もう二度と、迷わない

                ASCA「CHAIN」


東京区内、銀行。
夕方に差し迫ったとき、男が電話を取りながら外に出てくる。

「OK、契約、OK」
独特の喋り方の男の手の甲には令呪。
そう、彼は葬者の一人、今やっている銀行員だって、本職ではない。
本来の本職は――言えたものではないが。

「…!了解しました、アーチャー」
急ぎ足で歩き始める男。
中肉小柄、平凡を絵に書いたような男。
しかしその正体は賭け事の審判者、賭郎倶楽部が立会人が一人。
拾壱號立会人――銅寺晴明。


レーザー銃の銃声が、夕暮れの倉庫一体に広がる。
「うわぁぁぁぁ!」
「や、やめぇ」
勝手に停泊していたであろう海賊船が、銃撃によって燃え尽きる。
逃げ出していく使い魔達も銃撃により、体に穴を開けて消滅していく。

その時である、男の頬を鉄球が掠める。
「…親玉か、ずいぶんまたせてくれたな」
眼の前に現れたのは海賊らしい男、おそらくはライダークラスのサーヴァントか。
そのまま男は銃撃を続けようとするが…

(…申し訳ありませんアーチャー、そろそろ宝具が…)
「…仕方ない、ならいつもどおりでいかせてもらう」
宝具が長時間持つわけもなく、消滅していく。
男が取り出したのは、ナイフとアサルトライフル。
「行くぞ船長、かかってこい!」
煽りにかかり、鉄球を敵のサーヴァントは投げつける。

「当たったら即死だな、だが、懐が甘い」
アサルトライフルを放ち、敵の腱を立つ。
動けなくなり、棒立ちになった懐に入る。
「がら空きだ」
ナイフを心臓に突き立てる。
「…終わりか」
消滅していく敵サーヴァント。
あとに残ったのは、アーチャーと荒れた倉庫街だけ。


「OK、消滅、OK」
「マスターか、そっちは?」
「簡単でした、特に苦も無く」
奥から敵マスターを締めたであろう銅寺が出てくる。
審判者であり、なおかつ暴の化身でもある立会人。
拾壱號の彼となれば、その実力は折り紙付きだ。

「帰りましょう、長いする理由もありません」
「…了解した」
アーチャーを背後に立たせ、夕暮れに染まりながら銅寺は帰っていく。

兄が命に変えてくれたこの命、こんな争いで散らすつもりはない。
いざ、帰還の為に動かん。


男は捜査官だ。

証人保護プログラムに基づき、保護対象の経歴の消去し、代わりの歴を斡旋する。

戦いの中で、外道に落ちた上司を殺した、もちろん悔いはない。

アーチャー――ジョン・クルーガー、今宵は捜査官としてではなく、一介のサーヴァントとして動く。

マスターを守るために――


【CLASS】アーチャー
【真名】ジョン・クルーガー@イレイザー
【ステータス】
筋力C 耐久C 敏捷C+ 魔力E 幸運C 宝具D
【属性】秩序・善
【クラススキル】

対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:B
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

【保有スキル】

経歴改竄:C
アーチャーが捜査官として行ってきた仕事の一つ。
他者のステータスを改竄できるが、真名等は不可、また、スキル以上のランクの真眼スキル持ちに対しては見破られてしまう。

戦闘続行:B
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

仕切り直し:A
 窮地から脱出する能力。
 不利な状況であっても逃走に専念するのならば、
 相手がAランク以上の追撃能力を有さない限り逃走は判定なしで成功する。

心眼(真):A
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
 その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
 逆転の可能性がゼロではないなら、
 その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

【宝具】
『禁制武器(EM銃)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――
かつてアーチャーが軍需企業の暴走を止めに行った際、その企業の開発していた銃。
アーチャーは襲撃の際、敵からこの銃を奪い、なおかつ無双もしたことから宝具に転用された。
通称 レールガン、威力発射力共に優れ、なおかつ取り回しにも優れる。
【weapon】
ナイフや重火器
【人物背景】
FBI捜査官、証人保護プログラムに基づいて動く生粋のエージェント。
ただ黙々と任務を遂行する男
【サーヴァントとしての願い】
無し、マスターに命令に従う
【マスターへの態度】
非道に走らない限り命令には従う

【マスター】銅寺晴明@嘘喰い
【マスターとしての願い】
帰還する
【能力・技能】
立会人として賭け事を裁量する力。
またそれのための暴力
【人物背景】
拾壱號立会人、中肉小柄。
過去の経歴をバネに、努力し続ける男。
【方針】
少なくとも、帰還も聖杯に頼る気はない。
立会人の仕事を続けるためにも無駄力を使いたくない。
【サーヴァントへの態度】
互いに背中を預けられるサーヴァント、信用している。

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最終更新:2024年05月14日 20:39