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7-703

 一人。
 ラブは、街の中を歩く。
 公園を過ぎ去り、商店街を抜け、自分の家へと。
 だが、彼女の姿は誰の目にも止まらない。
 彼女の声は、誰の耳にも届かない。
 自分がここにいるということを、誰にも気付いてもらえない。
 それが、こんなに辛いことなのかと、ラブは初めて知った。

 公園には、カオルとミユキがいた。いつものようにドーナツカフェを開く彼は、しかし、どこかに明るさを置き忘れたか
のように無口で、険しい顔をしている。カフェの席の一つに座るミユキもまた、物憂げな顔をしたまま、何も言わない。

「カオルちゃん。ミユキさん」

 一縷の望みを賭けて、ラブは呼び掛ける。だが、彼女の声は、そよ風程も空気を震わすことは無く、二人は気付か
ない。
 やっぱり、か。思いながら、目を伏せてラブは歩きだした。ずっと無言のままの、彼らに背を向けて。

 商店街は、いつもの通りだった。
 活気に、溢れていた。
 けれど。

「ばあさん。なんだい、今日はもう店じまいかい」
「ああ。ちょいと疲れちまったからね」
「なんだい、そろそろ年を考えるようになったってかい?」
「バカお言いでないよ――――なんだかね、空しくなっちまったのさ。私みたいなおいぼれより先に、若い子に逝かれ
ちまうとね――――あんなに元気だったのに」
「――――ラブちゃんのことかい?」

 無言で頷いて、駄菓子屋の老婆は店のシャッターを閉めてしまう。それを見て、向かいの店の男も、頭をかいて仕事
に戻る。その顔に、深いやるせなさを見せながら。

「おじさん。おばあちゃん」

 ラブは、胸に痛みを感じて、そっと自分の手を当てた。
 皆が、悲しんでいる。皆が、偲んでくれている。
 それを知れたことは、幸せなことかもしれないけれど。
 こんな幸せは、ゲットしなくても良かったよ。
 思いながらラブは、目をうるませる。

 だがすぐに、一つ息を吐いて、顔を上げる。
 これは、夢だ。
 せつなが見ている、悪夢なんだ。
 早く、助けてあげないと――――目を覚まさせてあげないと。
 アタシは、ちゃんと生きてるんだって。そう伝えてあげるんだ。

 思った瞬間。

「あ…………」

 ラブは、愕然とする。
 せつなに会えば、それで解決すると思っていた。顔を合わせて、しっかりと話し合えれば、それで彼女を助けられると思っていた。
 けれど――――

「どうやって、せつなに――――」

 伝えればいいのだろう。
 声を届けることも。触れ合うことも出来ないというのに。
 どうやって。








      ひとりに なりたくて  ――――Leave me alone――――






 まんじりともせぬまま、夜を明かして。
 美希は、少し隈の出来た目で、ベッドの上の二人を見つめる。
 せつなと、ラブ。結局、二人は目を覚まさなかった。夢の中では、時の流れが通常と違うと長老は言っていたが――
――今、どうしているのだろうか。
 その長老もまた、二人の枕元、クローバーボックスの横で眠っている。といっても、ただ眠っているわけではなく、
ラブの存在をせつなの夢の中に留め置く為に、力をふるっているのだという。なんでも、クローバーボックスの力で
二人の夢を橋渡ししているのだが、そのままではラブの存在が不安定なので、彼の魔法でそれを安定させている
らしい。
 ともあれ、杖をかざし、二人に向けながら目を閉じて、微かにも動かないその姿は、本物のぬいぐるみのようだ。

