Z-ONE&ランサー◆yy7mpGr1KA
宙に浮かぶ、白いアンモナイトのような機械。
それはカプセルのようになっており、中に一人の男がいた。
「パラドックス、アポリア……逝きましたか。アンチノミー、残された君にこの世界での任務は託しましょう。
申し訳ない、私はあなたたちとは異なる道を行きます」
敗れた戦友の姿を想起し、目じりに僅かに涙を浮かべながら。
デュエルモンスターズの歴史を否定しようとした友。
古代エジプトの神に比肩する勝利をもたらす白き龍、その対となる黒き竜、ユリウス・カエサルの集めた七つの宝石の力を束ねた古代龍、神秘を覆す機械の力を極めた新世代龍、5000年に一度の戦いに目覚める赤き竜の化身。
それを束ねてもなお超えられなかった名もなきファラオ、光と闇を宿す覇王、今代最強のシグナ―。
未来世界を滅ぼした機皇帝の力もシグナ―を破るには至らず。
「あげく私はアルカディアムーブメント如き小物に追いやられることになるとは」
抑止力というものでしょうかね、などと漏らしながら。
浮かんだ機械が動き出し、屋外の開けた空間に出る。
……記憶の彼方にしかなかった栄えた街を眼下に、その都市とは似ても似つかない故郷に思いをはせながら構える。
いくつかのカードを取り出し、深呼吸。
覚悟を決め、魔力回路を励起し、詠唱を開始する。
「素に回転と共鳴」
長年駆り続けたモーメントを起動する。
かつて握りつぶしたシューティング・スター・ドラゴンを一時手にする。
……思えばこれがすべての始まりだった。
「礎に虚無(アイン)と無限(アインソフ)と無限光(アイン・ソフ・オウル)。祖には時戒める神セフィロン」
絶望の果てに手にした力、究極時械神セフィロン。
歴史を変えようとする罪人のすがる、最後の神。
「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠(ケテル)より出で、王国(マルクト)に至る22の旅路(パス)を秘められし知恵(ダアト)に」
新たな手札はアルカナフォースEXエクストラ-THE DARK RULER。
かつて世界を塗りつぶしかけたダークネスの力の欠片。
そしてそれは同時に生命樹を渡る旅、大アルカナ22枚の結晶。
「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ滅びゆく時を破却する」
五つの言の葉、五つのカード。
それに宿る力を束ねる。
…久方ぶりだ!
「―――――Anfang(クリアマインドォォォォォォォォ!)」
感じる。忌々しい、シンクロの力を…!
だが、これによって一つにするのだ。
シューティング・スター・ドラゴン。
究極時械神セフィロン。
アルカナフォースEXエクストラ-THE DARK RULER。
そして
「――――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運(デッキ)は汝の剣(カード)に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
ここで…!
「魔法カード発動!『Z-ONE』…いや、その真価を見せよ、『白紙のトランプ』よ!」
本来ならば破壊されたときに効果を発動する魔法カード。
だが、これはただのカードではない。
聖杯戦争へと至るカギ、『白紙のトランプ』に加工を施し、カードとしたものなのだ。
「その効果により、私を聖杯戦争の場へと特殊召喚!さらにサーヴァントを一体、私のもとへと特殊召喚する!」
加速する。
『遥かなる境地(クリアマインド)』に至ったこの身が異界へと飛び始めるのを感じる。
「誓いを此処に。我は終わりの始まりと成る者、我は常世総ての調律を敷く者」
だがまだだ。
この身でただ英霊を召還するだけでは、間違いなくあの男が現れる。
この体に刻まれし英雄、不動遊星が。
「トラップカード発動、『不協和音』!私はシンクロ召喚を否定する!」
これでいい。
これで奴は現れない。
『Z-ONE』により聖杯戦争へとたどり着く。
『不協和音』により不動遊星の召喚を不可能とする。
そして、『シューティング・スター・ドラゴン』、『究極時械神セフィロン』、『アルカナフォースEXエクストラ-THE DARK RULER』。
三体のレベル10のモンスターでXYZ(おわり)へと向かうのだ……!
