夜空を切り取るように高くそびえるオフィスビル。
不夜城と称されるその区画だが、この時間帯は最も明かりがまばらだ。
ガラス貼りの塔の足元に広がったスクランブル交差点。
ロクに通る自動車もないのに、信号機は律儀に交通整理を続けている。
やや離れた高架では、貨物列車がゴウゴウと線路を駆け抜けている。
つい数時間前の終電では満載の人間たちを運んでいた路線だ。
『ライダー。仕事の時間だ』
その初老の男と思しき声は、機械のようだった。
古びた内燃機関が静かに唸るような声だ。
冷たい鉄の殻の中に、確かな熱を有するような。
『作戦領域に進入。始めるぞ』
ビルの隙間から、機械のような、虫のような異形が、二つ。大きさは、肢を含めて普通自動車ほど。
迎え撃つように、スクランブル交差点の舗装がごっそりと持ち上がり、人の姿をした黒い影がワラワラと、ざっと百ばかり。
虫のような異形――大砲を背負った、白骨色の四つ足の蜘蛛と表現するのが的確か――は、
鋏角に当たる部位に備わった機関銃で、黒い人影を一つ一つ粉砕してゆく。
二機掛かりの機銃掃射で"影"を砕いてゆくが、影は人体にあるまじき頑強さと、
その数の圧力で二匹の"蜘蛛"に肉薄してゆく。
『<スノウウィッチ>、火力支援を行え。投射座標は任せる』
男が言い切らぬうちに、ビルの頂上から火の尾を引いて飛来した榴弾が交差点の中央に着弾。
影の群れの過半数が吹き飛び、その穴に前線を張っていた二機が切り込む。
<ヴェアヴォルフ>――人狼のエンブレムの機体が正面から機銃の弾幕で影を足止めし、
<ラフィングフォックス>――笑うキツネのエンブレムの機体がワイヤーを用いた蜘蛛さながらの三次元機動で死角を衝く。
黒い影の軍勢が着々と削り取られてゆくのをよそに、男は新たな指示を下す。
『<ガンスリンガー>、敵目標――"キャスター"の位置を傍受した。座標を送信する』
スノウウィッチの対岸道路、近辺で最も高いビルで息を潜めていた機械の蜘蛛が、背負う砲を構えた。
スコープの先には、21世紀の東京のオフィスビルの屋上には場違いな、黒いエナンに黒いローブを纏った女性の影。
ガンカメラ越しにその姿を認めた男が、
『その女だ。…撃て』
わずかに逡巡した男の指示と"同時"に、影に着弾。わずか数秒の猶予時間で、直線距離およそ1kmの狙撃を成功。
口径57mmの徹甲弾だ。人体に命中すれば跡形も残らない。
――だが。
『――ガンスリンガー、退避しろ!』
弾着の煙の中に、人の姿が残っている。
煙が女を避けて半球状に流れている――防がれた。障壁[シールド]のような何かで。
そしてこちらに、ガンスリンガーに、右手で指鉄砲を向けている。
その指先が光ると一拍置いて、バキン、ごおん、と金属が折れる音が男に響いてきた。
装甲兵器としては、あまりに軽すぎる破壊音が。
コンソールに表示されるアラートは、ガンスリンガーの左前後の脚部の破損を告げている。
戦闘は不能だ、撤退しろ、と指示するまでもなく、ガンスリンガーはビル陰を盾にワイヤーで降りる。
男が息をつく間もなく、ジャリリ、と缶詰を裂くような金属音と、
けたたましい、二機分のアラートが鳴り響いた。
ヴェアヴォルフと、ラフィングフォックスのアラート。
男は偵察ドローンの暗視画像から二機の姿を探す。
そこには、右の前肢を切り飛ばされた蜘蛛と、鋏角の片方を折られた蜘蛛、そして、
身の丈ほどの槍を両手に携えた鎧武者の影――シャドウサーヴァント、"ランサー"の姿があった。
『事前情報のとおりか。…"ランサー"がいるとはな』
足を奪われたヴェアヴォルフがなおも機関銃の弾幕をランサーに浴びせる。