「美希ちゃん。おはよう」
「おはよう、ブッキー」

 扉を開けて入ってきたのは、パジャマから私服に着替えた祈里だった。真っ赤に充血した目を見て、美希は憂い
顔になる。

「あんまり、寝れなかった?」
「…………」

 コックリ、と頷く祈里に、無理もないか、と美希は思う。
 彼女を寝かせたのは、美希だった。自分も起きていると言った祈里を、

「ブッキー。あたし達は、明日、せつなやシフォンを守る為に、戦わなきゃいけないかもしれないわ。絶対に負けら
れない。だから、しっかり休んで、体調を整えておかないと」

 そう説き伏せて、無理矢理にベッドに入らせたのだ。彼女本人はと言えば、二人がいつ帰ってきてもいいようにと、
一睡もせずに見守っていた。もっとも、彼女達が目覚めることは無かったのだけれど。

「交代するよ、美希ちゃん」
「ん、そうね、お願い――――おばさま、うまく誤魔化しておいてね」
「大丈夫。おじさんもおばさんも、休日出勤だって言ってたから」

 祈里の言葉に、美希は軽く頷く。そういうことなら、少しは時間が稼げるかもしれない。もっとも、二人とも、すごく
二人のことを心配していたから、急いで帰ってくるつもりだろうが。

「それじゃ、後はお願いするわね、ブッキー」
「うん。おやすみ、美希ちゃん」

 祈里に後を託し、美希は、ラブの部屋に敷かれた布団に潜り込み、目を閉じた。

 だが、当然のことながら、眠りは彼女の瞳に訪れない。
 心の中にあるのは、隣の部屋に眠る、ラブとせつなのことばかり。
 二人は、大丈夫だろうか。戻ってこれるのだろうか。
 きっと大丈夫。そう信じていても、心のざわつきはとまらない。
 何度も寝返りを打ち、枕を抱きしめてみても、やはり胸が想いでいっぱいになって、溢れてきて。
 祈里と同じで、すぐ寝つける筈も無く、ただ布団の中で焦燥に駆られることしか出来ないのだった。




『ピーチはん。どないでっか?』

 その声が聞こえてきた時、ラブはちょうど途方に暮れていた。
 もう、せつなの待つ家の近くまでは来ている。だが、どうすれば彼女に自分の気持ちを伝えられるかがわからなくて、
まだ入れずにいた。そこに聞こえてきたのが、長老の声だったのだ。

「長老? どうして、声が……」
『まぁ、これぐらいはな。もっとも、力のほとんどはあんさんがそっちの世界にいられることに向けとるさかい、あんまり
お手伝いは出来ひんけど――――それより、どんな夢やったんや? パッションさんの見とる夢いうんは』

 ラブは、思わず俯く。そして、近くのベンチに腰をおろし、

「実はね――――」

 と話し出す。
 この世界、せつなの夢の中では、自分は死んだことになっているらしいこと。だからなのか、自分の存在は誰にも気
付かれていないこと。触れることも話しかけることも出来ず、どうすればせつなを助ければいいか、まったくわからなく
なってしまったこと――――

『なるほど――――そら、えらいこっちゃな』

 長老の声に、緊迫の色が混じる。うなだれていたラブは、そのままの姿勢で長老に問い返す。

「ねぇ、長老。アタシじゃなくて、美希タンかブッキーに、この世界に来てもらうこと、出来るかな」

 あの二人が死んだという話は聞いていない。自分が死んでおり、まるで幽霊のような存在になっているというのなら、
彼女達が来れば、ちゃんとせつなと話をすることが出来るのではないか。そうラブは思ったのだ。

『それは――――難しいな』

 だが、長老はラブの考えに難色を示す。

「どうして?」
『この世界が、ソレワターセが作った世界やって言うたやろ? その中で、ピーチはんは異物や。今回は、クローバー
ボックスとわしの魔法の力でコッソリ送り込んだけれど、何度も行き来させれば、ソレワターセに気付かれてまう。そう
なったら、パッションはんは……』

 言葉を濁すのは、その先にあるのが悲嘆しかないから。それがわかって、ラブは眉間に皺を寄せる。
 じゃあ、どうすれば……
 どうすれば、せつなを助けられる?

