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6-732

「私、間違ってたのかも。」


沖縄から戻って来たあたしたち。楽しい思い出を胸に……
のはずだったんだけど。


妙な空気を感じたのは飛行機に乗る前ぐらいで。
せつなはあたしと一定の距離を置いてると言うか。
それは帰宅してからも変わらずに。

「たはー。やーーーっぱ家が一番だよね!」

…
……
………

「そうね。」


長い間。どうしたって言うの。あたし何か気にする事したのかなぁ?
椅子に腰掛け、ふと考え込む。


「私、部屋戻るから。」
「あ…、う、うん…。」
怒ってる感じでは無さそうなんだけど。
だけど。

何か…ね。
あたしも部屋に戻って着替えを済ませる。

―――はぁ

おもむろにため息をつく。しょぼくれた顔にもなっちゃうよね。
この壁の向こうでせつなはどんな顔してるんだろう。
今、何を考えてるの?
たった一枚の壁が、あたしの心を大きく遮っていた。


ベッドに横になったまま寝てしまい、気がつけば外は真っ暗だった。
シャワーでも浴びよう。さっぱりしてからせつなに話をしよう。
今のあたしにはこれぐらいしか思いつかなかった。

「ラブ、ご飯出来てるわよ。」
「うん。後で食べる。」
「どうしたんだ?沖縄楽しかったんだろう?」
「うん。」

いろいろあったけど楽しかった。せつなと行った初めての旅行なんだもん。
そりゃ学校行事と言うイベントの一環かもしんないけど。


お風呂場へ行くと物音がして。
タイミング悪いなあたし。

リビングへ引き返そうとしたけど、もう一度明かりの射す方へ。

「…せつな。」

流していたシャワーが止まる。
ちゃぷんと音を立て、せつなは湯船に入ったのだろう。
返事はすぐに返ってきた。

「何?」

「あのね、あたし…。」
その後の言葉は出なかった。だって、

―――わからないから。


呆然と立ち尽くしていると、せつなは徐にこう告げる。
「一緒に入らない?」

急展開すぎてあたしには何がなんだか。
でも話せるチャンスが来たのだと決意して。

「うん。」

そう言えば、せつなとお風呂入るの初めてだ。
妙な緊張感があたしを襲ってくる。

「入る…よ。」
「どうぞ。」
一応タオルで隠してね。何でこうしてるんだか…。

「どしてタオル付けているの?」
「あっ!?え、えっと…」

せつなを直視出来ないあたし。さらにはタオルで隠している事を
不思議がられて慌てふためく。

「ま、いいわ。寒いから入れば?」

「お、おじゃましますぅ…」

ったか~。
全てが癒されていく。
そんな気がして。


「ね、ラブ。」
「ん?」


「私…、魅力無いかしら?」
「!?」

魅力の塊で出来たあなたが何言ってんの。
あたしを精一杯無茶させたくせに。
その唐突もない言葉に思わず苦笑い。

「あ、あはは。そんな事ないよー。」
「じゃ、何で今も私を見てくれないの?」

「だって…」
「だって?」

「恥ずかしいんだもん。」
「ふふふ。おかしなラブ。」

さっきまでツンツンしてたせつなはどこへやら。
いつもと変わらぬ笑顔にあたしの心も体もぽかぽかする。
あたしは巻いていたタオルを外して。

湯船の中で体を反転させ、ゆっくりとせつなを見る。
色白なせつなの体がほんのりと赤く染まりつつあって。

「やっと見てくれたわね。」

「せつな怒ってるよ…ね?」

「当たり前でしょ。」
「どうしてさー」

「自分の胸に手を当てて考えてみたら?」

「うーん…」



「…わかんないです…」

「しょうがないわね。」
そう言ってせつなはあたしの事を真正面に見据えて。

でも、言葉を発しないせつな。視線はずっとあたしに向けたまま。
段々恥ずかしくなっていき、間も持たなくなっていく。

「せ、せつな?」
そう言った途端、せつなはあたしに抱き付いてきて。


「ずっとこうしていたかったの。」
「えっ!?」

「キスだけで我慢出来ると思ってたの?」
「あ…、あ、いやその…」

「チャンスはいくらでもあったはずでしょ?」
「はい。」
「飛行機の中だってすぐ寝ちゃうし。」
「すいません。」
「大体ラブはね…」

お風呂場で説教なんて人生初めての体験。
てかキスは出来るけどその先なんて。
ましてや修学旅行、飛行機の中なんて持っての他でしょうがー。

「あのね、せつな。」
「反論は認めないわ。」

「う…。」

やむを得ない。態度で示すしかないか。
都合よくお互い裸な訳だし。

「声出しちゃダメなんだからね。」
「え?」


~続く~


6-819はせつな視点で
最終更新:2009年12月30日 23:16