私は今ラブと二人並んで歩いている。
タルトとシフォンは私の腕の中で眠っている。
…タルト、今日はお疲れ様、それからオルゴール回しを押しつけちゃってごめんなさい。次からは気をつけるわ。
それにしても…
…
……
……ダメ、やっぱり気になるわ。
「ねぇラブ。」
「何?せつな。」
「うん、あのね、先に帰っててくれないかしら。」
「いいけど、どうしたの?」
「えっと、その、…さっきのブッキーの様子が少し気になって…。」
さっき別れたときのブッキーの様子がなにかいつもと違っていた。
このまま帰るつもりだったけど…やっぱり気になる。
「やっぱり気づいてたんだ、ブッキーのこと。」
えっ?
「ラブも気付いてたの?」
気付いてたらどうして…
「ならどうしてなにもしないの?」
私と違って、幼馴染で付き合いも長いのに…
「あたしじゃダメだから……。」
?
「どういうこと?」
「ねぇせつな……ブッキーのこと好き?」
?
急に何?
「ええ好きよ。…もちろんラブと美希もね。」
「それって皆同じ?」
「えっ?」
「あたしや美希たんと、ブッキーに対する好きは同じ?」
「それは…。」
違う…二人とも好きだけどブッキーへの……祈里への気持ちとは違う。
どうして分かったのだろう。隠していたつもりなのに…。
「バレバレだよ、せつな。」
「!」
「…いつも一緒にいるんだから、わかるよ。」
なんのこと?…きっとそう言ってもラブには通じないんでしょうね。
「ブッキーには伝えないの?」
「……。」
「…言って今の関係が壊れてしまうんじゃないかって、拒絶されるんじゃないかって…そう思うと怖いの…。」
言って関係が壊れてしまうなら、拒絶されるなら、このまま言わない方がいい。
でもずっとこのままの状態でいるのは正直……つらい。
「いったい私はどうしたら…。」
「……言っちゃいなよ、せつな」
「でもっ…。」
「言ってすっきりしちゃいなよ。」
「……。」
「仮に…仮にだよ、美希たんがせつなに好きだって言ったらせつなはどう思う?嫌う?拒絶する?」
「まさか、…嬉しいとは思っても嫌ったり拒絶なんかしないわ!ただその思いには応えられないけど……。」
「……ブッキーもね、同じだと思うよ、戸惑って暫くはギクシャクしちゃうかもしれないけど…、
ブッキーがせつなを嫌うなんて絶対にありえないよ。」
「……ラブ。」
「幼馴染で付き合いの長いこのあたしが言うんだから、間違いない!!」
そう言ってラブは自分の胸を叩いた。
「ごほっごほっ。」
……強く叩き過ぎたのね。
まったくラブったら…でも、ありがとう。
「ありがとうラブ、私、精一杯頑張ってみるわ。」
決心がついた私はタルトとシフォンをラブに預けるとブッキーのもとに向った。
「まったくせつなもブッキーも鈍感なんだから…バレバレなのに、ねぇシフォン?」
「……zzz。」
「ふふ、よく寝てる。」
「…それにしても何か忘れてるような……ってあぁ、あたしのジュース……ハァ、まあいっか」
「せつな、ブッキー……幸せゲットだよ。」
「そうですか…ありがとうございました。」
私はブッキーの家に行ってみた。でもブッキーはまだ家に戻っていなかった。
いったいどこに行ったのかしら…。
もしかして……
私はアカルンを呼びだした。
「……公園へ。」
なんとなくここにいる気がした。
……いた、ブッキーだ。
私は手に持っていた袋から中身を取り出し、空の袋は近くのごみ箱に捨てた。
がさっ。
その音で気づいたのかブッキーが顔をあげた。
「えっ……。」
「せ、せ、せつなちゃん」
「ど、どうしてせつなちゃんがここに?ラブちゃん達は?」
?
そんなに驚くことかしら?
それにしても…ふふ、驚いた顔もかわいい…っていけないいけない。
私はにやけそうになる顔をなんとか元に戻した。
「ラブ達には先に帰ってもらったわ。」
私はブッキーに近づいた。
「えっ、どうして?」
「あなたに話したいことがあったから。」
「私に?」
「そう、あなたに」
私はそう言うとベンチに座っていたブッキーの隣に腰を下ろした。
「はいこれ」
さっき買ったジュースだ。本当はラブの分だったんだけど…ごめんねラブ。
「ありがとう、せつなちゃん。」
ブッキーがお礼を言った。
さて、どうやって思いを伝えようかしら。
そういえば、こういうことはさりげなくって、たしかこの前見たテレビで言ってような…。
よしっ。さりげなく、さりげなく…
「…好きなの。」
「えっ、あ」
……ストレート過ぎたかしら?
