レミリア・スカーレット&セイバー◆DIOmGZNoiw




 赤い、紅い月夜だった。
 見上げた空に輝く満月が、真紅に染め上げられている。周囲を取り巻く空間そのものが、赤黒い闇に覆われている。息が詰まるような圧迫感の中、セイバーはそれでも構えた剣の緊張を解きはしない。背後に控える己がマスターに危害を加えんとする敵に、殺意の眼差しを向ける。
 赤黒い闇の中、薄い紅色のドレスを身に纏った少女が、自らの屋敷の屋根に腰掛けた姿勢のまま、くすりと微笑んだ。歳の頃は十歳かそこらの幼女のように見えるが、少女が放つ威圧感が、その認識を改めさせる。闇の中でも爛々と輝く少女の瞳が、自身が人間でないことを物語っている。
 敵は、吸血鬼だ。人の血肉を啜り、自らの糧とし、時には人を眷属へと作り変える悪鬼である。
 気高き誇りを胸に吸血鬼退治に乗り出したセイバーが、携えた剣の切っ先を吸血鬼の少女へと向けた。

「お前は、これまで何人の血を吸ってきた」
「あなたは、今まで食べてきたパンの枚数を覚えているの?」

 少女の返答には、淀みがなかった。その返答ひとつで、戦うには十分過ぎる理由が整った。
 セイバーが眦を決する。剣を構え直し、今まさに吸血鬼の少女目掛けて跳ぼうとした時だった。ぎぃ、と鉄が軋む音を響かせながら、真紅の屋敷の門が開いた。中から現れたのは、茶色の髪を片側に寄せた、年若い青年だった。毒々しい印象を与える黒と赤の装束に身を包み、全身に鎖を巻き付けている。肩からかけた真紅のマントをたなびかせながら、ブーツの音を甲高く響かせて、男が数歩前へ歩み出る。男の足跡が、石の床に黒く焦げ付いたように残り、そこから炎を吹き上げていた。
 瞬時に察する。今現れた男こそが、吸血鬼のサーヴァントだ。聖杯戦争を戦う上で、避けては通れぬ敵だ。
 それを証明するように、吸血鬼の少女がサーヴァントに命令を下した。

「やれ、セイバー」

 敵もセイバー。命令は単純明快。戦闘開始の合図である。
 なにかをされる前に、有無を言わさず先手を取ろう。そう判断し、セイバーは大地を蹴った。
 同時に、敵のセイバーがフン、と鼻で笑う。掲げた左の掌の中に、赤黒い魔力の輝きが迸っていた。刹那のうちに肉薄したセイバーの剣を、敵セイバーが魔力漲る左手で受け止める。セイバーの刃は、魔力に阻まれて男の掌にまでは届いていなかった。
 危険を察知したセイバーが、大きく飛び退く。同時に、男の左手の魔力が弾けて、光の奔流が放たれる。上手く回避したセイバーに、吸血鬼の少女が頭上からささやかな拍手を送った。

「あっはっは、上手く避けたね、でも次はどうかな」

 頭上からかけられた少女の玲瓏な声に呼応するように、どこからか黒と赤の蝙蝠が姿を表した。まともな蝙蝠ではない、金の瞳を妖しく輝かせた、異形の蝙蝠だ。敵のセイバーの、なんらかの魔術礼装であろう。それを認識すると同時に、少女がその玲瓏で整った顔を歪ませて、剣呑に笑った。

「こんなに月も紅いから、本気で殺すわよ」
「ありがたく思え、絶滅タイムだ」

 少女に続くように、サーヴァントの周囲を羽ばたいた蝙蝠が、低い声でセイバーを嘲る。敵のセイバーが、蝙蝠をその手の中に収めた。次いで、蝙蝠の牙が、その手を噛んだ。噛まれた腕から、毛細血管状の影が伸びる。瞬く間に毛細血管は全身を覆い、顔にまで広がり、男の腰にベルトを形成した。

