ジョルノ・ジョバァーナ&アーチャー◆DIOmGZNoiw


 ジョルノ・ジョバァーナは、石段に腰を下ろし、感嘆の息を吐いた。視界に広がる世界は、すでに見慣れた世界ではない。生まれ育ったイタリアでも、ましてやスノーフィールドでもない。
 そこは、見渡すかぎりの財宝の海だった。この世に現存する古今東西の伝説上に語られる宝具の原点がそこかしこに転がっている。剣に槍、斧に弓、食器から飛行船まで。この蔵に存在する宝の中に、ただのひとつとして贋作は存在しない。すべてが正真正銘の、宝の山だった。その宝と宝の間を埋めるように、大小様々な金塊がうず高く積み上げられている。黄金の蔵、という印象をジョルノはいだいた。
 この世に現存する宝と黄金をありったけ集めれば、或いはこの景色を再現することはできるのかもしれない。だが、ひとりの人間の力でそれを実現することは、決定的に不可能だ。莫大な富と権力を持て余した富豪が一生を費やしたところで、これだけの財宝を集めきれるわけがない。
 莫大な数の宝の山。無限の財宝。総数を数えることは、最早物理的に不可能。人ひとりが一生遊んで暮らしても足りぬ程の富。それが今、眼前に積み上げられている。
 ジョルノは、この荘厳なる光景が自分の心象の内にあるものでないことを、理解している。誰の夢であるのかも、理解している。

 その男は、神話の時代の終わりに誕生した、半神半人の魔人。
 神にも人にも理解されず、自らの存在のみを法となし。
 この世のすべてを手中に収めた、世界最古の英雄王。

 輝かしい英雄王の夢の一部を、それでもジョルノは、どこか凪いだ気持ちで眺めていた。
 漠然とした他人の夢を、物語の外から眺める語り部のような心持ちでいた。

 ジョルノ・ジョバァーナには、夢がある。黄金のように尊い夢がある。
 それは、眼前に広がる見渡すかぎりの黄金と比べれば、ちっぽけなものだ。だけれども、散っていった仲間たちに誓った夢は、いかな無限の財宝を積まれようとも、その光輝に眩まされることはない眩さを秘めている。
 その夢と比べれば、眼前の財宝の海は、どこか、虚しいものであるように感じられた。
 蔵に積み上げられた財宝は、確かにどれも美しく、かけがえのない宝ばかりなのだろう。それはジョルノにもわかる。だけれども、ジョルノがこの胸にいだいた夢もまた、眼前の黄金すべてと比べても遜色はしない光輝を放っている。だからジョルノは、今更物理的な黄金を見せられた程度でひるみはしない。
 ふと、背後から感じる気配に振り返ったとき、そこに金髪の男がいた。鍛え上げられた上半身をさらけ出した半裸の男だ。その男が、笑った。嘲るような笑みだが、敵意は感じられなかった。その笑みの意図を探るうちに、ジョルノの意識は現実へと引き戻された。


 規則的に体を揺さぶる車の振動の中、ジョルノはふと目を覚ました。
 短い時間だが、夢を見ていた気がする。小さくかぶりを振って、靄の掛かったような思考を覚醒させる。窓の外を見ると、ジョルノが生まれ育ったイタリアとは似ても似つかない景色が広がっていた。近代的なビルの立ち並ぶアメリカ、スノーフィールドの街並みだ。車の中で、移動中にまどろんでいたらしい。自分でも気付かないうちに疲れていたのかもしれない。

「お目覚めですか、GIOGIO(ジョジョ)」

 運転手がミラー越しに視線を向ける。ジョルノが支配する組織、パッショーネの構成員だ。今日はこうしてジョルノの送迎を買って出てくれている。
 ええ、と短く返したジョルノは、どこか現実感の伴わない意識のまま、再び窓の外の大都会へと視線を投げた。自分のおかれた状況を思い出す。
 実物となんら遜色しない街並みだが、このスノーフィールドが現実世界でないことを、ジョルノは知っている。この空間は、月の聖杯戦争に参加するマスターとサーヴァントのために用意された擬似空間だ。その中で、ジョルノにはこの擬似空間で生活するための設定(ロール)が与えられている。ジョルノは、自らに与えられた役割をまっとうすることにした。

