アラクネ・ゴーゴン&ランサー◆aptFsfXzZw







 かつて男は、蜘蛛に憧れた。

 世界から阻害されていた己を唯一人、見つけてくれた相手。友達だと言って、助けてくれた初めての人間。
 しかし人気者である彼にとってのそれは、自らを英雄として演出するための一手間に過ぎないまやかしであったのだと後ほど判明した――少なくとも、男はそのように認識した。
 孤独から解放され、世界に祝福されているようなあの喜びを、不誠実な裏切りによって否定され、

 やがて男は、蜘蛛を憎んだ。












 スノーフィールド東部、湖沼地帯。
 都市の四方に広がる土地の中では比較的ながら開発が進み、別荘地の点在する区画。
 知る者こそ少ないが、その中の一際巨大な別荘は、つい昨日。本来の所有者から、街の有力者である一人の女性の手に売り渡されていた。

 表向きは、スノーフィールドでも最大手の民間調査機関代表を務める彼女が、急に新たな別荘を購入した理由。資産家の突発的な不動産売買など、特に大規模でなければさして衆目を集めることでもなく、故にまだ誰も真意を探ろうとしていないそれは、黒と灰色を貴重としたゴシックなデザインを気に入ったわけでもなく、そこから見られる澄んだ湖の群れに心惹かれたわけでもなく。
 その地下に、隠蔽された広大な空間――工房となる土地が存在することを突き止めたからであった。






 その、屋敷に存在する件の地下室。
 暗闇に満たされたその中に、巨大な蜘蛛の巣が張っていた。
 巨大な蜘蛛の巣、という言葉だけで素直に連想できる大きさではなく。天井から床までゆうに届く、角度も加味すれば直径十メートルを越えかねない、異常な代物だった。

 巣の中心には、優美な人影が一つ。
 それは艶やかな黒髪を丁寧に結い上げ、どことなく蜘蛛を思わせる衣装の同じく黒いドレスに身を包んだ、妙齢の美女。
 優雅に腰掛けるようにして蜘蛛の巣に座する麗人は、怪物に囚われた贄というよりも、むしろ――その巣の主であると思う方が、自然と思える馴染み方をしていた。

 その女は、巣の上で微睡んでいるかのように、長い睫毛の影を重ね、その瞼を閉じていた。
 ……しかしそれは、彼女が無害な眠り姫であるという意味ではなく。
 今この瞬間も、黒い羽毛で飾り整えたドレスの袖口、はたまた大胆に露出した背中や、長く暗いスカートの中から……黒い影が少しずつ滲み出て、白い糸の上を這って行く。

 ――影の正体は、小さな蜘蛛の群れだった。
 子蜘蛛達は、意志を持った雲霞のようにして一斉に地上への階段を目指し、逆しまの波濤として流れていく。
 地上階に出れば、給仕のための使用人達が居た。彼らは皆、神秘を知らぬNPC。
 しかし、特に蜘蛛を嫌悪しないとしても、生理的に怖気を齎すような黒い軍勢の勢いに、彼らは眉の一つも動かさない。
 認識すらしていないようなNPC達の狭間を抜け、そして夜風に誘われるようにして、子蜘蛛達は続々と、館から外へとその身を放出し、そしてスノーフィールドへと拡散して行く――すぐに、自然の蜘蛛と区別できない濃度に落ち着きながら。

 そんな異常な光景を生み出す巣上の魔女こそが、この館の新たな住人にして所有者。
 民間調査機関代表は表の顔。そこで得た情報に基づいた麻薬や銃器等の密売で莫大な利益を上げ、『このスノーフィールド』の黒社会においても最大勢力として君臨する犯罪組織、『アラクノフォビア』の首魁。
 その二つの顔をこの街における役割(ロール)として与えられた、聖杯戦争に臨むマスターの一人。

