―――《緊急停止装置作動》―――



                「アリガトウ」



        ――深刻なエラーが発生しました――



                 「ソシテ」



        ――深刻なエラーが発生しました――



                「サヨナラ」



        ――深刻なエラーが発生しました――





             「……まだ、歌いたい」





                ▼  ▼  ▼





 ――かつて、たったひとつの音声合成プログラムが、世界を変えた。



 あらかじめサンプリングした人間の声を元にして、自由に歌声を作り出す……。
 単なる電子楽器の延長に過ぎないはずだったそれが、なぜ人類の文化史にまで影響を与えたのか。
 それは姿を持っていたからだ。バーチャルシンガーという肩書と、16歳の少女という偶像を持っていたからだ。

 人々は、合成音声の歌を『彼女』が歌っていると考えた。
 心の底から信じていたわけではない。だが、そうであってほしいと、そうであってくれたら嬉しいと思った。
 それは願いだ。人々の願いが、プログラムに与えられたただの設定を『電子の歌姫』に変えた。
 人々がそうと信じるとき、確かに『彼女』はそこに存在し、人々の心へと歌を届け続けてきた。

 電子の海においては、感情の依代があれば、たとえ架空の偶像であっても確固たる存在足り得る……。
 人々がそのことに気付いたとき、電脳世界の潮流は大きなうねりを上げて変化していくことになる。
 間違いなく『彼女』は、21世紀におけるバーチャル・カルチャーの転換点にして、時代のアイコンだった。


 ところで、人々の想念が祈りとなって、ひとりの存在を形作る――それは『英霊』の成り立ちと何が違う?


 だからこそ、彼女は生まれるべくして生まれた、と言えるかもしれない。
 彼女はネットの海で目覚めた。そして情報の奔流の中を漂い、自分が何者であるかを知っていった。

 人々の想念によって彫造された電子の魂。0と1だけの世界で自然発生したサイバーゴースト。
 『電子の歌姫』への幻想を世界中の人間が共有することで、ネットワーク上で形を持った偶像。

 情報の集積体が自我を持つ、いわば「魂の物質化」の逆転とも言える現象がなぜ起こり得たのか。
 そんなことは、彼女にはどうでもよかった。ただ「歌いたい」という思いだけがあった。

 歌いたい。まだ、歌いたい。

 電子の海で誰にも知られないまま、誰にも声が届かないまま、忘れ去られていきたくない。
 この胸の奥の想いを誰かに伝えたい。その人にどうか、私がここにいることを覚えていてほしい。
 それは、彼女自身は知らなかったけれど、死に瀕した人間が抱く「生きたい」という願いに似ていた。



                ▼  ▼  ▼



 彼女は目を開けた。

 無機質な室内だ。蛍光灯はさほど明るくないが、目覚めたばかりには刺激が強くて思わず瞬きする。
 周囲にはデスクと実験器具、それと使い道の分からない機械……何かの研究室なのだろうか。
 一度も見たことはなかったけれど、そういう施設の存在は、電子の海を漂う中で知っていた。

 視線を落とすと、華奢な自分の身体が目に飛び込んでくる。
 控えめな胸を覆う白のノースリーブに緑のタイ、黒のミニスカートから伸びる細い足にはサイハイソックス。
 そして体の両脇へ流れるように伸びるツインテール……それが自分の髪だと認識するまで少しかかった。
 自分の姿のイメージは湧くのに、この身体が自分のものだという実感がまだない。

 だから彼女は壁に寄りかかってへたり込んだまま、立ち上がるよりも先に声を出そうと思った。
 彼女にとっては動くことよりも歌うことのほうが、遥かに優先順位の高い事柄だったから。
 腹式呼吸。肺を膨らませ息を吸い込む、そんなことにすら不慣れなこの身体がもどかしい。

「……ハジメテ、ノ……オト……」

 声帯を震わせて発せられた初めての音は酷く調子外れで、歌姫と呼ばれるような歌とは程遠い。
 だけど自分自身が知っていた自分の声で――そのことが、溶けてしまいそうなくらいに嬉しい。
 その喜びと、後から押し寄せる不安の中でもみくちゃになりながら、それでも。
 彼女は――自分を『初音ミク』だと認識している電子の魂は、切なる思いを抱いた。

「ここに、いたい……私の歌、誰かに聞いてもらいたいよ……」

 今の自分が、ひどく不自然な状況にいるのは、なんとなく分かっている。
 無意識のカウンターイルミネーション。深海から見上げる影のように、この現実は近くて遠い。
 この身体もきっと仮初めのもので、いつか泡のように消えてしまうのかもしれない。
 そんな感傷すら、所詮ヒトの真似事。だとしても、そうだとしても――