「10の星は今重なり、新しい夜明けへと続く道へ変わるだろう。
英霊召喚!
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
そして、世界が変わる。
白一面の世界。
遥かなる境地に至った者のみがたどり着く、光速の向こう側。
そこに二つの影。
一つはZ-ONE。
もう一つは白い研究着を纏った男性のようにも、黒いカソックを着けた女性のようにも見える形を掴みがたい影。
「ほう、あなたが私のサーヴァントでしょうか?
それともサーヴァントを召還する、『座』や『演算機』の使い……?」
問いかけるが答えは返さない。
代わりに影は魔法カード『Z-ONE』を手に取り、それを手の中で『白紙のトランプ』へと戻して渡す。
それはかつて英雄、不動遊星が初めてアクセルシンクロモンスターを手にした情景と似通っていた。
「フ、なるほど。これが私のサーヴァントというわけですか」
白いカードを受け取り、影に別れを告げる。
――そしてたどり着く。戦場へ。
そこは広大な森林の中。
滅びゆく世界では久しく見ていなかった情景に感慨を覚える。
そこで間をおかず、『白紙のトランプ』が輝く。
そして召喚されるサーヴァント。
現れたのは青みがかった頭髪に黒衣の男。
年のころは10代半ばといったところか。
左目の眼帯と帯びた長剣が特徴的だ。
「サーヴァント、ランサー。召喚に従い参上した。
お前が俺のマスターだな?」
「はじめまして、ランサー。ええ、どうやら――」
ちらり、と疼きを憶えた左腕を確認し、そこに三画の令呪が輝いているのを確認。
「そのようです。拙いマスターですが、どうぞよろしく。
…顔も見せぬ無礼をご容赦いただきたい」
「いや。別段――」
ランサーもまた自らの眼帯に手をやりながら答える。
「事情があるなら気にすることでもない。顔を見せない情報屋ともやり取りはあった。
アイツに比べれば、うさん臭さはともかくうっとおしい無駄口がないだけよしだ。
口調は砕けても構わんが…それで?」
「と、言いますと?」
「儀式を行った真っ当なマスターには愚問だったか。方針としては聖杯を手にするんだな?」
「ええ、無論」
目を閉じ、ここに至るまでの苦難を想起する。
そして聖杯への思いが心中で強まるのを感じる。
「私の過ごした歴史では、モーメント、シンクロと呼ばれる技術が発達していました。
しかしそれは人の手に余るものだったのか……暴走し全人類に牙を向いたのです。
生き残ったのは私含めたった四人。それも世界中で、です」
恐らくは初めて口にするだろう、悲鳴に等しい愚痴。
仲間四人の間では互いに気遣って口にすることはまずなかった類のものだ。
「女性が一人でもいれば人類存続の希望も持てたのかもしれませんが男所帯でしてね。
…フフ、それはジョークですが。
四人で様々な試みを行いました。モーメントを否定し、機械を否定し、技術を否定し、滅びの未来の否定を。
ですが、為せなかった!時の流れに負け、同胞たちも一人、また一人とこの世を去っていく。
結論したのです。この滅びを棄却するためには時空そのものを改めなければならないと!」
「……歴史の改変。我が師の挑戦と同じか」
ランサーの目に幾ばくかの共感のようなものが浮かぶ。
「極めて困難なプランです。すでに機械人間として復活した我が友、アポリア、、パラドックスは敗れ残されたのはアンチノミーただ一人。
私のもとにも過去の人間の妨害が介入し、成功の算段は極めて低い状況になってしまいました。
ですから私はこの聖杯戦争に挑むのです。彼らの手で世界の救済がならぬのなら、私が聖杯によってモーメントを抹消する!」
「…自らの意思で考え、抗い、行動する。いい生き様だ。名を聞こう、マスター」
正面に向かい合うサーヴァントの問いに僅かに逡巡する。
魔術的な契約において名前というのは重要な意味を持つ。
今の自分が答えるべき名は何かというと
「Z-ONEと呼んでください……それ以前の名は、すでに意味を持たなくなって久しい。
しかし、聞き間違いでなければあなたはランサーと?それは剣のようですが」
「ああ、これか。槍が望みか?なら出してやろう」
剣を一振りすると、瞬く間にそれは槍へと姿を変えた。
「ついでに鎌にもできるぞ」
くるりと手の内で回し、宣言通り鎌へと転じる。
「ほう、なんとも面白い。それがあなたが振るった宝具の特性ですか」
「……生前はこうではなかったのだがな。
英霊というのは、信仰によって多少なり歪むものだ。風評被害で吸血鬼扱いされたり、信仰からあるはずのない武装や部下が増えたりな。
これの本来の形は『楔』なのだ。それを本来の俺の宝具として型落ちして再現させている」
剣。槍。鎌。
それらを扱い、楔に所縁のある英霊……?