 その名を蜘蛛の魔女、アラクネ・ゴーゴンと言った。

「……終わったか」

 瞼の下。複眼のような網目状の煌めきを宿す瞳を顕にしたアラクネは、黒塗りの扇子で隠した裏でそんなことを口にした。
 何が終わったのかといえば、以前より街に散らばらせておいた彼女の目が監視していた事象、その顛末についての感想だった。
 先程、彼女の身から散らされた蜘蛛の子達。アラクネ自身の分身であるそれらは、蜘蛛の魔女が誇る情報網を形成するための使い魔、その追加分。
 そうして少しずつ、少しずつ、街を監視する目を夜な夜な増やして行く……転居以前から繰り返していた下準備と、その成果の整理を彼女は今も続けていたのだ。

 この屋敷も、そのようにして得た成果の一つ。
 おそらくここは、ムーンセルが観測した聖杯戦争の時点で、参戦を試みた魔術師の用意した拠点だったのだろう。
 しかし、その構造だけを再現しても――住人までもは、再現できてはいなかったらしい。アラクネの子蜘蛛が発見したこの館にいるのは、聖杯戦争への参加資格を持たないNPCだけであった。

 工房として利用できる拠点を欲していたアラクネからすれば、実に好都合な物件。得意の精神干渉の魔法――月の魔術体系に基づけば魔術と呼ぶべきそれを活用し、早々に、しかし怪しまれないように手続きを済ませ、やっと引っ越したばかりであった。
 職務上の側近やこの屋敷の給仕などは既に、アラクネの得意とする精神干渉を重ね、ある意味正気を喪っている状態の手駒だ。
 この状態に持って行くまで時間はかかったが、これでもう、彼らの前なら多少の神秘を行使しても騒ぎにはならない。他の主従はもちろん、監督役に目をつけられることもなく、情報戦において優位に立てるだろう。
 ――今は、まだ。

「まったく、堪え性のない子だこと……とはいえ、ならばなおのこと今は機嫌よく過ごして貰う方が良い……か」

 嘆息を一つ、アラクネは零す。
 己の身辺で働くNPCは既に正気を壊した状態で精神支配しているが、そこまで仕立てるには相応に手間が掛かる。
 ここから何人も、このような状態の手駒を増やすのは効率が悪いと考え、後は与えられた通りの上下関係で済ませるつもりだった。
 とはいえ、どうにも本来の『アラクノフォビア』と比べれば、NPCであった間のアラクネの支配は手緩かったらしい。
 となれば以前よりも、造反者が現れる確率は高くなる。
 聖杯戦争に向けた準備――彼らからすれば詳細不明の何かへと、アラクネの意識が向いた隙を突いたつもりなのだろう。

 それ自体は別に構わない、とアラクネは考える。
 たかがNPCの役割に沿った叛逆など、それこそ役割の範囲で安全に潰してしまえる範囲だ。ましてや、本来の自己を取り戻した魔女からすれば、その程度は造作もない。
 しかし己の召喚したサーヴァントが、それを許しはしなかった。
 人の扱いに一家言持つつもりのアラクネからすれば、とても扱いやすい部類のサーヴァントではあるのだが、彼はどうにも激情しやすい。
 慎重に事を進めたいアラクネにとっては、それがいつか優位を崩すきっかけとなりはしまいかと、幾ばくかの悩みの種となっていた。
 とはいえ、だ――

「手綱を握るのがマスターの器量ですもの、ね」

 ならばなおのこと、その心をより深くまで支配してしまえば良いのだと。
 帰還の予兆を察知したアラクネは、従者に向けての見えない仮面を付ける心構えを整えた。












「……見ていただろうが、裏切者を始末してきた」

 夜半。
 アラクネ・ゴーゴンが購入した屋敷の地下室に、異様な風体の男が訪れていた。
 いや――禿頭の人間に近い形をしているが、その男は既に人間ではない。
 体全体が透き通る青色に染まっており、血管や、何より体内を巡る強烈な電気の流れが透けて見える人間など、いるはずがない。

 彼こそはその異形故に、ランサーのクラスを以って現界したサーヴァントだった。

「ご苦労様。流石に早いわね、ランサー……いえ、マックス」

 労いの言葉をかける対象を、女主人はクラス名からそのように言い改めた。
 曲りなりにも、ムーンセルに上位存在として記録する価値があると見做された魔人としての真名ですらなく。既に諦念が手放させたはずの、人間としての名で。

