レメディウス・レヴィ・ラズエル




【出展】
 されど罪人は竜と踊る Dances with the Dragons

【マスター】
 レメディウス・レヴィ・ラズエル

【参戦方法】
 武器商人パルムウェイとの交渉後、時計塔にエリダナの咒式士が踏み込むまでの間に、偶然入手した『白紙のトランプ』により、自らの術式で支配する禍つ式諸共に参戦

【人物背景】
 巨大咒式企業であるラズエル社の御曹司である青年。天才咒式研究員として世界にその名を知られていたが、ある時、仕事で訪れたウルムン共和国で反政府組織『曙光の戦線』に誘拐される。
 ウルムン共和国は独裁者ドーチェッタにより圧政を敷かれており、搾取や虐殺が人々を苦しめていた。そのため『曙光の戦線』などの反政府組織による内乱が続発。そしてウルムン共和国政府にはラズエル社が武器を売っていたために、レメディウスは人質として囚われることになったのだ。
 しかし、構成員の少女であるナリシアとの交流を始め、様々な出来事を経てレメディウスは『曙光の戦線』と親しくなり、また、人々のためにと自らが設計した咒式具が虐殺に用いられているウルムン共和国の現状を知る。
 やがてナリシアを守るため、そしてウルムンの現状を何とかするために、彼も『曙光の戦線』の一員として戦うようになる。

 特に戦闘訓練は受けていなかったが、いつか大陸最高峰に連なると言われていた攻性咒式士としての才能、更には趣味だったチェルス将棋から転じた指揮官としての優れた能力を開花させ、民衆の希望となって行ったレメディウス。
 しかし、ある時、故国から送り込まれた工作員であった『曙光の戦線』の党首によってナリシアや一部の仲間と共に、ドーチェッタへと売られることとなる。
 そしてレメディウスは拷問を受け、ナリシアを目の前で陵辱された挙句、その人々を助けたいという理想が折れるところを見たいというドーチェッタの悪意でまともに水も食べ物もないデリラ山に仲間と共に放り出される。
 全員で生き延びようとするものの、追い詰められた末の仲間割れによって殺し合いが発生し、約二ヶ月後にはレメディウスとナリシアだけが残されることに。
 飢えと渇きと疲労と負傷、そして絶望によって動けず、死を待つだけとなった二人だったが、ウルムンを救い得る天才であり、想い人であるレメディウスを生かすために、ナリシアは愛の告白と自らを食べて生き残って欲しいという願いを言い残し自決してしまう。

 これらの悲劇を目の当たりにし、元々の優しさと「一度記憶したものは二度と忘れることが出来ない」という天才的な性質が、彼にウルムンの伝説にある、女を喰らい独裁者を滅ぼした救国の人喰い竜「ズオ・ルー」を名乗らせ、その超人的な咒力と知識によって最悪の怪物である〈禍つ式〉の召還、更には大量虐殺咒式の使用も辞さない烈しい革命家へと変えてしまうことになる。

 全てはナリシアのような悲劇が、二度と繰り返されない世界のために。



【weapon】
魔杖剣〈内なるナリシア〉
  素朴な中に繊細な美しさを秘めた、長い刀身をしている鈍色の魔杖剣。最愛の少女の名を冠した、天才咒式博士レメディウスの最高傑作。咒式弾倉の形状は不明。
  この魔杖剣自体が強力な咒式干渉能力を有しており、レメディウス自身の能力と合わせることで千歳級の長命竜(アルター)や形式番号五〇〇前後の大禍つ式(アイオーン)と同等の強力な咒式干渉結界の展開が可能。
  咒力と魔力を互換と見做す場合には事実上、対魔術防御結界を恒常的に展開できる魔術礼装と化しており、全開のバーサーカーを使役しながらでもレメディウス自身に神秘を纏わない、もしくは生物と接触していない物質を量子分解し、更にBランクの対魔力を持つ結界を発生・随伴させる優れた防御力を与えている。
  更にレメディウスならば数法系を始めとする高位咒式を多重展開することも可能だったが、こちらの機能は現在、禍つ式の制御式の書き換えで咒弾を使い果たしているために使用不可となっている。


