あのね、美希ちゃん、今すぐ会える?…うぅん、会いたいの…だめ?
深夜1時。クローバータウンのよい子達は皆もう眠りについている。
中学生が友人を呼び出すにはあまりに遅すぎる時間である。
電話越しの祈里の甘えたような声に美希は疲れ果てたような溜息を枕に漏らした。
「あのねブッキー…今もう1時よ?
明日はお休みだからもっと早く言えばお泊まりできたのに…」
「ごめんなさい…でも今、会いたくなったの…」
今度は祈里に聞こえるように二度目の溜息を大きく吐く。
たまに訪れる祈里の我儘は、美希の悩みのタネだった。
祈里は滅多に我儘を言わない。そして恐らく美希以外には言わない。
逆にいえば、美希に対してだけたまにどうしようもなく我儘になり甘える。
それが美希にはわかっているために、無下にも出来ない。美希自身も嬉しいのである。
先ほどの言葉を訂正することになるが、二人の関係は友人同士ではなく、恋人同士なのだ。
完璧を自称する蒼乃美希として、また、祈里の恋人として、
祈里の我儘は叶えてあげたいのだが、いかんせん中学生に出来ることには限度がある。
「じゃあお昼はあたしに会いたくなかったの?」
祈里の言葉を逆手に取ってからかうと電話の向こうで大層慌てている様子が伺えた。
「え…っ、それは、…っもう…美希ちゃん…いじわる…」
「ふふっ…電話でよければ付き合うわよ。今から出て行くのはさすがにママに叱られちゃうわ」
「うん…ごめんね美希ちゃん…ありがとう」
なんとか代案で納得してくれたようで美希は今度は安堵の溜息を吐く。
祈里と付き合うようになって溜息の数は増えたが、逃げても余るほどの幸せがあるから気にも止めない。
「あたしもブッキーに会いたくない時なんてないわ、でも急にどうしたの?寂しい?」
「みっ、美希ちゃん…!」
美希の愛情をそのまま形にしたかのような台詞に、祈里は身悶えるような感覚を覚える。
擦り合わせた内腿の間、その奥が疼く。
「だめ…美希ちゃん…わたし…我慢出来ない…っん…」
祈里はリンクルンを左手に持ち替えて、右手を寝巻のズボンの中へ侵入させた。
たわわな胸に触れる余裕などない。下着の上から割れ目をなぞり、硬い芽を押し潰す。
「えっ?ちょ…ちょっと、ブッキー?」
電話越しの美希には何が起きているのかまだわからない。祈里が電話をかけてきた理由も。
「…っ、…美希、ちゃ…わたし…したいの……お願い、指示して…」
「えぇっ!?し、指示ってブッキー…今、もしかして…」
荒い息遣いから、祈里が何をせんとしているのかが美希に伝わる。
驚いて真っ赤になるのも束の間、ちょっと待って、と言いながら
美希はすぐに体を起こすと部屋の鍵をしめ、またベッドに戻って布団を被った。
「…エッチな気分になって、あたしに電話してきたの?」
「ごめんなさい…美希ちゃんのこと、考えてたら…つい…」
祈里の言葉と息遣いを聞きながら、美希も自らの秘所に手を伸ばす。
少しだけ湿ったそこに、まだ撫でるように優しく触れる。
「ふふっ、いやらしいのね、…祈里」
「…っ、や…美希、ちゃん…」
いつものあだ名ではなく、ほとんど両親にしか呼ばれなくなったその名前を愛しい人に呼ばれて、
祈里は沸き上がる悦びと背徳感のようなものに攻められ、きゅんと奥が締まるのを感じた。
「…今…どうしてるの…?」
「…下着の…上、から…」
「濡れてる?」
下着はもう意味をなさないほどに濡れていた。
しかしそれを言葉にするのが憚られ、相手に見えるはずもないのに祈里は小さく頷いた。
「…言わなきゃわからないわよ」
鋭い美希のことである。沈黙から察しているだろうに、敢えて祈里の口に出させようというのだ。
普段であれば、いじわる、と言って誤魔化してしまうだろう。
