沢下条張&アーチャー◆lkOcs49yLc




人気のないビル街に、今日も戦いの狼煙が上がる。
其処にいたのは、一人の青年と、一人の武装した剣士。
一人は剣を、一人は銃を構える。
互いに距離を置き、二人は間合いを取る。

「さてと、お手並み拝見といこうか、セイバー。」

そういったのは、銃を持った方の青年だった。
青年に与えられたクラスは「アーチャー」。
そう、弓を操るクラスだ。
そしてその銃が彼にとっての「弓」だ。
アーチャーはその銃に、一枚のカードを差し込む。
そして銃をリロードするような感覚で、銃身を引っ張る。

『KAMENRIDE』

銃から、合図のように電子音声が鳴り響く。
セイバーは、そのプロセスをじっと見守る。
アーチャーは上空に狙いを定め、叫ぶ。

「変身!」
『DIEND』

銃口から放たれたのは、銃弾―ではなく、紋章。
そして彼の周りには複数の幻影が出現する。
バラバラな色を持った幻影は滅茶苦茶にアーチャーの周りを移動していくが、やがては全て彼にくっつく。
アーチャーはそれと同時に変わった黒い姿に変わり、頭上にある紋章が数枚の札に変わる。
札はアーチャーの頭に順番こに突き刺さり、アーチャーの色が徐々に青色へと変わっていく。
これこそがアーチャーの「宝具」なのだ。

「ほう、面白い!」

そう言ったセイバーは、アーチャー目掛けて剣を振りかざす。
だがアーチャーは直ぐにジャンプして避け、上空で回転しながらもセイバーの頭上に銃撃を放つ。
放たれた銃弾は全てセイバーに当たり、セイバーは地面を仰け反る。

「ぐはっ!」

だが、セイバーは怖じけずに直ぐに立ち上がる。
こんな所で怖気づいていたのなら、彼は英霊になぞなっていない。

だがしかし、アーチャーは既に二枚のカードを手に取っていた。

「随分と立ち上がるのが早いね、まぁそういうのは、嫌いじゃない。」

軽い口調でそう言ったアーチャーは、まず片方のカードを銃身のスロットに差し込む。

「武士には騎士だ。」

そして銃身をまた引っ張る。
変身時とほぼ同じ動作だ。

『KAMENRIDE―KNIGHT!』

電子音声が鳴り響く。
更にもう一枚差し込む。

『KAMENRIDE―SASWORD!』

二枚のカードを吸い取った銃を、アーチャーはセイバーに向ける。

「来い!」

セイバーは剣を構え、攻撃に対処せんとする。

「今に来るさ、来たまえ、僕のナイト達。」

そう言って、アーチャーは引き金を引く。
発射された銃弾は複数の影となり、人の形へと変わる。

「フン!」
「ハッ!」

出現したのは、二人の甲冑男だった。
片方は蝙蝠を象った黒い騎士で、黒い西洋式のスピアーを手に取っている。
もう片方はサソリを象った戦士で、毒々しく細い剣を手に取っている。
彼等こそが、アーチャーの使い魔なのだ。

「いってらっしゃーい。」

アーチャーの合図に答え二人の使い魔は走り出し、セイバー目掛けて得物を振り翳す。

「チィッ!」

しかしセイバーも譲る気配はない。
剣を、槍を、生涯を掛けて培ったその武技でいなし、軽々と二人をあしらう。
そしてそれを遠くで見つめているアーチャーは、また一枚のカードを取り出す。
カードをまた銃に差し込み、構える。

「それじゃぁね。」
『ATTACKRIDE INVISIBLE』

その音声とともに、アーチャーは姿をフッと消した。

「ッ!逃げるのか!」

剣と槍を同時に押さえ込みながらも、セイバーは使い魔に戦いを任せ逃げたアーチャーに怒りを向ける。
しかしアーチャーの気配は既に感じられなかった。
だが、

「どうした、そんなものか。」
「オレは剣においても頂点に立つ男だ!」

二人の使い魔は力を緩めてくれない。
このままでは時間の無駄だ。

「クソッ!」

戦いをメチャクチャにされたことを悔しがりながらも、セイバーは霊体化する。
セイバーが霊体化したのに答え、二人の剣士も消滅した。






◆  ◆  ◆




「にしてもほんま、面倒な事になりよったな」

アパートの一室に、箒のような髪型をした細い体型の青年が、退屈そうな表情で寝そべっていた。
男の名は沢下条張。
嘗ては十本刀が一人「刀狩りの張」と言う異名を持っていた男だったが、今では只の密偵だ。
そして今では、米国の諜報員と言うロールを頂いている。

(あめりか……わいには縁のない国やなぁ、そもそも異国に渡ったことすら初めてやっちゅうのに)

