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 キスを見てしまった。
 女の子同士のキス。
 けれど、それは幼い時に父親や母親にしたような、軽い口付けではなく。
 舌を絡め、体を密着させ、昂ぶり合いながらの淫らなもの。
 公園の、森の中。太陽に雲のかかった空の下、少女の目の前で二人は絡み合う。

「ん......せつな、こんなとこで......誰かに見られちゃうよ......」

 幼馴染の少女は、拒絶の言葉を口にしながらも、抵抗はしていない。顔を真っ赤に
しながらも、されるがままになっている。
 新しく出来た友人、せつなの手は、彼女の服の中に差し込まれ、優しく、時に激しく
ラブの胸を揉みしだしている。時折、ラブがビクンと体を震わせるのは、胸の先の蕾を
弄ばれたから。
 見てはいけないものを見ている。祈里はそう自覚する。だが禁忌と知りながらも、
目をそらすことは出来ないでいて。

「ラブ――――可愛い」
「......せつなぁ」

 喘ぐように名前を呼ぶラブの、ミニスカートの中にせつなは手を差し入れる。あっ、
と小さく声を出して顔を上げる彼女の首筋に、せつなは舌を這わせる。真っ赤な舌は、
まるで生き物のように彼女の白い肌を蹂躙して。

「我慢出来ないんでしょ? もうこんなに濡れてる」

 チュク、チュクと音がする。それがラブの奏でる音だと気付いて、祈里は頬を染める。
ふあ、と腰砕けになりそうな彼女を、さらに指で攻めるせつな、その視線が。
 不意に、こちらを向いて。

 見つかった!!

 そう思った瞬間、自分がとても恥ずかしくなって、祈里は体を硬直させる。
 だが彼女の目は、すぐにラブの元へと戻っていって。
 冷や水を浴びせかけられたように、背筋が凍っているのを感じながら、祈里は。
 ゆっくりと音を立てないように、その場を去って行った。


「ふぁ......どうしたの、せつな」
「なんでもないわ」

 ラブの服を捲くり上げ、あらわになった乳首に吸い付きながら、せつなはほくそ笑む。
 うまくいったわね。次は――――あの子。
 思いながら、彼女は。

「ふぁ、あ......」
「いっぱい気持ち良くなってね、ラブ」

 蠱惑するような声で囁いて、その指と唇でラブの体を天国へと導いていったのだった。




     Eas of Evanescence II



 家に駆け戻り、自室に入った祈里は、ベッドに横になっていた。
 思い出すのは、つい先程のシーン。せつながラブの体を貪っているところ。
 なん――――だったの。
 思いながら、胸に手を当てる。動悸が激しくなっているのは、走って戻ってきたから、
だけではなかった。
 ラブ。桃園ラブ。ラブちゃん。幼い頃から、よく知っている彼女。けれどあの時に
見せた顔は、祈里の知らない彼女の顔。とても気持ち良さそうで――――少女と言う
よりは、女の顔、だった。
 あんな風に胸を触られて――――無意識に祈里の左手は、自分の胸を服の上からまさぐる。
 あんな風にアソコを触られて――――祈里の右手が、スカートの中に潜り込む。
 そっと下着の上からなぞってみれば、冷たい感触。汗、ではない。自分の中から生れた甘い蜜。
 ゆっくりと、こする。その度に生れる快楽に、彼女はぼぅっとなる。下着がどんどん、
濡れていく。それでも祈里は、手を、指を止めることが出来ない。ぎこちない動きは、
段々とスムーズになっていって。やがて自分が一番、気持ちいい場所を探し当てる。

「......く......ん......」

 枕に顔を押し当てて、声を押し殺しながら、祈里はわずかに残った意識で自分を
見つめて、恥ずかしく思う。
 大切な友達の秘め事を見てしまっただけでなく、それで興奮してしまうなんて。
 だがあまりの快楽に、理性はあっと言う間に吹き飛んでしまって。
 黄色のシャツをめくり、ブラをずらし、胸をさらけ出す。蕾をいじりながら、
アソコに指を入れて、ゆっくりとかきまわす。
 目を閉じて、彼女は快楽を追い求める。ほんの少しも逃がさないように。
 どんどんと熱を帯び、昂ぶっていく体。
 だがそれは。