しかし今この状況では、このいじわるは祈里を興奮させるものであり、美希はそれを知っている。
つまりこれはいじわるであっていじわるではないのだ。
祈里は先よりも艶を帯びた声で言う。
「…いっぱい、濡れてるわ…」
「よく言えました…じゃあ、ご褒美に、直接触っていいわよ…祈里のエッチな部分、触ってみて」
「…う、うん…っ、…あ、っや…美希ちゃ、ぁん…」
美希の指示に大急ぎで従い、愛液を伴って直接に芽に触れる。
そこは痛いほどに勃起して快楽を欲している。
祈里の喘ぎから美希もそれを感じ取り、
以前この部屋で乱れた祈里を思い出しながら、濡れた性器に触れる。
「…っ、…気持ち、いい…?」
「ん、っん…美希ちゃん、…いい、ぅ…!」
「じゃあ今度は…親指で、そこを弄ったまま、他の指を中に入れてみて」
美希の性器もじゅうぶんに濡れそぼってきた。
自分が出す指示と同じように手を構え、軽く足を開いて人差し指と中指で入口を行き来させる。
「わかっ、た…う、っんぁ、…っあ、…だめっ…すごい、締まって……っ、…」
「…っ、奥まで、いれてるの…?壁をね、擦ってあげるのよ…こうやって…」
自らの指を下の口でくわえ込み芽を弄りながら
喘ぎを漏らす祈里の姿を頭に描いて、美希も同じように秘所を慰める。
美希の言葉にまるで自らの手が美希の手であるかのような錯覚に陥り、
祈里は夢中で指を動かした。
「あ…っ、あ…」
「っふ、ぁ…美、希ちゃ…も、…してる、の…?」
美希の甘い声を聞き逃さずに祈里は尋ねる。
きゅうきゅう締まる膣を押し広げ、指示通り柔らかい壁を擦りながら。
「当たり前、よ…っ、一人だけ、気持ち良くなるつもりだったの…?」
「あっ…ううん、そういう、わけじゃ…嬉しい、の、…っふ…」
「嬉しい…?」
「…っ、美希ちゃんが、わたしで…その……」
祈里の言わんとしていることを察し、今度は美希の子宮が疼く。
こんなに反応を示しても二人の行為では子宮は働かないのだと思うと
どこか辛かったが、そんな思考は一瞬にして追いやる。
「…付き合う前から、ずっとあなたのこと考えてしてたわよ…」
「んっあ、美希ちゃ、わたしも…っ、あっ…も、だめ…いっちゃう…」
好きな芽を特に刺激して絶頂へ駆け上がりながら、祈里は体を震わせた。
美希も追うように自分の敏感な箇所ばかりを攻め上げる。
「祈里…っ、あたしも、いきそう…一緒に…」
「ん…っあ、あぁっ…美希ちゃ…っ…!」
「あぁン、っ祈里…!」
びくんびくん、と体が震える。お互いの姿、同様に昇天している相手を想像しながら果てる。
下半身がとろけてしまいそうだ。
リンクルンが、二人の荒い息遣いだけを拾い互いに伝える時間が続いた。
やがて落ち着いてきた頃、美希は電話越しの祈里の気配のようなものを感じられなくなり、声をかける。
「……祈里…?」
返事は聞こえない。
「祈里、どうしたの、寝ちゃったの?」
深夜ということもありあまり大きな声は出せないが、
先ほどまでよりはやや大きめの声で呼び掛ける。と、何やらすぅと息を吸う音が聞こえた。
「…ん…美希…ちゃん…ごめんなさい…、おやすみ、なさ、…」
「…もう、ブッキーってば…おやすみなさい」
美希の思った通り、祈里はほとんど夢の中にいってしまっていたようだ。
今日が始まってまだ2時間も経っていないというのに、何度目かになる溜息が漏れた。
しめていた鍵をあけ、何ごともなかったかのようにまた布団の中へ入る。
先に相手に眠られてしまい、一人の寂しさを擦り付けられたような感覚に陥りながら、
一刻も早く寝ようと美希は目を閉じた。夜更かしは美容の天敵である。
終
最終更新:2009年10月13日 23:04