「優秀な子は好きよ……とはいえ、ごめんなさいねマックス。私(わたくし)の役割(ロール)の手伝いなど、あなたには無縁なことなのに」
「気にするな。それで足元を掬われる方が馬鹿げている。ならサーヴァントはマスターの役に立つように振る舞うさ」

 申し訳なさそうに述べるアラクネに、ランサーは気取って笑みを返した。
 しかしその言葉は、気取っただけではなく本心だ。
 NPCのロールとして、強大な組織の指揮権を与えられたことは恩恵となる一方、このような組織管理の手間まで余計に背負うこととなる。
 そんなマスターの負担を減らそうと、ランサーはむしろ自発的に、彼女に対する裏切者の制裁役を申し出ていた。

「ありがとう、マックス。必要以上に力を使わせてしまったようだけれど、せめて彼らの魂が慰めにはなったかしら?」
「いや、全く。あんたの手料理とは比べるのも失礼なぐらいの味だったからな」

 魂喰いに関するランサーの感想に、アラクネは上品に扇子で口元を隠し笑って応える。
 ――褒め言葉を喜んで貰えたらしい、と悟ったランサーは飛び上がってしまいそうなテンションを必死に抑えて、努めてクールに相手の出方を伺った。

「お上手ですこと。よくってよ。ならお礼に、また今度御馳走して差し上げましょうか」
「ああ、楽しみだ! ……とはいえ、本当に大丈夫だったのか? ついカッとなって、やり過ぎてしまったが……」

 上がり調子だった気分が、ふとした気づきに水を注される。
 ランサーとて、サーヴァントとなってから、生前より更に強化された能力を制御しきれていないわけではない。
 しかしNPCとして、決められた役割どおりに振る舞っているのだとしても。アラクネの悩みの種となる輩が許せず、明らかに過剰な力を揮ってしまった。

 己の力。かつて神権そのものであり、星の開拓者とも言うべき天才によって地上に降ろされたもの。
 それそのものと一体化した、魔人の操る雷電の槍。宝具として昇華されたそれは人間の生命活動を停止させるだけでは飽き足らず、破壊の余波を周辺に撒き散らしてしまった。

 もしや、かえってアラクネの迷惑になりはしないか――そんな不安を見透かしたように、アラクネは慈母の表情で語りかけてきた。

「大丈夫。私があなたの代わりの目と耳になってあげますから。何も心配しなくていいのよ」

 ――君は僕の目と耳になってよ。

 アラクネの紡いだ言葉が、ふと。そんな、忘れ去りたい黒い記憶を呼び覚ます。

「ああ。俺はスパイダーマンと違って、自分の目と耳を信じ、忘れない」
「……そうね。あなたはそういうヒトですもの、マックス。そして」

 ランサーの内心の変化に、アラクネは目聡く気づいた様子だった。
 ランサーの過去を偲ぶような表情に、庇護欲を掻き立てられたかのような色を交えて、問いかけてくる。

「同じ蜘蛛でも、私はあなたを裏切った小僧とは違いますわ。そうでしょう?」
「ああ、そうだ……あんただけが俺の拠り所だ」

 あの日。ランサーことエレクトロ――かつてマックス・ディロンであった男は、全ての拠り所を喪った。
 挙句、裏切者の蜘蛛の手に掛かり、命を落とすこととなってしまった。
 ――己を必要だと言ってくれた男も、使うばかりで救いには来なかった。

「仕事にも、家族にも、友人にも裏切られてきた。誰も俺を見ていない、覚えてもいない。それで傷つく俺のことを、あいつらは気にも止めずに笑ってやがる」
「ああ、可哀想なマックス。でも、本当にもう大丈夫よ。だって私には、あなたが必要なんですもの!」

 何もかもを喪って、マックスは現世を去り、そして遠い世界の月の眼に記録されていた。
 そこから召喚されたランサーを、このマスターは必要としてくれた。

「私ももう、あなたなしには生きていけないわ。せっかく築いた組織から引き離されて、突然見知らぬ土地に連れて来られて、しかも殺し合いを強制されるなんて。とっても心細かった」

