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まさか沖縄でも戦う事になるなんて。

せっかく楽しみにしていた修学旅行も、大輔との
ゴタゴタやソレワターセとの戦いで一日があっとゆー間に
過ぎちゃった感じ。

夕飯を食べたあたしは一人、海岸を歩いていた。
ほんとは外出禁止なんだけど、コッソリね。


沖縄だけあって、夜でもまだ半そででいれる。
テトラポットの上に立って夜空を見上げる。

「うっわぁ~、キレイすぎるよ~」
手の届きそうな距離にある星空。
掴めそうなお星様。


(あたしたちだけに輝いてくれればいいのに)


再び海岸を歩く。
今度は浜辺まで歩を進めて。

外灯と月の光で海は照らされてる。
すごく静か。
波音と波風が心地よくて。

砂浜に腰を下ろしてふと考える。


(今度はあたしたちだけで来ようね)


傍に落ちていた小枝で砂浜に落書き。


桃園ラブ
東せつな


それを相合傘で囲む。
ちょっと顔が熱くなる。


恥ずかしくなって砂浜に寝転ぶ。
そっと目を閉じて冷静さを取り戻す。


すると、満天のお星様がこう呟くの。


「何やってんの?」


「好きな人と一緒になりたいって…」


「ってせつな!!!???」
見上げるとあたしの顔を不思議そうに覗き込んでいて。

「てっきり寝ちゃうのかと思った。うふふ。」

そんな訳ないでしょ。と、心の中でつっこみつつあたしは
体を起こして。

「静かだね。」

「えぇ。」
そう言ってせつなはハンカチを取り出して砂浜に引く。

「二人じゃはみ出しちゃうわね。」
「汚れちゃうよ?」
「洗えばいいじゃない。」
「ま、そうだけど。」

あたしたちは体温がわかるぐらいに密着して座る。
沖縄だし暑くなるかな?とも思ったけど。

「なぁに、この字。絵…かしら?」

すっかり消すことを忘れていたあたしの〝夢〟

「あ、あはははは。」
照れ笑い。夜で良かったよ…と。多分まっかっか。


好きだよ!なーんてまだまだ言えないもん。
あたしたちにはまだまだやる事がいっぱいあるしね。
恋だの愛だの言ってたらシフォンやみんなを守れないもん。


「ね、ラブ。」
「ん?」



「何でもない。」
「ちょっとぉ。気になるじゃん。」


「じゃ気にして。」
「何をー?」



「私の事。」


せつなはあたしを見透かしてるかのよう。
全てをお見通しな感じで。
てかバレバレ…


「そう言えば……、やっと二人きりになれたね。」
「ようやく気が付いたの?」


「…うん。」


「遅すぎ…。」


静寂の中で重ねた唇。
やっと訪れた二人だけの時間。

今はもう少しだけ、こうしていたいと思った。



―――みんな、許してね―――



~END~


6-732ではその後の二人が…
最終更新:2009年11月14日 19:57