「今回の交渉、上手くいったようでなによりですね」
「ええ、一悶着あるかと思っていましたが、相手方も話の分かる組織だったようで、安心しました」

 交渉。それが、ジョルノに与えられた設定のひとつ。台本の筋書き。
 交渉相手は、アメリカに本部を置くスピードワゴン財団だ。彼らと協力関係を結ぶため、財団に指定された場所――スノーフィールドまで足を運んだ。流石に世界を牛耳るスピードワゴン財団に対して、重要な交渉を、幹部や部下に任せっきりにするわけにもいかない。相応の相手と認め、ボスであるジョルノが直接遠いアメリカまで出張ってきた。という設定だ。
 実際、スピードワゴン財団と協力関係を結ぶ、という話自体は現実世界でも上がっていたので、設定としては無理なく、現実感もあると、ジョルノは感じていた。
 最前の運転手との会話の通り、交渉の結果自体は上々だった。スピードワゴン財団としても、イタリアを広く支配するパッショーネと裏で繋がりを持っていたい、という思いがあったのだろう。それはパッショーネとしても同じだ。ジョルノの交渉の甲斐あって、今後は両組織の間に協力関係が結ばれることになった。これで、ジョルノの組織はかつてディアボロが支配していた時代よりもずっと動きやすく、そして頼もしい後ろ盾を得たことになる。
 スピードワゴン財団には、表立って動く「悪」が現れた時、それを察知し正面から叩き潰すために動くスタンド使いの協力者がいる、という噂を聞いたことがある。空条なんとかいう名前だったとは思うが、確かではない。
 表立って動く「邪悪」を駆逐する「正義の十字軍」がいるとするなら、彼らが動けない、裏の世界で暗躍する「邪悪」を潰すのが、ジョルノらのパッショーネだ。街を穢す「邪悪」をひとりでも多く排斥するためには、そういう結託も必要だと思われた。少なくとも、ジョルノは自らの組織の役割をそう捉えている。
 いずれ現実世界に戻った際のシミュレーションと思えば、悪くはない結果だった。

 ジョルノが聖杯戦争の真実に気付いたのは、些細な違和感が原因だった。
 この街に入ってからというもの、記憶が不鮮明だったのだ。あらゆる記憶が、ところどころ欠落している。いったいなぜ、不自然と思わないのか、それが不自然であることすら考え付きもしなかった。それそのものが不自然だというのに。
 そもそも、ジョルノはなぜ、ボスとしてこの国へ入国するに至ったのか。組織のボスという類まれなる環境に身をおきながら、ボスになるまでの経緯が思い出せない。これが最初の違和感だった。なにか、忘れてはいけないことを忘れている、と。直感的にそう思った。そう感じてからは早かった。組織のボスとして、ジョルノにはやるべきことが、夢がある。悪を制するギャングスターとなって、麻薬や汚職で汚れきった街を浄化する。そういう、散っていった仲間に誓った黄金のような夢がある。

 そこまで思い出した時、脳裏に蘇ったのは、かつてジョルノが所属した組織のチームリーダー――ブローノ・ブチャラティの姿だった。

 かつてのボス、ディアボロとの最後の戦いで、空へ昇っていったブチャラティの魂の気高さを、ジョルノは思い出した。連鎖するように、ここに至るまでのあらゆる記憶が蘇る。ジョルノには、この聖杯戦争で成し遂げねばならぬ目的があった筈だ。
 それを思い出した時、ジョルノの黄金のような精神に呼び寄せられた英雄は、ようやくその姿を表した。