「白木の杭、と言えば伝わるか?不死種を封じる『螺旋の塔』、それが俺の『槍』として再現された。
本来この塔の所有者は俺ではないオレなのだが、英霊の妙だな。お前の――」
Z-ONEの乗る機械を指さして続ける。
「その、螺旋の力に引かれたようだ。おかげで本来ならせいぜい二つしか扱えない武装の選択肢が増した。狙ったならいい判断だ」
螺旋の力。モーメント。
忌々しく思う力による影響と聞かされ顔をしかめるZ-ONEだが、それでも戦力が増すならばと不満を呑み込む。
呼吸を整え、話を続けようとするが
「それだけじゃなさそうだぜ、サ…ランサー」
みゃお、と鳴き声を上げるとともに黒い猫のようなものが新たに現れ語りだす。
「こいつはネロ。俺の宝具であり、半身のようなものだ。で、何の話だ?」
新たに宝具を開帳する。
ネロ。
バビロニアの赤き竜、その由来とされる暴君と同名のそれを、噂に聞くカードの精霊に近いものかと推察する。
「なにやらこの聖杯戦争きな臭い。その楔、大本の抑止力がお前に持っていかせたのかもしれないぜ。
ポリドリなんか目じゃないイモータルがいるかもしれねえ」
「……まあ、理由なんかどうでもいいさ。敵がいるなら斬るだけだ」
鎌を象っていた楔を、剣へと再度転じる。
やはりこれがしっくりくるな、と呟きながら。
「…さて、前置きが長くなった。お前が名を捨てたものであるように、俺もまた過去を捨てた男だ。
以前はサルタナという人間だったが、今の俺はヴァンパイアハンター、黒衣の剣士『サバタ』だ。
かつての英霊の名を騙った故か、その英霊と同一の宝具まで持つにいたったペテン師さ。
だが安心しろ。不死種もサーヴァントも、死にぞこないを狩る腕なら俺も英霊級だ。
命を懸けて、共に奴らを狩りに行こうじゃないか。Z-ONE!」
【クラス】
ランサー
【真名】
サバタ(サルタナ)@ボクらの太陽 Django&Sabata
【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷C+ 魔力A 幸運D 宝具A++
【属性】
中立・善
【クラススキル】
対魔力:B+
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
またその体質から魔術も含め、あらゆる体系の呪いの類に対しては一切を無効化する。
【保有スキル】
死徒:E++
人ならざるモノ、ヴァンパイアと呼ばれる吸血種。
とある死徒との闘争に敗れ瀕死となった際にガイアの代行者、『星霊獣』ペローの力の一部を引きはがすことで吸血鬼化し復活した。
その際に獲得したスキル。
その進行は不完全であり、完全な死徒にはなっていないため低ランク。
しかしガイアの代行者の直系であり、真祖の継子に匹敵する強力な死徒である。
使い魔の使役など多くの吸血鬼が持つ能力は少ないが、かわりに太陽光や流水などの弱点も持たない。
持ちえる能力は不老の肉体、月光下での魔力回復速度の大幅な向上、高位の呪いへの耐性。
後述の宝具と一体化することでプラス補正が発生する。
星雲の航海者:B
星の生命意思、ガイアの代行者と共に惑星外の存在と戦ったものに与えられる特殊スキル。
霊長の殺戮者や吸血種など生命種を害する存在に対し有利な補正を得る。
また同ランクの騎乗も内包する。
太陽の意思:C-
勇猛に近似するスキル。
師やその仲間のようにいつも心に太陽を宿すが、愛する女性の危機に激情に囚われ、自暴自棄な戦いの果てに吸血鬼となったためランクダウンしている。
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する。
また、不死殺しの武装によるダメージを向上させる効果もある。
