エンポリオ・アルニーニョ&ライダー◆lkOcs49yLc



エンポリオ・アルニーニョは母親を失った。
母を殺したのは、一人の神父だった。
エンポリオは、母親の仇を取る為に生きた。
刑務所に入り込み、幽霊を操り、幽霊の本を読みながら、彼は成長していった。
やがて、彼には多くの仲間が出来た。

分解癖のある変人。
記憶のない寡黙な男性。
明るく面倒見の良い黒人の女性。
偶然にも出会ったショートヘアの少女。
そして、星型の痣を持つ少女。

幾つもの出会いと戦いの日々が、彼らの間で繰り広げられた。
神父の刺客は、常日頃から「スタンド」と呼ばれる強力な力を手に取るように振るい、エンポリオ達を苦しめていった。
それでも、エンポリオ達が挫けることは無かった。
恐怖を己のものとし、誇り高き勇気のままに彼らは戦いを繰り広げていく。
その過程で、仲間が死んだ事もあった。
それでも諦めることはなかった。

やがて彼らはとうとう、神父に対面することが出来た。
しかし、既に神父の力は彼等を凌駕していた。
「時」を加速させるその力。
世界を再構築させるほどの時の動きに、世界が、彼等が掻き乱されていった。
しかし、これまでの熾烈な戦いを潜り抜けた機転と力と勇気で彼等は神父に立ち向かっていった。
時を静止させる者が仲間にいるとはいえ、勝算はほぼゼロに等しかった。
そして、多くの仲間が死にゆく中エンポリオは全てを託され、生き残り、只、加速される時の中を彷徨い続け―



◆  ◆  ◆


「エンポリオッ!お前はここに来てはならなかったのだッ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

逃げる、逃げる。
始まりの場所、薄汚い刑務所の中を、エンポリオはみっともなく走っていく。
追いかけるのはエンリコ・プッチ神父。
徐倫を、エルメェスを、アナスイを、ウェザーを、承太郎を殺した張本人。
しかしプッチは、その潰れた右目を晒しながらも、己のスタンド「メイド・イン・ヘブン」を容赦なくけしかけてくる。
DIOとの戦いに勝利した承太郎でさえ為す術もなかったその力にエンポリオは、只々、逃げるしか無かった。

無論、手段がないわけではない。
徐倫が遺してくれた切り札なら、既にエンポリオの帽子の中に隠されている。
プッチがウェザーから奪い取りDISCにしたそのスタンドを、エンポリオは持っている。

「ウェザー・リポート」

所持者であるエンポリオの仲間の一人である男の通称と、同じ名を持つスタンドだ。
その能力は「天候操作」。
それさえ使えれば、エンポリオに勝ちは見えるかもしれない。
だが如何に勇気があろうが、幾ら死線を潜り抜けようが、エンポリオは只の子供。
恐ろしいほどの暴力には、逃げまとうしか無かった。

しかしエンポリオは、「メイド・イン・ヘブン」の攻撃を避けようと仰け反ったその時である。
エンポリオの下には丁度、一枚の白い紙札があった。


◆  ◆  ◆

「思い出した……」

自宅の本棚にある本を横になって読んでいたエンポリオは、其処までの記憶を取り戻した。
取り戻した切っ掛けは、己が読み返したその本だ。
其処には空気の物質に関する記述が有るのだが、その本をエンポリオは嘗て読んだ事があるのだ。
己のスタンド「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」で。
そもそもからすれば、エンポリオの母親は普通に生きていたのだ。
そしてエンポリオがいるのは、刑務所ではなく普通の家。
思えばこの時点で、エンポリオは既に違和感を感じていたのだ。
そして読んだ本の文章に既視感を覚え、エンポリオは今に至った。

今のエンポリオに流れるのは、「聖杯戦争」に関する記憶だ。
此処は月に偽装された演算装置「ムーンセル」に構築された世界「SE.RA.PH」。
この世界で記憶を取り戻した者は「サーヴァント」と呼ばれる使い魔を操り、殺し合い、そして戦いの果てに「聖杯」と呼ばれる願いを叶えるアイテムを手にするというのだ。
その聖杯戦争に招かれる鍵は、何やら「白紙のトランプ」だそうなのだが……
しかし、白紙のトランプと言う物はエンポリオも持ち合わせていない。
普通のトランプならスタンドで創り出せるだろうが、しかし白紙のトランプは持っていないはずだ。

