々は魅力的で……どうしようもなく、崩れ去る他ないのに。
 たとえ忘れていても、自らの血は変わらずそこにあった。
 吸血鬼を呼び寄せ、誘惑し、“一滴でも吸えば吸血鬼を灰に還す”超能力は、変わらずそこにあったのに。
 つまり、姫神は呼び寄せてしまったのだ。
 この街に潜む、吸血鬼を。

「(逃げないと。死んでしまう。あの吸血鬼が)」

 追いつかれれば、あの吸血鬼は姫神の血を吸うだろう。
 そうすれば、彼は灰に還る。一切の慈悲なく、この世から痕跡を失う。
 それが、姫神にとってはあまりにも恐ろしい。
 あの吸血鬼のことを、姫神は何度かこの偽りの街で見かけたことがあった。
 普通の人だった。
 友人がいて、誰かと笑いあえるような、ごく普通の、人間と何も変わらない人。
 死なせたくないと思う。
 例え彼らが人の血を主食とする怪物であっても――――誰かを思いやり、傷つくこともある、普通の人でもあるのだ。
 彼らをただの怪物に引きずりおろす自らの超能力が憎い。
 だから逃げなくてはならない。
 他ならぬ加害者を殺さないために、姫神秋沙は逃げなくてはないらない。

「…………っ!」

 ――――それでもやはり、彼我の運動能力の差は歴然で。

「……もう、ダメなんだ」

 吸血鬼は――――――その男性は、ゆっくりと歩み寄ってくる。
 姫神は後ずさった。背中が壁にぶつかる。
 つまるところ、行き止まり。
 土地勘のない場所で逃げ回れば、いつかは起こり得ること。

「我慢ができない。キミの血が毒だということは理解できるのに、それでも」
「だめ。来ないで」
「……我慢が、できないんだよ」

 一歩、また一歩。
 姫神は決死の表情で警棒を抜いた。
 スタンガン機能付きの電磁警棒――――吸血鬼相手に素人が振るって、どれほど役に立つのやら。
 それでも、姫神はその“魔法のステッキ”を構えた。

「(――――ああ。私が。魔法使いだったらよかったのに)」

 なんでもありの、万能の舞台装置。
 絵本に出てくるような魔法使いだったら、こんなことは起こらないのに。
 そんなことを考えながら、姫神は吸血鬼の無力化を試みようとして―――――ふと、地面に落ちた白いトランプに気付いた。
 電磁警棒を取り出す時、一緒になって落ちたのか。
 そう――――確か、あのトランプを三沢塾で見つけたのが、この甘い夢の始まりだったか。
 記憶の変換と共に刷り込まれた知識によれば、それはサーヴァントを召喚するチケットであり――――

「血を、吸わせろォ!」

 ――――――吸血鬼が踊りかかり。

「だめ……っ!」

 ――――――我に返った姫神が泣きそうな顔をして。



「――――――――――――――――――アイアンファイアッ!」



 ――――――白いトランプから飛び出た黒い悪魔が、爆炎で吸血鬼を吹き飛ばした。



「っ!?」

 それは絵に描いたような悪魔。
 吸血鬼とは違う、もっと恐ろしい怪物のカタチ。
 黒い鉄のような装甲に覆われた肉体は、およそ4m前後はあるだろうか。
 見上げるほどの、常人の倍はあろう巨体。
 アンバランスに大きな頭から生えた、これまた巨大な黒鉄の角が悪魔らしさを醸し出している。
 腕からは炎と煙を吐き出しているが、奇妙なことに胸と背には氷が張り付いている。
 背の氷がまるでもげた翼のようで、ともすれば翼を失い飛翔能力を失った悪魔なのかとすら思う。
 肉食動物のような黄色い瞳が、横目で姫神を見た。
 悪魔は姫神に背を向け、彼女の前に立っている。吸血鬼との間に立つように。

「……大丈夫か?」

 気遣う言葉。
 姫神は理解した。
 聖杯戦争の知識と、今起きた事象から理解した。
 この悪魔は――――この恐ろしい悪魔は、姫神の味方だ。
 白いトランプから召喚されたサーヴァント。
 願望機を巡る戦いにおける、唯一無二のパートナー。
 濁流のように纏まらない思考から、姫神はどうにか言葉を絞り出す。