無貌の武勲:A
異なる英雄の名を借り、数多の武勲を立てた者の持つスキル。後述の宝具を保有する一因ともなっている。
サルタナは暗黒少年サバタの名を借り、その名をより轟かせた。
さらに極めて近似した来歴、能力、在り方に一部では本人と同一視されている。
対峙した者が獲得した容姿、能力などの情報はそのままに認識のみを異なる英雄――彼の場合『暗黒少年サバタ』――に結びつけ、サルタナに結びつけるのが難しくなる、情報抹消に近似するスキル。
当然だが、サルタナ、あるいはサバタの事を知るものにこのスキルは効果を発揮しない。
【宝具】
『星の意思の欠片、暗き猫を象り(ネロ)』
ランク:A+ 種別:― レンジ:― 最大捕捉:―
ガイアの代行者。
現象が形になった精霊に近く、闇を司る星霊獣と呼ばれる。
バビロンの大淫婦が従える黙示録の獣、あるいは赤き竜と呼ばれる幻獣種、その一部の名を冠する。
元となった星霊獣の力の欠片であるため、本来のものよりランクダウンしている。
この宝具によってサルタナは吸血鬼と化しており、一蓮托生ともいえる関係。
平常時は黒猫の姿をしており、戦闘力は極めて低いサポート用の宝具。
サルタナの持つ武器に虚数属性の魔力を帯びさせ、威力を1ランク向上させることができる。
サルタナと合身することでスキル:吸血鬼のランクを向上させ、Cランク相当のスキル:魔力放出(虚数)を取得。
全パラメータが1ランク向上し、吸血による体力・魔力の回復が可能となる。
魔力放出(虚数)により自身の周囲に魔力を放ち、攻撃手段とすることも。
かつてはギジタイという天候操作プログラムに干渉し、日の光を遮ることも可能としたが、サーヴァントと化したことでそこまでの再現には至っていない。
『最果てにて輝ける螺旋の塔(バベルタワー・イン・サンミゲル)』
ランク:A++ 種別:対魔宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
地上に降りた不死種イモータル、あるいは原初の一の亜種、原種の欠片を封じるための戒めの槍。
布状の人間世界を星に縫い止めている楔でもあり、同様の機能を備えた宝具は他の神話にも存在する。
本来の形は11の階層が地上に伸びる太陽の塔と暗黒の塔、地下に5つの階層を突き立てた月の塔で形成される巨大な螺旋の塔。
三つの一族の三つの力が螺旋し束ねられた強大な楔であり、月下美人と呼ばれる巫女の一族が代々保有する宝具である。
三つの塔が螺旋を描き、巨大な力を束ねることで、強大な存在を世界に繋ぎ止めるその在り方はかつてバビロンに存在した『乖離剣』や『天の鎖』に近い。
正統なる最後の保有者はマーニという月下美人で、非公式にはマーニの息子、暗黒少年サバタが不完全ながら月下美人の跡を継ぎ後に保有者となっている。
しかし正統なる月下美人マーニは最期に姉と同化し、完全なる不死種へと『先祖還り』を起こしてしまう。
さらにその後を継いだ月下美人サバタも原種の欠片そのものと化してしまう……怪物を封じる槍を持つものが、封じられるべき怪物となってしまう矛盾。
サバタの名を借りたサルタナの魂の形が極めてサバタのそれに近似していた運命。
矛盾が螺旋し、運命が流転し、『暗黒少年サバタ』に代わって『黒衣の剣士サバタ』がこの宝具の最後の所有者としてガイアに記憶された。
そのためサルタナはこの宝具を保有するが、正統なる保有者ではないため本来の力を発揮はできない。
かつて振るった武器…螺旋の塔と同じく『楔』としての力を持ち、月光仔に作り出された同一の起源をもつ『暗黒の武器(ダークマター)』として再現している。