(何処に有るんだろう……)

そう考え、ガバリと起き上がったエンポリオは辺りをキョロキョロと見回す。
すると、自分の真後ろに模様が書かれたカードが置かれているではないか。
エンポリオは身体の向きを変え、そのカードを拾う。
裏返してみると、そのカードの模様は―真っ白だった。
無論、このカードが己の背中に置いてあったということなど、エンポリオは知る由もないだろう。

◆  ◆  ◆

「そうだ、ぼくは徐倫に託されて、プッチから逃げようとした所で……。」

何の宛も無く、エンポリオはトランプを手に街を歩きながらも、聖杯戦争について考える。
今の所、エンポリオのサーヴァントがやって来る兆しは見られない。
実のところ、エンポリオには叶えたい願いなど無いのだ。
いや、願いなら有る。
エンリコ・プッチを倒すこと、それだけだ。
死んでいった仲間達を生き返らせようなどとは思わない。
それでは、彼等の覚悟は全て、無駄になってしまうのだから。
他者を殺めて願いを叶えるとなるのなら、尚更の話だ。

結局、エンポリオが選んだのは、誰も殺さずに生き残る道。
或いは聖杯を破壊する道だ。

(聖杯に縋って叶えたい願いなんて僕には無い……願いなら、ぼく自身の手で叶えてやる!)


そう思った時、エンポリオの持ったトランプが、光り輝いた。

「うわっ!!」

その眩い光に、エンポリオも思わず目を覆う。


◆  ◆  ◆



天道総司の妹は病を患った。
病を患った原因は一つの超巨大隕石だった。
妹を治す方法は最早見つからないと分かった中、天道はある一つの噂に希望を見出す。

「時を超える力を持つ黄金のライダー」

それに目をつけた天道は、行動を起こした。
世界では、既に天道と同じ「ライダー」達の争いが勃発していた。
「秩序」を護る組織と、壊す組織。
二手に別れたライダー達は潰し合う中、天道は姿を表した。
己の力を見せつけた彼は2つの組織に内通し、己を売る。
彼の思惑通りにライダー達の潰し合いは加速を初め、ついに天道が求めた男はその姿を表した。

同時期に、天道に悲しい知らせが届いた。
妹の命が、もう長くはないのだと。
更に、ライダーを失った秩序の組織が怪物達と手を組み、世界を蹂躙しようとしたと言うことも。
最早、天道に遺された時間は無かった。
天道は妹を愛し、愛された男と手を取り合い、宇宙へと旅立つ。
そして宇宙に到着した天道達の前に現れたのは、黄金のライダー。

黄金のライダーとの戦いは歯列を極めた。
只のライダーではまともに太刀打ち出来ない程に。
だが、妹を愛した男が、天道を庇ってくれた。
彼の想いを乗せ、黄金のライダーから奪った時を超える力を、天道は遂に使った。
奪われた力の前に黄金のライダーは倒され、天道は念願の想いを届けるために全てが始まった7年前へと旅立つ。

隕石は爆発四散、天道は7年前の己に妹を託した。



◆  ◆  ◆




「お前か、この俺を喚んだマスターと言うのは。」

光が止んだ時、既にエンポリオの手にカードは無かった。
代わりにいたのは、白いコートを羽織った、一人の長身の東洋風の青年だった。
如何にも英雄とは言い難い様な出で立ちだったが、そのオーラは何処か、凄みを持っていた。
それも、エンポリオが嘗て出会った仲間達にも劣らないような。
それに、この男を見た時、何やら数値と、「Rider」という文字が浮かび上がってきたのだ。
間違いない、彼こそが、己のサーヴァントだ。