「変身」

 敵セイバーの体がエメラルドグリーンの輝きに覆われ、そしてその形を作り変える。全身を赤と黒の鎧に包み、蝙蝠の翼を思わせる緑の複眼で、敵はセイバーを見据える。

「さあ、お前がこれから相手をするのは世界すら滅ぼす『闇のキバ』だ。どこまでやれるかな、力を見せてみろよ」

 いつの間にか、少女の背からは悪魔を思わせる翼が生えていた。その翼を羽ばたかせて、少女はゆっくりと『闇のキバ』と呼んだ鎧の男の後方へ降り立つ。
 ふと、空を見上げた。この場の全員を頭上を覆うように、空には周囲の闇よりも一際どす黒い、闇色をした巨大な紋章が浮かんでいた。蝙蝠の翼を思わせる紋章だ。
 敵が右手を軽く掲げる。足元に、頭上に現れたものと同じ形をした、翠色に光輝く紋章が現れた。
 直感的に危険を察知したセイバーは、もう一度敵と距離を取ろうとしたが、もう遅い。

「誰も俺からは逃げられん」

 闇のキバが、歌い上げるように嘲りの言葉を告げると同時に、掲げた右腕を真っ直ぐにセイバーへと伸ばした。
 足元の紋章が、地面を泳ぐようにセイバーへと放たれた。地面をスライドしてきた紋章は、セイバーの退路を立つように地面から迫り上がり、壁となる。紋章型の壁が、セイバーの体を捉え、磔にする。もはや逃れることは不可能だった。翠の紋章から放たれた赤黒い魔力が、セイバーの体を苛む。

「セイバー!」
「おいおい、不利になったからって騒ぐなよ。お前は私を殺すために此処に来たんだろう。だったら、こうなる覚悟もあった筈だ」

 マスターの狼狽の声を、吸血鬼が遮った。
 闇のキバが、突き出した右腕を大きく引いた。セイバーを磔にしていた紋章が、その体を大きく弾き飛ばした。勢い良く闇のキバの方向へと跳ね飛ばされたセイバーを、闇のキバは、その鎧に包まれた豪腕で勢い良く殴り付けた。セイバーの鎧がひしゃげ、吐血する。拳に投げ飛ばされるように弾き飛ばされたセイバーを、再び紋章の壁が捉える。紋章から放たれた魔力の稲妻が、セイバーの体を焼く。もう一度、闇のキバは右腕を引いた。魔力の壁に囚われていたセイバーが、再びその体を闇のキバへと向けて射出する。闇のキバの拳が、セイバーを容赦なく殴りつけた。
 あとはその繰り返しだった。セイバーが戦う気力を失うまで、紋章に囚われ、弾き飛ばされ、殴られる。それを、ただひたすらに、何度も何度も繰り返す。
 やがてセイバーは嗚咽すら漏らさなくなった。もはや虫の息だった。
 闇のキバが、掌に赤黒い闇を集約させる。闇は形を成して、一振りの剣を形作った。黄金の柄に、白銀に煌めく宝石で出来た刃。見る者の目を奪う美しさを秘めていながら、同時に、目を背けたくなる禍々しさを内包している。
 闇を纏ったその剣を、セイバーに向ける。紋章に囚われたままのセイバーを全方位を取り巻くように、闇のキバが持つものと同質の剣が生成される。剣は加速度的に複製されて、その数は十本、二十本、三十本と爆発的に増加して、やがて目視では数えられない数にまで膨れ上がった。
 これからなにが起こるのかを、セイバーは察した。おそらく、その場の全員が、察した。

「絶滅せよ」

 底冷えするような冷淡な死刑宣告に次いで、生成された無数の剣が、一斉にセイバーへと急迫した。胴体も、四肢も、頭も。余すところなく、闇のキバが放った剣に斬り裂かれ、穿たれる。
 セイバーが意識を失ってもなお、攻撃の勢いが緩むことなかった。生成されたすべての剣がその身を斬り裂くまで、射出は続いた。