「……うん。私は。平気」

 それから、一歩悪魔へと近寄ろうとして……

「ゥ、ァア……」
「ッ! まだ下がってろ!」

 悪魔の向こう側で、吸血鬼が起き上がった。
 流石の生命力、と言ったところか。
 胸部が焼け焦げ抉れているが、絶命には至っていないらしい。
 悪魔が再び手から炎を噴き出させ、吸血鬼と対峙し――――


「――――――殺さないで!」


「っ!?」

 姫神はとっさに叫んだ。
 あの吸血鬼は被害者だ。
 姫神に流れる忌むべき血に誘われた、被害者に過ぎない。
 殺さないでほしい。心からそう思い、とっさに叫んだ。

「血を、寄越せェ……ッ!」
「いや、こいつどう考えてもヤバい怪物……」
「吸血鬼」
「は?」
「殺さないで。お願い」
「……………………」

 よたよたと吸血鬼が体制を立て直すまでのわずかな時間。
 悪魔と姫神は視線を交差させた。
 悪魔は困惑の表情。
 姫神は、不安げに。懇願するように。
 すぐに悪魔は視線を切り、両手を開いて腰を落とし、構えた。

「手加減とか、あんまりやったことないけど……やってみるッ!」
「ウォァッ!」

 吸血鬼が飛びかかってくる。
 悪魔は右手を突き上げるように吸血鬼めがけ振るった。
 爆発――――は、しない。
 今度は純粋な鉄の手の打撃が吸血鬼の顔面をとらえ、そのまま地面へと叩きつけられる。
 それだけで人体など容易に破壊されてしまいそうなものだ。
 が、悪魔は宣言通り加減したのか、吸血鬼はダメージこそ受けているものの死んではいない。
 そして悪魔の左手が赤熱し……どろり、と溶け始める。
 あまりの熱量に、鉄の装甲が溶けている。
 しかし悪魔はそれを気にすることなく、どころか溶けた鉄を吸血鬼の腹部に垂らそうとして。
 焼ける、と姫神が思った瞬間。
 冷たい冷気が悪魔の手から発せられ、鉄が凝固した。
 そして左手がその凝固した鉄を打ち……

「よし! これで動けないだろ!」

 要するにそれは――――ホッチキスで止めるように、鉤型の金属パーツを生み出して吸血鬼を地面に縫いとめた。
 こうなってしまえば簡単には抜けだせないだろう。
 吸血鬼がもがいているのを尻目に、悪魔は再度鉄器生成。
 今度は時間をかけ、もっと小さな輪のようなものを作り、吸血鬼の口に突っ込んで噛ませる。
 輪は吸血鬼の口から後頭部に伸び、そして後頭部で両端を溶接。
 即席の猿轡が完成し、吸血鬼はその吸血能力を封印されたのであった。

「~~ッ! ~~~~ッ!」
「なんて言ってんのかわかんねーよ! 吸血鬼なんだから、自分で時間かけて外せよな」

 それっきり、悪魔は吸血鬼から興味を失ったかのように視線を切り、今度は姫神の方へと視線を向ける。
 悪魔のようだと思う。
 怪物のようだと思う。
 だが、姫神を守り、堂々と立つその姿は――――まるで、騎士のようで。

「えーっと……」
「……………………」

 ……騎士のようだったのだが、悪魔は困ったように頭を掻いた。言葉を探しているようだ。
 姫神は無表情にそれを見つめて、姫神も少し言葉を考えて。
 それから、姫神は頭を下げた。

「ありがとう。助かった。私も。そこの人も」
「え、あ、おう!」

 礼を言われたのが意外だったのか、悪魔は困惑した様子を見せた。
 それが少し可愛いな、と姫神はぼんやりと思った。なんだか子供みたいなのだ。
 ともあれ、いくつか確認しなければならないことがあるから、何から聞いたものか。
 そう姫神が考えていると―――――悪魔は、どろりと溶け始めた。

