悲しいほどの静けさを湛えた広い部屋。その片隅にあるベッドに傷付いた少女が眠る。
うなされているのだろうか、形の良い胸が不規則に上下する。
そこにかけられていたであろう真っ白な肌掛けは、辛うじて膝までを覆っていた。
苦しみを訴える腕に跳ね除けられ、もはや布切れ同然の役割しか果たしていない。
固くかみ締められた唇は、時折記憶の混濁を示すように声にならないうわ言をこぼす。
小さく二つの動き。それは人の名前であるようにも聞こえた。
ぎゅっと寄せられた眉が、少女の繊細な造形を大きく損ねる。流麗な黒髪が顔を濡らす汗で無残に貼りつく。
横たえた少女の体が突然ビクンと跳ねる。苦痛の電気信号が脳に送られたのだ。
無意識に打った寝返りが、束の間の休息を残酷に打ち切る。
意識が覚醒し、まぶたを開こうとするが再び鋭い痛みで強制的に閉じられる。
今度は頭痛、そして各所の打撲。目覚めと共に恐るべき牙を剥いて小さな体に一斉に襲いかかる。
「っぅ――――!」
少女――せつなは声にならない悲鳴をあげて、ベッドのシーツにしがみ付いた。
徐々に体が痛みに慣れるのを待つ。なんとか状況を把握する余力だけは生まれた。
ここは自室のベッドの上。手当てをしたのは、恐らく昨日同様にウエスターだろう。
辺りを見渡す。パワーストーンは置かれてなかった。なぜか、それにほっとする自分がいた。
戦いの記憶が蘇る。ピーチに破れ、語り合いの後に抱きしめられた。その後、突然ピーチが倒れこんできた。
状況が掴めないまま、自らも腹部に衝撃を受けて意識を失った。
様子を見に来たウエスターが、あまりの自分の不甲斐なさに怒りを感じて連れ戻したといったところだろう。
(キュアピーチは……ラブはどうなったの?)
一緒に連れてこられている可能性があった。
どんな目にあってるかわからない。最悪、本国に送られる可能性もあった。それだけは避けなくてはならない。
そう思ってすぐに気がつく。愚かな自分を嘲笑する。
避ける? なぜ? 奴は敵、どうなろうが自分の知ったことではないはずだった。
この姿が悪いのだ。せつなの姿が、ラビリンスの戦士にあるまじき思いを抱かせるのだと言い聞かせる。
“スイッチ・オーバー”
爆発的に上がる身体能力。そして、膨らむ破壊の欲求と闘争心。戦いに必要なものが増幅強化されていく。
苦痛も幾分やわらぎ、これなら起きて普通に動き回る分には支障も無さそうだった。
ともかくピーチを探さなくては――――イースは部屋を出てそれらしい場所を当たっていく。
聞いた方が早いのだが、流石にあの二人に合わせる顔はなかった。
この館に居なければいいが……そう願いながら。
部屋を出ていくらも歩かない内に、イースはウエスターと出くわした。
余りの運の悪さに呆れてしまう。そこまで狭い建物ではないはずなのに。
不機嫌を加速させるイースとは対照的に、ウエスターは明るく能天気な口調で話しかけた。
「よお、イース! もう動き回っていいのか?」
「ウエスターか――――礼なら言わん」
「そんなつもりじゃない。だが、あまり無理はするな」
「キュアピーチはどうした?」
「ああ、逃がしてきた。何、心配するな。今度は俺が行って全員倒してきてやる」
「余計な手出しはするな! 奴は私が倒す!」
大きく手を振って拒否の意思を伝えようとした。急な動作で、腕から胸にかけて帯電したような痛みが走り
抜ける。
苦しみに顔を歪めてイースがうずくまる。ウエスターが駆け寄り支えようとする。その差し出された手を今度
こそ本気で振り払った。
「触るなっ!」
「おまえ、相当あちこちにガタが来てるんじゃないのか?」
「お前には……関係のないことだ」
イースはそのまま背を向けて歩み去った。ウエスターが険しい表情でその後姿を見つめる。そして、館の
出口に向かって歩き出した。
その足を、通路の角から出てきたサウラーが止める。
「どこに行く気だい?」
「居たのか……なぜ声をかけてやらない」
「敗者にかける言葉など無いということさ。僕の質問にも答えてもらいたいね」
「プリキュアどもを倒しに行く。当たり前の任務だ。今度こそ本気でな!」