 スノーフィールドの外れ、森の湖の畔に設えられた偽りの紅魔館の一室で、レミリアは玉座に深く腰掛けたまま、一仕事を終えたセイバーに向き直った。頭上のステンドグラスから差し込む紅い月光が、薄暗い室内に佇むセイバーをほのかな紅色に彩っている。
 闇のキバの鎧を脱ぎ去ったセイバーは、見かけにはただの奇抜な格好をした若い男にしか見えないが、この男がいかに優秀かをレミリアは知っている。闇のキバを纏った戦いにおいては、常勝にして無敗。ただの一度たりとも敗北の経験を知らぬ、無敵の王。それが、レミリアに与えられた最強最悪のサーヴァントだ。
 レミリアは、最強最悪とか、そういう言葉が大好きだった。

「フフン。お疲れ様ね、セイバー。まあ、大した敵じゃあなかったね」
「ああ。あの程度の力でこの俺を倒す気でいたとは、まったく片腹が痛い」

 余裕に満ちた薄ら笑みを浮かべて、セイバーは機嫌よく回答する。
 結局、レミリアは敵のマスターを殺さなかった。敵のセイバーを完膚なきまでに叩き潰したのは、それが闘争を以てレミリア陣営に勝負を仕掛けてきた挑戦者だったからだ。戦意を喪失した敵を縊り殺す趣味は、レミリアにはない。尤も、セイバーは敵のマスターの生命力(ライフエナジー)を吸い尽くして殺すつもりでいたようだが、この紅魔館を居城とする限り、厳密にはその必要すらない。
 そもそもの話、この紅魔館で戦闘を行う時点で、圧倒的にレミリアが有利になるように、条件は整えられているのだ。
 この紅魔館には、屋敷全体を覆う簡易な魂喰いの布陣が敷かれている。夜間に限って、この紅魔館で働く従者から魔力を吸い上げ、セイバーに供給するようにできている。それゆえ、紅魔館は赤黒い霧に包まれ、ここから見上げた月は、紅く見えるのだ。

「だが、本当に良かったのか、敵のマスターを逃して。絶滅させねば、また新たな仲間を引き連れてくるかも知れんぞ」

 セイバーの宝具の化身たる蝙蝠、キバットバットⅡ世が、レミリアの周囲を羽ばたきながら苦言を呈する。

「いいや、ありゃもうダメだね。全然ダメ。そういう骨のある手合いじゃあないよ。完全に戦意を折ってやったもの」
「仮にもう一度立ち向かって来るとして、俺はそれでも一向に構わんがなあ。その時は、再びこの俺の力を思い知らせてやる」

 嘲りを多分に含んだ笑みとともに、セイバーが嘯いた。
 レミリアの隣に用意された玉座の前に立ったセイバーが、腰からさげた自らの宝具――魔皇剣ザンバットソードを、薔薇の散りばめられた足元に突き立てた。セイバーもまた、自らのために用意された玉座に深く腰掛ける。
 今や、このスノーフィールドにおける紅魔館の王は、ふたりでひとりだった。
 五百年の時を生きた幻想の吸血鬼と、歴代最強と謳われたファンガイア・キング。小手先の策に頼らず、正面から敵を叩き潰す、暴力の権化たる主従が、この紅魔館にはいる。

「いい、セイバー。私の目的は、聖杯を獲ること。我が覇道を阻むものは叩いて潰す。歯向かうものは暴力で以て支配する。それだけが我が陣営における唯一の法よ、わかってるわね」
「誰にものを言っている。このような遊戯、俺にとっては所詮無聊の慰め。だがな、所詮遊戯とはいえ、戦争の名を冠するからには、頂点を獲る。そしてただの一度の敗走もなく、我が陣営に聖杯を齎してやる。それが貴様のサーヴァント、最強の名を恣にするファンガイアのキングだ。レミリア・スカーレット」
「はは、相変わらず頼もしいわね。魔族の私からすれば、聖者の杯になんぞ興味はないけれど、こうして聖杯戦争に呼び出された以上は、誇り高き血族の長として、頂点を獲らなくっちゃあ気がすまないってわけ。フフン、その点は私もお前と同じ考えよ、セイバー」