「はい、そうです。」


◆  ◆  ◆


エンポリオが召喚したサーヴァントのクラスは、「ライダー」という物だった。
その名の通り、乗り物を宝具として手繰るサーヴァント。
今エンポリオは、ライダーの背中にしがみつきながら、彼が乗りこなしている真紅のバイクに乗っているのだ。
多くの車が行き交う公道の中を、極めて特殊な形状をしたライダーのバイクは走っていく。

「マスター。」

ふと、ライダーが声を掛ける。

「は、はい。」
「お前が持つ願いは何だ。」
「僕に願いなんか……有りません。」
「ほう?」
「僕は、この聖杯戦争から抜け出したい。僕は託されているんです、死んだ仲間達から、宿敵をぼくの手で倒すという使命をッ!」


―仲間、か。
ライダーのサーヴァント、天道総司は、その言葉に懐かしみと、疎遠さを同時に浮かべていた。
天道は、これまで一人でずっと戦ってきた。
だが、黄金のライダーとの戦いにおいて、共に戦った男がいた。

(加賀美、俺とお前は魚の切り身よりもずっと薄っぺらい仲だ……
だがそれでも俺達は、共にひよりの為に戦った。)

嘗て、共にひよりを救うために戦ったライダーを、天道は思い出した。
彼はひよりを愛していた。
その想いは天道と同じだった。
何より彼は、己を庇ってハイパーゼクターへと道標となってくれたのだ。
加賀美とは所詮昨日一昨日出会った敵に過ぎなかったが、守りたいものは同じだった。
行く道は同じだった、そう云うのを仲間だというのだろう。
美味い料理はほんの一口しか食べていなくとも、十分すぎる程愛おしい味であるはずだと、お婆ちゃんも言っていた。


「マスター、お前の名前は何だ?」

天道は、まだ聞いていなかった己の相棒の名を問う。
うしろにしがみついているエンポリオはそれに答え、輝かしい目で答える。

「ぼくの名前はエンポリオです。」

天道はその言葉を聞きフッと笑うと、同じく己も答え返す。

「おばあちゃんが言っていた、俺は天の道を生き、総てを司る男……」

そして天道は左ハンドルを手放し、空いた左手で天を指差す。

「天道……総司!!」

その姿は、エンポリオにはより一層輝かしく見えた。






【マスター名】エンポリオ・アルニーニョ
【出典】ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン
【性別】男

【参戦経緯】

エンリコ・プッチに変えられた世界におけるグリーンドルフィン刑務所で偶々白紙のトランプを拾った。


【Weapon】

「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」

エンポリオが持つスタンド。
既に消滅した存在、つまり物の「幽霊」を呼び出すことが出来る。
幽霊は実物と同じように使うことが可能で、例えば本は読めるし、パソコンは回線が無くてもインターネットに繋げる。
ただし食べ物は喉を通らず、腹の足しにならない。
重火器も実弾は当たらず、音による虚仮威しにしか使えない。


「ウェザー・リポートのDISC」

ウェザー・リポートと、空条徐倫を通して手に入れた彼のDISC。
「ウェザー・リポート」と呼ばれるスタンドが入っており、高度な天候操作能力を持つ。
使いこなせば発火現象、凍結現象、空気中の酸素濃度の操作、更にはカエルを降らせることも可能。
【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A】


【能力・技能】


  • スタンド
力を具現化したかの様な特殊なパワー。
スタンドはスタンド使いにしか見えず、スタンドにしか対処できず、またスタンドが傷つけば本体も傷付く。


  • 専科百般
幼い頃からあらゆる本を読み続けてきたため、あらゆる事柄に詳しい。
ヘリコプターの操縦法も知っている。


【人物背景】

運命に勝たせてもらおうとした男。
加速された時間からの参戦。


【聖杯にかける願い】

エンリコ・プッチを殺す。





【クラス名】ライダー
【出典】劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE
【性別】男
【真名】天道総司
【属性】混沌・善
【パラメータ】筋力B 耐久B 敏捷C 魔力E 幸運B 宝具B+(マスクドフォーム変身時)
       筋力C 耐久C 敏捷B++ 魔力E 幸運B 宝具B+(ライダーフォーム変身時)
       筋力A 耐久A 敏捷A++ 魔力E 幸運A 宝具B+(ハイパーフォーム変身時)