『――――わしの力、使いや』

 そんな彼女の苦悩に気付いたからか。優しい声で、長老が話しかけてくる。

「――――え?」
『わしの力を、あんさんに預ける。ほんまちっちゃい力やさかい、たいしたことは出来ひんけどな』

 言葉と共に、ラブは右手が一瞬、熱を持つのを覚える。それはほんの一瞬のことだったが、それでも、何か不思議
な力が宿ったことがわかった。

『これで、あんさんが望む時に、この世界の人や物に触れることが出来る』
「長老――――」
『せやけど、さっきも言うた通り、わしはあんさんの存在を固定させることで精一杯や。触れられるんは、多くても二回、
そう思うといてな』



 二回。
 ラブは、グッ、と右の拳を握りしめる。

「ありがとう、長老。アタシ、やってみるよ」

 答えは、無かった。おそらく、再びラブの為に力を操ることに専念し始めたのだろう。
 二回。
 たったの二回、とも言える。
 だけど、零よりは多い。
 何が出来るかはわからないけれど、この二回で。
 せつなを目覚めさせるんだ。
 不退転の決意を固めながら、ラブは。
 ゆっくりと、自分の家へと向けて歩き出したのだった。




 せつなは、ベッドからゆっくりと起き上がった。
 締め切ったカーテンの向こうの空が、赤い。紅い。
 いつの間にか、今日という日が終わった。明日もきっと、同じだろう。
 何も起きない。何も起こらない。
 ただ、漫然と過ごし。
 心に何も残さないまあ、終わっていく。
 それが毎日。せつなの、日常。

 机の上のリンクルンを見る。着信音は、消していた。バイブさえ、止めてしまった。
 カチカチと操作して、着信とメールを確かめる。この頃は、届いたメールに返信すら出さなくなってしまった。段々と、
来るメールの数も減ってきた。毎日のように届けてくれるのは、美希と祈里の二人ぐらいだろうか。
 その彼女達から、たくさんの着信があった。二人合わせて、優に十件を越えている。しびれを切らしたのか、最後に
はメールに切り替えたようだ。ボタンを操作し、確認したせつなは、微かに息を飲む。そこに書かれた文面は、

『せつな!! ラビリンスがまた現れたわ!!』
『せつなちゃん!! お願い、電話に出て!!』

 だがそのメールが届いたのは、時間にして、もう数時間も前のこと。
 戦いはもう、終わっていることだろう。呆然と立ち尽くす彼女の耳に、階段を荒々しく上がってくる足音が届いた。そし
て、彼女の部屋の前で立ち止り、扉を勢い良く開けて飛び込んできたのは、

「せつなっ!!」

 蒼乃美希、だった。

「美希……」

 小さく呟くせつなの前にズカズカと近付いてきた美希は、身を凍らせる彼女の腕を掴む。

「なんで、連絡しないのよっ!!」

 大きく、鋭い声が、せつなの耳朶を叩く。ビクッ、と体を震わせた彼女は、烈火の如き怒りの炎を宿らせた美希の瞳
から、目をそらす。

「……ごめんなさい……気付かなくて……」
「気付かなかった、ですって!!」
「美希ちゃん!!」

 激昂し、手を振り上げた美希を押しとどめたのは、ぶつかるように彼女に抱きつきながら叫んだ祈里だった。




「お願い、美希ちゃん、落ち着いて!!」
「ブッキー……」

 必死にしがみついてくる彼女に、美希は振りかざしていた手を下す。

「わかったわ。ごめんなさい、ブッキー。もう、落ち着いたから」

 言いながら彼女は、ポンポンと祈里の頭を撫でた。それでようやく、落ち着いたことがわかったのか、彼女は美希か
ら離れて笑顔を見せた。
 その姿を見て、せつなは目を見開く。