 レミリアには、スカーレット家、紅魔館の当主としての誇りがあった。誰にも負けず、誰にも見下されない完璧なる血族の頂点であるという、誇りがあった。それを、あろうことか、レミリアはこのスノーフィールドに来てからというもの、長らく失念していた。
 自分は、スノーフィールドの外れの屋敷の、金持ちのお嬢様である、と。なんの疑いもなくそう思い込まされて、取るに足らない従者を従えて、なんの変哲もない暮らしに満足していたのである。数日間の擬似生活とはいえ、それがレミリアには許せなかった。

 ――このレミリア様を捕まえて、あろうことか記憶をいじくって、戦争に参加させるなんて、いったい何様のつもり。そっちがその気なら、とことん乗ってやろうじゃないか。思惑通り、この戦争に乗って、あらゆる敵を叩き潰し、そして幻想郷に帰ってやる。

 それがレミリアの動機だった。
 負ける気はしない。なにしろ、レミリアは幻想郷において最強にして最速の吸血鬼なのだ。
 力では鬼に負けるし、速度では天狗に負ける。そもそもレミリアは博麗の巫女にも、綿月姉妹にも敗北しているが、それでもレミリアの中では、自身こそが幻想郷において最強にして最速なのだ。その誇りを弄ばれたことによる怒りは大きい。
 だが、まあ、最強の自分に、最強のサーヴァントがあてがわれたことだけは、見る目があると褒めてやってもいい。

「ムーンセルだかなんだか知らないが、連中には、誰が真の支配者か刻み込んでやる必要がある」
「案ずるな、レミリア。泣こうが喚こうが、この俺が最強であることに変わりはない。聖杯は獲る、これは確定事項だ」
「あら、相変わらず大口叩くじゃないの。ま、このレミリア様のサーヴァントってんだからそれくらいじゃなきゃ困るけど」

 レミリアは、今隣にいるセイバーが存外嫌いではない。気高き真紅の、吸血鬼の王。レミリアの隣に並んで遜色のない、厳選されたサーヴァントである。
 他の有象無象がどんなサーヴァントを引き当てたのかは知らないが、自分のサーヴァントこそが最強で、最強最速の吸血鬼たる自分がセイバーと組んだ時点で、我が陣営に敗北はあり得ない。
 いかな敵が現れようと、鋭く研いだ闇の牙で刺し穿つのみ。小手先のテクニックなど不要だ、どんな相手であろうとも、正面から叩き潰し、吸血鬼の誇りと、その暴力の恐ろしさを刻み付けてやるのみ。
 誇り高きふたりの吸血鬼による聖杯戦争は、幕を開けたばかりである。













【出展】仮面ライダーキバ
【CLASS】セイバー
【真名】暁が眠る、素晴らしき物語の果て
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力A 耐久A+ 敏捷C 魔力A+ 幸運E 宝具A
(※宝具発動時のステータス)

【クラス別スキル】
対魔力:A
 Aランク以下の魔術を完全に無効化する。
 宝具解放中ならば、事実上、現代の魔術師による魔術では傷をつけることは不可能。

騎乗:A++
 かつてドラン族最強の個体『グレートワイバーン』を捕獲し、生きた居城『キャッスルドラン』として改造・支配下に置いた逸話を持つセイバーは、本来騎乗スキルでは乗りこなせない筈の竜種を例外的に乗りこなすことができる。

【保有スキル】
神秘殺し:A
 敵対するあらゆる魔族を討ち滅ぼし、ファンガイアをこの世に現存する魔族の頂点へと昇華させた。
 魔族・魔性といった性質を持つ敵と戦闘する場合、ステータスに補正を得られる。

