真紅&セイバー◆wFkyuCOTbQ
アメリカ西部に位置する都市、スノーフィールド。
その中心部から離れた西部の森林地帯にささやかな屋敷が立っている。
その屋敷の主人は偏屈者であり、人と関わるよりも様々な国から骨董品を集める事こそを至上の喜びとする収集狂(コレクター)の類であった。
朝は紅茶を、夜は酒類を嗜み、貴重品に囲まれて暮らし、
さらに金の無駄だと使用人も雇わず、収集の為に何か月も家を空ける、言ってしまえば不用心極まる社会不適合者としてそのNPCは設定されていた。
その設定の通りに、かの屋敷は今現在無人である。
それでも今まで空き巣の類が近寄る事が無かったのを鑑みると、屋敷の主人の考えはあながち的外れではなかったのかもしれない。
「あのな、マスター。言っておくがオレは沸点がそこまで高い方じゃない」
そんな無人であるはずの屋敷、その二階のバルコニーで向かい合って座る二人の少女。
無論、空き巣や強盗などの下賤な輩ではない。
「お茶を淹れるのも騎士の嗜みでしょう?セイバー」
「百万歩譲ってそうだとしても、オレがいれなくても良いだろうがよ……」
通常の椅子にクッションを乗せて座り、優雅にティーカップを傾けるゴシックドレスの少女。
それに不満を漏らすのは腹部を晒したチューブトップの上から赤のレザージャケットを羽織り、ホットパンツ姿の少女。
金髪に赤を基調とした服装等、容姿は似通っているが雰囲気はお嬢様と不良少女と言うこれ以上なく不揃いな二人である。
「仕方ないでしょう、ここにはあなたと私の二人だけしかいないのだから
まったく、偶然nのフィールドで真っ新なトランプを見つけたと思ったら、こんな所に連れてこられて、せめてのりが居ればもっと美味しいお茶を……」
「んなもんは小間使い一人用意せずに異国に行くこの屋敷の主人に言え」
そう言いながら、セイバーと呼ばれた少女は三白眼で自身のマスターを見る。
まさかこんなマスターを宛がわれるとは予想だにしていなかった。
叛逆の騎士たる自分が、人間ですらない人形に呼ばれるなど。
究極の少女(アリス)を目指す少女人形。誇り高き薔薇乙女(ローゼンメイデン)第五ドール・真紅。
それが己のマスターの名であるとセイバーは彼女から聞いていた。
「貴方だって、この屋敷のお金を勝手に使って食べてるでしょう
それは私も食べてるから良いとして、その上にウィスキーやワインだって好き勝手に飲んでるじゃないの
だったら主のお茶くらい用意しても良いとは思わない?」
セイバーは真紅の返答に難しい顔をする。
サーヴァントには本来魔力供給が十分になされていれば食事や睡眠は必要ない。
そして存在自体が怪奇現象もとい神秘の塊の様な存在である真紅は十分な魔力をセイバーに提供していた。
にもかかわらず、セイバーは好奇心から勝手に屋敷の主人のお金を使ってデリバリーを頼んで飲み食いしていた。
しかし、だからといってマスターのお茶くみする必要はないはずだ。
「美味しい淹れ方を教えてあげるから、そう怒らないで欲しいわね
お茶をうまく淹れられる王様が居たっていいと思うのだわ」
「…考えといてやる、それよりもだ」
食い下がる真紅にそっけなくそう言って頭を掻いた後、セイバーは本題に移る。
どうでもいい紅茶の事よりも余程重大な事だ。
「マスター。お前はオレと会ったとき言ってた究極の少女(アリス)とやらになることが
聖杯にかける願いって事でいいのか?」
その言葉に微妙な顔をする真紅。
どういう事だと問うと、静かに彼女は口を開いた。
「一点の穢れも無い少女をお父様は欲した、それに私たち姉妹は答えられなかった
お父様は私達を決して認めて下さらず、ただ悲しんだ
だから私は、ドールズはお父様に愛されるために、アリスになるためにローザミスティカを奪い合う事を選んだ」
「父上、ね」
「一番上の性悪な姉が言っていたわね。私達は絶望するために生まれてきたのかもしれない、と」
自嘲気味に言う真紅の小さな顔は、儚げだった。
その後も彼女は語る、自分が行ってきたアリス・ゲームの概要を。
七人の姉妹が揃い生まれた時から課せられた残酷な戦いを。
そしてひとしきり語り終わると、でも、と真紅は言う。
「私は必ず私なりのやり方で、アリス・ゲームは終わらせて見せる」
「………そうか」
力強い眼光で真紅はそう締めくくった。
今まで黙って話を聞いていたセイバーは短く答えた後に天井を仰ぎ、少し考え返答する。
「よし、オレのマスターの願いとしては及第点をくれてやる。
狙う相手もお前の望む通り、サーヴァントに絞ろう。精々任せておけ」
先ほどまでの研ぎ澄まされたナイフの様な雰囲気とは打って変わった様な譲歩だった。
気にはなったが、真紅は敢えて問わなかった。
モードレッド。騎士王にただ一人叛逆した円卓の騎士。
きっと『お父様』の下りが彼女の琴線に触れる何かがあったのだろう。
「ありがとう。セイバー…いいえモードレッド。あなたも、現れた時に言っていた願いを叶えられるといいわね」
「無論だ。オレは聖杯を獲り、必ず選定の剣に挑戦する」
どこまでも自信満々に言い切るサーヴァントに真紅は笑みをこぼす。
そして、笑みを浮かべたまま椅子からぴょんと飛び降りるとセイバーの手を取った。
「それじゃあまずマスターとして紅茶の淹れ方を教えるから来なさい」
「まだ言ってんのかよ」
真紅の頭上でセイバーはくさしていたが、先ほどまでとは違い呆れ半分で承諾していた。
何だかんだ手を引かれキッチンへと向かっているのがその証左と言えるだろう。