 優しい言葉だけではない。暖かな手料理の味も、柔らかい肌の温もりも。仲間としての信頼の誇らしさと、気遣いの安らぎも。
 ――二人きりの時には、こうして人としての名前で呼んでくれさえもする。

 かつてのマックス・ディロンが欲した何もかもを、アラクネは笑顔で施してくれた。
 そんな彼女のか細い震え声に、芯を取り戻させたのは――

「私の味方はあなただけ。私にはあなたが必要なのよ、マックス」

 ――そう、己(おれ)なのだと。魅力的な美声が耳朶を打ち、エーテルで構成された仮初の脳に染み込んでくる。
 麻薬のような、依存性の強い多幸感に包まれるランサーに、アラクネが微笑を浮かべて小首を傾げた。

「なら、私があなたを裏切るはずがないでしょう?」
「ああ――そうだ。だから俺の味方も、あんただけだ」

 何もなかったマックス・ディロンの半生。誰もわかってくれないと思った苦しみの全てを、黙って聞き入れて、そして癒やしてくれたのがこの魔女だ。
 元より我らはマスターとサーヴァント。聖杯戦争を勝ち抜くための一蓮托生。
 たまたま目についたから利用してきただけの男どもと、彼女は違う。確かな契約で結ばれた、裏切ることのないランサーの女神なのだ。

「二人で乗り越えましょう、この試練を。……そうして育まれた絆はこれからも、ずぅっと続いていくわ」

 そんな認識を肯定するように。そして、輝く未来を示唆するように。熟れた甘い声で、アラクネは続ける。

「だから……これからも私が愛して差し上げる。親からも、友からも、世間からも愛されなかった分も、この私が」

 そして抗い難く蠱惑的な笑顔で、アラクネは両手を広げた。

「さぁ、いらっしゃい。マックス」

 母から得られなかった慈愛。仲間から得られなかった親愛。想い人から得られなかった恋慕。
 その全てを満たしたような姿に、ランサーはあの夜以来の感電するような衝撃に打たれた。

 ――ああ、ここにあった。
 俺が得られなかったものは、やはり全て、ここにあったのだ。
 それに、やっと、出逢えた――



 ――――よもや。死後になってようやく現れたこの救いの主すら、結局はただ扱いやすい『駒』としか己を認識していないなどとは、つゆと思わないまま。



 感動に思考を麻痺させたランサーは、魔女に誘われるままに一歩、一歩と、糸に吊るされた操り人形の如く緩慢に歩み寄り、次いで自らの能力で彼女の巣へと舞い上がり、

 そして男は、蜘蛛に溺れた。













【出展】アメイジング・スパイダーマン2
【CLASS】ランサー
【真名】エレクトロ
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力C 耐久B 敏捷A+++ 魔力D 幸運E 宝具B

【クラス別スキル】
対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
ガルバニズム:A-
 生体電流と電力の自在な変換、および蓄積。
 魔光、魔風、魔弾など実体のない攻撃を瞬時に電気へ変換し、蓄電することで自らの魔力を補給する。ただし自らの放出した電気を再利用することはできない。
 なお、生前の逸話より、許容限界を越えた電量を吸収した場合には霊器が耐えきれず、崩壊してしまう。
 このスキルとマスターから魔力を供給されるサーヴァントの性質から、ランサーは生前持ち得ていなかった自家発電能力を獲得した。

騎乗:EX
 あらゆる乗り物を乗りこなすのではなく、電流として伝導体と同化し、移動する能力を示すスキル。
 通常時の敏捷性はAランク相当だが、このスキル発動時のみランサーは文字通り雷の速さで移動することができる。

変転の魔:E-
 英雄や神が生前に魔として変じたことを示す。
 過去に於ける事実を強調することでサーヴァントとしての能力を著しく強化させるスキル。
 ランサーの場合は、変転以前は英雄には遠く及ばない存在であったためにスキルランクは著しく低いが、人の身では絶対に不可能な敏捷に限定条件ながら到達している。