純血の支配者:EX
 歴代最高にして最強のキングと謳われたセイバーが持つ天性の資質。
 魔剣ザンバットの呪いをも跳ね返した王の資質は、威圧・混乱・幻惑といったあらゆる精神干渉を無効化する。
 また、種族を率いて繁栄させてきた功績と実績から、軍団を指揮する際にこのスキルの真価が発揮される。事実上「カリスマ」スキルの側面を同時に持つスキルだが、ただし、指揮能力としては「カリスマ:B」相当である。

吸命牙:A
 数々の人間を死に至らしめてきたファンガイア固有の能力。
 他者の生命力を吸収し、自らの体力・魔力を回復するが、対象が対魔力を持つ場合、そのランクに応じて効果は落ちる。
 また、セイバーが行うあらゆる「魂喰い」の効率をアップさせる効果を持つ。スキルランクに応じてその効率は上がる。

魔皇の紋章:A
 左手の甲に刻まれしファンガイア・キングの紋章。それそのものがセイバーが膨大な魔皇力を保持していることの証明でもあり、セイバーは魔力を魔皇力として運用する。
『紅き月夜を穿つ闇の牙』解放時は、鎧の力によってより自由度の高い魔皇力のコントロールがなされ、空中に魔皇力で出来た巨大なキバの紋章を形作り、そのまま攻撃・拘束に転用することも可能となる。
 対魔力を持つ者ならば、キバの紋章による拘束力をある程度削減することは可能。同ランク以上の対魔力ならば判定次第で抜け出すことも可能だが、逆に言うと、同ランク以下の対魔力では、展開された紋章から完全に抜け出すことはまず不可能。



【宝具】

『紅き月夜を穿つ闇の牙(ダークキバ・エクスターミネイション)』
ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人

 敵対するあらゆる魔族を「殲滅」するため開発された、ファンガイア族が誇る最強の鎧。通称『闇のキバ』。
 ファンガイアの頂点に君臨する『キング』のみが装着を許されており、鎧そのものが「装着者の資質に呼応し、その能力を無制限に高める」という性質を持っている。歴代最強のキングと謳われたセイバーがこれを用いることで、実際にウルフェン族・マーマン族・フランケン族、そして、かつてファンガイア族を除いて最強と畏れられたレジェンドルガ族は、揃ってほぼ絶滅という状態にまで追い込まれている。
 本来の『闇のキバ』の耐久性は「核爆発の中心にあってなお無傷」である『黄金のキバ』の三倍を誇ると謳われているが、宝具として再現された『闇のキバ』もまたその逸話に恥じぬ絶大な耐久性を誇る。宝具ランク以下の魔術では、まず傷をつけることすら不可能だろう。
 また、鎧そのものが限定的な「空想具現化」の性質を有しており、全身から魔皇力を放出することで、自身の力を最大限発揮できる環境に世界の状態を変化させることが可能。……ただし、真祖ほど万能というわけではなく、自由自在に能力に融通を利かせられるわけではない。
 具体的には、戦闘中、鎧から沸き出した真紅の闇が周囲の空間を、そして空に浮かぶ月を紅く染め上げることで、空間内で戦うセイバーの攻撃の威力を底上げする、というものである。



『生命食らう絶滅の魔皇剣(ジ・エンド・オブ・ザンバット)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:100人

 ファンガイア・キングのために造られた、この世に存在する最も強力な剣を用いた宝具。剣自体の正式名称は『魔皇剣ザンバットソード』。
 その刀身は、巨大な魔皇石の結晶から削りとって造られたという逸話を持っており、剣自体がライフエナジーを持つものに対して過剰に反応し、それを「喰いにいく」性質を持つ。宝具として解放した際は、斬り裂いた相手の生命力・魔力を吸収し、放たれる技の威力を向上させる。
 宝具『紅き月夜を穿つ闇の牙』による「空想具現化」発動時ならば、この剣と同等の神秘を持った剣を無限に複製し、敵に向けて一斉に射出することが可能。
 また、剣が持ち主を選ぶため、この宝具のランクを越える資格(セイバーの場合「純血の支配者:EX」)を持つ者にしか扱えず、資格を持たぬ者が扱った場合、対象にこの宝具と同ランクの「狂化」を付与し、見境なく暴走させる。



