遊城十代&バーサーカー◆yaJDyrluOY


「じゃあな、遊星! ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」
「ええ、十代さん、またどこかで会いましょう」

 パラドックスとの死闘を終え、十代は遊星の赤き竜の力で現代へと帰還を果たした。
 最初に十代と出会った場所、つまりこの時代において十代がパラドックスと決闘した場所だが、今は破壊の跡も崩壊した建物も綺麗に治っていた。
 十代と別れの言葉を交わした遊星は、そのままD➗ホイールに乗って彼の時代へと帰っていく。
 それを見送る十代の表情は晴れ晴れとしたもので、明るい未来を信じる者の顔だった。

『遊星くんの様な若者がいるなら、未来も安心だにゃ』
「ああ、あれだけ精霊と通じ合える奴がいるんだ、未来は明るいぜ!」
『ボクらの旅も無駄じゃないってことさ』

 大徳寺とユベルが十代の背後に現れ、未来のデュエリストやパラドックスの行動理念に思いを馳せた。
 パラドックスが歴史を修正せずとも、精霊と人間と繋ぐ力で少しづつ世界を良い方向へ変えていく。
 それが今の十代に出来ることであり、十代にしかできないことでもあるのだ。

「ニャ~オ」
「ん? どうした、ファラオ?」

 十代の足元に、大徳寺の愛猫であるファラオが擦り寄って来た。
 自由気ままで物事に動じない、良く言えばマイペースな猫で、大徳寺が成仏せずにいるのもこの猫が魂を飲み込んでしまったからである。
 そんなファラオが、加えていた一枚のカードを十代の足元に置いた。
 “白紙のカード”、それは遊星から聞き及んでいた『スターダスト・ドラゴン』を封印されたカードであり、デュエル中に相手からカードの精霊を奪ってしまうという反則じみた物である。

「これって、もしかしてパラドックスの……!? どこから拾ってきたんだよ?」


 この場所はパラドックスが訪れた場所でもあるため、どこに落ちていても不思議ではない。
 十代は疑問に思いつつもカードを拾い、観察し始めた。
 表こそ綺麗に真っ白だが、裏は一般的なデュエルモンスターズカードだ。
 とても精霊を奪うほどの強力な力があるとは思えず、遊星から聞いた通りに白紙のカードをデュエルの時と同様に翳してみた。
 すると――

「うわ、まぶしっ!」
『十代!』

 ――カードが突然光を放ち、光の中からカードの群が十代達を包み込んだ。
 十代達がカードにまみれ、姿が見えなくなったかと思うと、やがてカードは一枚に収縮しどこかへ消えてしまう。
 全てが終わった後には十代達の姿は無く、静寂だけが場を支配していた。



*  *  *  *




『……代……十………十代! 起きろ十代!』
「う、うぅん……はっ!?」

 ユベルの声によって十代が目を覚ますと、そこは全く見知らぬ場所だった。
 カードに包まれる前まではヨーロッパに居た十代だったが、目の前には一転してアメリカの雰囲気に支配された都市が広がっている。
 古くからの伝統を感じさせる町並みではなく、退廃的とも言えるような騒がしい景色はラスベガスを彷彿とさせた。

「ここは……アメリカかどっかに来ちまったのか?」

 十代は転移したことにはあまり驚いてはいなかった。
 というもの、十代はすでに何度か次元を超えた経験があり、木星近くの星に比べたら、人が多く生活しているこの場所はまだ不安はない。

『確かにアメリカに似てはいるが、どうやらここは地球ではないみたいだよ』
「ほんとか、ユベル!?」
『ああ、そのうえ十二次元宇宙とも違う世界のようだ。こんな場所ボクは知らないからね』