 カチャリ

 部屋に響いた一つの音――――鍵を『閉める』音で、一気に冷める。
 目を開けた祈里は、そこに信じられないものを見た。

「そういうことは、鍵を掛けてからするものよ、祈里」


 薄く笑いながら自分を眺めるせつなを、彼女は呆然と見つめる。
 どうして、ここに。

「祈里の家に遊びに来たくて、ラブに教えてもらったの。ご両親はお仕事中だった
みたいだから、部屋だけ教えてもらって上がってきたんだけど――――驚いたわ、
扉を開けたら、祈里が夢中になってるんだもの」

 その声に我に返り、祈里はタオルケットで自分の体を隠す。だがそれを見て、
せつなは不満そうな顔になって。

「どうしたの? 続ければいいじゃない。私のことは、気にしなくていいわ」
「そんな......」

 あまりの恥ずかしさに消えてしまいたくなる祈里。どうしてわたし、鍵をかけて
なかったんだろう。こんな......こんなところを見られるなんて。
 小さな体をさらに縮めて萎縮する彼女の姿に、せつなは酷薄な笑顔を浮かべて、言った。

「そ。じゃあラブに言っちゃおうかしら。祈里が私達を覗いてたこと、その後に
自分の部屋で、一人でしてたこと」
「え......」

 か細い声をあげて、祈里は顔を上げる。そして、ぞくっと背筋を凍らせる。
 立ったままのせつなが、彼女を見下ろす、その目の冷たさに。
 すぐにわかる。せつなは本気だ。

「嫌......嫌......」

 知られたくない。こんな恥ずかしい部分を。汚い自分を。大好きな友人にだけは、絶対に。

「お願い......なんでもするから......ラブちゃんには言わないで」
「そう。じゃ、脱いで」

 せつなは祈里の勉強机の前の椅子に腰掛けながら、冷酷に宣告する。

「え――――?」
「聞こえなかったの? 全部、脱いでって言ったのよ」

 ビシリ、と鞭のように放たれる言葉に、祈里はのろのろと体を起こす。そして、
一枚、また一枚と着衣を落としていって。

「全部、よ」

 最後に残った下着に躊躇した彼女だったが、それを見透かしたかのようにせつなは
厳しい口調で――――だがどこか愉悦の混じった声で、祈里に強制する。
 観念して、彼女は一糸纏わぬ姿になる。たわわに実った胸と、髪と同じ山吹色の
恥毛を両の腕で隠しながら立つ祈里に、せつなは頷く。無論、それで彼女が満足した訳がなく、

「ほら、さっきの続きを始めてよ」

 全部、見ててあげるから。意地悪く笑いながら、せつなは椅子の背もたれに背を
預けて、ベッドを目で指す。


「..................」

 無言でベッドに戻った祈里は、ゆっくりと先程の続きを始める。が、その目はチラチラと
せつなに向かい。
 気持ち良くないわけではない。だが、昂ぶるという程ではなく。

「どうしたの? 楽しそうじゃないみたい」
「無理だよぅ......見られてなんて......」

 消え入りそうな声で囁く祈里に、仕方ないわね、とせつなは言って椅子から立ち上がる。
 どうするつもりだろう、と目で追う祈里をよそに、彼女はベッドの上に上がって、
後ろから裸の体を抱きしめる。

「ふぇ――――?」
「手伝ってあげるわ」

 言いながらせつなは祈里の手をつかみ、指を絡めるようにしながら、彼女の秘所にあてがう。
 自分の手、が、自分の手でなくなってしまったような感覚。そのまま、ゆっくりと
せつなは彼女の手を使って、祈里の敏感な部分を的確に弄り始めて。