【weapon】
『キバットバットⅡ世』
 セイバーの体内を循環する魔皇力を活性化させ、その身に『闇のキバ』を纏わせる黒き蝙蝠型モンスター。体内に『闇のキバ』を内包している。
 今回召喚されたセイバーは、あくまでファンガイアの王として、一族の繁栄のため、あらゆる敵を討ち滅ぼして来た一騎当千の英雄時代。所謂全盛期である。よって、キバット自身もセイバーとともに戦場を駆け抜けた時代から召喚されており、現時点のセイバーを裏切ることはない。
 ただし、自身がのちにセイバーを裏切ったことは、知識としては理解している。
 今回は純粋なセイバークラスとしての召喚のため、魔剣ザンバットを用いないウェイクアップ1~3の攻撃は全て発動不可となっている。

【SKILL】
『魔皇力』
 体内に循環する膨大な魔皇力を攻撃に転用し、それを「魔皇の紋章」が刻まれた左手から放出する。赤き魔皇力の奔流は、対峙するあらゆる魔族を焼き尽くし、数えきれないほどの同族を処刑してきた。

『絶滅・ザンバット斬』
 宝具解放時、限定的な「空想具現化」によって能力の底上げが適用されている間のみ、空間内にザンバットソードの複製を無限に複製する。キバの紋章で身動きを封じた対象へ向けて、精製した膨大な数の剣を一斉に射出し、最後は魔皇力を充填させたザンバットソードを縦一閃、紋章ごと対象を断ち斬る大技。



【人物背景】

 かつて歴代最強にして最高のキングとして畏れられた、ファンガイア族の英雄。
 闇のキバを身に纏っての戦闘は常勝無敗で、敵対するあらゆる魔族を討ち滅ぼすだけでなく、劇中においても無敗。ただの誰一人としてファンガイア最強を誇るキングが変身したダークキバを攻略したものはいない。

 しかし、ある時突然、最強にして完璧であったキングの伝説に陰りがさした。
 クイーンである真夜が、人間である紅音也に恋をしたのである。そこからはじまるキングの転落は、まさしく破竹の勢いであった。
 真夜が自分を裏切ったからといって、その真夜を傷付けることは、自分がこの裏切り者を愛していたことの証明になってしまう。ゆえにキングは、この世で最も強いと謳われた魔剣ザンバットソードを自らの居城の壁に突き刺して封印し、それをもって自分自身への戒めとした。こうしてキングは、まず、己の剣を失った。

 真夜と紅音也が愛し合う仲になったことを知ってなお、キングは真夜を殺さなかった。その代わりに「死よりも思い刑罰」として、真夜からファンガイア・クイーンとしての力を奪い取り「亡霊のように生きてゆけ」と命じる。
 また、裏切り者である真夜との間に出来た息子・太牙にも裏切り者の血が流れているとして、キングは真夜に「次に紅音也と会ったら太牙を殺す」と告げる。だが、その真夜への仕打ちがまずかった。真夜との間に友情を感じていたキバットバットⅡ世はこれを「気に入らない」とし、闇のキバをその身に内包したキバットバットⅡ世はキングを裏切った。こうしてキングは、己の鎧を失った。