 ユベルの言葉に、十代は驚愕を露わにする。
 ユベルの十代やユベルの知る十二次元宇宙と、ダークネスの裏十二次元宇宙が世界の全てだと思っていたのに、ここにきて新たな世界があったというのだ。
 裏十二次元宇宙はダークネスとともに消滅したし、ユベルは十二次元宇宙を全て把握し、破壊まで企てた存在だ、まさか知らないということはないだろう。
 その事実を聞いて、十代の身体は震えた。

『ふふっ、そんなに震えて、不安かい十代?』
「まさか! 新たな世界に来れるなんて、最ッ高にワクワクするぜ!」

 遊戯とのデュエルで純粋な心を取り戻した十代に恐れるものは無い。
 新たな冒険に思いを馳せ、期待に胸を踊らせていた。

「しっかし、どこからどう見てもアメリカだよな~、全部英語だし」
『言葉の訛りから考えると、西武の方っぽいにゃ』
「大徳寺先生、そんなことまでわかんのかよ!?」
『これでも一応錬金術師だからにゃ~』

 それ関係あんのかよ、と十代は呆れながらも、周囲の声に耳を傾ける。
 やっぱり聞こえてくるのは英語、しかし意味もしっかりと理解できた。

「って、あれ? 英語なのにはっきりわかる……なんでだ?」

 十代も旅を続け、現にさっきまでいたのもヨーロッパだったが、母国語のように自然に頭に入ってくる事など初めての経験だ。

『ああ、そういえばこっちの世界に来た時、キミに記憶操作みたいな物が掛かって来たな』
「ええっ!? 大丈夫なのかよ?」
『ボクがしっかりと守ったから問題ないさ。キミが目覚めてからはここの常識や“聖杯戦争”だかの知識が来てね、害は無さそうだから通したんだ』

 “聖杯戦争”、その言葉をユベルが発した時、十代は自分が言葉の詳細を知っている事に初めて気がついた。
 聖杯戦争やサーヴァント、そして自分がマスターであること、そういった知識がまるで初めから知っていたかのように思い出せるのだ。
 それだけではなく、この場所がムーンセル・オートマトンの電脳空間内に作られた場所だともわかり、ワクワクが少し減ってしまったが。

「いてて……なんだこれ? これが令呪か?」

 十代の左手の甲が熱く痛み、三角の令呪が浮き出る。
 痣のような赤い模様は、どことなく遊星の腕にあった龍型の痣を想起させた。

『さっきから私には何のことだかさっぱりだにゃ』
「う~ん、俺もまだ良く分かってないし、先生には後で説明するよ」

 十代と繋がっているユベルとは違い、精霊である大徳寺や猫のファラオにはムーンセルからの知識提供は無い。
 十代が目覚めてまだ数分の出来事だけに、当事者の十代だってまだ状況の把握は難しいようだ。

 十代の手の甲に令呪が完全に浮き出ると同時に、どこからかカードが舞い降りてくる。
 物理法則を無視してゆっくりと十代の前に現れたそれを、十代は苦もなくキャッチした。

「これ、さっきの白紙のカードか?」

 転移前と変わらず真っ白なそのカードは、十代が手に取ると同時に神秘が消え、物理法則に従うようになった。

「あ、裏にもう1枚あるぜ」

 十代の手に馴染んだカードの感触は、後ろに隠れたカードの存在も知らせてくれる。
 後ろから現れたカードは一般的なデュエルモンスターズの形式をとった物だが、十代は見たことがないカードだ。
 カードには『S・BERSERKER 亡国の覇王』という名称と、碧銀の髪を持つ青年と騎馬部隊が描かれている。
 色は儀式モンスターと同様の青い色をしているが、儀式に必要な魔法カードや効果などの説明は無く、絵の説明が書かれているだけであった。

 明らかに説明が不十分であり、十代はデュエルに使用する物ではないとすぐに理解できた。

 ――ふと、そこで十代に影が差し、十代はカードから顔を上げた。
 そこには、明らかにカードの人物と同じ青年が立っており、十代を静かに見下ろしていた。
 “サーヴァント”というものは聖杯から与えられた知識で知っている。
 どうやらその青年は“バーサーカー”、つまり狂化している英霊で、その面持ちからは深い後悔と執念が感じられる。

