少佐&キャスター◆Jnb5qDKD06




「トバルカイン・アレハンブラの遺品かと思ったのだがね」

 スノーフィールドでただ一人。『少佐』は白紙のトランプを弄りながら酒を飲む。
 よく考えればそれが自分の手元にあるのが不自然だと気付くべきだった。いや、それとも気付かされないようにされていたと勘繰るべきだろうか。
 下品なストリップバーで琥珀色の瓶からグラスへ酒を注ぎ、一口呑み、そして投げ捨てる。

「お客様いかがなさいました?」

 ガラスのコップが割れた音を聞きつけて慣れた感じで対応する店員に男は言った。

「君は戦争が好きか?」
「は?」
「私は戦争が好きだ。とても、べらぼうに、大好きだ」



   *   *   *



「ハ、ハハハ、アッハハハハハハハッ」

 耽美と狂喜をもってこの世に顕現しようとする魂。
 その属性は混沌。その性質は悪虐。
 暴虐を以て英霊となった故に、呼び出されれば殺劇と破壊をもたらす反英雄。
 噎せ返るほどのアルコールと硝煙と血と臓物の匂いこそがその証左。

「あたしを召喚する奴がいるだって?
 いいぜ。ノッてやるよ」

 血と暴力を求めるならば応えてやろう。望み通りの展開にしてやるよ。
 ああ、勘違いするなよマスター。お前も最後に殺す。あたしを見下すな。


   *   *   *


 次の瞬間、男の席にあったテーブルの上に美脚が載り、そのまま埋まるように蹴り砕かれる。
 宙に浮いた酒瓶を取ってグビグビ呑み始める。
 この手の荒事に手慣れている店員も流石に数秒間石になった。突然見知らぬ美少女が現れて店の備品の破壊し、下品に酒を飲む。
 それでもその少女は美しかった。このストリップバーにいる誰よりも。

「得物はあるか?」
「これでも良いかね?」

 男から少女へ渡されるのはワルサーと呼ばれるドイツの拳銃。それを少女が手に取った瞬間、店員の意識は暗転した。



 数分後、店には血の海が広がっていた。被害者達は何が起きたか知覚すらできなかっただろう。
 元々アンダーグラウンドな風俗店だったため防音処理は完璧であり、故に表には銃声など聞こえようもない。

 いや、仮に聞こえたとして止められる者などいるだろうか。それほどまでに呼び出された英霊は凄まじい。
 細く、瑞々しく、美しい身体に秘められた暴力の密度は桁違いだった。
 男が指揮していた「最後の大隊」幹部クラスかそれ以上。

「見事なお手並みだ。魔法少女(フロイライン)」

 理由もなしに無辜の民を鏖殺させて掛け値なしの賞賛を贈る少佐。
 戦争の火種を生み出すために呼び出されたサーヴァントの正体は『カラミティ・メアリ』。
 ある時空において虐殺をおこなった魔法少女。
 その少女から溢れ出るマスターへの殺意は実に素晴らしいと少佐はさらに賞賛した。

「おい、デブ。あんたがあたしをよんだマスターか」
「そうだよ。私が、君の、マス────」

 言い終わる前に少佐の耳を弾丸が掠めた。
 無論、撃ったのは自分のサーヴァントだ。

「あんたは最後に殺してやる」

 嘲笑を浮かべるサーヴァント。
 それを微笑を浮かべてマスターは迎えた。

「勿論だとも。殺したり殺されたり、死んだり死なせたりしよう」

 それこそが戦争だ。
 それゆえの闘争だ。
 目についた物は片端から壊し、目についた者は片端から殺そう。
 このスノーフィールドは次の聖杯大戦争の、次の次の聖杯大々戦争の火種と成り果てるのだ。

 そして、その先に、私が打ち倒すべき宿敵がいると信じて。













【サーヴァント】
【クラス】キャスター
【真名】カラミティ・メアリ
【属性】混沌・悪

【パラメーター】
筋力:D 耐久:D 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:D 宝具:B

【クラススキル】
 陣地作成:C
 キャスターのクラススキル。
 魔術師の『工房』を形成できる。
 カラミティ・メアリの場合は工房ではなく『縄張り』である。縄張り内部では自分のステータスにボーナスが加わる。

 道具作成:-
 宝具『持ってる武器をパワーアップできるよ』によってこのスキルは失われている。

【保有スキル】
 魔法少女:C
 新米の魔法少女。素の素質が高いため年齢を超越できるCランク。
 BBAって言った奴は前にでろ。

 貧者の見識:B
 相手の本性・本質を見抜くスキル。言葉による偽装を見透かす。
 アーチャーはチャットのログからでも相手の属性を見透かす。
 大英雄『カルナ』の例にもあるように図星を突かれることは人の怒りを買いやすい。
 故にこのスキルがある限り彼女の最終宝具から逃れることは困難となる。