「ブッキー、その怪我……!!」
「え? ああ、これ。ちょっと、ドジっちゃった」

 可愛らしく舌を出して見せる彼女だったが、それが見せかけだと、せつなにはすぐにわかった。
 首筋や両の手に包帯を巻き、肘には湿布を貼っている。ズボンを穿いているから見えないが、足も同様なのでは
ないだろうか。

「ソレワターセよ」

 愕然とするせつなに追い打ちをかけるように、美希の言葉が響く。

「さっき、貴方に連絡した通り、ラビリンスが現れて――――あたしとブッキーの二人で戦ったの。その結果が、これよ」
「美希ちゃん」

 再び、止めようとする祈里だったが、今度はそれに構わず、美希は話し続ける。

「強かった――――ソレワターセは強かったわ。二人で頑張って、なんとか倒すことが出来たけれど――――ブッ
キーは、こんなに怪我をした!!」

 言いながら、彼女はせつなに詰め寄って。後ずさるせつなだったが、すぐに机にお尻がぶつかり、逃げられなくなる。

「三人いたら!! 三人だったら、もっと速く、もっと簡単に倒せたかもしれないのに!! ブッキーだって、怪我をせずに
すんだかもしれないのに!!」
「美希ちゃん!!」

 迫る、美希の顔。激怒の表情。
 その肩に、彼女を止めようと乗せられた祈里の手。その指は、全て、白い包帯に包まれていて。

「ごめん……なさい……」
「謝って欲しいわけじゃない!!」

 いつもの冷静さを、すっかりと失って。まるでヒステリックと言える程に、高い声で美希は叫ぶ。思わず、目をつぶる
せつな。祈里もまた、彼女から手を離して。
 肩で息をつきながら、叫んで少し、落ち着いたのか。美希は足もとに目を向けながら、囁くように言う。

「謝って欲しいんじゃないのよ――――せつなに謝られたって、ブッキーの怪我は消えないもの」
「……ごめん……」

 それでも、せつなにはそうとしか言うことが出来ず、目を伏せる。
 美希は、そんな彼女の想いに気付かぬまま、せつなの両肩に自分の手を置いて、言った。

「せつな――――貴方の辛い気持、わかるわ。あたし達も、そうだもの。ずっと一緒だった幼馴染が、急にいなくなっ
ちゃったんですもの」

 でもね、と美希は続ける。

「あたし達は、プリキュアなの。あたし達が戦わなきゃ、皆が不幸になる。だから、どんなに辛くたって、苦しくたって、
立ち上がらなきゃいけないのよ」



 その言葉に、彼女は目を伏せた。
 戦わなきゃいけない。そう。私はプリキュアだから。

「だから、せつな!! 本当にラブのことを大事に思ってるなら――――」
「わかってるわよ、そんなの!!」

 今度は、せつなが。
 大声で、叫んだ。
 美希が、祈里が、息をのむ。

「わかってる!! 私達が戦わないといけないんだって……いつまでも悲しんでたってダメなんだって……こんんなの、
ラブが望んでるわけないって……私にだってわかてるわよ!!」
「せつな……」
「せつなちゃん……」

 二人の呼び掛けにこたえず、せつなは肩を震わせる。ボロボロと涙がこぼれて、止まらない。

「でもね、でも――――頭でわかってても――――心も、体も……動いてくれないの……動いてくれないのよ……」

 ずるずると。
 糸が切れた操り人形のように、せつなはその場に崩れ落ちる。

「嫌よ……嫌なの……」

 子供のように、首を横に振りながら、彼女は泣き続ける。

「ずっと考えてた。どうして、ラブが死ななきゃいけなかったのって。どうして、私じゃなかったのって――――ラブなら、
そんなこと考えなくていいよって……ううん、考えちゃダメって、きっと言うわ。でもね……でも、考えちゃうの。嫌なこと
ばかり、考えちゃう。こんなのじゃ、ラブに叱られるってわかってるのに、止められないの!!」