「なんだ。既に聖杯戦争が始まっているのかと気が気でないか、雑種」

 ジョルノの後方で、皮で出来たソファーに深く腰掛けた英雄が、嘲りの笑いをとともに問うた。窓に向かい合っていたジョルノが踵を返し、英雄に視線を向ける。
 はじめてジョルノの前に姿を表したとき、その英雄は、全身を覆う黄金の鎧を身に纏っていたが、今は違う。鎧を脱ぎ捨て、髪を下ろしたアーチャーは、一件ただの小奇麗な金持ちの若者、といった風情をしている。だけれども、その所作から滲み出る高貴さと気高さが、彼が凡夫ではないことを示している。彼こそは、世界最古の王。この世の財宝を集めきり、無限の富を蓄えた黄金の英雄王。今回はアーチャーのクラスで召喚されている。
 アーチャーは自らの蔵から取り出した黄金の盃に、同じく蔵から取り出した酒を少量注ぎ、呷る。それを嚥下してから、鮮やかな真紅の瞳でジョルノを見た。燃えるようなその虹彩の色に反して、視線はずいぶんと冷ややかだった。

「僕を『気が気でない』というなら……あなたは逆に……ずいぶんと余裕そうですね」

 鼻で笑って、アーチャーはもう一口、黄金の杯の酒を呷った。

「当然だ。我(オレ)がなにを焦る必要がある。そも、この聖杯戦争は貴様の戦争であろう。我は無聊の慰めに、貴様の足掻きを眺めるだけよ」

 アーチャーの言った通り、既に両者の間で話はついている。
 ジョルノの目的は、聖杯を獲ることにある。しかし、アーチャーはそもそも聖杯に興味がない。ゆえにアーチャーはジョルノには従わない。さらにいえば、アーチャーにはジョルノの部下という認識は露ほどもない。逆だ。ジョルノが、アーチャーに縋り付いて助けを乞う側なのだという。
 そこまで傲岸不遜に己を貫くアーチャーがそれでもジョルノに付き合うのは、先の言の通り、無聊の慰め――要は暇潰しだ。

「雑種。貴様は我に、聖杯に託す願いはないと言ったな」
「ええ、言いました。しかし、聖杯は獲ります……絶対に」
「ハ、願いを持たぬ男が、なにを拠り所に戦うというのか」
「言ったはずです。このジョルノ・ジョバァーナには夢がある」

 視線を逸らさず、英雄王をまっすぐに見据えたまま、ジョルノは己の意思を述べる。

「そして、夢とは……自らの力で叶えるものだ。僕の夢に、聖杯が介在する余地はない」

 それは、黄金のように気高い夢。
 ギャングによって腐り切った街を、ギャングスターのジョルノが救う。
 麻薬を売買する者を徹底的に始末して、この世に存在する麻薬を根絶する。
 汚職にまみれた役員を、そして私腹を肥やすことしか考えない公務員を排除する。
 聖杯に願えば容易いまでも、人の身でこれらすべてを成し遂げるのは、困難であるように思われる。
 だけれども、その夢のために近道をしようという考えは、ジョルノにはなかった。それぞれの夢をかけて、聖杯戦争に参加した者を皆殺しにして頂点を掴み取るというやり方は、結果だけを追い求めた以前のボスとなんの違いもない。
 ジョルノは、そういうやり方を求めない。

「ほう、それは矛盾だな。貴様はこの戦争を気に入らぬと断じた。だが、戦争には乗る? 綺麗事を並べ立てようと、それでは聖杯を狙う凡百の簒奪者どもとなにも変わらぬではないか」
「聖杯は獲る。しかし、マスターは殺さない。サーヴァントだけを『始末』する」
「話にならぬ。他者を殺めることを躊躇せぬ外道がマスターが相手でも、同じことが言えるのか」
「そういう人間が相手なら、話は変わってくる。そういうやつらもまた、例外なく『始末』するのが僕の仕事です」

 一切の淀みも衒いもなく、ジョルノは即答した。
 命は尊重する。だが、命を摘み取る悪が相手ならば、ジョルノ自身も悪となって、それを排除する。
 悪を制して、正義をなす。ギャングになってからというもの変わることのなかった、裏世界での生き方だ。
 深く息をついたアーチャーは、もう一度あの冷ややかな視線をジョルノに送った。

「ハ、貴様は度し難いほどに歪んだ男よな。――いや、まあ、それはよい。で? 聖杯を獲らんとする貴様の目的は」
「二度とこんな戦争を起こさせない。そして……聖杯が願いを叶える願望機というなら……この戦争で傷付いた人々に救済を」
「そうかそうか! ならば重ねて問おう。貴様と同じ『尊い志』を持ったマスターとサーヴァントが相手なら?」