なおネロと合身し、スキル:死徒のランクが向上している間は不死種を封じるこの宝具を用いることはできない。
『破壊の獣が牙をむく(ヴァナルガンド)』
レンジ:1~30 最大捕捉:300人
螺旋の塔の力の一部を利用し、再現する宝具。
月面の都市、まほろばにおいて原種の欠片に突き立てられ、封じている楔でもあった剣。
多くの不死種を殺めたヴァンパイアハンター・サバタの愛刀であり、黒衣の剣士の異名のもととなった武具。
暗黒の武器(ダークマター)と呼ばれる逸品で、吸血鬼に準ずる存在以外扱うことはできない。
破壊の獣と恐れられた原種の欠片、絶対存在(エターナル)、『破壊の獣(ヴァナルガンド)』の力を宿す剣。
原種の欠片、ヴァナルガンドとはかつて『混血』の一族月光仔が月面に封じた『真祖』、『原初の一』の亜種であり、『魔』なるものの大敵であったといえる。
『混血』という魔なるものが、『破壊の獣』という魔なるものを用いて、『不死種(イモータル)』という魔なるものを滅ぼし、封じるため生み出した、神造兵器ならぬ魔造兵器。
魔獣殺し・不死殺しの概念を持つ。
さらに真名開放により、ヴァナルガンドの放った破壊光線を放つことが可能となっている。
これは座に引き上げられた英霊と同様に、宝具も全盛の力を発揮し、人の手では引き出しきれなかった本来の破壊の獣の力に近づいたこと。
そして破壊の獣と同一の存在と化していた英霊、暗黒少年サバタの名を借りてサルタナが長きにわたり闘い続け、様々な不死種から『サバタ』として恐れられたこと。
なによりサバタとサルタナの魂の形が近似していたために、英霊と化して初めて可能となった、堕ちた幻想(フォールン・ファンタズム)。
『終末の獣の咆哮(ヨルムンガンド)』
レンジ:2~4 最大捕捉:4人
螺旋の塔の力の一部を利用し、再現する宝具。
原種の欠片を封じる螺旋の塔の地下、かつて火の国ムスペルヘイムと呼ばれた地、変異域において原種の欠片に突き立てられ封じている楔でもあった槍。
多くの不死種を殺めたヴァンパイアハンター・サバタの愛槍。
暗黒の武器(ダークマター)と呼ばれる逸品で、吸血鬼に準ずる存在以外扱うことはできない。
破壊の獣と恐れられた原種の欠片、絶対存在(エターナル)、『終末の獣(ヨルムンガンド)』の力を宿す槍。
原種の欠片、ヨルムンガンドとはかつて『混血』の一族月光仔が月面に封じた『真祖』、『原初の一』の亜種であり、『魔』なるものの大敵であったといえる。
『混血』という魔なるものが、『終末の獣』という魔なるものを用いて、『不死種(イモータル)』という魔なるものを滅ぼし、封じるため生み出した、神造兵器ならぬ魔造兵器。
魔獣殺し・不死殺しの概念を持ち、装備中は敏捷が1ランク向上する。
また魔力をジェットのように噴射することができ、それによる高速移動や刺突の加速などが可能。
『死の国の女王の裁定(ヘル)』
レンジ:2~10 最大捕捉:50人
螺旋の塔の力の一部を利用し、再現する宝具。
かつて二ヴルヘイムと呼ばれた地、永久凍土にある、死の国ヘルヘイムに至る洞窟グニパヘリルを閉ざす楔でもあった鎌。
多くの不死種を殺めたヴァンパイアハンター・サバタの愛鎌。
暗黒の武器(ダークマター)と呼ばれる逸品で、吸血鬼に準ずる存在以外扱うことはできない。
不死種(イモータル)の中でもクイーン・オブ・イモータルと謳われ、恐れられた月光仔にして銀河意思ダークの使い、ヘルの力を宿す鎌。
月光仔の特性、慈愛と狂気のうち狂気の面が強く顕現したヘルは『先祖還り』し、完全にイモータル化した、言うなれば堕ちた月下美人といえる。
『混血』という魔なるものが、『死の国の女王』という魔なるものを用いて、『不死種(イモータル)』という魔なるものを滅ぼし、封じるため生み出した、神造兵器ならぬ魔造兵器。