「それはできないよ。クラインから連絡があってね、当面はイースに任せろとさ。メビウス様のご意思だそうだ」
「なんだとっ! イースはもう戦える体じゃないんだぞ! ナケワメーケも使えないと言うのに……」
「それでも命令は命令だ。君もたまには本を読んでみたらどうだい。どうせやることもないのだからね」
サウラーから受け取った分厚い書物。旧約聖書『創世記』の「禁断の果実」に栞が挟まっていた。
神に禁じられた“善悪の知識の木の実”を食べたアダムとイブは、知恵と引き換えに無垢を失い、楽園から
追放されたという。
「こんな本が何だというのだ?」
「イースは食べてしまったのかもしれないね。“幸せ”という名の禁断の果実をね」
普段、活字など目にしようともしないウエスターが懸命に文字を追う。そこにイースを救う方法が隠されている
かもしれないと探るように。
そんなウエスターを横目にサウラーは部屋に戻った。扉を閉めてから、寂しげに一言つぶやいた。
「メビウス様は神のように甘くはない。追放では済まないよ、イース」
知らないほうがいい事だって世の中にはたくさんある。事前に情報を集めて警戒してきたサウラーと、無頓着
で、常に割り切って生きているウエスター。
この二人に対して、イースは幼すぎた。そして純粋すぎたということなのだろう。
サウラーはもう、イースとの別れが近いことを予期していた。そして、助ける手段が無いことも。
だから会わなかったのだ。プライドの高い彼は、己が無力であることを実感するのが何よりも嫌いだった。
ポタリ。ポタリ。と落ちる、小さな雫をぼんやりと見つめる。
黄色い液体が巨大な容器を満たしていく。実際には液体なんてシロモノではない。人々から集めた負の感情。
いわば怨念のようなものの集合体だ。
ラブの無事を確認したイースは、なんとなく不幸のゲージの間に来ていた。
既に必要量の半分を越えた不幸のエネルギー。これだけのものを集めるために、どれだけの人々の幸せを
奪ってきたのだろう。
そして思う。幸せを奪うのが不幸なら、そんなもの初めから持っていなかった自分は不幸ではないはずだと。
「フフフ……ハハハ……そうか、そういうことか」
イースは不幸のゲージの壁にもたれかかり、座り込んだ。そして、笑い出した。笑わずにはいられなかった。
そう、確かに自分は不幸では無かった。ラブと出会うまでのイースは。
幸せでは無かったかもしれない。どこか満たされない思いを抱えて生きてきた。でも、メビウス様の僕として
それなりの誇りを持って生きていた。
幸せを奪うのが不幸――――なら、不幸を感じている自分は、確かに幸せを知っていたことになる。
ラブの問いかけを思い出した。
「ねえ、せつなの幸せは何?」
それは――――
ラブとの出会い。ラブとの時間。ラブの声。ラブの笑顔。ラブの温もり。ラブと過ごしたいくつもの――――
思い出。
それが、せつなの幸せだったんだろう。
「せつなはどこっ?」
「そんな者はいないっ!」
工事現場のやり取りを思い出す。あの時からだ。
せつななんて者はいない。自分にそう言い聞かせるようになった。せつなとは変身アイテムを奪うための
偽りの姿なのだと。
いくらかの時間を共に過ごし、なんらかの親しみを持つようになったとしても、しょせんそれは偽りの関係が
生み出した幻。夢のようなものだと。
自分が自分でなくなっていく。そんな感覚に歯止めをかけるために、せつなとイースを切り離して考えてきた。
正体はイースだと自分に言い聞かせてきた。
だから巨大ドームでピーチに助けられた時、あんなに頭にきたんだ。イースであったのに助けたから。
だから正体を明かし、幸せの元を砕くことでしか自分を維持できなくなったんだ。
そして、昨日。イースとして戦ってピーチを倒せなかった。そのチャンスはあったのに。
そして、イースでいいと言われてしまった。イースである自分と一緒にやり直したいと。
もう知ってしまった。ラブはイースの仮の姿に騙されていたんじゃない。
東 せつなという、偽りの人格に友情を感じていたんじゃない。
