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み-506

今日は四人でショッピングに来ている。昨日のせつなの真意はわからないが皆の前ではお互い普通に接する。

歩き疲れてカオルちゃんの店でおやつタイム。

「ブッキー、一口ちょーだい」 「美希ちゃんパインジュース好きだよね」
「うん」

せつなが軽く訝しげに見てくるが他意はないのでスルーする。

「せつなあーんして」
「ちょっ、ラブ。あ、あー…ん」

素直にやる所がせつならしい。ブッキーは微笑んでいる。

「ラブラブだねー二人は。美希ちゃんあーんして」

ブッキーがあたしの口元にプレーンドーナツを近づけてきたのでパクっと食べた。

「ん、美味しい」

あたしがもぐもぐしているとラブがトイレと言い出した。続けてブッキーも。行儀が悪いなぁ。

二人はパタパタと近くのコンビニ目指して走りだした。

「はいせつな。あーんして」

皮肉を込めて爽やかに笑うあたしを、せつなはチラッと見て少し考えこんだかと思うと、あたしが差し出した抹茶ドーナツを手にとりあたしの口に指ごと突っ込んだ。

「むぐっ、ん?」
「なめて」

こんなキャラだっけ?顔色一つ変えず言うせつなにびっくりした。

くちゅとわざと音を立てて吸い付く。抹茶味かぁ……あんまり好きじゃない。人差し指を丹念になめる。歯で軽くかんだり舌を絡めたり。

いきなりすっとせつなが指をひいた。

「せつなの指美味しいね。刺激的だよ」
「そう」

せつなの頬に紅みが増したのをあたしはあえて気づかないふりをした。

そんな顔をされたら本気で手をだしてしまう。


ラブたちが帰ってくるまであたしはせつなを全く見なかった。



そろそろいい時間になってきた。いつものようにそのまま解散かと思いきや、ラブが家においでと言い出した。

「ごめーん、あたし今日は用事があって」
「そうなの美希たん。残念ー」
「ラブ私も今日中に返したい本があるから図書館行ってくるね」

あたしはせつなと二人予定外にあたしの家に向かう。

「図書館閉まってますが」
「ラブは閉館時間知らないんじゃない?……会うんでしょう」
「ねぇ、もう関わらないで。ラブのとこ戻って」

嫌よとせつなはがんとして引かない。

家に着いたのは6時。約束は8時だから多少時間はある。

「ほんとに襲っちゃうよ」
「美希を行かせる気はないもの」

ため息。どうしようか。せつなは一歩も引く気はない。

「わかった今日は行かない。あたしの負け」

疑いの眼差しで見ているせつなの前で断りの電話を入れる。

『――うん。ごめんなさい。風邪ひいちゃって。明日仕事でしょ、うつすと悪いから……寂しいけど、また今度会いに行くね……大好きだよ』

せつなはあたしの豹変ぶりに少し驚いていた。ベッドにボフッと倒れ込む。ベッドにもたれ掛かるようにせつなが床に座った。

「私は何するべき?」
「どーでもいい」
「なんで胸を揉むのよ!」

服の上からせつなの胸を触る。深い意味はない。暇になったから。

しばらく触っていると少しムラムラしてきた。

「ねぇ、中に手いれてい?」
「……」

無言を肯定ととり服の中に手を入れる。

「冷たっ……ん」
「あっためてー」

ちょっと興奮してきた。吸い付くようなもっちり肌に指を食い込ませる。



「ねぇ、固くなってきてるよ」 「うるさっ……もう、やっ」


指で頂点をきゅっと詰むとせつながびくっと腰を引いた。ベッドから降りてせつなの前に行く。


「ね、ほんとにいいの?やっちゃうよ」

おでこを合わせてわざと唇を近づけて囁く。せつなの目は鋭いが少し潤んで肌は上気している。


いけると思った。


だからこそ手を引いた。


「……美希?」
「お腹すいた」

すっとせつなから離れて立ち上がる。今日母親は外泊。

「あたし外でる。今から作るのめんどいし。せつなも帰りなよ」 「なんで……やめたの」
「今日はやる気でない。別に今から会いに行ったりしないから心配しないで」

そっけなく言う。せつなはあたしの服を掴んで離さない。