「!?」

 否、違う。
 悪魔の外装が溶け――――――――――中から、小さな少年が出てきた。
 パーカーを着た、茶髪の活発そうな少年。
 小学生か中学生か、少なくとも姫神よりは年下だろう。
 まるで鎧を脱ぐように、悪魔の中から出てきた少年を見て、姫神は――――


「―――――――――――ゆるキャラ?」
「何が!?」


 ちょっとピントのズレたコメントをした。



  ◇  ◆  ◇



「ふーん、なるほどな。つまり、その血がキューケツキを呼び寄せちゃうのか」

 それから、とりあえず適当に吸血鬼の意識を奪ってから、姫神たちは場所を移した。
 あの吸血鬼には悪いことをしたと少し思う。
 鉄の猿轡を噛まされた状態では、人前に出ることはできないだろう。
 まぁ頑張れば外せると思うが、どれだけ手間取るやら……
 ……ともあれ、なぜ自分が襲われていたのか。
 その、自分の能力の秘密を姫神は話した。

「そう。私の能力『吸血殺し(ディープブラッド)』は。吸血鬼を誘って殺してしまう」
「……でもさ、吸血鬼って人の血を吸う悪い奴だろ? さっきだって殺されそうだったのに、なんで殺しちゃだめなんだ?」

 それは子供らしい、純粋な心からの問いかけ。
 自分の血を吸いに来る怪物を殺して、なにが悪いのか、と。
 あるいは、姫神自身こんな能力を持っていなければそう思っていたのかもしれない事。
 姫神は少し俯き、答えた。

「……吸血鬼は。怪物じゃない。普通の人と何も変わらない」

 それこそ、人間を上回る能力を持っているだけで。

「もちろん悪い人もいる。けれど。誰かを思いやったり。笑いあったりできる」

 その本質は、人となんら変わりないもので。

「私の能力は。その善悪を無視して相手を殺してしまう。……そんなことは許されない」

 だからこの能力は呪いであり、罪なのだ。
 例えば、たいていの人は暴力衝動を持っている。
 そう難しい話ではない。パンチングマシンで思いっきりパンチを繰り出せば、誰だって気持ちがいいはずだ。
 だが、同時にたいていの人はその暴力衝動を抑えている。
 無暗に暴力を振るうことは悪であり、罪であり、社会活動を行う上で害悪であると理解しているためである。
 吸血鬼の吸血衝動とは、いわばそれと似たようなもので――――その衝動を強制的に引き出すからこそ、呪いなのだ。

「だから。もし聖杯が手に入ったなら。私は」
「……その能力をなくしたい」
「…………そういうこと」

 もしも、聖杯が真に万能の願望機であるというのなら。
 この超能力を封印し、消し去る程度はワケないはずだ。
 かつて学園都市を目指した時、考えていたこと。
 かつてアウレオルスの誘いに乗ったとき、願ったこと。
 ――――――この『吸血殺し(ディープブラッド)』を、消し去ってしまいたい。

「だから。あなた……ええと」
「ん? ああ。俺は鉄兵……じゃなくてセイバー、だっけ?」
「……私に聞かれても困る」
「えーっと、セイバーのサーヴァント、丑鎮鉄兵! だ!」

 セイバー……剣兵のサーヴァント。
 先ほどの戦いでは、彼が剣を扱うところは見なかったが。
 ともあれ、その実力が確かだということは姫神にもわかる。
 だから、姫神はもう一度頭を下げた。

「――――セイバー。聖杯を手に入れるために。私と一緒に戦ってほしい」

 聖杯戦争を勝ち抜くためには、サーヴァントとの協力が不可欠である。
 超常の存在であるサーヴァントは、サーヴァントでなくては打倒し得ないためだ。
 無論、敵が吸血鬼であれば『吸血殺し(ディープブラッド)』が効果を発揮するだろうが……敵が全て吸血鬼であるはずもない。
 だからこそ姫神は改めてセイバーに頭を下げた。
 それを受けて、セイバーは年相応に笑って見せた。

「いいよ! あ、でも悪いことしたり、いい人殺すのはナシだからな!」
「……サーヴァントは……幽霊だからセーフ?」
「うーん、まぁサーヴァントはセーフ!」
「なら。それで大丈夫」

