臓物(ハラワタ)をブチ撒けろ!◆v1W2ZBJUFE
外から滑り込んだ刃に腹を割かれ臓腑を引き出され鮮血を撒き散らし少女は死んだ。
闇に閉ざされた空間。それでいて千キロ先まで見通せる空間。前後上下左右の区別が一切無い、確かに足を着き、身体を支え、前方を確と見据えられる空間に少女はいた。
「おお、フレデリカよ!死んでしまうとは情けない!」
後ろ─────と言っても感覚的なものだが─────からした声に反応し振り向くと、女の姿が見えた。
始めて見る女だった。
漆黒の髪と、大きく前が開いて頭程も有る白い柔肉を覗かせた黒いスーツの美女。何故か身ていると慄然とする白い美貌。
眼鏡の奥の赤い瞳が興味深げに、嘲笑うように、愉悦を浮かべて、少女に向けられていた。
「誰よ」
短く発した声は空気震わせる事無く、確かに空気を震わせて声となった。
「ボクはね、魔法使いなんだ」
表情を変えぬまま答えた女に少女は冷たい視線を向ける。
「魔法使い?だったら私を助けてくれるとでも言うの?私を殺して皆を殺した奴等をどうにかしてくれるの?」
女の笑みが深くなる。見る者を惹きつける、不安にさせる、そんな笑み。
「いや無理だね、其れは出来ない相談だ。ルール違反だからね」
そう言って口に手を当てて笑う女に少女は殺意を込めた視線をぶつける。
「だったら何をしに─────」 「君の力にはなれないが機会を与えることは出来る」
「機会?」
「話を聞く気になったかね」
そうして女は語り出す。少女が摑む機会について、少女が赴く戦場について、少女が戦う魔戦の
ルールについて。
その声は闇を震わせる事無く、しかし少女の耳朶に確と届いた。
内から突き出た手に腹を割かれ臓腑が飛び散り血が噴き出し出てくる忌み子の肉体により四散した肉片となって少女は死んだ。
「これで何度目だったかな」
暗い暗い牢獄に繋がれた少女。全身に拘束具を着けられ、鼻から上を黒革で覆われ、猿轡を噛まされた少女を前に、艶やかな笑顔を浮かべる女が一人。
「……………」
少女が放つのは真性の殺意。自由の身であれば女を殺さずには置かない、それほどの殺意。
「ははは、そんなに怒らないでおくれよ。今日は君にラッキーチャンスを用意したんだ」
そう言ってリアクションを待つが、拘束されて猿轡を噛まされた少女に出来るリアクションなど無いことに気付いてワザとらしく咳払いする。
「……ゴホン。ラッキーチャンスというのは他でも無い。なんでも願いが叶う優勝トロフィの争奪戦さ」
豊かな胸を見せつける様に反らし、女が高らかに語り出す。
「君の得意な殺し合い!賞品は万能の願望機!!断る手は無いと思うが?まあ…色々とハンデを付けさせて貰うがね。何しろ君が全力を出すと他の参加者(プレーヤー)が可哀想だからね。
二人一組で行うものだが、パートナーは既に用意してある。君と似た境遇の娘だから、きっと仲良くなれると思うよ」
赤い瞳を妖しく輝かせ、女が少女の覆われた瞳を見る。
「さて…どうする」
「聖杯戦争」
忌々しげに、呪いを込めて、老婆の様な口調で少女は呟く。
結局、あの忌まわしい六月から脱することは叶わなかった。
裂かれて撒かれて殺される何時ものループ。
然し、違う点が二つ有る。
一つは、あの時のループでは確かに犯人の顔を記憶に刻み込んだ─────筈なのに、顔は愚か、体型も声も思い出せない。
二つ目は、戻った先が雛見沢では無く別の場所だったこと。
此れはチャンスだ。奴等から雛見沢を救い、復讐する好機だと。
しかし─────。
羽入が居ない。
初めての経験だった。いつもそばに居た羽入が居ない。
これは非常に恐ろしかった。なにしろ死んだ場合どうなるのか?またやり直せるのか?
