今日は2月13日。
私たちは
バレンタインデーの買い物に出かけている。
ピンクや赤のハートの飾り付けが見られる、クローバータウンストリート。
そこにあるお店を回って、チョコレートの材料やラッピングを買った。
ラブも美希もブッキーも、
クリスマスの時よりも気合いが入っているみたい。
それだけバレンタインデーというのは、女の子にとって特別な日なのね。
買い物も終えて、家に帰ろうと商店街を歩いていると・・・。
「ちょいと、あんたたち!」
「あ、おばあさん。こんにちはー。」
声の主は駄菓子屋のおばあさんだった。
以前に私がこの町を去る事を伝えた時には、とても残念そうな顔をしていた。
でもすぐに、「お前さんが再びやって来るその時まで長生きするよ」と笑って答えてくれた。
「あんたたち、新商品があるんじゃが食べていくかね?」
「えっ?新商品!?ほしいほしい!」
「ラブちゃん、お行儀が悪いよー。」
「すいませんね、おばあさん。じゃあ、お言葉に甘えて。」
店の奥へと消えていったおばあさん。
再び現れた時には、その手にお菓子を2つ抱えていた。
「これじゃよ。さあ、みんなでおあがり。」
「ありがとうございます。それじゃ、いただきます。」
お菓子を受け取ったラブが、1個を美希に渡す。
包装を開けてみると、中身はスリットが1本入ったチョコレートだった。
チョコを2つに割り、ラブと私、美希とブッキーで分け合う。
そして、そのチョコをひと口かじってみた。
「これはビターチョコね。大人の味って感じだわ。」
「それに何か甘酸っぱい味がするね。」
「うーん、ブルーベリーっぽいけど何かほかの味も入っているような・・・。」
「この香りは・・・パッションフルーツ!?」
私たちがチョコを1本食べ終えて感想を述べていると、おばあさんが会話に割りこんできた。
「ほっほっ。あんたがた、それが気に入ったようじゃね。」
「あ、おばあさん。ごちそうさまでした。美味しかったです!」
「ほう、そうかいそうかい。だったらこれを1個ずつ持ってお行き。」
「えっ、悪いわ。おばあさん、お代は払います。」
「いいんじゃよ。そちらのお嬢さんへのワシからのはなむけじゃ。」
「私に・・・?」
おばあさんは私たちに、今食べたのと同じチョコレートをそれぞれ1箱ずつくれた。
箱には「ブルーベリー・パッションフルーツ味」と書かれてある。
思わず美希の方に視線を向けると、照れ隠しなのか顔をそむけていた。
「ラブちゃん、ここにメッセージを書く所があるわ。」
「あっ、ホントだ。何かバレンタインにピッタリだね!」
「おばあさん、チョコありがとうございます。」
「私からも・・・ありがとう。」
駄菓子屋を後にし、私たちは再び家路についた。
歩きながらのおしゃべりは、バレンタインデーの事ばかり。
いつしか話題は、おばあさんにもらったチョコの話になった。
「美希たんはあのチョコ、誰かにあげるの?」
「うーん、和希の友達にでもあげようかしら。」
「そっか。和ちゃんには手作りチョコをあげるもんね。ブッキーは?」
「わたしは・・・そうね、ウチの病院関係で考えてみるわ。」
「ブッキーは優しいねぇ。で、せつなはどうするの?」
「わ、私は・・・。まだ、決めてないわ。ラブの方こそどうなのよ?」
「あたしはもう決まってるよ。でも今は言わなーい!」
「え~、ずるいわラブ。どうせ大輔君なんでしょ。」
「だ、誰が大輔なんかに!大輔とは何でもないんだから!」
顔を赤くしたラブとふざけ合っているうちに、分かれ道の所までやって来た。
美希とブッキーにさよならを告げ、私とラブは自宅に着いた。
家に入るとすぐにバレンタインのチョコ作りに取りかかった。
夕ごはんをはさんで、夜10時過ぎにようやくすべてのチョコが完成した。
「ふう、後はラッピングするだけね。」
「せつなのチョコ、美味しそうだねー。1個もーらい!」
「あっ、ラブ!・・・もう、しょうがないわね。」
「もぐもぐ。うん、うまいうまい。これならみんな喜んでくれるよ。」
まあ、料理上手なラブのお墨付きなら安心だわ。
私にとって初めてのバレンタインデー、楽しみになってきたのはいいけど・・・。
あの「ベリー・パッション味」のチョコは・・・どうするかは明日決めるわ。
◇ ◇ ◇
「おはよう、せつな!ハイ、これあたしから。」
「せっちゃん、いつもありがとう。おかあさんからよ。」
バレンタインデー当日の朝、早速ラブとおかあさんからチョコをもらった。
私も自分の作ったチョコを二人に、さらにおとうさん、タルト、アズキーナ、シフォンにあげた。
みんなが私に感謝の言葉をかけてくれた。
タルトに至っては「ええ嫁はんになりまっせ」だって。みんな大笑いしてたわ。
「せつな、みんなの分のチョコ持った?」
「ええ、今行くわ。」
四つ葉町公園に着くと、美希とブッキーが既に私たちを待っていた。
そのまま、ドーナツカフェへと移動する。
「はい、カオルちゃん。あたしたちからプレゼント!」
「いやぁ、うれしいなー。お嬢ちゃんたち、今日はサービスしちゃうよ。グハッ!」
カオルちゃんは私たちに、人数分のチョコレートドーナツと飲み物を振舞ってくれた。
テーブルを囲み、それぞれの手作りチョコを卓上に並べる。
全員にチョコが行き渡ったところで、ドーナツを食べ始めた。
「やっぱり美味しいねぇ、カオルちゃんのドーナツは。」
「そういえば、せつな。ウエスターがドーナツ作りを始めたんだって?」
「ええ。時々私のところに来て試食させるのよ。不味い時にはちゃんとダメ出ししてるわ。」
「ラブちゃーん、やっぱりここにいたのねー。」
「あっ、ミユキさん!おはようございます。」
私たちは用意してあった、ミユキさん用のチョコをプレゼントした。
ミユキさんからは、トリニティのノベルティであるチョコをいただいた。
「みんなありがとうね。せつなちゃん、向こうでも頑張ってね。」
「はい。私、精一杯頑張ります。」
「じゃあ、またね。次のダンスレッスンまで。」
ミユキさんが帰って、ドーナツも食べ終わったのでカフェを後にすることにした。
カオルちゃんにごちそうさまを言って、4人で公園内を散歩する。
「ねえ、ブッキー。この公園では次に何の花が咲くのかしら。」
「そうだねー、梅が咲くんじゃないかな。桜は4月頃かな?」
「あーあ。せつなと一緒にお花見したかったなー。」
「ラブ、アタシだってやり残した事はたくさんあるわよ。先の事を憂えないで、今できる事を楽しみましょ。」
「うん。そうだね、美希たん。」
最終更新:2010年02月16日 18:26