(この時間、みんなは何をしてるのかしら…。)
布団に潜り込み、ふと考え込むせつな。
寒い季節は人肌恋しくなるもの。
それは時として人を…
【せっちゃん無双~悪戯天使】
やっぱり最初はラブよね。
いっつも一緒にいるのに、お風呂や寝る時だけ別なんて。
あ、トイレも………。
時計の針はもうすぐ日付変更線。静かな時間。
ラブはもう寝てしまったのかしら?
今頃素敵な夢でも見ていたり。
そう考えるだけで幸せになれるせつな。
その赤い瞳の先に見据えるものとは…
(アカルン。ラブの夢の世界へ―――)
実現出来ればどんな世界が待っているのだろう。
困った顔をして私を見詰めるアカルンにそっと
「ごめんなさい」
私は廊下に出て、ラブの部屋の前で歩を止める。
ネームプレートには
クリスマスの可愛らしいデコレーションが。
(ラブもやっぱり女の子ね)
ドアを開けて、ベッドの近くまでそっと足を運ぶ。
相変わらず寝相が悪く、やれやれとため息を付く。
「風邪引いちゃうわよ」
ゆっくりと掛け布団をラブの体へ戻そうとすると。
(あ……)
寝相が悪かったせいか、パジャマがずれ落ちてしまい下着が
露呈しているのに気付いてしまった。
息を飲む。
ゆっくりと私の鼓動は高くなっていく。
掛け布団に伸ばしていた自分の手の動きが止まってしまい……
(―――少しだけなら)
ダンスで鍛えられているのか、ラブのお尻はキュッと引き締まっているように思えて。
間近で女の子の――――ラブのキュートな部分を見ている事が凄く嬉しくもあり、
悪い事をしているような罪悪感にも襲われて。
(触れて……みたい)
気付かれないよう、私はゆっくり手を伸ばしていく。
「う……、うぅん…」
とっさに私は身を隠す。
心臓が止まるかと思った…。
暗闇の中で、私は一人冷静さを取り戻す。
(ラブ………おやすみなさい)
部屋に戻って布団に潜り込む。
―――深く―――深く
初めて見た余韻を忘れないように、と。
(寝静まった頃に現れるなんてちょっと……ね)
昨日の情景がまだ頭から離れない。
キッチンでお皿を洗うラブの後ろ姿をそっと眺めながら。
私は部屋へ戻ると、机の上にあった雑誌をペラペラと捲っていた。
気持ちを落ち着かせる意味でも。
『クリスマスもバッチリ!完璧にキメちゃおう!』
目に飛び込んで来たのは、美希のカジュアルに着こなした大人っぽい姿。
いつみても彼女は素敵。ラブとはまた違った何かが彼女にはある…。
―――魅力的―――
この目で確かめてみたい。
気付いた時にはもう、私の手にはアカルンが。
(アカルン。美希の元へ―――)
赤い閃光に包まれた悪戯天使。
辿り着いた先には、赤い衣装を着た美希の姿が。
しかし、飛び込んでくる世界は小さな隙間から見える程度。
身動きも取りづらく。
(ここは……)
クローゼット。暗闇の中、せつなは美希を凝視する。
「アタシ完璧!美希サンタさん登場。なんてね、うふっ」
鏡の前で色々なポーズをする彼女。そんな姿を、私は一時も離さず見詰める。
本当に完璧だなと思う。背も高く、手足も長く、清楚な輝き…。
「次はどれにしよっかな…」
ポージングを止め、ベッドの上に置いていた洋服を模索する美希。
「ラブやブッキーに負けたくないし。たまにはね」
手に取ったのはミニスカート。そして――――
(!?)
着ていた衣装を一枚ずつ脱いでいく。
徐に現れていく美希の隠された部分。
「綺麗…」
思わず口に出してしまう程、魅力的なその体。
下着に包まれた部分も―――――見てみたい
〝バサっ〟
(あっ!)
無意識に手が動いてしまい、掛かっていた洋服が落ちてしまった。
その音に反応する美希。
「ん?」
一歩一歩、こちらへ向かってくる彼女。
(アカルン!…?アカルン!!)
無い。アカルンが無い!暗闇で手元が見えない。このままじゃ!!!
「美希~。そろそろ出掛けるわよ~」
「ハーイ。今降りてくから。」
大きなため息。動揺。そして――――罪悪感
クローゼットから出ると私は深呼吸をして。
「ごめんなさい、美希」
再びアカルンで自分の部屋へ戻る事にした。
はぁ…
思いっきり溜息をついて、私はベッドの上に倒れこむ。
ラブ。
そして―――美希。
私の大好きな親友…なのに。
込み上げてくる感情がどうしても……抑えられない。
(少し落ち着かないと…ね)
理性を取り戻すため、目を閉じて休もうとしたその時。
リンクルンにメールの着信音が。
差出人はブッキーで。
『やったよせつなちゃん!クリスマスセールの福引で景品当たっちゃった♪開けるのすっごく楽しみっ☆』
可愛い文面。見ている私まで嬉しくなってしまう。
あなたのその可愛い笑顔をもっと、ずっと――――見ていたい。
けれど…、もうやめよう。いたたまれない感情だけが私に残るから。
我慢。我慢して…。…大丈夫だから…
時計を見ると、もうすぐ晩御飯の時間。
一階へ降りようとした瞬間、リンクルンにメールの着信音が。
『至福の源泉入浴剤の詰め合わせだったよー!どれにしようか迷っちゃう。
これから美白の源泉試してみよっと。今度せつなちゃんにもお裾分けするね!』
ブッキーったら。そんな事まで報告しなくてもいいのに。よっぽど嬉しかったのね。
――――――お風呂――――――
再び高鳴る鼓動。
脳裏に駆け巡るブッキーの笑顔。白い肌。そして、健康的な体。
クローバーの中でもっとも胸が発育してるのはブッキー、あなただと思う。
私………、私ね、もう…
廊下に光る赤い閃光。
行く先は勿論、祈里がこれから産まれたままの姿になるあの場所へと。
辿り着いたのは浴室の手前で。
ドアの向こうには彼女が…、ブッキーがいる。
お風呂場の光が、私のいる場所をかすかに照らしていて。
「あっ」
思わず声が出てしまう。綺麗にたたまれた着替え。
ゆっくりとしゃがみこみ、私はそれをそっと手に取る。
シャツの下には、彼女の豊満な果実を包み込むブラジャーが。
(大きい…)
手にとって初めてわかる実感。やはり、彼女へのイメージは間違ってなかったのだと。
「今から………私も…」
鼓動は最高点まで達していた。ドアノブに手を掛ける。
服を脱ぐなんて言う余裕など全く無くて。
気が付くと、私は自分の部屋へ戻って来てた。
アカルンはまだ不思議そうにこちらを見てる。
「ごめんなさい。私、どうかしてるわよね。」
「あれ?わたし、ブラジャー持ってこなかったっけ?」
最終更新:2009年12月24日 01:25