 悲痛な告白に、二人の少女は言葉を失い、立ち尽くしている。せつなは、涙をこぼれさせるのに任せながら、

「立ち上がろうとしたわ。悲しみに、負けてる場合じゃないって――――けどそのたびに、ラブの顔を思い出すの。ラブ
との思い出が、自然とわきあがってくるの。それが胸を苦しめて、辛くて――――動けなくなる!! 私が生きてることが、
許せなくなる!!」

 振り絞るように、彼女は心の奥底を曝け出す。それは、あまりに深く、苦しみに満ちた悲哀。
 自らを傷付ける少女の一言、一言に、二人の仲間は、かける言葉を見つけられずに。呆然と、立ち尽くす。

「こんなことなら――――プリキュアになんて、ならなきゃ良かった――――生き返りなんて、しなければ良かった―
―――」

 呻くようにそう言って、せつなは笑う。泣きながら、自らを嘲るように、笑う。

「なんて考えてるなんて、ラブが知ったら――――すごく、怒るでしょうね……」

 それが、わかっていて。
 止めることが出来ない。
 言葉を失う美希と祈里を見上げる、せつなの瞳には。
 ただ、絶望の深い闇だけが広がっていた。




「せつな……」

 その全てを、ラブは、見ていた。聞いていた。
 家に入ろうとした時に、驚く程の勢いで美希が駆けてきて、そして、彼女と一緒にせつなの部屋に入りこんだのだけ
れど。

「美希タン、ブッキー、せつな……」

 呼び掛けてみる。長老からの力は、使わずに。
 だが、やはり彼女達にも、自分の声は届かない。
 唇を噛みながら、泣き続けるせつなの姿を見る。

 今すぐ、抱きしめたい。ラブは、そう思った。
 ギュッと抱きしめて、大丈夫、怒ってないよ、そう囁いてあげたかった。
 怒ってないよ。けど、悲しいんだ。せつなが、そんな風に泣いてるのが。
 けれど。
 ラブは、右の手を握りしめて、その衝動に耐えた。

 今じゃない。今のせつなに触れても、彼女を助けることにはならない。
 そう思ったから。

 せつな。どうすればいいんだろう? せつなを助けてあげたいよ。そんな風に落ち込ませてないで、笑っていて欲し
いんだよ。
 アタシがいない世界を、一番、怖がってくれてありがとう。
 けれどね、せつな。
 もう、せつなは一人でも歩けるんだよ。
 アタシがいなくたって、幸せになっていいんだよ。

 思いながら、ラブはそっとせつなの体を抱きしめる。
 力を使わないから、触れられず、すり抜けるけれど。
 万感の想いをこめて、彼女はずっと、抱きしめ続けたのだった。


 そのぬくもりは、しかし、せつなには伝わらなくて。
 彼女は、大切な人の想いが側に寄り添うことに気付かず、ただ、嘆き続ける。









「……遅いわね」

 美希が、呟く。
 時間が経つのが、こんなにも早いと思ったことは無かった。
 せつなの部屋の時計がおかしいんじゃないか。そんなことさえ思った。けれど――――

「約束の時間まで、あと少し……」

 同じく気付いているのだろう。時計を見て、祈里が小さく呟いた。
 ラブとせつなは、しかし、まだ眠り続けている。一体どうなっているのか聞こうにも、長老すら目覚める気配が無いか
ら、何もわからない。
 このまま、二人が起きなかったら――――
 そっと、美希は盗み見るように、シフォンを眺めた。
 彼女は、やはり二人を心配しているのだろう。覗き込んで、悲しげにプリプーと呟いている。

「シフォン――――」

 ギュッ、と美希は拳を握りしめる。

 シフォンを見つめる彼女の瞳が、スッと細まる。

 もしも。
 このまま、二人が起きなかったら――――

 起きなかったら。


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最終更新:2009年12月13日 10:36