解らない。答えはそれこそ死ななければ解るまい。だがそれは出来ない。あの六月を越える好機なのだ。負けるつもりなど毛頭ない。
真相などどうでも良い。犯人が何を考え、何を思って惨劇を為したのかもどうでも良い。
そう、どうだって良いのだ。聖杯を使って惨たらしい末路を迎えさせてやるのだから。何を考えているかなどどうでも良い。
凄まじい憎悪。百年にも渡る繰り返しで蓄積された疲弊を忘れさせる程の憎悪に駆られて少女は猛る。
─────必ず、絶対に殺してやる。
この力が有れば、犯人に仲間がどれだけ居ようとも恐れることはないだろう。
右腕に顕現した“ソレ”、此処に来る前に出逢った“魔法使い”を名乗る女が、己に与えたカードを見ながら少女は嗤う。
仲間達には決して見せられないと思っても、なお嗤うことを止められない。
あの時女はこう言ったのだ。「君の力にはなれないが力となるものを与えることは出来る」
その言葉を小女は受け入れ、殺し合いをする為に此の地に来たのだ。
この好機は必ずモノにする。
障害となるものは全て撃ち倒す。
どうせ自分勝手な欲望に駆られた者達だ。死んだところで自業自得。
自分が掴もうとするのは理不尽に奪われる未来。惨劇で砕けて散って行く仲間達の心と命。雛見沢そのもの。
背負っているものが違うのだ。
「私は勝つ。勝って未来へと進む」
そう呟く少女の顔は、まるで百年を経た魔女のようだった。
【クラス】
キャスター
【真名】
ネロ@機神咆哮デモンベイン
【ステータス】
筋力:E 耐久:D 敏捷:B 幸運:E- 魔力:EX 宝具:EX
【属性】
混沌・中庸
【クラススキル】
陣地作成スキル:ー
宝具が陣地を兼ねている為にこの効果は失われている。
道具作成スキル:C
魔力を帯びた器具を作成できる。
【保有スキル】
魔人:A+++
キャスターは邪神の計画の重要な要素を担う魔人であり、最初から人を超越した存在として生まれてきた。その肉体は人の姿をしていながら人の範疇に収まらない。
極めて高ランクの魔術・魔力放出・再生・自己回復(魔力)スキルを併せ持ち、併せて破格の魔力量を有する。
外道の智慧:B
人を超え、世界の外側に身を置き、外道の知識を行使するが故に得た深淵の知恵。英雄が独自に所有するものを除いたほぼ全ての魔術に関するスキルを、Cランクの習熟度で発揮可能。また、マスターに限りスキルを授けることが出来る。
人理侵食:B
外道の知識を持ち、異形の神々の力を振るう魔人の特性。人の手に為るモノを拒絶する。
神秘が低い。若しくは神性や魔性に依らぬ武具・道具・宝具の効果及び神性や魔性を持たぬ、あるいは神秘が低いサーヴァントの攻撃や防御の効果を半減させる。
邪神の束縛:EX
強壮無比な外なる神の呪い。決して狂うことも自殺することもキャスターには許されない。
如何なる精神干渉も効果を発揮せず、自身の力で死ぬこともでき無い。
然し例外はどこにだって在る。キャスターはマスターが令呪を用いて自害を命じた場合は自害して死ぬ。
殺されると生まれた時点までループする、という呪縛もあったが聖杯戦争ではこの呪いは効果を発揮しない。戦死すれば元居た牢獄に戻るだけなのだから。
【宝具】
暴君の二挺魔銃(クトゥグア・イタクァ)
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~40 最大補足:一人
炎神の加護を受けた赤と黒の50口径自動拳銃・クトゥグアと、風の神の加護を受けた白銀の44口径リボルヴァー・イタクァの二挺の魔銃。
装薬に霊的存在を物質化させる『イブン・ガズイの粉』が使われている為、霊体化しているサーヴァントにもダメージを与えることが出来る。
クトゥグアの弾丸は当たると爆発し、イタクァの弾丸は敵を追尾する。
弾薬は魔力でいくらでも生成可能。
強壮なる神々の力を得ている為、破格の神秘を有し、宝具としてのランクは高いが、威力は現実の銃器相応である。
無名祭祀書(ネームレス・カルツ)
ランク:A+++ 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大補足:ー
フォン・ユンツトが記した古代の伝承や神々やその祭事等について記された書物。
魔術の駆動式でもある為、これを用いることで最高ランクの高速神言と同じ効果を得ることが出来る。
膨大な魔力を有する魔力炉としても使用可能。
強壮なる名無き鬼裓神(ネームレス・ワン)
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~100 最大補足:1000人
全長300mにも及ぶ巨大な鬼裓神(デウス・マキナ)。聖杯戦争では邪神に設定された制限により10mサイズにしかならない。
魔力を持って作り出す巨大な刃や、砲撃、弾幕で敵を蹂躙する。
が、真に恐るべきはその奥義。世界を構成する情報から任意の情報を“消去”することによる“存在消去”。
サーヴァントに対して使用した場合、対魔力により魔力消費の度合いが変化する。
自身の傷を無かった事にする事で如何なる損傷からも回復可能
選択した対象を有無を言わさず消去する恐ろしい絶技だが聖杯戦争では制限が設けられており、抹消する対象に直接相手に手に当たる部分で触れる必要が有る。
無名祭祀書(ネームレス・カルツ)に記された術式の一部であり、この魔導書が失われれば使用不能となる。
【weapon】
クトゥグア・イタクァ
【人物背景】
邪神の計画の要として作り出された存在。無限とも言えるループを記憶している。
大抵のループでは息子に殺されて死ぬ。
息子に対しては極大の殺意を抱いていて、ループから解放された後ワザワザ殺しに現れた事がある。
外見上は小学生高学年くらいの少女。
実質死んでいない為に霊体化が出来ない。
邪神の申し出に乗りサーヴァントとして参戦した。
【方針】
皆殺し
【聖杯にかける願い】
無限螺旋からの解放は聖杯などでは果たせるものでは無いので、息子である◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️を受肉させ、自らの手で殺害する。
【マスター】
古手梨花@ひぐらしのなく頃に
【能力・技能】
重い鋤を持って奉納舞を舞い切る程度の体力。
百年程ループを繰り返しているので精神的には老成しているが、それを感じさせない演技力
【weapon】
無い
【ロール】
小学生
【人物背景】
昭和58年6月に起こる雛見沢村を襲う災厄の中心人物。
彼女は6月に必ず死ぬ。大抵は割かれて撒かれて死ぬ。
そして彼女が死ぬと雛見沢村は滅ぶ。
【令呪の形・位置】
腹に666の数字
【聖杯にかける願い】
雛見沢を救う。犯人惨すぎる程に惨い死を
【方針】
皆殺し
【参戦時期】
皆殺し編の後から参戦。邪神により鷹野に関する記憶を奪われ、その代わり自身の運命と犯人に対する憎悪が齎された。
【備考】
◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️:
この聖杯戦争に二人を送り込んだ存在。聖杯戦争に干渉する意図は全く無い。
その目的は不明。ひょっとしたら永劫の刻をかけて準備し、永劫の刻をかけて遂行される巨大な計画の一端かも知れないし。単に面白そうというだけかもしれない。
その真意は到底測ることなどできない。
最終更新:2016年12月04日 19:27