「あ――――っ」

 コリコリとクリトリスを指で弾かれて、祈里は背筋に電撃が走るのを感じる。
 何、これ。こんなの、初めて。

「ふぅん。祈里はここが感じるのね」

 彼女の裸の肩に顎を乗せ、せつなは祈里の裸身を覗き込む。逆の手も掴み、やはり
自身の手で年齢の割に大きな乳房を触らせて。

「いいのよ? 気持ち良くなって。私に見せて――――祈里の淫らな姿を」

 耳元で囁かれ、耳たぶを甘く噛まれる。ぞくり、と快感が体中を巡り、自分の
乳首が硬くなるのを祈里は感じ取る。
 やめて、そんなこと、言わないで。そんな風にされたら――――これがいけない
ことだって、忘れてしまう。
 だってせつなさんは、ラブちゃんのもので、ラブちゃんとキスしていて、ラブちゃんと――――
 ジワリ。
 盗み見たあのシーンを思い出した瞬間、自分の中からさらに甘い蜜が溢れ出す
のを祈里は感じる。背徳感に彼女は顔を真っ赤にするが、その思考はすぐに快楽に塗りつぶされて。

「ふぁ......あ......」

 祈里は秘所に指を入れて、激しく中をかきまわす。せつながそうさせているのか、
自分からそうしているのか、もうわからない。
 背中から抱きしめてくるせつなのぬくもり、首筋を這う舌、髪から漂う甘いフローラルな香り。
 その全てが彼女の理性を溶かしていって。

「あ......ん......気持ち......いい」

 解き放たれたように祈里は、素直な気持ちを口にする。グチュッ、グチュッという
湿った音が部屋に響く。自分からせつなに顔を寄せ、その唇を奪い、舌を絡めあって。

「もう、一人でも大丈夫みたいね」

 長いキスの後、意地悪にそう言って体を離そうとするせつなの手を、祈里はギュッと握り締める。


「や......いや......いかないで」
「ふふ。どうして欲しいの?」
「一緒に......一緒に、して欲しい」

 何の躊躇いもなく、祈里はそう言った。自分一人の指だけでは、足りない。せつなと
一緒でなきゃ、イケない。それがわかってしまったから、祈里は必死に彼女を求める。
こんな中途半端なところで離れられたら、おかしくなってしまう。

「可愛い子」

 堕ちた。そう心の中でほくそ笑みながら、せつなは祈里の耳にキスをし、その穴を
舌で軽くつっつく。
 初めての感覚に体をのけぞらせる彼女を抱きかかえながら、せつなは祈里の手を
掴んだまま、その指を彼女の秘所の中で激しく動かす。
 クチュクチュクチュクチュクチュ。間断なく溢れる音は、彼女の昂ぶりの証。弛緩す
る彼女の口に、もう片方の手を当てると、祈里は自分からその指にキスをし、舌を絡めてきて。

「祈里......イッて?」
「ふぁ、あ、あぁっ――――イ、く――――イッちゃうっ!!」

 苦しそうな、しかし甘い声をあげながら、祈里は。
 バチン、と体中に走る快楽に体を震わせて。
 イッてしまったのだった。



「ハァ......ハァ......」
「ふふ。よっぽど気持ち良かったのね――――すごくヤラしい顔してたわ、祈里」

 力が入らず、荒い息のまませつなにもたれかかっていた祈里は、彼女の言葉にカァッと
赤くなる。わたし――――恥ずかしい。
 だがせつなは、彼女が我に返ることを許さないかのように、祈里の耳元で囁く。

「次は、私を気持ち良くしてくれる?」
「え......?」

 戸惑う祈里から離れ、座ったまませつなはスカートの中の下着を脱ぎ、ベッドの上で
M字に足を広げる。祈里は、露になった彼女の秘所から目を離せなくなる。綺麗な桃色の
アソコは、自分と同じように濡れそぼっていて。

「舐めて」

 簡潔な言葉。それが命令だとも気付かずに、祈里はベッドの上で四つんばいになり、
彼女の秘所に顔を近づける。
 一瞬、躊躇するが、すぐに振り切って。目を閉じて祈里は、せつなの蜜を舌ですくう。
 不思議な味。しょっぱい。けど――――美味しい。
 おさまりかけていた火が、再び体の中で燃え上がってくる。もっと、もっと味わいたい。
 思いながら祈里は、一心不乱にせつなのアソコを舐める。舌を硬くして、秘所に
差し込み、中からかき出す。


