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「ただいまー」
「お帰りなさいラブ!」

 あゆみに頼まれて、お使いに行っていたラブが帰宅した。帰って来るなり、こたつに潜り込む。

「外スッゴク寒かったー!ああ~ぬくぬくする~。やっぱりおこたって最高!幸せゲットだよ!」

 こたつに肩まで潜ったラブの頬に、少しずつ赤みがさしてきた。外は相当寒かったのだろう。
 あゆみを手伝い夕食を作っていたせつなは、そんなラブの様子に気が気でない。

「お母さん、ラブったらあんなに寒がって…風邪引かないかしら?何か温かい飲み物でも飲ませた方がいい?」

「ふふふっ」

 堪えきれずにあゆみが笑い出す。

「お、お母さん!何で笑うの?私何か変なこと言った?」

「ごめんごめん、だってね…ラブを心配し過ぎて、焦ってるせっちゃんがあんまり可愛いんですもの」

「もう、お母さんったら!」

 頬をプウッと膨らませて、せつなは怒る。否、正確には怒った“フリ”をする。
 本当は怒ってなどいないのだから。今ではじゃれ合ったり出来るくらい、本当の親子のように接することが自然になったふたり。
 こたつに潜りながら、そんなふたりを微笑ましく思い、ラブは思わず嬉し笑いを漏らす。

「くふふっ」

「ああっ!ラブまで笑ったわね!」

「しまったー、ごめんせつな!」

 慌ててこたつの中に潜り込むラブ。
 しかし、せつながそれを見逃す訳もなく。

「コラ!逃げるなんて卑怯よ!出て来なさい!」

「いやー許してー!お母さん助けてー!」

 こたつから這い出したラブを羽交い締めにするせつな。何を思いついたのかニヤリと笑い、ラブの脇腹に手を伸ばし、おもむろにくすぐり始めた。

「ごめんって!せつな!許してってば、ぶっは!わはは!やめ!くすぐったい!ギブ!ギブ!」

「はい、せっちゃんの勝ち。ふたりとも御飯よ。ラブは手洗った?うがいもまだでしょ。はい、くすぐったせっちゃんも一緒に、洗面所へレッツゴー!急いでね」

「はーい」




 あゆみに言われた通りに素直に洗面所に行き、手洗い、うがいをするふたり。

「さ、出来た。行きましょラブ」

 せつながラブの手を握り、ダイニングキッチンへと誘うが、ラブはそんな彼女の手を強く引っ張り返して抱きしめる。

「ラブ?」

「まだしてもらってないよ…お帰りなさいのキス」

 耳元で甘い声で囁かれ、みるみる顔が赤くなるせつな。

「だって…お母さんの前じゃ出来ないでしょ?」

「だったら…今してよ」

「んもぅ…ラブったらしょうがないんだから」

 ちゅっ。軽く口づける。

「さ、お母さんが待って…んん!」

 身体が熱くなる。奥から奥から熱が溢れ出し、頭の芯が痺れ、何も考えられなくなり、そして…唇が離された。

「さ、お母さんが待ってるから行こうね、せつな!」

「……そんなキスするなんてズルい!」

「……欲しくなっちゃった?」

 意地悪な質問だが、せつなは頷くことしかできない。
 そんなせつなを、ラブもまた欲しがっている。

「わかってる。今夜行くから……開けといてね、ベランダの鍵」

「きっとよ……」

 答えるかわりに、ラブはもう一度強く口づける。

「ふたりともーお味噌汁冷めちゃうわよー」

「はーーーい。―――行こ」

「うん」

 恋人にしか見せない表情を脱ぎ捨てると、ふたりは甘い空気が漂ったままの洗面所を後にした。
 真夜中の逢瀬に、心を躍らせながら。


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最終更新:2009年12月15日 21:52