ポロリ、と。
 スノーフィールドの郊外に存在する砂漠地帯。
 そこに黒い破片が転がった。
 黒曜石の欠片にも見えるそれは、超弩級の呪詛の塊であり、周囲の砂を浸食し黒く染め始める。
 原型生物のように蠢く黒い砂は広がり小型生物達が喰われ、いつからか蟻地獄のごとき流砂が生じていた。

 黒い欠片────冬木の汚染された黒き聖杯、第四次聖杯戦争の残滓がスノーフィールドに牙を剥く。

 それ自体がこの世、すべての悪という願望であるため聖杯戦争の参加者として認められた。
 聖杯戦争のマスターとしてふさわしくあるために、それは肉体(うつわ)を生成する。
 これは破片といえど魔力(ナカミ)が詰まっていた小聖杯。その魔術回路は“実現可能な範囲ならば過程を無視して叶える”ことに特化している。
 肉体の鋳造など造作もない。




 砂から一人の裸体が現れる。肌は雪のように白く、年齢は二十代前半。
 黒い砂が肌を隠すようにまきつき、衣服へと変貌する。
 豊満な胸の間には白いカードが挟まれていた。


「ふむ、前の器はこんなものか。」


 かつてアイリスフィール・フォン・アインツベルンと呼ばれたホムンクルスそっくりの女がそこにいた。
 既に本人の意志は無く、ただ砂から鋳造した肉体に堕ちた聖杯が乗り移っただけのこと。
 手を前に翳し、たった一言。


「来たれ」


 聖杯である彼女はそれだけで目当てのサーヴァントを召喚する。
 手の影から暗雲が生まれる。彼女が握ってしまえば潰れてなくなりそうなコレこそ世界を滅ぼしうる彼女の現身。


 ────人の願望を叶える悪性であり全人類の欲望を叶える結果、ヒトを皆殺しにする悪魔。


 ────今はまだ養分が足りないため小さいが、時間の経過と共に巨大化する大災害!


 小さな暗雲が、大きな暗雲となり、肉体を取り戻して世界を滅ぼすであろうサーヴァント。その真名を『ユリス』という。




 ユリスの生まれた世界は、この世界と決して交わらぬ遥か可能性宇宙の彼方にあった。
 そこでは二つの種族が争い、世界中で負の感情が満ちていた。募りに募った負の思念から生まれたモノこそ怪物ユリス。

 彼/彼女は人類の負の感情より生まれ、産みの親の欲望を叶えるために現れる。
 その欲望とは憎悪、嫉妬、悲壮、恐怖、強欲、憤怒など数多の他者へ向ける〝変容を強要するモノ〟
 ユリスの叶える欲望とはつまり────今ある世界を否定して新たな都合のいい世界が出来てしまえという負の感情(モノ)。



 故にユリスの叶える結果は『自滅』だ。あらゆる限界を超越して願いを叶えるモノなど人の悪性をおいて他にない。
 しかし、この世すべての人の悪性に人は耐えられず自滅する。
 残るのは生まれ変わった世界、人類史の残滓が蠢く暗黒の天体である。





 ────以上の権能によりユリスのクラスは確定した。
 万能の願望器などとは偽りの器。

 其は人類が生んだ、人類史の最も業深さを表した大災害。
 名をビーストR(リバース)。〝再誕〟の理を持つ獣の名である。
(人でありながら世界や他者に都合の良い変容を望む。それこそがユリスの獣性である)




 ユリスが誕生すれば世界を守る六騎の聖獣と一騎の聖獣王によってそれは鎮められる。
 しかし、その後も残り続け、人の世を乱し続け再び誕生の時を待つのだ。
 一度目の顕現では完全体になる前に聖獣王に封印された。
 人を唆して封印を破き第二の顕現を為すも聖獣の力を持った英雄達に打ち倒された。
 此度は三度目。聖獣の力が届かぬこの地で、再び悪神は渦動する。


【サーヴァント】
【クラス】
キャスター → ビースト(第三形態以降)