 あの悪魔のような姿からは想像もできないほど……この少年は、年相応だ。
 悪魔の姿。怪物の姿。怪物の力。
 とても恐ろしいそれらを、この少年はどのように得て、どのような生涯を送ってきたのだろう。
 殺す、という行動を自然に取れるようだった。
 戦う、という行動が自然に行えるようだった。
 ――――聖杯戦争の知識が、“サーヴァントは原則全盛期の姿で現界する”と教えてくれた。
 ならばこの少年の全盛期は、この小学生か中学生程度の年齢の時、ということで。
 どれほど過酷な人生だったのか、姫神には想像することもできない。
 できないが――――彼もやはり、“普通の人”だと姫神は思う。
 つい、少しだけ頬が緩んだ。

「がんばろう。セイバー」

 彼は希望。
 姫神秋沙にとっての、今はただ一つの希望。
 悲願を果たすため、悲劇を克服するための、希望の輝き。

「おう! ……あ、そういえばそっちの名前……」
「……忘れてた」

 胸に手を当て、姫神は自分の名を名乗る。

「私。姫神秋沙。よろしく」 
「――――――――ひめ、がみ…………」
「……? どうかした?」

 その名を聞いて、セイバーはぽかんと呆けたような表情をして。

「あっ、いや、ちがくてっ」

 それから慌てて、少し顔を赤くして首を振って。

「よ、よろしくっ、秋沙ちゃん!」

 また、年相応に笑った。



 ――――――――鉄血の騎士の物語が、また始まる。








「…………もしかして。好きな子と私の名前が似てるとか」
「ばっ、ちっ、ちげーし! 翼ちゃんは全然そんなんじゃねーし!」
「……語るに落ちてる」













【CLASS】セイバー

【真名】丑鎮鉄兵@アイアンナイト

【属性】中立・善

【ステータス】
筋力B+ 耐久A- 敏捷C 魔力B 幸運E 宝具C

【クラススキル】
対魔力:A
 A以下の魔術は全てキャンセル。
 事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。

騎乗:D-
 クラス補正による最低限レベルの騎乗能力。
 所詮は小学生であり、変身後は体重のバランスの問題もあり、騎乗には適さない。

【保有スキル】
悪魔の末裔:B
 ゴブリン。
 強い意志を保たねば理性無き悪鬼へと堕す、怪物性の発露。
 セイバーは鉄の外殻に覆われた角付きの怪物への変身能力を有する。

混沌の炎:EX
 セイバーの胸中にある、全てを焼き尽くす熱量。
 炎として万物を燃やし溶かすが、乱用すればセイバー自身が崩壊してしまう。
 主に爆破攻撃や、武器に熱を纏わせての溶断などに用いられる。
 原初の炎とも呼ばれる、魔力放出(炎)と似て非なるスキル。

鋳造:C+
 自らの鉄の肉体をあえて溶かすことで、道具を作成するスキル。
 セイバーの外殻は極めて頑強であり、素材として非常に有用。
 後述する宝具の能力により、戦闘中でも瞬時の道具生成を可能とする。

鉄血の騎士:A+
 誰かのために戦う時、一時的に攻撃力を上昇させる。
 セイバーは「誰かの想い」を手に立ち上がり、希望となって戦う英雄である。
 背負った想いは燃料となり、彼に無限の出力を与える。

【宝具】
『雪の翼(ナイトシーカー)』
ランク:C- 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
 セイバーの胸中に眠る、もうひとつの力。もうひとりの力。
 混沌の炎を鎮めることに特化した冷却能力。
 これを利用することでセイバーは混沌の炎のオーバーヒートを制御することができる。
 逆に溶かした肉体・金属を瞬時に冷やして固めることで、即座の道具生成なども行える。
 単純に冷却攻撃として用いることもできるが、セイバーの炎を鎮めることに特化したものなので威力はさほど高くはない。

【weapon】
『鉄剣・鉄盾』
 手に持つ鉄の剣と鉄の盾。
 セイバーの基本装備で、鋳造スキルでも主にこれらが作成される。
 その形状は時と場合により様々。巨大なこともあれば、細く鋭いことも。
 もちろん創意工夫によってその状況に適した武器を使うケースも多々ある。