 嫁を失い、剣を失い、鎧を失い、それでもなおキングの不幸は止まらない。
 未来からやってきた紅音也と真夜との間にできた息子・紅渡の変身する黄金のキバまで敵に回し、ついにキングは闇のキバと黄金のキバのふたりを同時に敵に回してしまうこととなったのだ。それでも互角以上の戦いを繰り広げるあたりはファンガイア最強の面目躍如といったところだが、ついには敗北、最後には自らの実の息子・登太牙を道連れに逝こうとしたところ、キングの資格を受け継いだ赤子の太牙に、放った魔皇力を跳ね返され、死亡。
 なにもかも失い、最後は自分の嫁を奪い取った男と、その憎き男と元・嫁との間にできた子供に致命傷を負わされ、実の息子にトドメを刺されるという恐ろしいまでの不幸っぷりである。
 なお、二十二年後において理性を失い復活を遂げるが、上記の腹違いの息子・紅渡(黄金のキバ)と、実の息子・登太牙(闇のキバ)に団結され、二人がかりで殺されている。不幸まっしぐらである。

 しかし、嫁を寝取られるに至るまでは、紛れも無く最強にして最高の英雄であった。
 敵対するあらゆる魔族を討ち滅ぼし、支配下におき、かつて最強の名を恣にしていたレジェンドルガ族のロード、仮面ライダーアークを封印したのもほかならぬキングである。
 ファンガイア族の今日の繁栄は間違いなくキング率いる軍団の活躍によるものであり、ビショップをはじめとし、キングを英雄視するものは多い。
 ファンガイア最強のキングと、ファンガイアの資質を無制限に上昇させる闇のキバとの相性も素晴らしく、上記の通り劇中では無敗。闇のキバと互角と謳われた黄金のキバの必殺キック、エンペラームーンブレイクをほぼ無防備の状態で受けても無傷であった。
 ザンバットはなくとも、闇のキバさえ奪われなければ、キングに敗北はなかったのである。

 今回は、紅音也らと関わるよりも前の、まさしく英雄時代からの参戦。
 魔皇剣を片手にセイバーとして召喚されている都合上、闇のキバの魔皇力を解き放って発動するウェイクアップ1~3、ファンガイアのキングとしての怪人態などはすべて解放不可となっている。だが、剣のみでも戦力としては十分過ぎる脅威である。



【サーヴァントとしての願い】
 紅音也と関わる前の英雄キングとしての現界のため、特になし。
 ただし、誇り高きファンガイア・キングとして敗北は許されない。
 戦うからには勝利を。敵対するあらゆる勢力を絶滅させ、聖杯を獲る。

【基本戦術、方針、運用法】
 小手先の策に頼らず、『紅き月夜を穿つ闇の牙』による殲滅戦による純粋で圧倒的な暴力で真価を発揮する。そもそも、攻防ともに圧倒的なスペックを誇っているため、小手先の策など不要。
 ただし、高スペックゆえに魔力消費は絶大。レミリア自身が魔族の中でもトップクラスの存在であるため、魔力の捻出は不可能ではないが、それでもダークキバが魔力消費を気にせずフルスペックで戦闘を行えば、いかな吸血鬼とはいえ、体内の魔力はすぐに底を突くだろう。
 そこで重宝するのが、セイバーが持つ魂喰いに関連するスキルである。吸血鬼らしく、セイバー自身が吸命牙で他者から生命力・魔力を吸収することが可能な上、宝具『生命食らう絶滅の魔皇剣』そのものが吸命牙と同様の性質を持っている。セイバーがこの宝具を用いた場合、吸命牙によって吸収効率はランク分アップされるため、実質戦闘中は相手から奪い取った魔力を糧にすることになる。
 また、『紅き月夜を穿つ闇の牙』による「空想具現化」は、発動のために多大な魔力を消耗するが、ひとたび発動すれば、ダークキバの周囲を真紅の闇で覆い尽くし、空間内にいる他者の魔力を自動的に吸収し、尚且つ自らの性能を底上げするという性質を持っている。
 レミリア自身が施した、紅魔館における魂喰いもそうだが、吸血鬼コンビらしく、魔力を他者から吸収して戦闘を行うことが、この主従の肝である。
 そういった性質上、純粋に聖杯戦争の妥当を目指すものとは相性が悪く、尚且つ我の強いコンビの性格から考えても、同じく聖杯戦争に乗った者とも相容れないことは明白である。ただし、レミリア自身は根っからの悪ではない。プライドが高く、負けず嫌いなだけである。そのため、認めた者が相手ならば、場合によっては協力出来る可能性もある。