その先を見ていたんだ。ラブにはわかっていたんだろう。
せつななんていない。でも、イースだっていない。どちらも本当の姿じゃない。
本当の自分は――――ラブに憧れる、幸せになりたいだけの女の子なんだって。
せつながラブのために演じた偽りならば、多分、イースも同じ。ラビリンスで生まれ、メビウス様に尽くすため
に演じている偽りの姿。
不幸のゲージにそっと手を当てた。それだけで、幸せを奪われた人々の怒りが自分の中に染み込んでくる
ような気がした。
それでも、自分にはこの生き方しか許されなかった。もう――――引き返せないこともしてきた。
ずっとイースとして生きてきた。それが続けられなくなるのなら、イースとして死ぬべきなのかもしれない。
それが自分なりの責任の取り方なのだろう。
やり直すなんて許されるはずがないし――――事実、許してもらえるはずも無い。この世界にも――――
メビウス様にも。
「我が名はイース。ラビリンスの……イース」
乾いた唇から力の無い名乗りが紡がれる。それは、後悔のような響きすら伴っていた。
突然、警報が鳴り響く。プリキュアの襲来かもしれない。痛みに顔をしかめながら立ち上がり、駆け出した。
こんな時に、と思う。いや、こんな状態だからいいのかもしれない。
どんな形であれ、早くこの苦しみから逃れたかった。イースは自分を痛めつけるかのように更に走る速度を
上げた。
蒼乃美希の自宅の部屋。その勉強机に美希は座り、宿題を広げていた。
かれこれ一時間にもなる。しかし、ただの一字も書き込まれず、一ページもめくられることはなかった。
一度も休んだことがなかった早朝トレーニングもさぼってしまった。大変な時こそ生活は乱さない。そう誓い
を立ててきたのに。
部屋のドアが遠慮がちにノックされる。
「はい。なに? ママ」
「美希ちゃん、サンドイッチ作ったの。今朝だけならともかく、昨夜から何も食べてないでしょ」
「ごめん。ありがとう、ママ。なんとか食べてみる」
「体の具合が悪いなら、ちゃんとお医者様に診てもらうのよ~」
「うん、平気だから。心配かけてごめん」
お盆を受け取ってテーブルの上に置いた。でも、食べる気にはならなかった。
無理に食べても吐いてしまうような気がした。
昨日の戦いの後、しばらくして変身が解除されたものの、ラブの意識は戻らなかった。
外傷の無いのを確認してから、祈里と二人で家に運んだ。あゆみおばさんは驚いていたけど、ラビリンス
の襲撃に巻き込まれただけと説明した。
多分大丈夫だけど、後で病院に連れて行ってくださいと伝えておいた。
その日の夜にラブからメールが入り、無事だと知らせてきた。そして、会いたいと伝えてきた。せつながどう
なったのか教えてほしいって。
簡単な返事を送った。ナケワメーケは倒した。その後、ウエスターが介入してイースを連れ去った。ラブを
取り戻すだけで精一杯だったと。
嘘は付いていないけど、全てを告げてもいない。そもそも、気を失ったままのラブを置いてすぐに帰ったの
も不自然だった。
ラブが何かに勘付く可能性もあったが、脚色は誇りが許さなかった。
またリンクルンに着信。今度は祈里からだ、これで四通目。内容はラブと同じ、会ってお話したいって。
返信はたった一度きり。今は考える時間がほしいと。そして、昨日のことはラブには話さないでって。
だから祈里はラブとも会っていないはずだった。罪悪感が胸を締め付ける。
再び鳴り響く着信音。もう――――見るのも嫌だった。
リンクルンをベットに投げつける。すぐに後悔して拾いに行く。これは――――大切なもの。
内容を確認してから、そのままベッドに倒れこんだ。そして、枕を抱えて顔を埋めた。
泣いているなんて――――自分で認めたくなかったから。
ラブが力を貸してほしいって言ってきた。
祈里が話したいって言っていた。どうしたらいいかわからないって。
頼られている。求められている。自分ならきっと答えを出せるって、信じられている。
(そんなの、こっちが聞きたいわよ。アタシだって悩む事だって、挫けることだってあるわよ!)