咒式
  量子世界の基本単位である、作用量子(プランク)定数hを操作し、森羅万象を生み出す力、咒力。これを操り、組成式を書き出し、人工的にプランク密度を作り出して基本物理定数を変異させることで特定の事象を引き起こす術を咒式と呼ぶ。
  咒式によって生み出される現象は全て実在する化学現象であり、科学化された魔法とも、魔法の域に達した科学とも称される。ムーンセルには、独自の体系で発展した魔術として分類されている。
  人間がこの力を扱う場合は、レメディウス級の高位咒式士でも魔杖剣などの咒式具と呼ばれる専用の器具による補助と、触媒となる消耗品の咒弾が必要不可欠となるが、禍つ式を初めとする〈異貌のものども〉は、一部の特異体質者と同様に、咒式具なしでの咒式の発動を可能とする。


  ・超定理系第七階位咒式弾頭〈六道厄忌魂疫狂宴(アヴァ・ドーン)〉
    レメディウスの咒式研究を元に開発されたジェルネ条約違反の準戦略級咒式弾頭。
    結界内に次元の穴を開き、疫病を司る〈疫鬼〉と呼ばれる禍つ式を大量に顕現させ、効果範囲内のあらゆる生物を死滅させることを目的に開発された最悪の大量虐殺兵器。
    結界内の全てが次元の穴となっているため、少なくともその内部においてはあらゆる遮蔽物を無為化し、取り込まれた生物を確実に死に至らしめる。
    更に発動が続く間は疫鬼は現界し続け、結界外にまでその殺戮範囲を膨張し続ける災厄と化す。

    疫鬼よりも遥かに強大な神秘の塊であるサーヴァントには結界内であろうとその殺傷力も通用しないが、生きた人間であるマスターがその作用を受ければまず死を免れない。
    更に、次元の穴を開いている間に組成式に術者が張り付き干渉することで、接続した位相空間から疫鬼以外の禍つ式、レメディウスですら召喚困難な伯爵級以上の大禍つ式を呼び込むことも可能と目されている。

    作中では直径六百メルトル(=メートル)を効果範囲として起動されたが、発動前に弾頭の計算式を調整すれば、最低でもその十倍にまで次元の穴を拡大することができる。
    レメディウスや五〇〇番前後級の大禍つ式でも数十人の咒式士という生贄と、専用の咒式弾頭があって初めて発動可能となる超咒式だが、エリダナでの暗躍の結果、既に一発分はその条件が満たされている。
    しかし発動前に弾頭を破壊されたり、展開した結界の全てを攻撃範囲に含む大規模攻撃に晒される等の妨害や、場合によっては次元の穴が開いてから禍つ式が召喚されるまでに結界の組成式をキャスターのサーヴァントに書き換えられる恐れすらあるため、その発動は慎重に慎重を期す必要がある。
    一方、サーヴァントに通用しないことから『夢幻召喚』できるマスターが多くなればその分有効性が低下するため、早期に炸裂させることが望ましい面もあり、運用の悩ましい切札となっている。


禍つ式(まがつしき)
  アルコーン。咒力を持った生命体・異貌のものどもの内、太古より悪魔や魔神と呼ばれた存在の総称。他の異貌のものどもと違い本来三次元の存在ではなく、熱的崩壊に瀕する高次元宇宙から奇跡的な確率で干渉して来る情報生命体。真性悪魔。
  一部の数法系咒式士は彼らを使い魔として呼び出すことができ、特にレメディウス程の超高位咒式士ともなれば複数の大禍つ式すら召喚可能。
  術者の咒式で予めある程度の行動を制限でき、一度召喚すれば外部から咒力(魔力)や物質を取り込むことで単独行動が可能ではあるが、本質的に人間とは根本の異なる認識しか持てないため、相互理解や忠誠心を望むことはできない。

