「私、間違ってたのかも。」
沖縄から戻って来たあたしたち。楽しい思い出を胸に……
のはずだったんだけど。
妙な空気を感じたのは飛行機に乗る前ぐらいで。
せつなはあたしと一定の距離を置いてると言うか。
それは帰宅してからも変わらずに。
「たはー。やーーーっぱ家が一番だよね!」
…
……
………
「そうね。」
長い間。どうしたって言うの。あたし何か気にする事したのかなぁ?
椅子に腰掛け、ふと考え込む。
「私、部屋戻るから。」
「あ…、う、うん…。」
怒ってる感じでは無さそうなんだけど。
だけど。
何か…ね。
あたしも部屋に戻って着替えを済ませる。
―――はぁ
おもむろにため息をつく。しょぼくれた顔にもなっちゃうよね。
この壁の向こうでせつなはどんな顔してるんだろう。
今、何を考えてるの?
たった一枚の壁が、あたしの心を大きく遮っていた。
ベッドに横になったまま寝てしまい、気がつけば外は真っ暗だった。
シャワーでも浴びよう。さっぱりしてからせつなに話をしよう。
今のあたしにはこれぐらいしか思いつかなかった。
「ラブ、ご飯出来てるわよ。」
「うん。後で食べる。」
「どうしたんだ?沖縄楽しかったんだろう?」
「うん。」
いろいろあったけど楽しかった。せつなと行った初めての旅行なんだもん。
そりゃ学校行事と言うイベントの一環かもしんないけど。
お風呂場へ行くと物音がして。
タイミング悪いなあたし。
リビングへ引き返そうとしたけど、もう一度明かりの射す方へ。
「…せつな。」
流していたシャワーが止まる。
ちゃぷんと音を立て、せつなは湯船に入ったのだろう。
返事はすぐに返ってきた。
「何?」
「あのね、あたし…。」
その後の言葉は出なかった。だって、
―――わからないから。
呆然と立ち尽くしていると、せつなは徐にこう告げる。
「一緒に入らない?」
急展開すぎてあたしには何がなんだか。
でも話せるチャンスが来たのだと決意して。
「うん。」
そう言えば、せつなとお風呂入るの初めてだ。
妙な緊張感があたしを襲ってくる。
「入る…よ。」
「どうぞ。」
一応タオルで隠してね。何でこうしてるんだか…。
「どしてタオル付けているの?」
「あっ!?え、えっと…」
せつなを直視出来ないあたし。さらにはタオルで隠している事を
不思議がられて慌てふためく。
「ま、いいわ。寒いから入れば?」
「お、おじゃましますぅ…」
ったか~。
全てが癒されていく。
そんな気がして。
「ね、ラブ。」
「ん?」
「私…、魅力無いかしら?」
「!?」
魅力の塊で出来たあなたが何言ってんの。
あたしを精一杯無茶させたくせに。
その唐突もない言葉に思わず苦笑い。
「あ、あはは。そんな事ないよー。」
「じゃ、何で今も私を見てくれないの?」
「だって…」
「だって?」
「恥ずかしいんだもん。」
「ふふふ。おかしなラブ。」
さっきまでツンツンしてたせつなはどこへやら。
いつもと変わらぬ笑顔にあたしの心も体もぽかぽかする。
あたしは巻いていたタオルを外して。
湯船の中で体を反転させ、ゆっくりとせつなを見る。
色白なせつなの体がほんのりと赤く染まりつつあって。
「やっと見てくれたわね。」
「せつな怒ってるよ…ね?」
「当たり前でしょ。」
「どうしてさー」
「自分の胸に手を当てて考えてみたら?」
「うーん…」
「…わかんないです…」
「しょうがないわね。」
そう言ってせつなはあたしの事を真正面に見据えて。
でも、言葉を発しないせつな。視線はずっとあたしに向けたまま。
段々恥ずかしくなっていき、間も持たなくなっていく。
「せ、せつな?」
そう言った途端、せつなはあたしに抱き付いてきて。
「ずっとこうしていたかったの。」
「えっ!?」
「キスだけで我慢出来ると思ってたの?」
「あ…、あ、いやその…」
「チャンスはいくらでもあったはずでしょ?」
「はい。」
「飛行機の中だってすぐ寝ちゃうし。」
「すいません。」
「大体ラブはね…」
お風呂場で説教なんて人生初めての体験。
てかキスは出来るけどその先なんて。
ましてや修学旅行、飛行機の中なんて持っての他でしょうがー。
「あのね、せつな。」
「反論は認めないわ。」
「う…。」
やむを得ない。態度で示すしかないか。
都合よくお互い裸な訳だし。
「声出しちゃダメなんだからね。」
「え?」
~続く~
最終更新:2009年12月30日 23:16