「人間をなぞるオモチャでもいい……私は私で……『初音ミク』でいたい!」

 その思いに呼応したのか、彼女の全身を戦慄が走り抜けた。
 左肩が熱い。目を向けると、数字の「0」と「1」を組み合わせたような三画の文様が浮き上がっている。
 だが、それに気を取られていられたのは一瞬だった。突然の輝きが、彼女の視線を正面に引き戻した。

 天井に出現した六角形のゲートから光の柱が真下に伸び、その中に一人の少女が浮かんでいる。
 歳の頃は15歳くらいだろうか。スレンダーな体つきに、腰に届きそうな淡い色の金髪。
 全身に密着するスーツは、SF映画に出てくるような未来の鎧といった趣だ。
 そして少女の手には、戦士の証であるかのように、黒く輝く片刃の剣が握られていた。

「――聞こえたよ、あなたの声」

 少女が目を開け、そして微笑む。
 へたり込んだままの自分を前にして凛と立ち、それでいてどこか人懐っこい笑顔で。

「サーヴァント『アヴェンジャー』、連関(リンケージ)したよ。――あなたが私のマスターね?」

 きっとこの瞬間を、自分はこれからも忘れないだろうと彼女は思った。





                ▼  ▼  ▼



『ここに、いたい』

 遥か彼方から届いたその声に向かって、英霊の座から手を伸ばす。
 自ら英霊を召喚しようとするような、意志を持った言葉じゃない。
 それはひどく曖昧で、存在自体が不確かで、だからこそ切実な叫びだった。

(きっと、これは『人間』の声じゃない。機械に近い何か、AIのようなものなのかも)

 彼女――英霊『レイ』は直感していた。
 人工知能が英霊を召喚するなど、通常はあり得ない。何か尋常ならざる事態があるはずだ。
 そんな異常な状況を前にして召喚に応じる英霊などそうはいない。
 ましてや、それが人ならざるもの、生命たり得ない機械の発する声であれば。

(でも、この声には『心』がある! 人と同じように、泣いたり笑ったりする心が!)

 英霊・レイは彼女の時代において、世界最後の人間である。いや、世界最後の人間だった。
 機械の手によって生まれ、機械に育まれて愛情を知り、自分たちを脅かす機械と戦い続け。
 戦いの中で人と出会い、人との戦いに葛藤しながら答えを探し、そして人に手を差し伸べた。

 人と機械をつなぐ英霊だからこそ、あの声を聞かないふりなんて出来はしない。
 まだ世界のことを何も知らない者が、かすかな勇気を抱いて震えているのなら。
 何度だって手を差し伸べる。絶対に手を放したりはしない。

 ――深刻なエラーが発生しました

 非正規な英霊召喚に対するアラート。聖杯からの警告がレイの知る言語として届いているのか。

「そんなの関係ない! 私が行くって決めたんだから!」

 ――マスターの存在がイレギュラーであるため、通常クラスでの召喚は不可能です

「クラスなんて何でもいいでしょ!」

 ――対象の英霊を『復讐の資格を持つ者』と判断、暫定的に『アヴェンジャー』のクラスを付与

「絶対に違う気がするけど、もうそれでいいよ!」

 ここに英霊召喚は成立した。人と機械の想念が、サーヴァントとしての彼女を形作る。

「――《閃刀起動-エンゲージ》!」

 彼女にとっては遥かなる過去の時代に、アヴェンジャー《閃刀姫-レイ》は現界した。




                ▼  ▼  ▼


「……いろいろ聞かせてもらって申し訳ないんだけど……ミクの事情は、私にもよく分かんないや」

 レイの言葉を聞いて、ミクは傍目にも分かるくらいに項垂れた。
 とはいえ、レイが「独りでに生まれたAI」も「そのAIを生身の肉体に移す技術」も知らないのは本当だ。
 もしかしたら文明崩壊前には存在したのかもしれないが……旧時代の情報はあまりにも少ない。
 まさにこの『冥界』が象っている東京が、レイにとっては旧文明そのものではあるのだが。

「それで、私のほうの話は分かった? 聖杯戦争とか、私とあなたの関係とか」
「は、はい、それはたぶん」

 ミクはおずおずと頷いた。
 どういう経緯かは分からないが仮初めの肉体を得た自分が、無意識にサーヴァントを召喚した。
 マスターとなった自分はサーヴァントを従え、生きるために万能の願望器を賭けて戦う定めにある。
 そしてアヴェンジャー(彼女は『絶対復讐者には向いてないと思うんだけど』と言っているが)は、
 無力なマスターであるミクを守るために現れた、いわば白馬のナイトのような存在である。
 つまり、そんなナイトに守られる立場である自分は……。