【クラス別スキル】


騎乗:C
乗り物を乗りこなす才能。
大抵の乗り物は人並み以上に乗りこなす。


対魔力:E
魔力に対する耐性。
無効化はせず、ダメージを軽減する程度。




【保有スキル】

仕切り直し:C
不利な戦闘から離脱する能力。
戦闘を水入りにすることも出来る。


心眼(真):B
修行、鍛錬によって培った洞察力。
窮地に陥った時、逆転の可能性が1%でもあるのなら、それを手繰り寄せる戦闘論理。


単独行動:A
マスターとの魔力供給を絶っても現界を保つ能力。
Aランクなら、マスターが死んでも1週間は現界を保てる。


【宝具】

「装甲騎士・真紅の甲(マスクドライダー・カブト)」

ランク:C+ 種別:対人・対時間宝具 レンジ:- 最大捕捉:1

地球外生命体「ワーム」に対抗するために作られたマスクドライダーシステムの記念すべき第一号。
カブトゼクターを呼び出しベルトに装填することでシステムが起動、「カブト」へと変身する。
「ヒヒイロカネ」で鍛えられた装甲を 武器に戦う「マスクドフォーム」、
マスクドフォームの装甲を外して時空を超えた「クロックアップ」と呼ばれる高速移動を武器とする「ライダーフォーム」の2つの姿を併せ持つ。
また、別の逸話ではカブトには暴走システムが仕組まれていると言う逸話が残されているが、この世界では逸話として確認されていない。


「銀角突き刺す真紅の甲車(カブトエクステンダー)」

ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:30 最大捕捉:1

ライダーが乗りこなした高性能バイク、カブトエクステンダーを召喚する。
カブトの資格者に忠実であり、自動走行も可能である。
キャストオフによりエクステンダーモードに変形、壁を走り、巨大な角で敵を攻撃できる他、クロックアップの世界での走行も可能となる。
耐久力も高く、成層圏を突入しても尚原型を保っている。


「時空を超越する銀甲(ハイパーゼクター)」

ランク:B++ 種別:対時間宝具 レンジ:- 最大捕捉:1

ライダーが黄金のライダーから奪い取ったゼクター、ハイパーゼクターを召喚する。
これをベルトに付け、ハイパーキャストオフを発動することで「ハイパーフォーム」へと変身できる。
ハイパーフォームの戦闘力は相当なものとなり、空中飛行も容易にできる。
そして更には「ハイパークロックアップ」と呼ばれるクロックアップを超える時間制御能力を持つ。
時間を巻き戻す事すら容易な能力だが、時間逆行は令呪一角につき8時間が限度。
また、逸話として確認されていないパーフェクトゼクターの召喚は不可能。


【Weapon】

「カブトゼクター」

マスクドライダーシステム「カブト」のコアを担うカブトムシ型ロボット。
「ジョウント」と呼ばれる時空を超えた転送システムを搭載しており、
「クロックアップ」の空間を通して資格者の元にタイムロスなしで駆けつける。
そしてデバイスに装填することで資格者をライダーに変身させる。
普段は何処かを飛び回っているが、ライダーの命令には忠実。
意外と器用で、高速で麺打ちを行うことも出来る。


「ライダーベルト」

マスクドライダーシステム「カブト」を起動するためのベルト型デバイス。
腰に嵌めるだけで14歳の少年が瓦礫の下から自力で抜け出せる程度に力が増大する。
内部にはカブトのスーツの中身が圧縮されて入っており、カブトゼクターをバックルに装填してロックを解除することで装着される。


「カブトクナイガン」

カブトの装備。
当然の如くヒヒイロカネで作成されており、ジョウントで自在に召喚できる。
「ガンモード」にはストック部分に刃が付けられており、持ち替えて「アックスモード」にすることも出来る。
更に銃身部分を引き抜くことで「クナイモード」に変化させることも可能。



【人物背景】

運命に絶えず、常に味方された男。
劇場版からの参戦。


【聖杯にかける願い】

マスターを護ってやる。







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最終更新:2016年11月24日 09:07