「それで、用件は何かしら。用があるからここに来たのでしょう?」
「・・・」
「どうしてラブにつきまとうの」とか、正面からぶつかっていっても、
まともに答えてくれないだろう。だから、変化球。
まず、恋愛運を占ってもらい、好きな人との恋が成就するか聞く。
もし、好きな人と結ばれるとか、せつなが言ったら、占いはデタラメ。
だって、アタシに好きな男の子なんていないもの。
占いがデタラメと知ったら、ラブだって目が覚めるだろう。
アタシの作戦、完璧。
アタシは少し顔を伏せ、真剣な表情を作ってから、顔をあげた。
「親友のラブやブッキーにも話していないんだけど、内緒にしてくれる?」
「勿論よ、私達友達じゃない。それに占い師は守秘義務があるし」
「ありがとう、実はね・・」
「分かったわ。恋愛運を占えばいいのね」
「ええ」
両手で水晶玉を撫でるような動きをしながら、真剣な表情で水晶玉を見つめるせつな。
嘘の占いと分かっていても、ドキドキする。
「何か見えた?」
「ええ。貴方の好きな人は、とても人気者のようね」
「まるで、太陽のように周りの人を惹きつける。」
「でも、貴方はその周りの惑星の一つにすぎない」
「恋愛は成就しないとは言わないけど、かなり前途多難なようね」
「やっ」
ぱり占いはデタラメだったのね。そう続けようとした。
でも先にせつなが言った。
「ふふっ。貴方の好きな人はラブね」
ぐわんぐわん頭が鳴り響く。
すぐ前でしゃべるせつなの声も、どこか遠くから聞こえる。
「心配しないで、私とラブは仲の良い友達。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「私、貴方の恋の応援してあげる」
「もし迷うことがあったらこの占いの館へいらっしゃい」
そして、せつなの声は聞こえなくなった。
アタシがラブの事を好き・・・
分からない。
けど、ひとつだけ分かったことがある。
せつなへの感情。
アタシだって芸能人のはしくれ。
芸能界にはいっぱい嫌なやつがいる。
でも、どんなことをされても、アタシは嫌な顔をしない・・自信がある。
それが仕事だったら。
けど、せつなは違った。初めて会った時から。
はっきり言って気に食わなかった。
それがラブに馴れ馴れしく近づこうとする(ように見える)せつなへの嫉妬だったなんて。
だんだん、目の前が暗闇に閉ざされる
思考が真っ黒に塗りつぶされてゆく・・
それからどうやって帰ったのかは覚えていない。
気付いたときは家の前だった。
その頃。
占いの館。
「何故だ、イース。何故、プリキュアを逃がした!!」
「怒鳴らなくても、聞こえるわよ、ウエスター」
「・・・」
「プリキュアは一人一人では、到底、私達の敵ではない」
「確かに」
「でも、3人束になってくれば、想定以上の力を出すことがある」
「・・・」
「青のプリキュアがいなくなれば、残りのプリキュアは探すはず」
「あの黄色のプリキュアは私を疑っている。今正体を知られるのは得策ではない」
「それにプリキュア討伐の命をメビウス様から直々にいただいたのは、この私イースよ」
「イースがそう言うなら、僕は何も言わない」
そう言って、サウラーは部屋を出ていく。
「ウエスターは?」
「くそ・・気に食わない」
「あら、そんなこと言っていいのかしら。FUKOは全然溜まっていないじゃないの」
「・・・」
「あら、どこ行くの」
「ちょっと、外に出てくる」
そう言って、ウエスターは部屋を出ていく。
部屋には、イースただひとり。
思い出すのは、せつなを見る、美希の冷静な眼。
一番難関だと思っていた青のプリキュアは私の手に落ちた。
最後の一人。
それさえ、手に落ちたら、プリキュアの命脈は私のもの。
部屋には、イースの哄笑が響き渡る。
了
最終更新:2009年09月30日 21:40