あめりか。
文明開化の兆しが見えてきた張からしても、それは大変聞き慣れた国の名である。
黒船を連れ、鎖国を解いた西洋の大国。
張はこの様な国には来たことすら無いし、来るつもりもなかったが、まさかこの様な形で来ることになるとは思いもよらなかった。
見たところ、この米国とやらは確かに優れた国家だ。
軍事力、財力、ありとあらゆる面で日本を凌駕している。
今にしてみれば、日本が頭を下げたのも、ある意味では正解だったのかもしれない。

(悪かなかへんがなぁ、あめりかとやらも、さて、あの方が見たらさぞ何ということやら)

ふと、嘗て己が頭を下げた志々雄真実の顔が思い浮かぶ。
日本を喰らい尽くそうと、あのような暴虐を尽くした彼だが、もし彼が国盗りに成功したのなら、恐らく近いうちにこの「あめりか」にもその刃を向けてくるに決まっている。
征服欲が服…もとい包帯を巻いて歩いているような人間だ。
況してや、日本が幕末の世を迎えた切っ掛けの一つともなった黒船を送った国。
日本にその強大さを思い知らせ、屈服させた大国。
そうともなれば、志々雄は日本をとった暁にはこの国に攻め込んでくるのは、まず確実な事になるだろう。
勝てるかどうかは、また別の話だが。
しかし、米国に来てしまった以上に張が驚く事は山程ある。

(しっかし、よもや150年後の未来に来てしもうことになるなんて、有りえへん話やなぁ、ほんま。
前代未聞や、まぁ所謂「たいむすりっぷ」みたいなモンやろか)

成る程、たしかに150年後ともなれば、此処まで米国が大国になるのは驚くべきことだ。
それに何より、此処には張のいた時代ではあり得なかったような代物が山のようにある。

「てれび」という、絵が動く箱や「携帯電話」という、電話局を介せずとも連絡が取れる小型電話。
何れにしても、張からしてみればまるで魔法のような代物だ。
実際張もロール上で使ってはいるが、どれもこれも使うのには一苦労だ。
刀を振るってきた自分には、からくりなど性に合わない。
志々雄にくっついていた「百識の方治」が見たらさぞ何というのだろうか。

(ま、あのオッサンなら確実に馴染みそうではあるんやけどな、こーひーやら軍艦やらにも馴染んとったみたいやし。
しっかし、こんな奇天烈な話もあるんやなぁ……)

張は、一度己がこの聖杯戦争という催しに乗せられた切っ掛けを想起してみる。
始まりは、志々雄真実が大型甲鉄艦を入手したルートを探していたときのことだった。
その時に偶然、一枚の札を手に取ったのだが、これがまずかった。

(あん時にこれ取んなかったらなぁ……望む願いなぞあらへんし、ますます面倒な事になってきてしもうた……
さて、あの札は何処で何をやらかしとることやろな)

張は夜空を見上げながら、自分が召喚したサーヴァントの事を考える。
とその時。

「戻ってきたよ、マスター。」

不意に、幽霊のように一人の変わった形の青色の人型が実体化する。
その身体には、線という線があちこちについていた、
手にも足にも肩パッドにも頭の装飾品にも、おまけに右手に取っている拳銃にまで、線のような装飾が付けられている。
線が付けられていないのは、精々が左手に取ってある日本刀ぐらいのものであろうか。
この様な異様な風貌をした男が、張の喚んだサーヴァント、アーチャーである。

「サーヴァントを複数確認したよ。クラスはセイバー。最近召喚されたマスターらしいけどね、情報が手に入り次第殺しておくつもりだよ。」
「乗り気やなぁ、あんた、そんなに欲しいんか?聖杯とやら。」

床から上半身を起こした張は、驚いたような表情でアーチャーの報告に答える。
生憎だが、張が求めるのは飽くまでも「刀」だ。
聖杯なぞ求めても何の意味もない。
強いて言うのなら、明治の世に現存する全ての刀の情報が欲しい、と言うぐらいなのだが。

「ワイは聖杯なんぞに興味なぞあらへん、それぐらいあんたにくれたるわ。
ほんで、あんたはどうして聖杯を求めるん?」
「時代遅れの人に言うのも気が進まないんだけどね、まあ教えてあげるよ。僕にも願いなんてない。
強いて言うのなら、只聖杯という、このSE.RA.PHのお宝が欲しいだけなんだよ。」
「聖杯をお宝に……それで、どうするつもりなんや。」
「やだね、君には関係のないことだ、余計に人に突っかかると、嫌われるよ。」

その言葉に張はカチンと来る。

「な、何やとぉ!!」
「当たり前のことを言っただけだよ、箒頭君。」

随分と煽りが上手な性格だ。
もし斎藤一と出会ったら、どんな毒舌合戦が来るのやらと思うぐらいに彼の発言には毒がある。

「にしても、君が聖杯を求めないというのには都合がいい。
もし僕が聖杯を手にした暁には、君を元の世界に戻しておいてあげるから、感謝してくれたまえ。」
「恩着せがましい言い草やなぁ、ほんま。」