魔獣殺し・不死殺しの概念を持つ。
また魔力の噴射によって高速旋回、それに伴う攻撃が可能。
さらに真名開放により、ヘルが放った一掃攻撃を放つことが可能となっている。ただし不完全な死徒であり、暗黒物質を十分に宿さないサルタナでは即死付与はできず、強力な範囲攻撃に過ぎない。
これは座に引き上げられた英霊と同様に、宝具も全盛の力を発揮し、人の手では引き出しきれなかった本来の『死の国の女王(クイーン・オブ・イモータル)』の力に近づいたこと。
ヘルと同一化してしまった月下美人マーニもまた螺旋の塔の保有者の一人であったこと。
マーニの実子であり、彼女から力を託された存在が『サバタ』であったこと。
故に英霊と化して初めて可能となった、堕ちた幻想(フォールン・ファンタズム)。
【weapon】
生前愛用した盾。
宝具には劣るがそれでもサルタナの長い戦歴を支えた逸品である。
プロトタイプの棺桶スーツというボディアーマー。
サルタナには無意味だが、死徒が纏えば陽光への耐性を持つことができる。
それ抜きでも優秀な防具である。
闇の星霊獣ネロの加護を受けたブーツ。
月の光が強いほどに敵に与えるダメージに上昇補正がかかる。
【人物背景】
星々の間を多種多様な文明が行き交う「星紀末世界」。
伝承の時代より人々を脅かす存在であり続けたヴァンパイアと呼ばれる死徒の一派は銀河意思より新たな力を得る。
その時代のガイアの代行者は一枚岩ではなくなっており、地上生命存続のためには死徒の家畜として生きる道も考慮し、ガイアの代行者『星霊獣』ペローは死徒に味方していた。
サルタナはその星紀末世界において高名なヴァンパイアハンターである。
伝説の戦士、太陽少年ジャンゴを封印した、破壊の王を自称する不死種ラタトスク、それに抗うギルドのエースとして活躍。
太陽銃ボマーを扱い、『擢弾兵(グレネーダー)』の異名をとる銃士として恐れられた。
しかしある時、サルタナの愛する女性、エレンがヴァンパイアにさらわれてしまう。
それを助けるために仲間の制止も振り切り単身で敵陣へと乗り込む。
多勢に無勢では勝ち目なく、あえなく敗北、致命傷を負う。
……サルタナに舞い降りた助けは二つ。
一つは所属するギルドのリーダーにして師匠トリニティ。二つ目はガイアの代行者。
エレンを攫ったヴァンパイア、デュマに味方した『星霊獣』ペローの一部を引きはがし、別の『星霊獣』ネロとして独立させ、それを通じて『世界』と契約。
抑止力のバックアップを受けて傷を癒し、命を拾うことに成功する。
しかし抑止力は不死種と生命種、いずれにも味方していたためか契約のみでは完全な英雄たり得ず、撤退を余儀なくされる。
さらに命を拾った対価として記憶の一部を失い、片目は完全に死徒と化して赤く染まり、そのうえジャンゴとリンゴ、二人の遺志を継いだ、『時駆ける戦士』トリニティも命を落としてしまう。
記憶も失ったサルタナは戻る地も自身の名も忘れて彷徨い、銀河意思により滅ぼされた異星の民、アリスと出会う。
アリスに吸血鬼殺しの武装としてヴァナルガンド、ラプラスを、在り方として伝説の吸血鬼殺し『サバタ』の名を与えられ、以後ひたすらにヴァンパイアを殺し続ける。
7年後、その仇らしき噂を聞きつけ、闘争に赴く。
仇にたどり着く過程でかつて所属したギルドの同胞や後輩、師トリニティとエレンの忘れ形見『新たなる太陽少年』ジャンゴなどと出会い、ともに『辺境伯』『子爵』『男爵』などの大物ヴァンパイアを仕留める。
記憶を失い、半ば死徒と化して年齢も16歳当時で止まったサバタにかつての仲間もなかなかそうとは気づかなかったが、ジャンゴたちと触れ合ううちに少しずつ記憶を取り戻していく。