【人物背景】
 丑鎮鉄兵(うしずめ・てっぺい)。別名アイアンナイト。
 ごく普通の小学生であったが、“覚醒の日”に異形の怪物ゴブリンとして覚醒。
 世界にゴブリンがあふれ、街は破壊され、人々は殺され、地獄が顕現する。
 自らも怪物へと堕したことで正気を失いかけるが、広場の黒板に書かれた人々の願いを背負い騎士として立ち上がる。
 どんなに苦しくても、どんなに痛くても、死ぬまでみんなを守るヒーローであると誓った。
 そして数多の戦いと苦しみと絶望を乗り越え、最後には不死の敵と対峙。
 死闘の果てに街中の土と金属を溶かし、敵をその下に封じ込めると共に自らも魂を燃やし尽くし果てた。
 最初から最後まで、誰かのために戦った鉄血の騎士。

 ―――それから、ひとつの伝説。
 街中の土と金属を溶かして固まってできた、溶鋼山のお話。
 その頂上にある悪魔の彫像は、魔物が街を襲うと動き出して戦うのだという。
 悪魔には愛し合ったお姫様がいて、お姫様が会いに来た時だけは、少しの間悪魔は人間に戻れたのだという。
 どこまでほんとかわからない。
 どこまで嘘かもわからない。
 溶鋼山の頂上で静かに朽ちる、悪魔の伝説。

【サーヴァントとしての願い】
 願いはない。自分は誰かを守る騎士だから、そうする。
 マスターを守る。誰かを守る。みんなを守る。



【マスター】
 姫神秋沙@とある魔術の禁書目録

【能力・技能】
『吸血殺し(ディープブラッド)』
 姫神秋沙が生まれつき保有する能力。
 「吸血鬼を甘い香りで誘い、その血を吸った吸血鬼を灰にして殺す」という対吸血鬼特化能力。
 本人に制御することはできず、少なくとも村一つ分の範囲に効果が作用する。
 要するに血液が吸血鬼にとって猛毒……ということなのだが、それがわかっていてなお吸血せずにはいられない誘惑作用を併せ持つ。
 一滴でもその血を吸えば灰に還る、食虫植物めいた超能力。

 また、副産物としてか自他問わず血液の流れに敏感で、応急処置などが得意。

【weapon】
『魔法のステッキ』
 別に全然魔法でもなんでもなくスタンガン機能付きの電磁警棒。

【人物背景】
 姫神秋沙(ひめがみ・あいさ)。能力名『吸血殺し(ディープブラッド)』。
 京都の山村で生まれた、生まれついての超能力者。
 まだ5、6歳程度の時、灰の山の中で一人佇んでいるところを保護された。
 その真相は「村の人間が全て吸血鬼となって血を啜りに来るが、その全てが即座に灰になって死ぬ」という地獄。
 姫神の血に引き寄せられ、その毒を知りながら誘惑に抗えなかった吸血鬼が、戦力を集めるために村の住民を吸血鬼にし……
 ……その全てが姫神秋沙の血を吸って全滅した、ただそれだけの事件。
 友人や家族が泣いて謝りながら自らの血を吸って死んでいく光景を見て、姫神は自らの能力を消し去ることを決意。
 その手掛かりを求め、超能力の研究を行う学園都市を訪れるが、結局能力を封印する手段など無く。
 どころか稀少な能力に目をつけられ、科学カルト団体三沢塾に監禁・利用される。
 やがて『吸血殺し』の能力を求めて錬金術師アウレオルスが三沢塾を占拠し、能力を封じる方法を知る彼と同盟関係になった。
 さらにその後、一人の不幸な少年との出会いが彼女の運命をさらに変えるのだが……今回は、その直前からの参戦である。

 三沢塾の巫女役だったために巫女服を着ているが、巫女ではない。
 魔法使いに憧れているために魔法使いを自称するが、魔法使いではない。
 吸血鬼を殺す能力を持っているが、吸血鬼を殺したくない。
 ただそれだけの、優しい少女。

【令呪の形・位置】
 右手に角付きの悪魔のような三画。

【聖杯にかける願い】
 自分の能力を消し去りたい。







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最終更新:2017年01月02日 23:42