アーチャーの人を食った様な態度に、張は溜息をつく。

(随分と疲れるわ、此奴の相手するちゅうのは……全く、誰に似とるんやろうか……)

張は僅かに感づいてはいた。
アーチャーの性根が、己に似ていることを。
極上の得物を見つければ取んでいき、標的は誰にも渡さない。
輝ける力の全てを手にしようという、その野望を彼方まで掛けていくその欲望は、この二人を良く締め付けていた。

二人の足は止まることを、知らない。













【クラス名】アーチャー
【出典】仮面ライダーディケイド他
【性別】男
【真名】海東大樹
【属性】混沌・中庸
【パラメータ】筋力C 耐久B 敏捷B+ 魔力D 幸運C 宝具B(ディエンド変身時)

【クラス別スキル】

単独行動:A
マスターとの魔力供給を絶っても現界を保つ能力。
Aランクなら、マスターが死んでも1週間は現界していられる。


対魔力:E
魔力に対する耐性。
無効化はせず、ダメージを多少軽減する。


【保有スキル】


仕切り直し:A
戦闘から離脱する能力。
また、不利な戦闘を初期状態に戻せる。


騎乗:C
乗り物を乗りこなす才能。
大抵の乗り物は人並み以上に乗りこなせる。


泥棒:A
宝物を集めるために盗みを働く男。
「破壊工作」「コレクター」の複合スキル。


気配遮断:A+
自らの気配を遮断する能力。
ただし、戦闘中は解除される。



【宝具】


「宝物狙う札使いの線銃(ディエンドライバー)」

ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1

大ショッカーが開発した、拳銃型次元転換開放装置。
これにライダーカードを装填することで、アーチャーは「仮面ライダーディエンド」へと変身する。
ディエンドに変身することでアーチャーはまともに戦うことが可能となる。
更には、高速移動、透明化、そしてカメンライドカードによる仮面ライダーのエネルギー体の召喚を得意とする。
召喚された仮面ライダーはアーチャーの思うがままに動くが、ライダーは魔力の塊であるため、そう何体も召喚できない。


「劇場の8人映す蒼の端末(ケータッチ)」

ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:30 最大捕捉:9

アーチャーが生前、時間警察から横流ししてもらった携帯電話端末。
「ネガの世界」に存在する同物の色違いではあるが、基本スペックは同じ。
これをバックルに装填することでアーチャーは「コンプリートフォーム」へと変身する。
ただし、彼が操るのは「G4」「リュウガ」「オーガ」「グレイブ」「歌舞鬼」「コーカサス」「アーク」「スカル」の8人である。
必殺技は8人の必殺技を同時にぶつける「アタックライド・ゲキジョウバン」。


【Weapon】

「ディエンドライバー」


【人物背景】

「お宝」を探し求める、仮面ライダーディエンドに変身する青年。
幾つにも存在する並行世界における「お宝」を汚い手段を使ってでも入手しようとしており、その度に士一行と対立している。
門矢士の事を知っており、ついでに彼の苦手な食べ物まで知っている。
その背景には、兄、純一をフォーティーンに洗脳された後悔があったらしく、その空虚さを埋めるために宝探しをしていたという。

飄々としていて掴み所がない性格。
当初はその過去故に人との繋がりを軽蔑していたが、純一との戦いを経て考えを改める。
士一行とも仲間意識が強くなっていったが、一方で黄金の拳銃を手に入れようとしてデンライナーの乗客や時間警察と対立していたりと根は相変わらずな模様。
此度の聖杯戦争においては、マスターの影響で其処の側面が強くなっている。


【聖杯にかける願い】

聖杯をくれっ☆



【マスター名】沢下条張
【出典】るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
【性別】男


【参戦経緯】

志々雄関連の調査をしていた所で一枚のトランプを拾った。


【Weapon】

「連刃刀」

新井赤空製殺人奇剣。
普段は二振りの刀だが、合体させることで2つの刃がついた刀となり、連続で同じ傷を付けることで縫合を不可能にさせ傷を壊死させると言った物。


「薄刃乃太刀」

新井赤空製殺人奇剣。
鞭のようにしならせられる長い長い刀。
普段は腰に巻きつけている、危ない危ない。


他にも刀は持ってきているはずだが、彼が持ってこられたのはこの二振りのみ。

【能力・技能】


  • 剣術
十本刀の中でも中の上程の実力者。


  • 密偵
斎藤一の下で密偵を行っていた。
作中では外印の所業などを突き止めていた


【人物背景】

志々雄一派の精鋭「十本刀」において「刀狩の張」と言う二つ名を持つ男。
亡き刀匠、新井赤空の殺人奇剣を求めて刀を狩っている。
逆刃刀・真打を狙い緋村剣心に戦いを挑むが敗れ去り、獄に繋がれる。
その後は斎藤一の下で密偵を行っている。

関西弁で喋るひょうきんな性格。
子供に好かれやすい。

【聖杯にかける願い】

とっとと帰りたい。







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最終更新:2016年12月07日 16:27