そして『終末の獣』の名を冠する槍や、『死の国の女王』の名を冠する鎌などの暗黒の武器(ダークマター)など自身の戦力も増強。
ついには仇であるデュマにも勝利するが、そこで銀河意思のダークの使い、イモータル・ポリドリが本格的に動く。
星の生命種も不死種もすべて管理下におこうとするポリドリとの決戦、それに仲間とともに辛うじて勝利。
以後は終生、銀河意思の使い、地球外の吸血種や不死種との闘争に明け暮れた。そして没後はガイアとの契約により、ガイアの抑止力たる『救世主』となる。
人類史を否定する死徒に類する存在であるが、抑止力の後押しを受け――どころか抑止力の具現たる精霊を行使し――人類史を肯定する英霊にまで至った存在。
ライダーとして現界すれば『棺桶ロケット』と数多のガイアの獣こと星霊獣を従え、バーサーカーとして現界すれば月の星霊獣の力を強く受け、より強力な死徒となる。
本来はセイバーとしての適性が最も高く、『楔』を扱うランサーとして召喚されることはまずないのだが……
今回召喚されたのはZ-ONEとの近似性によるものが大きい。
英霊の名を借り己が名を捨てた存在であること、時をかける存在との繋がり、超常の科学、なにより滅びゆく世界を救わんとする願いが縁となった。
さらにZ-ONEの工房、アーク・クレイドルが『螺旋(モーメント)』の力を原動力に『赤き竜』を封じるある種の螺旋の塔であったことがランサーとして現れた原因と思われる。
――あるいは抑止力の顕現として、強大な不死種を封じるために『楔』と共に現れたのかもしれない。
【サーヴァントの願い】
なし。
世界との契約により抑止力となった彼は望んで聖杯戦争に挑むことはない。
――すでに愛する女性との再会も叶ったのだから。
強いて言うならば人類の滅びを止める、英雄としての在り方が願いになるか。
【基本戦術、方針、運用法】
剣、槍、鎌、死徒化による柔軟な近接戦を得意とする。
敏捷の向上と魔力の噴出で素早い対応が可能な槍、取り回しに勝手が利く剣、攻撃範囲の広い鎌、武器を捨てての戦いとなる死徒化を使い分ける。
間合いの対応に優れ、死徒としての高い回復能力も持ち、宝具の打合いにもビームで対抗可能。
不死種退治を生業としたため、化け物や格上との闘いの経験も豊富。
それなりのスペックに加えて、スキルと宝具の特性上不死種やそれに類する相手には極めて強いサーヴァントとなる。
ただし遠距離戦への攻撃手段がヴァナルガンドの真名解放くらいしかない。
乗機や銃器の扱いの経験はあるため、何らかの形で装備を整えれば対抗できなくはないが……
生前は背中を預ける銃士の相棒がいたため、そうした相手を見つけることも考えるべき。
近距離および不死種に強く、遠距離に弱い。相性の出やすいサーヴァントと言えるだろう。
【マスター】
Z-ONE@遊戯王5D's
【参加方法】
魔法カード「Z-ONE」は白紙のトランプを加工してつくられたカードだった。
【マスターとしての願い】
モーメントとシンクロ召喚を歴史から消し去り、滅びの未来を救済する。
【令呪】
左腕。
不動遊星の保持した赤き竜の痣、ドラゴンヘッドに極めて近似する。
上顎で一画、下顎で二画、目で三画。
……よく見るとセフィロトの樹が折れ、歪んで成り立っている。
【weapon】
Z-ONEのいた世界の英雄、不動遊星が駆ったD-ホイールを模したもの。
オリジナルと同様の動力源を持ち、さらに手を加えて空を飛ぶこともできるようになっている。
なおD-ホイール内には特殊なデュエルディスクが仕込まれており、それによってレッド・ポーションなどのライフゲインカードを発動し、少ない余命を繋いでいる。
文字通り彼の命綱。
移動手段であり、武装であり、生命維持装置。