「お前が、俺のサーヴァントなのか?」
「………………」

 バーサーカーは十代の問いかけに答えることはなく、ただただその場に立ち尽くしている。
 そのオッドアイの瞳は狂化しているからか元からなのか、その者が覇王だと言うことを物語っていた。
 十代はその姿に否応なく過去の自分を思い出してしまう。
 十代は多くのデュエリストに助けられ、今の自分がある事を理解している。
 マスターとして繋がりができた今、彼の心を救うのは自分の使命かもしれない、と決意する。

「バーサーカー、お前のワクワクは、俺が取り戻してやるぜ!」
「………………」

 十代の熱い思いを伝えられても、バーサーカーには反応する術がない。
 しかし、十代にはバーサーカーの瞳が、少し揺れたような気がした。

「よーしっ! そうと決まれば早速行動するのみ!」
『これからどうするかはもう決めたのか?』
「ああ! きっと楽しいデュエルを見れば、バーサーカーだってワクワクするはずだ! この街で片っ端からデュエルしまくってやるぜ!」

 この世界にデュエリスト、それどころかデュエルモンスターズ自体あるのかは定かではないが、十代は猛烈にデュエル魂を燃やしていた。
 今までだって精霊たちが自分の気持ちに答えてくれたように、サーヴァントだって答えてくれるはずだと信じて。




【出展】魔法少女リリカルなのはViVid

【CLASS】バーサーカー

【真名】クラウス・G・S・イングヴァルト

【属性】中立・狂

【ステータス】
筋力A+ 耐久C+ 敏捷B 魔力B 幸運C 宝具A


【クラス別スキル】
狂化:B
 理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
 彼の思考は「守ること」と「強くなること」以外が薄れている。

【保有スキル】
カイザーアーツ:A+++
 『覇王流』の武術をどれだけ極めたかを表す。
 覇王流の始祖であるキャスターは、原点にして頂点である。

守護の執念:A
 守る対象(初期はマスター、オリヴィエのみ)が死が免れない選択、及び自己犠牲を行おうとした時、対象を攻撃してでも死から遠ざける。
 守る対象が自身よりも戦闘能力が高い場合、一時的に対象の戦闘能力を上回る。

覇王:A
 生前は覇王として君臨した者。
 国王としてのカリスマや、戦闘続行、軍略等の戦争に長けた能力を保持する。

【宝具】
『終焉遠き戦場の王(オーバーロード・フォン・シュトゥラ)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:500人
 古代ベルカ戦争で”覇王”と呼ばれるまでの偉業を成し遂げた英雄譚の具現。
 バーサーカーの中ではまだ古代ベルカ戦争はまだ終わっておらず、同じく戦争半ばに倒れたシュトゥラ王国の死者を出現させる。
 その中には覇王の相棒である”ライゼ”を筆頭に、シュトゥラ王国では優秀な兵士とされていた雪原豹も現れる。

【weapon】
武装形態:古代ベルカの魔法によるバリアジャケット。

イングヴァルトの大剣:綺羅びやかな装飾が施された大剣。覇王流の本領は徒手空拳なのであまり使用しない。

【人物背景】
 覇王と呼ばれるまでの力を持った英雄であり、古代ベルカに存在した「シュトゥラ王国」の国王。
 元は優しく、まっすぐで情熱溢れる好青年だったが、敬愛する『聖王オリヴィエ』が戦争終結の為に命を落としてから変わってしまった。
 まだ彼が王子であった頃、『聖王のゆりかご』という最終兵器で戦争終結を図った当時の王国は生体コアにオリヴィエを選び、オリヴィエもそれを承諾してしまう。
 オリヴィエを力づくで止めようとした彼は、まだオリヴィエよりも弱く、彼女に負けて『聖王のゆりかご』の発動を止めることができなかった。
 しかし、それでも戦争は終わらず、オリヴィエを止められなかった後悔から「守るための強さ」を求めて死に物狂いで戦場を駆け巡り、覇王と呼ばれるようになった。
 結局彼も戦争が集結する前にその生を終え、今でも戦争が終わったことを知らないままでいる。