「私もこのジュース好きだよ、おいしいよね。」
ガクッ。
力が抜けた。
えっと、ジュースのことじゃないんだけど、いえジュースも好きだけど……そうよね。
「……はぁ…そうよね、やっぱりこんなんじゃダメ…よね。」
さりげなく……難しいわ。
「何がダメなの?」
ブッキーが尋ねてきた。
「ううん、なんでもない。」
私はそう言うしかなかった。
あぁ、どうやって伝えたら…。
とりあえず私は落ち着くためにパインジュースに手をつけた。
「いただきます。」
ブッキーも飲み始めたようだ。
「ねぇ、せつなちゃ『今日は大変な一日だったわね。』
タイミング良いのか悪いのか私とブッキーの言葉が重なった。
ブッキーが何かを言いかけたので聞き返そうと思ったけれど
「うん、そうだね…。」
「一時はどうなることかと思ったけど、
シフォンちゃんもラブちゃんの子守唄のおかげで
どこにも行かなかったし、
クローバボックスも美希ちゃんがちゃんと見つけてくれたものね。
2人なら大丈夫だって、私、信じてた。」
ブッキーが話を続けてきたので聞き返すのをやめ、
私も
「そうね」
と返した。
「やっぱりラブちゃんと美希ちゃんは凄いよね。」
「えぇ、ラブも美希も凄いわね。」
本当に二人は凄い、でもブッキー、あなたもよ。
そうして暫くラブと美希の話題が続いた。
ラブと美希の話をする私とブッキー。
「それでねブッキー」
「……」
聞こえなかったのかしら?
「ブッキー?」
「……」
返事が返ってこない
「ブッキー!!」
「えっ?」
少し強めの声にブッキーがやっと気付いた。
「どしたの?」
私は尋ねた。
「ご、ごめんなさい。ボーっとしちゃって。」
「なんでもないの。」
ブッキーはそう言った。
でも…でも、その顔は…。
「……嘘ね」
私は言った。
「ねぇ、ブッキー。」
「…何?せつなちゃん?」
「なんでもないなんて、そんな顔して言われても説得力ないわよ。」
私はブッキーの頬に手を伸ばした。
ねぇ、どうして?
「どうしてそんなに悲しそうな…いいえ、苦しそうな顔をしているの?そんな顔にさせたくて、
ブッキーと話をしたかったわけじゃないのよ。」
そう、私はそんな悲しくて苦しそうな顔のブッキーを見たかったわけじゃない。
私が何か悲しませるようなことを言ってしまったのだろか?
「せつなちゃん。あのね。」
弱弱しくブッキーが私を呼ぶ。
「うん。」
いったいどうしたの?
「私…私ね…」
「せつなちゃんのことが……好き…なの。」
えっ……
ホントに?
「わたしも…ブッキーのこと…好きよ。」
うれしい…、
「…ありがとう、せつなちゃん。」
伝わった…。
「でも、せつなちゃんが言ってる好きって友達としての好きでしょ。」
えっ?
「私の好きとせつなちゃんの好きは意味が違うよ。」
えっ、ちょと待ってブッキー。
「ブッキ『こんなこと言って、迷惑だって、身勝手だってわかってるの。』
私の声はブッキーの声に遮られた。
「でも…でも…」
「…友達としてじゃなく一人の女の子として、せつなちゃんのことが好きなのっ。」
ブッキーが泣いている。
どうして?わたしも好きなのに…
同じじゃないの…?
言葉だけじゃ伝わらないの?
…だったら……
私はブッキーの頬に手を伸ばした。
ブッキー、そう言おうとして私はやめた。
「…祈里。」
そう言って両手で顔を持ち上げた。
「人の話は最後まで聞くものよ。」
「私はあなたが好きだって言ったわよね。」
「でもそれは!」
それは私の好きとは違う、そう言うつもりなのだろう。
そうはさせない。
私は指で祈里の唇を塞いだ。
ほんとに
「もうっ」
あわてんぼうね
「最後まで聞いてって言ってるのに。」
「私の好きとあなたの好きとは違うといっていたけれど…」
私は祈里の顔に自分の顔を近づけ祈里の耳元でこう囁いた。
「…私の好きってこういうことよ。」
次の瞬間私は祈里の唇に触れた。
…やわらかい。
私はそう思いながら、祈里から離れる。
?
「祈里?」
反応が返ってこないわ。
祈里を見る。
「祈里?」
これは…固まってるわね。
「…ハァ……祈里!!」
声を強める
「えっ、あ、はい!」
ふふっ祈里たら顔が真っ赤ね…まぁきっと私もだけど…。
「ラブも美希も好きよ。でもこんなことしたいと思うのはあなただけ。」
そう、あなただけなのよ祈里。
これでもあなたは違うというのかしら。
「ねぇ、これはあなたの好きと同じではないのかしら?」
終
最終更新:2010年01月11日 16:53