「離してよ」
「私は……私…は」

せつなは戸惑っているのだろう。だが今あたしが抱きしめちゃいけない。かといってこのまま帰してもせつなはラブに動揺を隠しきれないだろう。

別にまだ何もしてないから大丈夫だけど……

帰したくなかった。


「ピザにする。食べてく?」


あたしが出ていかないことを理解し服を離す。あたしはピザを注文するためにリンクルンに手を伸ばした。



「美希がラフな感じだとなんか新鮮」
「家でまで気をはってらんない」

二人でピザを食べお風呂もはいり(別々に)今はまったりしている。せつなはラブにうちに泊まることを伝えたらしい。

あたしはパーカーのフードを被るとソファーにドカッと座った。あたしの貸したスウェット姿のせつなが隣に座る。

家の広いリビング。会話がないせいで居心地が悪い。

「……何を考えてるの?」
「わからない」

あたしは雑誌を手にとる。フェミニン系ではなくクール、カジュアル系がのっている雑誌。

「美希っぽくないわね」
「あの人たちは……人によってあたしに求めてくる服装の好みが違うからね」

特殊な例で言えばナース服とメイド服でやらされたのは本気で恥ずかしかった。すぐ脱がされたけど。

「美希は私にとって友達」

言わなくてもわかっている。ひと睨みして雑誌に目を戻す。

でもとせつなが続けた。

「おかしいよね。美希の側にいれることが嬉しいの……」
「…………」

そして美希が気になるとせつなは告げた。

妙に人間らしくなったなとおかしくなった。感情に戸惑うなんてイースの頃には考えられただろうか。

「あたしはラブを裏切る気はないよ」
「さっき手をだしかけたじゃない」
「……忘れたわ」

せつながあたしのフードを脱がす。視線が交ざる。


あたしはリンクルンに手を伸ばす。



ピッ

「もしもしラブ?まったく、せつながラブの惚気話ばかりするのよー」
『美希たん?あはは、ほんと。まっ、あたしとせつなは相思相愛だからねー』
「あーうざったーい、せつなに変わるねー」

にこにこしながらせつなにリンクルンを渡す、意地悪と声を出さず口を動かしてきた。

せつなとラブの会話を無視してテレビをつけた。バラエティー番組にチャンネルを合わせる。

部屋の空気とは場違いな明るい声がテレビから聞こえてくる。

ブッキーはラブの家に泊まっているらしい。

どうしようか。
せつながラブとの会話を終わらせようとした時電話を横取りした。

「ラブ、今からせつなが向かえに行くからブッキーと二人でうちにおいでー、うん、じゃあ後でね」

ピッ

「ちょっと!」
「行ってらっしゃーい」

ひらひらと手をふる。せつながあたしにまた文句を言いそうだったから口を塞いだ。

ほんとに襲っちゃいそうだから早く迎えに行って――

あたしの悲痛な叫びを理解したのか、せつなは何か言いたそうだったが大人しくアカルンと共に部屋から消えた。


あたしがせつなを好きになっちゃいけない。


ただやりたいだけならまだ諦められる。


ほんとに好きになったら引き返せなくなる―――



あたしは台所に行き、ママのブランデーを一口飲んで気を落ち着けた。まったくとことん不良になったものだ。

初めて関係を持った22才のトップモデル。愛くるしさと綺麗さが売りの彼女はあたしに沢山のことを教えた。お酒が好きな彼女に何度潰れるまで付き合ったことか。

せつなが残した熱を冷ますように、忙しくて会えなかった彼女に久しぶりにメールを入れた。



「久しぶりね。私のこと忘れちゃったのかと思ったわ」
「そんなことないよ」

今日はせつなには何も伝えず会いにきた。彼女の自宅マンションはいつきてもいい匂いがする。


「会いたかったんだよずっと。忙しいから邪魔しちゃいけないと思って……」
「へー、可愛いこと言ってくれるわね」

あたしより少し身長の高い彼女はあたしの髪に口づけた。

「足、開いて」

男物のTシャツ一枚のあたしは素直に従った―――



み-514
最終更新:2010年11月27日 22:06