6-938

「ところでブッキー」
「なぁに、せつなちゃん」
「この前、私とラブが沖縄に行ってた時だけれど・・・・・・随分、遅くまで美希と一緒にいたのね」

(ギクリ!!)

「ん? 今の擬音は何?」
「え? 擬音って何かなぁ? わたし、聞こえなかったけどー?」
「とぼけても無駄よ。ちゃっちゃと吐きなさい。美希とあんな遅くまで、何をやってたの?」
「だ、だから別に、何も・・・・・・」
「とっとと言わないと――――」
「言わないと?」
「ブッキーの作った服、もう絶対に着てあげないんだから」

(ガーン!!)

「また聞こえたわ、擬音」
「そ、そそそ、そんなことより!! 嘘、だよね? せつなちゃん」
「嘘だと思う?」
「――――ぅぅ」
「ほら、言いなさい、ブッキー――――言ってよ、お願いだから」
「・・・・・・せつなちゃん?」
「何もなかったって、言って。お願い、ブッキー。私を、不安にさせないで――――怖いのよ、ブッキーが・・・・・・
って考えるのが」
「せつなちゃん・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・やだ、見ないで。泣いてなんかいないんだから」
「ドーナツ」
「――――え?」
「カオルちゃんに、ドーナツの作り方を教えてもらってたの。美希ちゃんと一緒にね」
「・・・・・・どして?」
「だって、せつなちゃん、カオルちゃんのドーナツが好きでしょ? わたしも好きだけど――――なんだか、嫉妬
しちゃって」
「ブッキー・・・・・・」
「だから、カオルちゃんにドーナツの作り方を教わって、せつなちゃんに食べてもらいたいな、って。わたしのドーナツ、
美味しいって言って欲しいな、って思って」
「それで、あんな遅くまで・・・・・・」
「うん。驚かせようと思ったんだけど・・・・・・ごめんね、不安にさせちゃって」
「ううん。いいの。いいのよ、ブッキー。私こそ・・・・・・ごめんなさい」
「もう、いいったら。それに、こういうときは、謝るんじゃないと思うけどなぁ」
「――――ありがとう、ブッキー」
「うん。どういたしまして、せつなちゃん」
「ねぇ、ブッキー――――今度、ドーナツ、食べさせてくれる? カオルちゃんから教わったんじゃない、ブッキーの
作った、ドーナツを」
「もっちろん。今度、ご馳走するね」

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最終更新:2009年12月14日 21:22