ベッドに転がっている自分の姿が、この前のラブと重なった。
(あの時、アタシはなんて言ったっけ?)
「立ちなさい! ラビリンスを倒しに行くわよ」
だけど、あそこに居るのはラブの友達。演技じゃなかった。真剣にラブと向かい合っているのを見てしまった。
「せつななんて子、はじめから居なかったのよ」
(そんなわけ――――ないじゃない!)
居もしない自分の幻に向かって枕を投げつける。
美希も祈里も見てしまった――――イースの苦しみを。イースの悲しみを。イースの孤独を。
知ってしまった――――せつなの気持ちもまた、イースの本心であったことを。
友情を育む時間なんて与えられなかったけど、ラブのことを抜きにしても助けてあげたい。
それは心からの想いだった。
(何が――――アタシ、完璧! よ……)
完璧どころか、穴だらけだった。
どうして、こうなる前に気が付かなかったんだろう。
せつなが怪しいのはわかっていた。もっと早く見破っていれば、こんなに酷いことにはならなかった。
せめて、ここまで親しくなる前に気が付くべきだった。そうすれば、こんなには苦しまずに済んだはずだった。
もちろん、寿命を管理されてるなんて知るはずも無い。わかるはずもない。
でも、人質を取られたり脅迫されたりして、逆らえないようにして他人を思うままに操る。そんなことは、
この世界でも古くから行われてきた。
進学・就職・結婚・出産に至るまで全て管理されているような国家なら、命までも握られている。その可能
性は十分に考えることもできたはずだった。
甘かった。
しっかりしているつもりだった。
ちゃんと警戒してきたつもりだった。
でも、やっぱり自分は、何もわかっていない十四の小娘に過ぎなかったんだ。
(完璧じゃない。成すべきことも見失って、後悔ばかり繰り返してるアタシなんて、全然…………)
ピンポーン
チャイムが鳴り響く。もうレミはお店で仕事している時間だ。美希はしかたなく立ち上がる。
軽く鏡を見て髪だけ梳く。目元だけ直す。
窓から覗く。やっぱり、思った通りの相手だった。
「ごめん、お待たせ」
「美希ちゃん――――来ちゃった……」
まだ会いたい心境ではなかった。でも、来てくれた相手を追い返すわけにもいかない。
とにかく部屋に上げて、座ってもらった。
祈里の様子を観察する。自分も他人のことは言えないと思いつつも、酷い状態だった。
昨日がしおれた花なら、今日はもう枯れた花だ。
生気は無く、まぶたは腫れ上がり、周囲に大きな隈ができていた。
ただ、想像していたような動揺は感じられなかった。腫れた目の奥に爛々とした輝きが宿る。
これは――――意思の光。
彼女は彼女なりに、懸命に考え、悩み抜いた末に来たのかもしれない。何か――――自分の考えを持って。
祈里はしばらく逡巡を繰り返し、口ごもる。美希は何も言わず待ち続けた。そして、数分の後にゆっくりと話し
出した。
「せつなさんは、ラビリンスを抜けることができない。それはもう、逃げることのできない事実だと思う」
「そうね、アタシもそう思う」
「ラブちゃんは、何があってもこの事実は受け入れないと思う」
「そうね」
「話しても、話さなくても、きっと――――この先に待っているのは悲劇だけだと思う」
「アタシもそれを考えてたわ」
「わたしはもう、せつなさんも好き。だけど、ラブちゃんや美希ちゃんや、お父さんお母さん。この世界の