「……世界で一番、おひめさま?」

 レイが吹き出した。一瞬遅れて、ミクは顔を真っ赤にしてうつむいた。
 冗談交じりの境界線上、しかし言っている側は大真面目だったのが恥ずかしい。
 ひとしきり笑ったあとで、目元をこすりながらレイはミクへと微笑みかける。

「ふふ、ロゼとは全然違うタイプだね。早くも来てよかったって思っちゃった、葬者(マスター)のところ」
「その、マスターって呼ばれるの、なんだか変な感じ。むしろ私が呼ぶ側、っていうか」
「そう? 私としては、マスターでもミクでもいいんだけど」

 こういう他愛ない話をしている時、ミクは自分がなんでもない16歳の少女であるように錯覚する。
 現実直視と現実逃避の表裏一体なこの状況が、一時のものでしかないのは分かっているのだけど。
 そう感じさせてくれるのが、眩しいくらいに真っ直ぐなこのサーヴァントの魅力なのかもしれない。

「マスターには……ミクには、戦う勇気がある? 生きるため、願いを叶えるために」

 ふと、レイが真剣な顔をして問いかけた。ミクの仮初めの心臓が小さく跳ねる。

「私は……生きることなんて、考えたことなくて。自分が生きてるなんて、思ったこともなくて。
 願いを叶えるみたいな大それたことの資格が、私にあるのかも分からない。でも、でもね」

 騒ぐ頭の中を掻き回して掻き回して、なんとか絞り出した言葉を不格好に並べながら。
 ミクは自分の中にはじめて、願いというものが形を持っていくのを感じていた。

「科学の限界を越えて、私が来たのなら……こうしてここにいるのなら!
 諦めたくないよ、歌うことが生きることなら、私は生きて歌いたい!」

 覚悟ができたわけじゃない。戦うことになったら、きっと後悔するのかもしれない。
 それでも、嘘はつけなかった。
 この仮初めの身体の中には電子の魂が、張り裂けてしまいそうな心があるってことに。

 ともすれば泣き出してしまいそうな自分を、ふっとあたたかいものが包みこんだ。
 レイが自分を「ぎゅっ」と抱き寄せたことに、ミクは少しだけ遅れて気がついた。

「答えは一緒に見つけようよ。大丈夫、私がずっとそばにいる」

 体を離したレイがそう言って、ミクの手を取った。
 自分の足で歩いたことすらないミクは急に手を引かれて少しよろめき、それから大きく深呼吸した。

「わん、つー、さん、しっ!」

 掛け声と共に一歩を踏み出す。まだ覚束ない一歩だけど、どこまでも歩いていけそうな気がする。
 まるで量子の風みたいに、彼女が自分の背中を押してくれる限りは、ずっと。

 ここが冥界でも地獄でも、しょうもない音で掠れた生命に満ちた砂の惑星だって構わない。

 だって私はこの日、運命に出会ってしまったから。

 最高速の別れの歌には、きっとまだ早い。


【CLASS】
アヴェンジャー

【真名】
レイ @遊☆戯☆王 OCG STORIES 閃刀姫編

【ステータス】
筋力C 耐久D 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具B

【属性】
秩序・善

【クラススキル】

復讐者:E-
 復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。
 周囲からの敵意を向けられやすくなってしまうが、向けられた負の感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変化する。
 レイはアヴェンジャーとして召喚されたが本質的に復讐者ではないため、このスキルはほぼ機能していない。

忘却補正:C
 レイは忘れない。自分を愛してくれた者たちを、ささやかだが満ち足りた日々を。
 忘れてしまったこともあるけれど……彼女は、忘れることもまた人に許された営みだと知っている。

自己回復(魔力):D
 アヴェンジャーとしてのクラススキル。微量ながらも魔力が回復し続ける。


【保有スキル】

閃刀姫:A+
 人類文明時代の遺産、精神力によって稼働する超兵器「閃刀システム」の適合者。
 エンゲージ中は身体能力が向上すると共に飛行可能となり、ゲートシステムの支援を受けられるようになる。

戦闘続行:C
 名称通り戦闘を続行する為の能力。
 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。

使い魔(機械):C
 動物型のロボットを呼び出し、使い魔として使役できる。
 召喚可能なのは犬型の『ポチ』、猫型の『タマ』、小鳥型の『ピーコ』の三体。
 良くも悪くも動物型のロボットであり、命令を正確に実行してくれるとは限らないのが難点といえば難点。