 尊い、という言葉を強調して、アーチャーは嘲りの問いを投げる。

「その時は、協力することも視野にはいれます。だが、最後に聖杯を獲るのは僕だ……そこは変わらない。そして……僕にはそれを成し遂げるだけの『覚悟』があるッ!」

 ジョルノの言葉もアーチャーからしてみれば予想通りだったのだろう。
 諦念混じりに笑みを浮かべたアーチャーは、再び金の盃を取った。

「これだ。この道化っぷり、どこまでも度し難いものよな」
「道化、この僕が?」
「道化でなくて何とする! まったく、不遜にもこの我を喚んだ魔術師が、どれほどの猛者かと思えば……聖杯を獲るため、他者を蹴落とすならばまだ話は分かる。それこそが遍く魔術師の懐く正しき目的なのであろうよ。だが、見よ。蓋を開けてみれば、貴様はただの『救世主気取り』ときた――これでは興醒めもいいところだ。最早此度の聖杯戦争の愉しみなど、貴様の奮戦ぶりを眺めて嗤うほかにはあるまい」

 言いつつ、アーチャーの口元の笑みは深まっていた。口角が不敵につり上がっている。それがなにを意味する笑みなのか、ジョルノは図りかねる。だがしかし、なんと言われようと、笑われようとも、ジョルノの意思は揺らがない。今更他者になにか言われたくらいで、考えを改める程度の覚悟であるなら、そもそもジョルノは組織のボスになどなってはいない。
 聖杯に願う望みがあるとするなら、この聖杯戦争によって人生を捻じ曲げられた無辜なる人々を救済すること、のみだ。他に願うことなどなに一つとしてない。その必要もない。
 ギャングによって汚された街は己の力で変える。自らの力で、良い方向へ進むようにと願いながら、真実へ向かって歩いて行くことに意味があるのだ。結果だけを追い求めた上っ面の言動は、いつか必ず滅びるということを、ジョルノは誰よりも理解している。
 言い返そうとしたジョルノを制するように、アーチャーが軽く片手を上げた。

「だがな、雑種。貴様のような道化を眺めるのは……これはこれで、存外に『愉しい』という思いもある。人の身に余る救世の大望を背負い込み、苦しみ、足掻く、その葛藤……慰みモノとしては上等だ」

 アーチャーの意図が汲み取れない。ジョルノほどの男が、アーチャーの真意ばかりはいつも読み切れない。
 返す言葉もなく、視線のみで応えるジョルノに、アーチャーは笑みを向けた。

「我の言わんとすることが判らぬか、雑種」
「ええ……言いたいことがあるならハッキリと伝えたらどうです、アーチャー」
「ハ、どこまでも慇懃無礼な返事をする。つくづく礼儀を知らぬ男よな、貴様は」
「それはどうも。褒め言葉ととっておきます」

 一瞬眉をひそめたアーチャーだったが、すぐに相好を崩し、表情に浮かんだ陰は鳴りを潜めた。

「フン、まあよい。精々、己の限界に挑み、奮戦することだ。案ぜずとも、貴様の足掻く様は我が見届けてやる。道化とはいえ、仮にも貴様は我がマスターゆえな」
「そうですか……、ありがとうございます」

 今度は軽く頭を下げた。
 アーチャーが、再び笑った。

「確かに貴様は愚かな道化だ。だが、同時に貴様には我の無聊を慰める責務がある。それが早々に壊れる様を見せ付けられることほどつまらぬこともあるまい……事によれば、我が力を下肢してやってもよいのだぞ」
「それは……このジョルノ・ジョバァーナに……力を、貸してくれる……と、捉えても」
「たわけが、付け上がるなよ雑種。道化なりにも見込みはある、それだけだ。無条件にいつでも力を下肢してやるなどと思ったら大間違いよ」

 今度はジョルノが眉をひそめる番だった。アーチャーの考えが、上手く読み取れない。

「あなたが言っていることは、つまり……その時々の気まぐれで戦う、と……そういうことですか」
「ハ、当然であろう。言ったはずだぞ、これはあくまで貴様の戦争だとな。ゆえにくだらぬ期待は捨てておけよ雑種。妙な期待は貴様の足元を掬うぞ」