【宝具】

『雷霆と化し魔人(ケラウノス・レプリカ)』
ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:400人

 ヒトから電撃魔人へと変貌してしまったランサーの肉体そのもの。文字通りの雷電へと己を変換する常時発動型の宝具。
 かつて星の開拓者であるニコラ・テスラが地上に降ろした雷電。それそのものと化した彼の肉体は、英霊化によって数多の神話において神々の揮った神権の象徴である雷霆や王笏、即ち神の槍の再現としての性質を帯びることとなった。
 故に彼はアーチャーではなく、ランサーのクラスを以って現界しており、その出力を生前より向上させている。

 この宝具によりランサーは自在に電流を操り、放出や吸収を可能とし、さらには飛行能力にも繋がる電磁力の操作や、伝導体を介した雷速移動を可能とする。


【weapon】

 ランサーだが、物理的な武器は持たない。
 宝具により雷電と化した肉体とそこから放たれる電撃が主な武器となる。


【人物背景】

 かつてニューヨークを震撼させた、現代に顕れし魔人の一柱。
 その名を電撃魔人エレクトロ。人であった頃の名はマックス・ディロンという。

 元々はニューヨークのオズコープ社に努める電気技師で、市内の電気をつかさどる発電施設を設計するなど優秀な腕前の持ち主だったが、周囲からは全くと言っていいほどに評価されておらず、雑用の使い走りのような扱いを受けるなど鬱屈した日々を過ごしていた。
 しかしある時、「ニューヨークの親愛なる隣人」、蜘蛛の力を持つ超人スパイダーマンの手で車の下敷きになりそうになったところを助けられる。
 妻に逃げられ、職場では名前を呼ばれることすらなく、母にまで忘れられていたマックスは、「何故自分なんかをあのスパイダーマンが助けてくれたのか」と動揺するが、「君が必要だ。僕の目と耳になって街を見守って欲しい」と諭されたことにより満たされることのなかった承認欲求を暴走させ、ある種狂信的なまでのスパイダーマンのファンと化した。

 しかし自らの誕生日に残業を言い渡され、一人配線の修理をしていたところ感電事故に遭遇し、さらに遺伝子操作を受けていた電気ウナギに咬みつかれたことで電気を発生させることが可能な特異体質へと変貌してしまう。
 その後、自らの体質の変化に戸惑うままに街を彷徨い騒ぎを起こした彼はスパイダーマンと再会。変わり果てたマックスの正体をすぐに言い当てられないまでも、説得しようとしたスパイダーマンの制止を無視した警察官に狙撃されたことと、周囲の野次馬が自分と戦うスパイダーマンを応援しているのを見て、結局は自分を利用しているだけだと思い込んで逆上。大暴れを開始し、以降は一転してスパイダーマンを憎悪の対象とするようになる。

 最初の戦いでは持ち前の高圧電流でスパイダーマンを圧倒するが、自らの変化に馴染みきっていない隙に彼の咄嗟の気転により敗北し、そのまま刑務所に収監される。
 その後はオズコープ社で人体実験を受けるなど非道な扱いを受けていたが、ハリー・オズボーンに唆されて彼の計画に加担し、刑務所から脱走。
 自らが開発した発電施設を襲撃して一時的に使用不能に陥らせ、都市機能を麻痺させた。その後、駆けつけたスパイダーマンと再び戦闘になり、彼を追い詰めるも、最終的に体内へ許容量を上回る電流を一気に流しこまれたことで限界を迎え爆発。文明の灯火という秩序を破壊し、闇という狂気を齎す神として世界に自らを知らしめようとした彼は呆気なく、その生涯を終えた。

 単身でニューヨークを都市レベルで壊滅寸前まで追い詰めるという、同時期に現れた怪人達の中でも破格の性能及び、生物としての変異ではなく電気への変身という神秘をその身に纏って変転した彼は、現代において希少な人智を超えた新種の反英霊としてムーンセルに保存されていた。