【サーヴァントとしての願い】
 オリヴィエを守る。

【基本戦術、方針、運用法】
 意思の疎通が取れず、「守ること」が念頭にあるため守護対象から遠く離れることはない。
 そのカリスマや軍略も狂化した彼では意味をなさず、宝具使用時のシュトゥラ軍にのみ発揮される。
 守護対象が増えると、力づくでも自分の守れる範囲に置こうとする為、注意が必要。
 令呪や命令だけでなく、彼の価値観でも守る対象は増えるため、青セイバー等のオリヴィエとよく似た人物とは同盟を組まない限り敵と団体行動を取ることになりかねない。


【出展】
 遊戯王GX

【マスター】
 遊城十代(withユベル)

【参戦方法】
 パラドックスが持っていた「白紙のカード」をファラオがどこからか拾ってきた、それは『白紙のトランプ』が変化した物である。


【人物背景】
 極めて陽気で前向きな性格の持ち主で、純粋にデュエルを楽しむ事のできる生粋のデュエリスト。
 かつてデュエル・アカデミアに在籍していた時に様々な事件に遭遇し、挫折と復活を繰り返す。
 その過程で十二次元宇宙の様々な異世界を体験しており、ネオスペーシアン等多くの仲間を得た。
 幼い頃からカードに宿る精霊の姿を見ることができ、それは前世が「破滅の光から宇宙を守るため覇王の力を持つ救世主」として生まれた王子だったからである。
 そのせいで一度、心の闇の飲まれ「覇王」として異世界に君臨したが、仲間とのデュエルによって闇を打ち消すことができた。
 また、後述するユベルと死闘の末魂を超融合し、共に破滅の光と戦うことを誓う。
 世界の真実・もう一つの世界、そして世界の闇である『ダークネス』と決闘し、虚無の世界と共に討ち果たした。
 その後、アカデミアを卒業し、武藤遊戯との本当の卒業デュエルも終えた十代は、精霊と人間を繋ぐ道を探す旅に出た。

 一年後、過去にタイムスリップして武藤遊戯・不動遊星とともに、過去の破壊による時空の修正を目論むパラドックスを討ち果たし、元の世界に帰還を果たした。

 ユベル
 前世で従者にして親友だったユベルという存在は、王子を”守護”する力を得るために醜い竜の姿に自ら改造され、現世においてもカードの精霊として十代のもとに現れた。
 異常なまでの十代への愛と執着を持ち、そして十代に否定された事で十二次元宇宙の破壊を目論む。
 しかし、十代とのデュエルで十代と魂の超融合を果たし、その思いは報われた。

【weapon】
 デュエルディスク:十代がいつも使用しているアカデミーデュエルディスク。なくしても創造出来る。

 デッキ:E・HEROのカードを中心とした融合デッキ。こちらも創造できる。

【能力・技能】
 カードに宿る精霊を見ることができ、ユベルと超融合したことでカードの実体化も出来るようになった。
 ユベルとは魂で繋がっているためいつでもそばにユベルがおり、それによって催眠術などの精神操作が一切効かなくなった。
 また、覇王としての力も完全にコントロールすることが出来る。 

【マスターとしての願い】
 聖杯に願うことはない。バーサーカーの心も、元の次元への帰還も自力で果たすつもり。

【令呪】
 左手の甲に覇王の両目とユベルの第三の目にような令呪がある。
 正確には丸2つと、その上に千年パズルの様な目玉が縦に描かれている。

【方針】
 元の次元への帰還方法を探りながら、バーサーカーとの理解を深める。

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最終更新:2016年12月05日 11:29