「そうそう。いい感じよ」

 楽しそうに言うせつなの声に、甘いものが混じっているのを感じとって。
 祈里は、嬉しくなる。いっぱい気持ち良くなって欲しい。私で気持ち良くなってもらいたい。
 それに――――私も気持ちよくなりたい。
 すでに、羞恥心をどこかに放り投げてしまった祈里は、彼女に奉仕を続けながら、
自分の秘所にも手を伸ばす。太ももまで溢れた愛液が、冷たい。けれど、熱い。

「ふふふ」

 快楽の虜になった祈里の姿に、せつなは笑いながら彼女の髪を撫でる。

「そうしてると、祈里、動物みたいね」

 四つんばいになって、ただ快感だけを追い求める自分の姿がそう見えていると知って、
一瞬、祈里は体を強張らせる。だがそんな彼女の耳に、せつなの声が優しく響く。

「大丈夫よ。私が飼ってあげるから。ペットみたいに、可愛がってあげる」

 動物。飼う。ペット。普段の祈里ならば戸惑っていただろう。
 だが今の彼女には、それがとても素敵なことのように思えて。
 私――――大切にされてる? 可愛がられてる?
 愛されてる?

 なら――――ペットでもいい。

 無意識の内に倒錯的な快楽に溺れながら、祈里は、より一層激しく、せつなのアソコに貪りつく。
 まるで犬が、大好きなご主人様にじゃれついて、その顔を舐めるかのように。

「そう、そう――――上手よ、祈里」

 褒められながら頭を撫でられると、嬉しくなる。心の快楽に体を追いつかせようと、
自分を責める指も、激しくなる。
 気持ち良くなって、せつなさん。私の舌で、私の唇で。
 いっぱいキスをさせて。あなたの体に。

 そうして祈里は、何度も自らの指で果て、力尽きて眠りにつくまで。
 せつなに奉仕を続けたのだった。



 他愛ないこと。
 思いながら、幸せそうに膝の上で眠る祈里の顔を見下ろす。その瞳に、光は無い。
 自分が支配され、逃げられなくなっているとも気付かずに、快楽に溺れて。
 そっとせつなは、祈里の髪を撫でる。う、ん、と幸せそうな声を上げる、彼女。
 チクリ、と胸が痛んだ。
 祈里は何の疑問も持たずに、ずっとずっと、彼女に尽くし続けた。最初の一度こそ、
せつなは彼女を気持ち良くさせたものの、後は何もしなかったというのに、だ。
そしてせつなが昂ぶり、気をやるごとに、嬉しそうに笑いながら、自分も続くように果てて。
 まるで彼女がイクことが、最高の快楽のように。
 気が付けばせつなも全ての服を脱ぎ捨て、その全身に祈里のキスを受けていた。
彼女の体で、祈里の唇が触れなかったところはどこにも無い。
 尽くさせていること、すなわち、支配。そう思っていた。
 けれど、彼女はあまりに幸せそうで。
 何も与えていないのに、どうして、こんなに幸せそうなの。
 わからない。

 自分がメビウス様にお仕えすることを嬉しいと感じるのと一緒か。
 思って、何かが違う気がした。
 その違和感の正体を、せつなは捕まえきれず。
 ただ。
 こうして祈里の安らかな寝顔を眺めていると。
 何故か穏やかな気持ちになって。
 何故か、胸が痛んで。

 それは、ラブに笑顔で、

「好きだよ、せつな。大好き」

 と言われた時と同じ感覚。


 どうしたんだ。私は――――
 自らの心の変容に、せつなは慄く。これではまるで、まるで――――
 私がイースではなく、東せつなになっているみたいじゃないか。

 せつなの瞳に、光は無い。
 だがそれは、微かに揺らいでいて。



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最終更新:2010年03月07日 16:51