バーバラ&ライダー◆NIKUcB1AGw




記憶を取り戻すのは、さほど難しくはなかった。
この世界は、彼女のいた世界とはまったく異なる文化を発展させていたから。
あるいは、彼女の秘める膨大な魔力がムーンセルの細工を打ち破ったのかもしれない。

「聖杯戦争、か……」

鮮やかな色の髪を揺らしながら、少女は呟く。
彼女の名は、バーバラ。偉大なる魔女の力を継承する者。


◇ ◇ ◇


「お姉さんが僕のマスターだね? 僕は戦部ワタル!
 クラスは、えーと……。あ、そうそう! ライダー!
 よろしくね!」

バーバラの元に召喚されたサーヴァントは、まだ幼さの残る……というか、どう見ても幼い少年だった。
剣や防具を身につけてはいるが、とても英霊という立場にふさわしい戦士には見えない。

「あっ、その表情……。お姉さん、僕の強さを疑ってるね?」
「えっ、あー、うん」
「そうあっさり認められると、それはそれで悲しいなあ……」

素直にうなずくバーバラに、ワタルはがっくりとうなだれる。

「まあ、間違ってはいないんだけどね。僕だけじゃ、サーヴァントとしてはそんなに強くない。
 けど、僕はライダーだからね。宝具に乗ったときが本領発揮だよ」
「ライダーっていうのは、乗り物に乗って戦うんだよね?
 強い乗り物ってことは……船?」

バーバラの世界にあった乗り物で、戦闘に使えそうな乗り物といえばそのくらいしか思い浮かばない。
さすがに、じゅうたんやベッドが恐るべき戦闘力を発揮するというのはあり得ないだろう。

「ハズレ! 俺が乗るのは魔神っていうんだ。
 ロボットみたいなものっていえば、わかりやすいかな」
「ロボットっていうと、からくり人形みたいなやつ?
 そんな魔物もいたなあ、そういえば。
 でも、人が乗れるような仕組みにはなってなかったと思うけど……。
 ワタルくんの宝具は、乗れるようになってるんだ」
「まあね。龍神丸っていって、すげえかっこいいんだぜ!
 ちょっと強すぎるんで、宝具として呼び出したときには少しパワーダウンしてるみたいだけど……」
「へえ……」

楽しげに語るワタルの姿が、バーバラの好奇心を刺激する。

「私も見てみたくなったな、その龍神丸っていうの。
 ねえ、今出せる?」
「え? 出せることは出せるけど……。
 こんなところで出したら、部屋が吹っ飛ぶよ?」
「あ、そうか……。人が乗れるってことは、それだけ大きいってことだもんね……」

おのれの想像力を欠いた発言を反省し、バーバラは気まずそうに顔を歪める。

「ん? ちょっと待って?
 そんなに大きいなら……。それ呼び出したら、すごく目立つことにならない?」
「え……? あー、そう言われればそうか。
 今まで魔神が当たり前の世界でしか戦ってこなかったから、その辺考えたことなかったよ」
「おーい! 大丈夫なの、そんなんで!」
「まあ、なんとかなるって!」

屈託なく笑うワタルを見て、バーバラはそれ以上追求する気が失せてしまった。

「というかさあ。そもそもお姉さん、積極的に聖杯狙うつもりなの?
 この聖杯戦争って、本人の考えに関係なく参加させられてるって聞いたんだけど」
「ああ、そうか。まずはそこをはっきりさせないといけないよね」

バーバラの表情が引き締まる。

「叶えたい願いはあるよ。会いたいけど、絶対に会えない人がいる。
 なんでも願いが叶うっていうなら、その人に会いたい。
 けど、そのために罪もない人と戦うのは……ちょっと辛いかな……」
「そっか、その気持ちはわかるよ。
 俺もサーヴァントとして召喚されはしたけど、悪いやつ以外とは戦いたくないから」
「ん。わかってくれてありがと」

ワタルから返ってきた言葉に、バーバラは表情を緩める。

「けど、戦う気がないわけじゃないよ。
 本当に聖杯がどんな願いでも叶えてくれるのかはわからないけど……。
 もし本当なら、絶対に悪いやつには渡しちゃいけない。
 それを阻止するためには、戦わなきゃいけないと思う」
「もちろんだよ! 任せて、お姉さん。
 悪いやつは、必ず僕がやっつけてみせる。この、救世主ワタルがね!」

力強く宣言し、屈託のない笑みを浮かべるワタル。
バーバラはそこに、慕い続ける「彼」と同じ輝きを見た気がした。

「――――」

バーバラが思わず呟いた彼の名は、ワタルの耳に届かぬほどかすかなものだった。













【クラス】ライダー
【真名】戦部ワタル
【出典】魔神英雄伝ワタルシリーズ
【性別】男
【属性】秩序・善

【パラメーター】筋力:D 耐久:E 敏捷:C+ 魔力:C 幸運:A 宝具:EX

【クラススキル】
騎乗:A++
乗り物を乗りこなす能力。
竜種すら乗りこなすことができる。

対魔力:B
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Bランクでは、魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい

【保有スキル】
心眼(偽):C
直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。
視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

勇猛:B
威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。


【宝具】
『勇者の剣』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:0-1 最大捕捉:1人
救世主の証であり、龍神丸を召喚するためのキーにもなっている剣。
刃がないため、本来の殺傷力は低い。
しかし神々の世界の産物であるがゆえに強い神秘が宿っており、サーヴァント相手には高い攻撃力を発揮する。
逆に言えば神秘性に乏しい一般人や物質に対しては、ランクにふさわしい攻撃力は持ち合わせない。

『龍神丸』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:1-30 最大捕捉:30人
ワタルが作った粘土細工を基に、七龍神の一体である金龍が姿を変えた魔神。
いわゆる巨大ロボだがおのれの意志を持ち、言語によるコミュニケーションが可能。
ワタルが搭乗しなくても活動することは可能だが、その場合は戦闘力が大幅に低下する。
主な攻撃手段として肩に装備された爪形の武器を飛ばす「龍牙拳」、火の玉を飛ばす「炎龍拳」、
光の鎖を射出する「飛龍拳」、肩から電撃を放つ「雷龍拳」、そして相手を両断する決め技「登龍剣」などがある。
異世界の存在であるとはいえ「龍」であり「神」である龍神丸は宝具としてであってもなお聖杯戦争の枠に収まりきらない神秘を秘めており、
その神秘をギリギリまで劣化させることでなんとか現界を果たしている。
それ故に龍王丸、新星龍神丸、龍星丸などの強化形態へ変身することはできなくなっている。

【weapon】
本来なら様々な武器やアイテムを持っているが、龍神丸にリソースをあらかた持っていかれているため現在使えるのは以下の装備のみ。

「勇者の装束」
ワタルが身につけている鎧や冠。
身体能力を向上させる効果があり、防御力もそれなりに高い。

「万能ハイカラ靴」
かかとを打ち合わせることでローラースケートに変形する靴。

【人物背景】
かつて神々の世界・神部界を救った救世主「わたる」の生まれ変わりとされる小学生。
金龍によって神部界に招かれ、その中心地である創界山を占拠していた魔界の者・ドアクダーとその一味を打ち破った。
その後も幾度となく創界山の危機を救ったとされているが、それぞれの逸話の間には矛盾が存在するものもあるため
平行世界の逸話が混入している可能性が高いとされている。
今回召喚されたワタルはドアクダーとの戦いの時の彼をベースとし、他の逸話の記憶もおぼろげながら所持しているという状態である。

性格は明るくお調子者。スポーツは得意だが勉強は苦手な、典型的な腕白少年タイプである。

【サーヴァントとしての願い】
救世主として人助け

【基本戦術、方針、運用法】
勇者の剣は当たれば強力だが、基礎能力の低さは否めない。
やはり戦闘においては龍神丸が必須となるだろう。
しかし小型の部類に入るとはいえ、曲がりなりにも巨大ロボ。
神秘の秘匿という条件を守って使用するのは、非常に難しいといえる。
その点をカバーする手段を見つけなければ、苦しい戦いとなるだろう。



【マスター】バーバラ
【出典】ドラゴンクエストVI 幻の大地
【性別】女
【令呪】龍の顔と、2本の角

【マスターとしての願い】
「彼」にまた会いたい

【weapon】
冒険を終えた後からの参戦であるため、装備は全て手放してしまっている。

【能力・技能】
「呪文・特技」
転職により「魔法使い」「僧侶」「遊び人」「踊り子」「賢者」「スーパースター」をマスターしている。
修得している全ての呪文・特技を並べると膨大な量になってしまうため、ここでは割愛する。
なお「ザオリク」や「精霊の歌」など蘇生効果を持つ呪文・特技は、この世界では使えない。

「マダンテ」
カルベローナの長に代々継承されてきた、究極呪文。
おのれの全ての魔力を解き放ち、壮絶な爆発を起こす。
しかし聖杯戦争において、マスターが魔力を使い果たすということはサーヴァントを維持できなくなるということに等しい。
すなわち、文字通りの最後の切り札である。

【ロール】
高校生

【人物背景】
記憶と肉体を失い、精神体で世界を放浪していた少女。
月鏡の塔という場所である青年と出会い、彼の旅に同行することになる。
その正体は魔王に封印された魔法都市・カルベローナの住人で、次の長となるべき存在。
封印された際に街からはじき出され、記憶を失っていたことが後に明らかとなる。
すでに戻るべき肉体を失っているため大魔王が倒され夢と現実の境界が修復された後は夢の世界でしか生きることができず、
現実世界で暮らす仲間たちとは別れることとなる。

今回はエンディング後より参戦している。

【方針】
聖杯を狙うかは保留。
ただし、悪人に聖杯が渡ることだけは避ける。







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最終更新:2017年01月07日 00:49