【真名】
ユリス@テイルズ・オブ・リバース

【属性】
混沌・悪

【パラメーター】
第一形態(小暗雲)
筋力:E- 耐久:D 敏捷:E 魔力:B 幸運:A 宝具:A++

第二形態(大暗雲)
筋力:E- 耐久:D+ 敏捷:D 魔力:A 幸運:A 宝具:A++

第三形態(災いの獣)
筋力:A 耐久:A 敏捷:D 魔力:A++ 幸運:A 宝具:A++


【クラススキル】
陣地作成:EX
 魔術師としての工房を生成するスキル。
 ユリスの場合は『ユリスの領域』になる。

道具作成:-
 手足が無いため道具を作る能力は無い。

単独顕現:B
 第三形態時に得るスキル。
 単体で現世に現れることが確定するスキル。
 即死攻撃、時間操作による因果律の書き換えを無効化する。

【保有スキル】
魔眼:C
 持っている魔眼のランク。
 ユリスの場合、魔眼「ユリスアイ」を口から吐き出す。
 ユリスアイは自ら魔力を生成し、高度な魔術を行使する自律兵器と化す。
 とはいってもあくまで使い魔程度。サーヴァントに対抗できるものではない。

魔術:A
 莫大な魔力を稲妻や炎、第三形態では陣地内限定かつ部分的に複数の固有結界すら発動可能。
 ユリスは無数の悪心から生まれた故に自己の心象風景は無い。
 母胎となった数多の悪心をユリスの領域内部で保管し、使うことができる。


ネガ・リバース:A
 第三形態時に使用可能なスキル。
 ヒト(ここでは知性を有した者全てを示す)の英霊に対する耐性を持つ。
 必然的に聖杯戦争では抑止力以外に対して有利となる。 


【宝具】
『大空に邪なる心が満つる時』(リバース)
 ランク:A++ 種別:対心宝具 レンジ:聖杯戦争の舞台全て 最大捕捉:ヒト全て
 ユリスの思念を飛ばす。参加者、NPCに問わず人の持つ憎しみや妬みといった負の感情を増幅させ人々を争わせることで負の思念を増やす。


『災いの獣、降り立ち、大地に破滅をもたらす』(ユリス)
 ランク:A++ 種別:対界宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
 ユリスの肉体の顕現。
 世界に一定以上の負の感情が集まった時に発動可能。
 災いの獣ユリスが顕現する第三形態。
 霊基がキャスターから人類悪(ビースト)に変更され一部のステータスが大幅に上昇する。


『ユリスの領域』
 ランク:E→A→A++ 種別:対軍 → 対国 →対界宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
 ユリスの領域と呼ばれる領域を世界の上に置く宝具。常時発動。
 世界中の負の感情を蓄積し、蓄積した量に比例して領域を広げ、果ては世界が塗り替えられる否想天。魔術理論・世界卵そのものである。
 ユリスの領域内はできかけの大地や宮殿が列び、マスター同様に黒い聖杯の内部にいるようなもの。
 聖杯であるマスター以外の侵入者は負の感情によるプレッシャーをかけられ極大の呪詛によって破滅する。
 ただしAランク以上の精神耐性を持つサーヴァントには無効。


【weapon】
人々を唆す虚言、集めた負の感情を魔力に変えての魔力放出など
肉体を顕現させた後はそれらを槍のように尖らせて刺す。

【人物背景】
テイルズ・オブ・リバースよりラスボス。
世界に負の感情が満ちた時に姿に現す大敵。ヒトから生まれる一つの終焉。
欲望とは世界をより良き方向へと変えたい希望であると同時にそのためならば今の秩序を否定する人の業である。
ユリスはそういった欲望や感情の負の面より生じる終わりの貌の一つにすぎない。
ユリス自体を誕生・復活させないためにはユリスを封印し、ヒトを滅ぼす他にない。


聖獣王ゲオルギアス曰く『世界を殺す剣、万物の敵、破滅のもの』


【サーヴァントとしての願い】
固有の自我は無いが叶えるべき願望はある。
自分を生んだ霊長の願い、すなわち人の破滅を叶えたい。


【マスター】
黒き聖杯

【マスターとしての願い】
願望の成就

【weapon】
泥による呪詛

【能力・技能】
小聖杯として実現可能な範囲の願望ならば仮定をすっ飛ばして叶える能力を持っている。
また無尽蔵に等しき魔力を持ち、彼女単体でもサーヴァントに対抗しうる。

【人物背景】
冬木市の第四次聖杯戦争にて破壊された聖杯の破片。
アンリマユという願望を有したために“全人類を殺す”という呪いに汚染されている。
錬金術における人間の定義として精神・肉体・魂の三要素を有し、更にはこの世、すべての悪という願望を持つため参加者として認められた。

形成した肉体は破壊された時の聖杯の器『アイリスフィール・フォン・アインツベルン』のものを模造した。

【方針】
ユリスを顕現させ聖杯を獲得し、今度こそ誕生する。

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最終更新:2017年01月30日 00:25