一応通常のデュエルに用いることも可能。使用デッキは時戒神。
【能力・技能】
優れた科学者。
自らに英雄、不動遊星の記憶と能力の一部を転写するという疑似降霊。
死した同胞と寸分たがわぬ記憶と能力を持つ『人形』の作成。
自らと同胞を過去へと送る時間遡行。
科学技術のみで高度な魔術はおろか、第二魔法の片鱗まで実現する。
さらに不動遊星の記憶と能力の一部を受け継いだことで眠っていた魔術回路が引き起こされ、強力なウィザードとなっている。
『限界打ち破る新たなる境地(トップ・クリアマインド)』や『絆を繋ぐさらなる境地(オーバー・トップ・クリアマインド)』の発現にまでは至っていないが、『遥かなる境地(クリアマインド)』までは習得しており、発動することで瞬間的な魔力供給量を増やすことができる。
またデュエリストとしての技能もコピーしており、有史、並行世界でも上位に入る使い手である。
【人物背景】
『モーメント』と呼ばれるエネルギー、およびそれにより稼働する機械の暴走により人類は滅亡の危機に瀕していた。
僅かに生き残った人々も絶望し、身勝手に振る舞い世界は荒んでいく一方。
そんな世界に希望を灯そうと動いた一人の科学者がいた。
彼はかつてデュエルを通じて世界に希望を届けていた英雄、不動遊星の様々なデータを自らに移して性格・姿・人格その全てを不動遊星と化し、人々に正しい心を持ち欲望を捨てる事を説き世界を救おうとした。
実際に効果は現れ彼自身もそれに希望を抱きつつあった。
しかしモーメントの暴走はもはや取り返しのつかないところまできており、彼と共にいた人々も暴走する機械に命を絶たれてしまう。
結果、人々を助けられなかった『不動遊星(おのれ)』に絶望。
一人の科学者としての自我を捨て『不動遊星』となった男は『不動遊星』でもなくなってしまう。
その後、滅亡した未来で同じく生き残った3人の人間と出会う。
それ故か彼らはとても強い絆で結ばれており、確固たる信念のもとに4人は破滅した未来を救うべく、歴史の改変を試みた。
気が遠くなるほどの永い時間をかけ、「人類滅亡に立ち会った生き残り」として未来へ希望をもたらすべく仲間達と共に様々な研究・改変を進めていたが、研究成果はことごとく実らない。
それどころか彼自身にとっても大きな支えであった同志達にも次々と老衰で先立たれ、ついに彼は世界でただ一人の最後の人類となってしまう。
Zはアルファベットの最後、つまり人類最後、ONEは 一人。
転じて Z-ONEとは「人類最後の生き残り」という意味合いがある。
仲間達の死に伴い彼自身も底知れない絶望に支配され、希望というものを頑なに否定するようになる。
その結果「未来を救うには人類破滅の原因となったモーメントを歴史から抹殺するしかない」という苦渋の決断を下さざるを得なくなってしまった。
そして死した同胞の記憶と能力をコピーしたロボットを作り、様々な形で過去に送り歴史改変を試みる。
Z-ONE自身も過去へと向かい、モーメントを破壊に向かう。
しかし同胞たちは不動雄星の一派に破れ、自らのもとにも別の敵が現れる。
その時点で彼はスペアプランに方針を変更、ネオ童実野シティから撤退し『白紙のトランプ』を手にあらざる歴史、聖杯戦争へと臨む。
海外版の放映シナリオ、ディヴァインとアルカディアムーブメントに歴史改変を阻止された時系列をベースに、その後の予備案として聖杯戦争に参加したのがこのZ-ONEの時系列である。
【方針】
聖杯狙い。
滅びの未来の回避のため、多少の犠牲はいとわない。
サバタも、望んで殺戮を行うほど悪辣ではないが、その方針に異を唱えるほど甘くはない。
最終更新:2016年11月24日 23:18