 アーチャーの真紅の瞳が、突き刺すようにジョルノを睨めつける。視線だけで射殺されそうな威圧感だったが、それでもジョルノは、自らと肩を並べて戦う英霊を前にして、下手な緊張を表に出したりはしない。毅然とした態度で、アーチャーからは微塵も視線を逸らさない。数瞬の沈黙ののち、杯に盛られた酒をすべて飲み干したアーチャーは、すっくと立ち上がり、再び嘲りを含んだ笑みを見せた。

「もっとも、貴様がそのようなくだらぬ期待に殺される程度の男ならば、それでもよい。その時は、我も大人しく座へと帰るのみよ。だが、そうでないなら、証明してみせよ」
「証明……?」
「貴様が我にとって認めるに足る存在であると示せば、ともに戦ってやらぬこともない」
「ふむ。もしもそうなったら……きっと、何よりも心強い味方となってくれるのでしょうね」
「フン、当然であろう。この我を誰と心得る。我こそは、世界最古の英雄王ぞ! 貴様が我を飽きさせぬ限りにおいては、我もまた物見遊山がてら務めを果たしてやってもよい」

 くつくつと不敵に笑うアーチャーの傍らに、金の波紋が広がった。

「ただし――我を失望させるなよ、雑種。もしも失望させた時は……」

 波紋の内部から射出された金の短剣が、ジョルノの首筋を擦過して、背後の壁に突き刺さった。首筋に傷はついていないが、しかし確かな熱を感じる。額を、冷や汗が伝う。
 もしもジョルノがアーチャーを失望させた時は、その時は――死よりも重い刑罰が待っている。玲瓏な眼差しで言外にそう告げたアーチャーは、まるで大気に解けるようにその姿を消した。霊体化したのだ。こうして魔力消費を抑えながら、気が向いた時だけ姿を見せる。物見遊山がてら、とは言ったが、本当に気まぐれで現れ、気まぐれで戦場を引っ掻き回していくつもりなのだろう。であれば、彼が言ったように、対サーヴァント戦において、ジョルノはアーチャーの戦力にあまり期待するわけにはいかない。
 自分一人でも戦っていく方法を模索する必要がある。サーヴァントと二人一組の相手に、ジョルノひとりで戦っていく方法を、考えなければならない。成程、そう考えれば確かに前途は多難だ。
 しかし、不可能だとは思わなかった。

 ――おまえの気高き『覚悟』と……
 ――黄金のような『夢』に賭けよう、ジョルノ・ジョバァーナ。

 はじめてブチャラティと出会った時にかけられた言葉を、ジョルノは今も覚えている。
 ジョルノ・ジョバァーナには仲間たちに誓った夢がある。黄金のような気高さに満ちた夢がある。
 状況は困難だが、たとえ一歩ずつでも、真実に向かって歩んでいく。その在り方は、どこにいようとも決して揺るぐことはない。黄金の英雄王の真意は読めないが、そんなジョルノだからこそ、彼も一応は味方側についてくれているのだろう。
 ふう、と一息ついて、ジョルノは、背後の壁に突き刺さった短剣に視線を送った。金の短剣が、粒子となって消えていく。夢で見た、あの莫大な数の宝物と金とを収めた蔵へと還ったのだろう。
 あの黄金の夢を共有したジョルノは、不思議と英雄王に対し、嫌悪感は感じてはいなかった。傲慢で、鼻持ちならない英霊だとは思うが、それでもジョルノには、彼の気高さは誇り高いものであるように感じられた。
 戦力として期待はできない。できないが、英雄王とならば、やってやれない気はしない。そういう不思議な確信があった。
 窓際に立って下界を見下ろしたジョルノは、これから始まる過酷な戦いに思いを馳せて、しかし、不敵に微笑んだ。



【出展】Fate/Grand order
【CLASS】アーチャー
【真名】ギルガメッシュ
【属性】混沌・善
【ステータス】
筋力B 耐久C 敏捷C 魔力B 幸運A 宝具EX