 反骨の相:A++
 自らは王の器ではなく、されど主君を抱かぬ気性。
 同ランクまでのカリスマを無効化する。
 あたしを見下すな。それが全てである。

 加虐体質:A
 戦闘時、自己の攻撃性にプラス補正がかかる。
 攻めれば攻めるほど強くなる一方で理性、防御力、逃走率が下がる。
 カラミティ・メアリの場合は理性の低下は発生しない。

【宝具】
『四次元袋』
 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
 生物・無生物関係なく手で掴めるものを制限なく仕舞いこめる。
 仕舞われた生物は任意に出ることができる。


『持ってる武器をパワーアップできるよ』
 ランク:B 種別:対物宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
 アーチャーが武器と認識しているものの機能を強化できる宝具。
 強化された武器はC~Bランクの宝具になり、例えアーチャーが消滅しようと強化が解除されず、そのまま第三者が使用することも可能。

『中宿上道大虐殺・血は細波を求めている』(ジェノサイダル・ブラッドメアリィ)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:∞(相手が来るから射程の概念がない) 最大捕捉:一人
 魔法少女『リップル』と『トップスピード』への憎悪と憤怒で編まれた最終宝具。
 カラミティ・メアリの最終決戦の場となったホテルプリーステス屋上を『再現』する固有結界。
 発動時に対象とアーチャー以外は固有結界から排斥される。

 発動するためには魔力の他に次の手順を踏む必要がある。
 1.アーチャーが対象を憎悪・激怒すること。
 2.アーチャーに憎悪・激怒された対象がアーチャーを憎悪・激怒すること。
 3.相手が自分の真名を知っていること。

 これらの条件に嵌った場合、アーチャーの『誘い』に相手が『合意』したものとして、
 アーチャーと相手に手裏剣模様の自己強制証紋(ギアス・スクロール)が刻まれる。
 自己強制証紋が刻まれたものは『カラミティ・メアリに逆上した魔法少女』の役割として以下の制約を押し付けられる。

 ・逃げ出せない。
   固有結界内でカラミティ・メアリを仕留めるという観念に陥り、固有結界の維持に必要な魔力は相手側が負担する。
   自己強制証紋を刻まれた相手とアーチャーの宝具・スキルではこの結界は破れないし、抜け出せない。
   令呪もまた同様であり、これらを固有結界攻略のために使用した場合、その魔力が結界の維持に使用されるだけである。
 ・逆上する。
   特殊なスキルでもない限り思考や技巧が鈍る。
   また、精神汚染や狂化スキルで発動できなくなるスキルが封印される

 当時の状況の再現としてアーチャーの武装は全て改修・補充される。
 また、アーチャーは固有結界内で任意のブービートラップを作り出せる。
 罠も武装同様のランクの宝具である。

 この宝具は善人、偽善者、自惚れ屋、自信家、美学がある者が特に嵌まりやすく、
 彼らこそアーチャーが真っ先に殺そうとする『調子に乗った者』なのだ。

【weapon】
初期装備なし。無いなら補給すればいい。

【人物背景】
 かつて森の音楽家という魔法少女によって開かれた魔法少女適性試験の受験生。
 しかし、魔法少女適性試験とは新米魔法少女達の熾烈な殺し合いであり、
 精神・能力が共に暴力的だったカラミティ・メアリは積極的に力を奮った。
 最後は大勢の一般人を虐殺した後、魔法少女リップルと魔法少女トップスピードによって討たれた。
 リップル曰く「捕まえて食らう者」「クズな悪党」。

【サーヴァントとしての願い】
 過去に戻ってリップルとトップスピードを殺す。クラムベリーも殺す。



【マスター】
 少佐@HELLSING

【マスターとしての願い】
 勝ったら英霊(バケモノ)数億騎による聖杯大戦争がしたい。

【weapon】
ルガーP08
ワルサーP38

【能力・技能】
 個人の戦闘能力は皆無に等しい。
 たとえ銃火器を武装しようが至近距離で外す腕前。
 しかし大隊を指揮する指揮官の能力、死の間際であろうと外法による延命を拒む鉄の精神力は人間の枠を超えている。
 重度の戦争中毒者であり、Cランクの精神異常スキルを持つため、誹謗中傷や狂気で揺らぐ精神は持たない。

【人物背景】
 『闘争の本質』と『人間』 に拘ったドイツ第三帝国軍人。
 役職は「ドイツ第三帝国 吸血鬼化装甲擲弾兵戦闘団『最後の大隊』大隊指揮官」
 健常な精神を持つ者から見れば破綻者、狂人の類でしかなく、本人もソレを認めている。
 眼鏡をかけてデブで射撃が下手でなのに戦争を50年も待ち続けた男。
 全身機械化してまで地獄のような戦争に望んだ男。
 全身機械化してまで人間である事をを望んだ男。
 故にここで、この場所で、この聖杯戦争で、彼の人間賛歌と戦争惨禍は止まらない。

【方針】
「軍備を調達しよう。警察とマフィアのどちらから取るべきかな?」
「そうだねぇ、マフィアならアメリカ産の銃が手に入るか」






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最終更新:2016年12月04日 13:33