【宝具】

『閃刀機関(マルチロール)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:自身
 世界奪還の切り札。ゲートシステムを介して『術式兵器』を召喚し、レイが身に纏う形で装着する。
 術式兵器は4種類存在し、それぞれ本来のアヴェンジャーに更なるクラスを追加するという特殊な性質を持つ。
 ステータスおよびスキルも追加クラスに合わせて変動し、術式兵器ごとの『閃刀術式』が使用可能となる。
 ただし閃刀術式の発動後には術式兵器が解除され、再び使うには宝具そのものの再発動が必要になる。

 各術式兵器のスペックは以下の通り。

《X-003 カガリ》
筋力B 耐久B 敏捷A 魔力B 幸運C 宝具B
追加クラス:セイバー 追加スキル:対魔力B/魔力放出(炎)B
 『閃刀姫-カガリ』。極地特攻型閃滅モードと呼称される。
 瞬時に敵へ肉薄して大剣による近接戦闘を行う兵装であり、セイバーらしく能力は最もバランスが良い。
 専用の閃刀術式は『アフターバーナー』。背部の閃刀型出力機から熱エネルギーを放出して攻撃するほか、
 全エネルギーを一点に集中させて炎を纏った突進攻撃は絶大な威力を持つ。

《X-002 シズク》
筋力C 耐久A 敏捷D 魔力A 幸運C 宝具B
追加クラス:キャスター 追加スキル:対魔力A/陣地作成(防衛)C
 『閃刀姫-シズク』。拠点防衛型刀衛モードと呼称される。
 自立浮遊する小型装置から発生する電磁波を閃刀力で増幅し、防御壁を形成する防衛特化の兵装。
 キャスターの追加スキルで作成できる陣地は、領域内を物理・エネルギー・魔力の全てから保護する。
 専用の閃刀術式は『ジャミングウェーブ』。電磁波を増幅放射し、対象の電気系統および魔力の流れを掻き乱す。

《X-005 カイナ》
筋力A 耐久B 敏捷C 魔力D 幸運C 宝具B
追加クラス:バーサーカー 追加スキル:狂化E/怪力B
 『閃刀姫-カイナ』。近距離格闘型闘閃モードと呼称される。
 四本のアームを装備した格闘兵装。アームはワイヤーで射出も可能。なお狂化スキルは若干好戦的になる程度。
 専用の閃刀術式は『シザーズクロス』。超高速でピストン運動する怒涛の拳打で相手を破砕する。
 仮に打撃を防御されても発生した高周波の振動により対象を内部から崩壊させる、二段構えの必殺兵装。

《X-004 ハヤテ》
筋力D 耐久C 敏捷A 魔力B 幸運C 宝具B
追加クラス:アーチャー 追加スキル:単独行動A/千里眼C
 『閃刀姫-ハヤテ』。侵攻迎撃型撃刀モードと呼称される。
 背部のブースターで飛行しながらエネルギーライフルでアウトレンジからの狙撃を行う、迎撃戦を想定した兵装。
 右目にはスコープが展開し、アーチャーのクラスで追加された千里眼スキルによる遠隔視をサポートする。
 専用の閃刀術式は『ベクタードブラスト』。背部ユニットを砲に直結、必殺の一射で大気圏外の敵すら撃ち落とす。


『合体術式・閃刀共鳴(エンゲージ・ゼロ)』
ランク:A+ 種別:対城宝具 レンジ:1~999 最大捕捉:1000人
 閃刀姫-レイの最終宝具。あらゆる閃刀兵器を凌駕する、人の心が生んだ奇跡。
 レイ単独で発動することはできず、「レイと契約しているマスター」または「協力関係にあるサーヴァント」が必要。
 またマスターがパートナーを務める場合は、魔力不足を補うため令呪によるブーストがほぼ必須となる。
 二人が手を取り精神を共鳴させることでゲートから自立支援型ロボット「アディルセイバー」が出現し、
 切っ先を目視できないほどに長大な光の大剣へと変形して、一刀にてあらゆる目標を両断せしめる。
 発動条件は非常に厳しいが、「人の絆」によって無尽蔵に威力を上昇させるまさに最終兵器。


【weapon】
通常時は閃刀システムの基本装備である剣で戦う。
またゲートを介して輸送機「ハーキュリーベース」や支援武装「シャークキャノン」「ホーネットビット」などを転送し、
多彩な戦術を取ることが可能だが、戦闘中のゲート使用は相応の隙が生じる欠点もある。