 また、セイバー自身は、のちにたどった不幸の連続のため、幸運の値が絶望的に低い。が、レミリア自身の持つ「運命を操る程度の能力」に影響され、ある程度は不幸を覆すことができる……のかもしれない。



【出展】東方Project
【マスター】レミリア・スカーレット
【参加方法】
 咲夜がどこからか手に入れてきた、魔力を秘めた白紙のトランプ。
 それは、天邪鬼異変によって小槌の魔力を与えられたトランプであった。物珍しさにそれを保管しておいたレミリアだが、よもやそのトランプによって、自身が聖杯戦争に巻き込まれることになるなどとは思いもよらなかった。

【人物背景】
 かつて幻想郷を妖気を帯びた紅い霧で包んだ、紅霧異変の首謀者。誇り高き紅魔館の当主にして、吸血鬼である。
 異変を起こした理由は、幻想郷全体を紅い霧で覆ってしまえば、日光が遮られ、昼間でも騒げるようになるんじゃないか、とのことである。
 吸血鬼としては少食で、一度に人間から多量の血を吸えない。また、吸いきれない血をこぼして服を真っ赤に汚してしまうことから「スカーレットデビル(紅い悪魔)」の異名を持つ。

 本人はワラキア公国君主、ヴラド・ツェペシュの末裔を名乗っており、自らのスペルカードにも彼の名を冠するものがあるが、別にヴラド・ツェペシュの末裔ではない。血縁関係もない。
 その本質は尊大かつ我が儘で、非常に飽きっぽいという見た目通り少し幼い思考。常日頃から退屈しており、気紛れで突拍子も無いこと(ロケットを造って月に行きたい、など)を思いついては周りを振り回している。

 また、運命を操る程度の能力を持っているとのことだが、それが有用性を見せたことはないため、どのような能力であるかはイマイチ不明。
 文花帖によれば"周りにいると数奇な運命を辿るようになり、一声掛けられただけで、そこを境に生活が大きく変化することもある"と言い、珍しいものに出会う率が高くなるらしい。

【能力・技能】
 レミリア自身はすっかり幻想郷に迎合し、今や実質的に霊夢らの愉快な仲間と化してしまってはいるものの、種族・吸血鬼としての力は絶大で、数多くの新顔が頭角を現し続けている昨今においても、未だに幻想郷のパワーバランスの一角を担っている。
 その本質は、目にも留まらぬスピード、岩をも砕くパワー、思い通りに悪魔を使役できる莫大な魔力といった反則的な身体能力にあらわれており、小手先のテクニックを無視する戦法を好む。
 また、防御面においても優秀で、自らの身体を霧や蝙蝠に変えることも可能。頭以外が吹き飛ぶ怪我を負っても、一晩で元通りになる。

 ただしその反則的な身体能力に比例して弱点も多い。
 日光に弱い、流れ水を渡れない、にんにくを嫌う、鰯の頭なんて持っての他、と散々だが、十字架には強い。
 というか彼女は、なんでそんなもんにやられなきゃいけないのか常々疑問に思っている。

【マスターとしての願い】
 勝利して、支配する。それだけが満足感よ!
(やるからには勝つ。聖杯も獲る。その上で、幻想郷に帰る。)

【令呪】
 左手の甲に、キングのものと同じ王の紋章。
 上段の王冠で一画。翼の描かれた中段で二画。一番下の薔薇で三画。

【方針】
 小手先のテクニックなど無視。
 力でもって捩じ伏せ、聖杯を獲る。







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最終更新:2016年12月04日 03:12