【クラス別スキル】
対魔力:E
 魔術に対する守り。無効化はできず、ダメージ数値を多少削減する。

単独行動:A+
 マスター不在でも行動できる能力。もはややりたい放題。

神性:B
 最大の神霊適正を持つのだが、ギルガメッシュ本人が神を嫌っているのでランクダウンしている。

【保有スキル】
カリスマ:A+
 大軍団を指揮・統率する才能。
 ここまでくると人望ではなく魔力、呪いの類である。

黄金率:A
 身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
 大富豪でもやっていける金ピカぶり。一生金には困らない。

バビロンの蔵:EX
 ギルガメッシュは財宝のコレクターでもある。
 地上のものはすべて集めた、とは彼の口癖だが、それは比喩でもなんでもない。
 彼は彼の時代において発生した、あらゆる技術を集め、納め、これを封印した。

【宝具】
『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』
ランク:A++ 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000人
 エヌマ・エリシュ。
 乖離剣エアによる空間切断。
 圧縮され鬩ぎ合う風圧の断層は、擬似的な時空断層となって敵対するすべてを粉砕する。
 対粛正アーマークラスか、同レベルのダメージによる相殺でなければ防げない攻撃数値。
 乖離剣エアは剣のカテゴリではあるが、その在り方は杖に近い。三つの石版はそれぞれ天・地・冥界を表し、これらがそれぞれ別方向に回転することで世界の在り方を示している。この三つすべてを合わせて宇宙を表しているとも。アルトリアのエクスカリバーと同等か、それ以上の出力を持つ「世界を斬り裂いた剣」である。

『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』
ランク:E~A++ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足-
 黄金の都に繋がる鍵剣。
 空間をつなげ、宝物庫にある道具を自由に取り出せるようになる。
 所有者の財があればある程強力な宝具になるのは言うまでもない。

【人物背景】
 言わずと知れた英雄王である。
 今回はGrand orderからの参戦のため、このギルガメッシュ自信に他の聖杯戦争の記憶はない。が、他の聖杯戦争で戦った自分自身を知識として知っていてもおかしくはない。

【サーヴァントとしての願い】
 とくになし。

【基本戦術、方針、運用法】
 ギルガメッシュは気が向いた時、または気まぐれでジョルノを助けることはあるのだろうが、ジョルノがギルガメッシュに助けを求めることは(よほどのっぴきならない状況でない限りは)おそらくない。
 しかし、もしもジョルノがギルガメッシュに助けを乞うのであれば、ギルガメッシュは助けてやるつもりである。一応当分は見殺しにする気はない。



【出展】ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風
【マスター】ジョルノ・ジョバァーナ
【参加方法】
 部下が手に入れた白紙のトランプを偶然手に取った。

【人物背景】
 ジョジョの奇妙な冒険 第5部主人公。
 父親は邪悪の化身DIOだが、その肉体はジョナサン・ジョースターであったため、ジョルノにはDIOのカリスマ性と、ジョナサンの誇り高き黄金の魂の両方が受け継がれている。
 ギャングによって腐り切った街を救うため、ディアボロを頂点とする組織・パッショーネに入団し、組織を内部から変えるため、ブチャラティらとともにボス・ディアボロを打倒するために戦った。
 現在は自らがパッショーネのボスとなり、街の浄化のために日夜戦っている模様。

【能力・技能】
『ゴールド・エクスペリエンス』
 破壊力 - C / スピード - A / 射程距離 - E(2m) / 持続力 - D / 精密動作性 - C / 成長性 - A
 テントウムシがモチーフの接近パワー型。触れた物体に生命力を注ぎ込み、無機物から動物や植物といった生物を生み出す能力を持つ。
 既に生きている生命を殴るなどして、更に生命力を注いだ場合、過剰になった生命力が暴走を始め、対象は動作やものの見え方が非常にゆっくりとなる。もしこの状態で攻撃を受けると、ゆっくりとダメージを受けて行き必要以上の痛みを感じることになる。

【マスターとしての願い】
 聖杯を獲る。叶える願いは、此度の聖杯戦争による犠牲者の救済。
 その後は、二度と聖杯戦争が起こらないようにする。

【令呪】
 左手の甲に三角。

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最終更新:2017年01月27日 02:56