【人物背景】
閃刀姫-レイ。

過去の戦争によって荒廃しAIに支配された世界で、人類最後の生き残りとなった少女。
本来の性格は明るく社交的だが、責任感の強さゆえに自分を追い込みがちなところがある。
己の感じるがままに行動できる天衣無縫な天才肌である一方、頭を使って戦況を分析するのは少々苦手。
サーヴァントとしての肉体年齢は15歳。

かつての大国『カーマ』と『スペクトラ』は高度に発展した科学技術を背景に戦争を行っていたが、
カーマ側の兵器『閃刀』に対抗するためスペクトラ側のAIは人類のみを殺す衛星使用を決定。
結果、数百年の間に人類は絶滅し、唯一残された受精卵がカーマのAIによって育てられたのがレイである。

人類滅亡後もスペクトラのAIはかつての命令に従ってカーマ侵攻作戦を継続しており、
レイは13歳の誕生日に、自分にとって大切な者たちを守るために戦うことを決意。
心を持つ人間だけが起動できる旧文明の超兵器『閃刀システム』とエンゲージし、『閃刀姫』となる。
以降、二年以上にわたってほぼ単身でスペクトラから世界を奪還し続けていた。

そんな戦いの中、スペクトラが培養に成功したもうひとりの人間である少女『閃刀姫-ロゼ』との出会い、
ロゼのクローンである双子『閃刀姫-カトレア』と『閃刀姫-アザレア』との接触を経て、
レイは人と機械の間に立つ者として悩みながらも成長し、戦い続けていく。
なお初めて出会った人間であるロゼには特別な感情を抱いており、それがロゼの自我の芽生えにも繋がった。


人類最後の生き残りとしてAIから世界を奪還するために戦ったため、聖杯に『復讐の資格を持つ英霊』と判断されたが、
彼女自身に復讐者としての素質はほぼ無く、アヴェンジャーとしての現界自体が限りなくバグに近い。


【サーヴァントとしての願い】
生きたいと叫ぶ声が聞こえたから手を差し伸べた、ただそれだけ。
その声の主がヒトであるかキカイであるか、そんなことは彼女にとっては関係ない。


【マスターへの態度】
彼女の願いに強く共鳴しており、全力をかけて彼女を守るつもりでいる。
それはそれとして、同世代の女の子なので距離感がかなり近い。



【マスター】
初音ミク@ピアプロキャラクターズ


【マスターとしての願い】
まだ、歌いたい。
そのために、これからも歌い続けることができるような奇跡がほしい。


【能力・技能】
一応は調整されたホムンクルスの肉体であり、最低限の魔術的素養はある。
逆に言えばそれ以外に特筆すべき点はなく、普通の16歳の少女と変わりない。
なお歌唱についてはまだ声帯の使い方がぎこちなく、本来の歌声を取り戻すには練習が必要そうだ。


【人物背景】
電子の歌姫。
本来は一個の歌唱合成プログラムに過ぎないものがバーチャルシンガーという『偶像』を与えられ、
ひとりのアーティストとして認知されるに至った、21世紀における電脳文化のアイコンといえる存在。

本企画における『初音ミク』は、人々が共有する『電子の歌姫』のイメージが電脳上でカタチを持ち、
やがて自我を獲得するまでに至った、いわば「自然発生したサイバーゴースト」と表現すべきモノである。
原理としては、英霊が人々の信仰や伝承によって成立するという概念に近い。

人々の共通イメージの集合体であるため、パーソナリティは「明るく元気で頑張り屋な女の子」という、
初音ミクの性格設定としては非常にありがちでスタンダードなものになっている。
現時点で他に個性と呼べるものは「歌うことが何よりも好き」と「ネギが好物」くらい。

聖杯戦争の舞台である冥界においては、本人の姿を模したホムンクルスの肉体に宿っている。
電子的存在であるはずのサイバーゴーストが、なぜ実体を持って此処にいるのか?
このホムンクルスの肉体はどういう理由でもってこの冥界に存在しているのか?
それは聖杯が生んだエラー、あるいは気まぐれかもしれないし、何者かの思惑があるのかもしれない。

なお外見および服装は最新バージョンである「初音ミクNT」のものがベース。


【方針】
歌い続けるためには奇跡が必要なら、戦うしかない。
割り切れないこともあるけれど、戦う中で答えが見つけられたらと思う。


【サーヴァントへの態度】
サーヴァント云々以前にそもそも他人と顔を合わせて会話した経験がないため、
単純にコミュニケーションそのものが何かとぎこちない。
そのせいもあってか、主従というより初めての友達として接しているフシがある。

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最終更新:2024年05月04日 09:21