手を引きながら、真紅は考える。
(仮に聖杯戦争に勝ちぬいて聖杯に願ったとして、アリスゲームは終わるのかしら)
セイバーの手前聖杯に願うことそのものを否定するのは憚られたが、聖杯で願いを叶えたとしてそれで水銀燈は納得するのだろうか。するわけがない。
欠落するのは、ジャンクになるのは前ほど怖くは無い、それよりも己のやり方を貫き通せない方が、神聖なアリスゲームが穢れる方が今の彼女には怖かった。
しかし、それでも姉妹全員そろってアリスゲームを終わらせられるかもしれないと言う選択肢は余りにも真紅にとって甘美な誘惑だった。
故に僅かに迷う。迷いながらも見極めなければならない、この聖杯戦争そのものを。
僅かな迷いさえ振り切れられるように。
(どう転ぼうと…絶対に帰るから、待っていて、ジュン)
闘うのは怖くは無い。
だって彼女たちにとって、生きる事とは闘う事だから。
✝
運命の螺旋を回すための螺子は今ここに刺され、二人の少女は出会いを果たした。
さて、後は―――――
巻きますか?巻きませんか?
【クラス】
セイバー
【真名】
モードレッド
【属性】
混沌・中庸
【ステータス】
筋力B+ 耐久A 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具A
【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
【保有スキル】
直感:B
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
また、視覚・聴覚への妨害を半減させる効果を持つ。
魔力放出:A
武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。
いわば魔力によるジェット噴射。
絶大な能力向上を得られる反面、魔力消費は通常の比ではないため、非常に燃費が悪くなる。
戦闘続行:B
名称通り戦闘を続行する為の能力。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
「往生際の悪さ」あるいは「生還能力」と表現される。
カリスマ:C-
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
モードレッドのカリスマは国家運営をできる程のレベルではないが、体制に反抗する際にその真価を発揮する。
【宝具】
『燦然と輝く王剣(クラレント)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
アーサー王の武器庫に保管されていた、「如何なる銀より眩い」と称えられる白銀の剣。
王の威光を増幅する機能、具体的には身体ステータスの1ランク上昇やカリスマ付与などの効果を持っている。
しかし、モードレッドはこの剣を叛乱を起こした際に強奪した為に、王として認められているわけではない。
その為にランクは本来のBからCへと低下し、各種ボーナスも機能をしていない。
『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:800人
「燦然と輝く王剣」の全力を解放した形態。
この剣は王ではないモードレッドが手にしても本来の機能を発揮しないが、その増幅機能そのものは生きている。
これを利用し、彼女の父への憎悪を魔力という形で剣に叩き込み、増幅させて赤雷として撃ち放つのがこの宝具である。
真名解放時には剣を構えた彼女を中心にした一帯が血に染まり、白銀の剣も邪剣へと変貌する。
『不貞隠しの兜(シークレット・オブ・ペディグリー)』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:0 最大捕捉:1人
モードレッドの顔を隠している兜。
真名及び宝具や固有スキルといった重要な情報を隠蔽する効果があり、マスターであっても兜をかぶっている間は見ることができない。
また、戦闘終了後も使用していた能力・手にした剣の意匠を敵が想起するのを阻害する効果を持っている。
ただし、ステータスやクラス別スキルといった汎用的な情報までは隠せない他、この宝具の使用中は我が麗しき父への叛逆を使用できない。
この兜は鎧とセットの状態で『脱いだ』時に初めてステータス情報が開示される。
その為、鎧を外して現世の衣類を身につけていても、武器を手にしていなければ兜がなくても隠蔽効果が継続する。
単純な防御性能も高く、物理的な攻撃に対する強度はもちろん、魔術や毒などに対しても一定の防御を発揮できる。
【weapon】
燦然と輝く王剣を用いた、実戦的な剣術。
【サーヴァントとしての願い】
選定の剣に挑戦する。
【人物背景】
円卓の騎士の一人にして、父であるアーサー王に反旗を翻した「叛逆の騎士」。
【マスター】
真紅@ローゼンメイデン(漫画版)
【マスターとしての願い】
アリスゲームを終わらせる……?
【weapon】
『薔薇の尾(ローズテイル)』
硬質化させた大量の薔薇を発射する。
『杖』
【能力・技能】
前述の薔薇の力だけではなく、パンチも強い。
【人物背景】
家を空けがちな資産家が収集したアンティークというロールで連れてこられた。
漫画版第一期より参戦。
【方針】
聖杯狙いを装いつつ、この聖杯戦争の真意を見極める。
最終更新:2017年01月27日 02:56