みんなを道連れにはできない!」
「ブッキー……」
「これが現実なら。わたしはもう祈ることも信じることもできない。だけど――――自分のしたことには
ちゃんと責任を取るつもり」
「…………」
「わたしたちで戦おう、美希ちゃん。取り返しの付かないことが起こる前に、わたしたちで――――」
「ブッキー……お茶にしましょう。気持ちが落ち着くハーブティーを用意したの」
香りの特に強いイングリッシュラベンダーを濃い目に入れる。鎮静作用、他、さまざまな効能で知られる
ハーブティーの代表だ。
そして、祈里用のカップに錠剤を溶かして入れた。
「お待たせ。ちょっとキツイと思うかもしれないけど、その分効果は抜群よ」
「ありがとう」
一口づつ、お茶を飲みながら祈里は話した。どれほど苦しみ、悩んだのかを。返事をくれない美希を恨んだ
りもしたんだってことも。
やっと出した答え。それは天敵ってのは、どんな動物にもいるんだってこと。
好むと好まざるとにかかわらず、戦うことを義務付けられた相手。それが自分たちには、ラビリンスであり、
イースだったんだってこと。
その答えを出すことの苦しさ。圧し掛かる責任の重み。それで、自分がどれだけ美希に甘えてきたのか
やっと気がついたんだってことを。
涙を流しながら、懺悔するかのようにポツポツと話していく。そのろれつが徐々に廻らなくなっていく。
「あ……れ? 美希……ちゃん? わたし……」
「おやすみなさい、ブッキー。この部屋は夕方まで誰も来ることが無いわ」
答えなんて、とっくに美希も出していた。ただ、それを認めてしまうのが怖くて悩んでた。口に出したら
二度と引き返せないのがわかっていたから。
まさか、祈里の口からそれが聞けるなんて思わなかった。この子も、成長したんだと思った。強く、なった
んだと思った。
(でも、その役目はアタシ一人で十分。この子にまで重い十字架を背負わせたくない)
倒れるようにして眠りだした祈里を抱いて、優しくベッドに運ぶ。文字通り羽のように軽い布団をそっと被せる。
そのまま静かに部屋を出た。時刻はお昼を少しまわったところ。少しくらいの寄り道ならかまわないと思った。
レミの、母親の仕事場を覗いてから出かけることにした。
「ごめんなさい、ママ。行ってきます」
そっとつぶやいてお店を離れる。和希やパパにも謝っておきたかったが、そこまでの時間はなかった。
行くと決めたら、早いほうがいい。決心が鈍らないうちに。
もう、アタシ完璧なんて、二度と口にできないなと思った。
こんなものが、こんな結論しか下せない者が、完璧なんかであるはずがない。
女手ひとつで育ててくれたママ。離れてからも、影から力になってくれたパパ。自慢の姉と憧れ、目標とまで
言ってくれた和希。
幼いころから苦楽を共にしてきた、大切な親友のラブ。大変な覚悟を分かち合おうとしてくれた祈里。
これから、大切に思っている全ての人を裏切ることになる。
いつか、この決断を完璧だったと思える日が来るのだろうか。
来ない! と断言できた。
それでも、必ずやり遂げようと思った。
せめて――――後悔だけはしたくないから。
「さようなら、昨日までの輝いていたアタシ。――――みんな、行ってきます」
美希は森を目指して、その先にある占いの館の跡地に向かって、一歩一歩踏みしめるように確かな足取り
で歩き始めた。
最終更新:2010年11月19日 00:04