【サーヴァントとしての願い】
 アラクネとともに聖杯戦争を制し、世界中から認められる存在となりたい


【基本戦術、方針、運用法】

 ランサーだが、肉体そのものを槍とみなし、武器を持たない特殊なサーヴァント。
 そのため電流による飛び道具を持ち、マスターであるアラクネの持つ情報網と組み合わせることで、配線を通じて文字通り電撃的に敵陣に奇襲を仕掛け、また高速で撤退する神出鬼没な暗殺者の如き戦法も市内であれば可能(ただし、実際には個人宅の特定の配線など、細かな目的地へ過たずに到着するのは困難)など、極めて変則的な性能を持つ。
 能力の特性上は、超速移動経路となる伝導体や魔力補給源となる電気に満ちた市街戦でこそ強大な力を発揮できるため、できる限り郊外では戦わない方が無難。
 とはいえ、幸い燃費に難があるとしてもマスターは強大な魔女であるアラクネ・ゴーゴンであり、市街地外でも一般的なサーヴァント並の継戦能力は確保できている。
 ランサーながらに近接戦を得意とは言い難いが、ガルバニズムと飛行能力を併用することである程度は敵の攻撃を封殺することも可能であり、精神面以外は変則的ながらに三騎士相応に優秀なサーヴァントと言える。

 なお、電気攻撃に攻撃手段のほぼ全てを依存しているため、ガルバニズムを保有する他のサーヴァントは真っ先に挙げられる天敵となるだろう。



【出展】ソウルイーター
【マスター】アラクネ・ゴーゴン
【参加方法】
 復活しアラクノフォビアに合流した直後、献上品に紛れていた『白紙のトランプ』により聖杯戦争に招かれた。

【人物背景】

 規律の旧支配者たる死神と、自由を求める魔女たちが抗争を続ける世界において、異端者とされた強大な魔女。性格は気品に満ちあふれていながら、冷徹で高慢。
 八百年前、変身能力をもつ魔女の魂を利用し、ソウルをはじめとする魔武器と呼ばれる武器変身能力者をこの世に生み出した張本人。そのため『魔武器の母』とも呼ばれる。
 その同族と魂を冒涜するような行為から、魔女たちからも死神様からも追われることになる。
 八百年ものあいだ、魂をゴーレムに移して部下に管理させ、肉体を蜘蛛として世界中にばら撒き、死神と魔女の両陣営に対抗する一大勢力『アラクノ・フォビア』を結成する。
 全ては死神の敷いた秩序を破壊し、狂気で満たした世界において鬼神をも取り込んだ頂点――絶対の母となるために。


【weapon】
  • 鉄扇
 魔女の血を引く魔武器の一閃を受け止めて傷一つ負わない強度を誇るが、戦闘で常用するわけではない。

【能力・技能】
 魔女の中でも特に強大な能力を誇るとされており、その魔力から、身体能力そのものも常人の数倍以上に達していると思われるが、魔力を用いた攻撃についてはそこまで得意ではない。
 彼女が得意とするのは専ら精神攻撃の魔法で、相手を狂気に墜として行動を停止させたり、弱った精神につけ込んでの支配を得意とする。
 ただし対魔力どころか意志の強さ、魔力の強さなどで跳ね除けられるため、サーヴァントにはまず通用せず、NPCはともかくムーンセルの予選を突破したマスターにも魔術のみでの支配は難しい。
 肉体を捨て、更に強力な精神攻撃を実行することも可能だが、その場合も霊体であるサーヴァントには一方的に斃され捕食されてしまうことになるため特に使うことはないと思われる。
 魔女に共通のソウルプロテクトという魂の波長を隠す術を習得しており、優れた感知能力を持つ者でなければ魔女であるとは見破れない。

【マスターとしての願い】
 己が全ての生命の母となる、狂気で満たされた世界


【令呪】
 背中に現れた、胴体と左右の足の三画で形成される蜘蛛の痣


【方針】
 ランサーを引き続き懐柔・制御すると同時、自らの情報網、組織力を用いて立ち回り、極力消耗を抑えて勝利を狙う。







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最終更新:2017年01月04日 00:30