我が名は、クレイマン。
かつて、魔王の地位にいた魔人。

生前の私は、おごっていた。
おのれの策略を過信し、全てを操れると思い込んでいた。
結果として、あの忌まわしいスライムに敗れた。
支配者としても個人としても完敗し、最後には魂まで捕食された。
私という人格は、そこで消滅したはずだった。

だが世界は、私の存在を認めた。
英霊の座に登録された私は、この度の聖杯戦争でキャスターのサーヴァントとして召喚された。
そこまではいい。
問題は、私が組まされたマスターだ。


◆ ◆ ◆


私のいた世界とは違う文化の元作られた、一軒の民家。
私のマスターは、その中でソファーに寝転んでいる。

「マスター……。そろそろ、覚悟を決めてもらえないだろうか」
「いやです!」

私の要望を、マスターは即座に斬り捨てる。
幼さの残る少女の姿をした彼女の名は、ぷにる。
種族は、スライム。
そう、私を破滅させたあの魔物と同じスライムなのである。
いったい何の因果で、曲がりなりにも私がスライムに仕えねばならないのか。
運命を司る存在の嫌がらせだとでもいうのだろうか。

「たしかに、なんでも願いを叶えられるというのは魅力的ですよ?
 でも、戦うのはいやなのです!
 かわいいぼくがやることではないのです!」

そしてこのように、マスターは聖杯戦争に乗り気ではない。
願いは叶えたい。しかし戦いたくはない。
甘ったれた子供の思考だ。
そして戦闘力は、ほぼ皆無。私を倒したスライムとは、比べるべくもない。
はっきり言って、足手まとい以外の何物でもない。
いっそ私の魔法で洗脳してしまった方がいいのでは、と考えるほどだ。
だが、それにもリスクがある。
この聖杯戦争は、マスターとサーヴァントが組んでの戦いだ。
いざというときにマスターが自発的な判断をできないのであれば、決定的な隙をさらすことになりかねない。
単純な命令だけで自分の身を守れるくらい、戦闘力が高ければいいのだが……。
そうであるならば、そもそも操る必要がない。
考えれば考えるほど、八方塞がりだ。

「キャスター、クリームソーダを持ってきてくれませんか?」
「そのくらいは自分でやりたまえ」
「まったく、サーヴァントのくせに反抗的ですね。
 ここは令呪で……」
「やめろ! 貴重な魔力ソースを無駄遣いするんじゃない!」

愚かな行動をとろうとするマスターに、思わず口調が荒くなる。
たしかに令呪を使いきってくれれば自由の身になれるが、まだ乗り換える先が見つかっていないのにそうなっても私が困るだけだ。
今はまだ、切札として令呪を持っていてもらわないと困る。
そう、今は耐える時なのだ。
こんなザコマスターでは、聖杯戦争を勝ち残ることなど不可能。
もっと優秀なマスターを見つけ、そいつと再契約する。
私が勝ち残るには、それしかない。
それを成功させた時こそが、私のリベンジが始まる時だ。

「ぐっ!」
「どうしました、キャスター」
「いや、なんでもない……」
「そうですか、それなら早くクリームソーダを……」
「しつこいな、貴様も!」

「リベンジ」。その言葉を思い浮かべた途端、脳に鈍い痛みが走った。
この言葉は、私にとって特別な意味を持つものだったか?
私は、何かを忘れている……?
まあいい。今は、勝ち残る方法だけを考えるべきだ。
もう一度つかむのだ。魔王としての栄光を!



【CLASS】キャスター

【真名】クレイマン@転生したらスライムだった件

【ステータス】
筋力D 耐久D 敏捷C 魔力B 幸運E 宝具EX

【性別】

【属性】
中立・悪

【クラススキル】
陣地作成:B
魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる。「工房」の形成が可能。

道具作成:C
魔力を帯びた器具を作成可能。
彼は生前に収集していた武具を再現可能だが、それを使いこなす技巧はない。

【保有スキル】
十大魔王:C
魔の世界に君臨する王の一人。
魔獣・怪物系のサーヴァントに対しては同ランクの「カリスマ」と同様の効果を発揮し、そうでないサーヴァントには強い威圧感を与える。
キャスターは生前「真の魔王」に至ることができなかったため、ランクは低め。

操演者:B
キャスターが得意とする、他者を操る魔術。
サーヴァントを操るのは困難だが、一般人ならほぼ確実に掌握できる。
NPCならば、他者の妨害がない限り100%成功する。

中庸道化連の掟:A
キャスターの人格の芯となる、確固たる信念。
いかなる魔術やスキルを使われようとも、キャスターが自分の陣営に関する情報を敵対者に教えることはない。

【宝具】
『偽りの覚醒魔王(クレイジーピエロ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
リムル=テンペストとの戦いで行った、不完全な覚醒を再現する宝具。
筋力、耐久、敏捷が2ランク上昇し、「十大魔王」が1ランク上昇する。
いびつな力であるがゆえに魔力の消耗が激しく、長時間の維持は困難である。

『クレイマンREVENGE』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
それは正史か、偽史か……。
とある文献においてクレイマンが持っていたとされる能力を、グレードダウンして再現した宝具。
クレイマンが戦闘によって死亡すると自動発動し、時間を戦闘開始時まで巻き戻す。
その際、クレイマン本人だけが巻き戻る前の記憶を保持した状態となる。
発動の際、令呪が一画強制消費される。すでに令呪がない場合は、発動しない。
また、一回の戦闘で複数回発動することもない。
クレイマン自身は、この宝具の存在を認識していない。

【weapon】
なし

【人物背景】
十大魔王の一人、「人形傀儡師(マリオネットマスター)」。
そして社会の裏で暗躍する「中庸道化連」の一員。
真の魔王へと至るべく暗躍していたが、その過程でリムルと敵対することに。
それでも慢心し彼を軽視していたことで、最終的には直接対決に持ち込まれ殺されることとなった。

【サーヴァントとしての願い】
元の世界に蘇生する

【マスターへの態度】
まったく使えないザコと認識。
できるだけ早く、他のマスターに乗り換えたい。



【マスター】
ぷにる@ぷにるはかわいいスライム

【性別】
無性

【マスターとしての願い】
「かわいい」の頂点に立ちたい。

【能力・技能】
体を自在に変形させられる。

【人物背景】
少年・河合井コタローが作ったスライムに命が宿った存在。
「かわいい」存在であることをアイデンティティーとする。
当初はペンギンの姿だったが、よりかわいくなるために現在は主に少女の姿をとっている。

【方針】
聖杯はほしい。でも戦うのはいや。

【サーヴァントへの態度】
何かと反抗的な、困ったサーヴァント。
ちゃんと言うことを聞いてほしい。

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最終更新:2024年05月14日 20:35