  彼の魔術礼装の一部として、既に召喚し支配下にあった個体群が共にムーンセルに召喚されており、存在そのものが異次元に存在する咒式であるためサーヴァントの神秘にも対抗し、攻撃が有効となっている。
  しかし、記憶を取り戻してからバーサーカー召喚までの間に襲撃してきた敵サーヴァントによって、大禍つ式である〈戦の紡ぎ手〉ヤナン・ガランを含む複数体が撃破されてしまっている。
  装備が万全ならば新たな大禍つ式の召喚も可能だったが、〈六道厄忌魂疫狂宴(アヴァ・ドーン)〉の以外の咒弾を使い果たしている現状では、その最終兵器を例外とするとアムプーラの力を借りても形式番号のない名無しの下級禍つ式を少しずつ揃えて行くのが限界となるだろう。
  但し、〈六道厄忌魂疫狂宴(アヴァ・ドーン)〉の炸裂による次元の穴を固定した瞬間だけは例外で、伯爵級以上の大禍つ式すら複数追加召喚できる可能性があり、そのためこの最悪の咒式の発動が咒式弾頭の効果による敵マスターの一掃と一大戦力の拡充を兼ねた戦略の要となっている。

  現状、アムプーラ以外の下級禍つ式は大半が非力なアサシンのサーヴァントとの正面戦闘でも鎧袖一触されかねないが、個体によっては強力な干渉結界を持つためキャスタークラスのサーヴァントには幾らか消耗を強いる見込みもあり、また同様の理由から下手な魔術師では太刀打ちできない怪物でもある。


  ・〈墓の上に這う者〉秩序の第四九八式アムプーラ
   レメディウスがナジクを生贄に召喚した毒蛇が化身した、子爵級の大禍つ式(アイオーン)。これまでにレメディウスが召喚した中でも最強の禍つ式。
   左右の半身にそれぞれ石化と猛毒の中位咒式を宿し、超人的な体術と数法量子系第七階位〈軀位相換転送移(ゴアープ)〉による瞬間転移と瞬間再生の能力を持つ。
   但し、咒力を魔力の互換と見た場合、神秘の高いサーヴァントには中位咒式では効きが悪い上に対魔力で更に削減されるため効果が薄く、不死性以外の身体能力や体術も平均的なサーヴァントには劣る程度のため、単騎で敵サーヴァントを撃破することは困難。
   しかし、十数メルトル(メートル)程度の距離なら瞬間転移が可能であり、また脳と心臓を同時に潰されなければ容易に瞬間再生できるため、ある程度の防戦ならば望めなくもない独立戦力となっている。
   また余程の例外を除くと敵マスターの暗殺にも有効な駒とはなるが、長距離の転移はできないため、多くの場合目視され得る状況から仕掛けることとなる。そのためサーヴァントの妨害のみならず、『夢幻召喚』を許している場合には敵マスターからの反撃にも考慮する必要があると言える。


【能力・技能】
 到達者と言われる高位咒式士達を遥かに越え、千年を生きた長命竜や大禍つ式ら高位の〈異貌のものども〉と同等の、人間離れした演算能力と咒力を持つ。
〈異貌のものども〉である竜は幻想種である竜には及ばないが、それでも咒力を魔力の互換と見た場合、超一流とされる魔術師を越える魔力量を誇ることは疑う余地もない。
 そのためレメディウスは高ランクの防御結界を恒常的に随伴するという芸当を熟しながら、バーサーカーの最高スペックを維持して軽々と使役することができている。
 更に本来ならば確率を操作する数法系咒式の大陸有数の使い手として攻撃性能にも優れていたが、既に手持ちの咒弾を使い果たしてしまったため、現在レメディウス本人は〈内なるナリシア〉の干渉結界と〈六道厄忌魂疫狂宴(アヴァ・ドーン)〉以外の一切の咒式を使うことができなくなっている。
 結果、〈内なるナリシア〉の干渉結界と数法系咒式士として強化された脳の処理速度以外は常人程度の身体能力であり、個人レベルでの戦闘力は総合的には並の魔術師の範疇に収まっている。
 そのため、主な戦力は当面バーサーカーと手元に残った禍つ式、及びそれらが召喚する更に下級の禍つ式ら使い魔に依存することとなる。
 また先述の絶対記憶能力を有しており、チェスに似た競技であるチェルス将棋の大陸一の指し手。反政府組織を纏め上げた指揮官としての能力にも秀でている。


【マスターとしての願い】
 ウルムンの救国。そして世界を変革し、二度と悲劇を起こさせない


【方針】
 聖杯を掴む。そのために手段を選ぶつもりはない。







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最終更新:2017年03月06日 21:16