ランサーは左手でプロペラのように槍を振り回して、事もなげにそれを防ぐ。
ほぼ同時、ワイヤーでビルの壁に張り付いたラフィングフォックスが背後後方から57mm徹甲弾を見舞った。
ランサーは後ろ回し蹴りでそれを持ち主に返却した。
新たに灯るアラート、ラフィングフォックス、主砲使用不能。
さらに無理な射撃と落下のダメージで、前肢の片方も破損。
ランサーが鬨の声が大気を震わすと、残り半数で散り散りになっていた影たちが統率を取り戻し、
戦列を立て直した。こちらは前衛、後衛ともに4機中2機が戦闘不能。
男の耳に聞こえるのは機体のアラート音、最後の抵抗よろしく響く機関銃の射撃音、
そして影たちがジリジリと包囲網を狭める足音――そして、ゴウゴウ唸る貨物車の走行音だけだ。
『<アンダーテイカー>、定刻通りだ。座標は――』
不要、と短い返答。当然のことだろう。
元はといえばこの戦闘は、――この状況を作るように戦闘プランを構築したのは――。
ゴウゴウと貨物車が鉄軌を走る音が流れてゆく。
コンテナや、シートで覆われた荷物が流れ去ってゆく。
走行音を拭い去るように最後尾の荷台が流れゆく。
小型車のようなシルエットの荷物を覆うシートがバラリと吹き飛び、5機目の"蜘蛛"が姿を現し、跳ぶ。
緩やかにカーブする路線から跳び出した蜘蛛――アンダーテイカーが貨物列車の速度を乗せてランサーに飛び掛かる。
鋏角に機関銃はなく、節足動物さながらの1対のブレード。
ランサー、二本の槍を交差で構え、正面から迎え討つべく跳躍する。
2者の交錯の直前、アンダーテイカーの主砲が轟く。ランサーが右の槍を薙ぎ、砲弾を弾き飛ばす。
空中射撃の反動で、アンダーテイカーの機体全体が後方に傾く。
武装もろくに施されていない、蜘蛛の弱点たる腹が晒される。
そこにランサーの左の突きが迫る――狙いが外れ、掠めるだけに留まる。
開いた右腕に、アンダーテイカーの射出していたワイヤーアンカーが絡みついていた。
すかさず全速稼働する巻き上げウインチ。一瞬にして距離が詰まる。
1対のブレードを備えた鋏角と、ランサーの首筋の距離が。
ワイヤーで絡まれた右腕、突き出した左の槍は蜘蛛の肢の二本掛かりで挟みこまれた、
ならば蹴りで――ランサーが脚を振り上げ――それより一瞬だけ早く、ランサーの首が鋏角のブレードで挟み斬られた。
決着は、空中での一瞬の交錯だった。
アンダーテイカーが、ボコボコのアスファルト舗装の上を四足で滑りながら着地。
スコップを担いだ、首のない骸骨のエンブレムが信号機に赤々と照らされていた。
指揮官を失った影たちが都市の闇の中に溶けて消えてゆく。
『ライダー。よくやった。今日の仕事は終わりだ。…帰って、休め』
新たに灯ったアンダーテイカーの脚部損傷アラートを横目に、男は五機に向けて告げた。
『了解しました。ハンドラー・ウォルター』
アンダーテイカーが、五機の代表として答えた。
静かな声だった。声変わりをようやく終えたばかりの少年の、澄んだ声。
死線をくぐった直後とは思えないほど、落ち着いた声だった。
◆ ◆
大都会の雑踏の只中のように、あるいは孤島を囲む海のさざめきのように、幾人もの亡者たちの声が渦巻いていた。
『619 生体反応ロスト』
人間の聴覚には多数の声が重なる中から、当人にとって重要な声だけを聞き取る機能があるという。
俗にカクテルパーティー効果というものだったか。
俺にも拾うことができた。重要な声を。俺の与えた仕事を果たして、死んだ者たちの声を。
宇宙政府軍――惑星封鎖機構の防衛線を穿つために、俺が送りこんだ猟犬たち。
619は仕事をした。幾重にも張り巡らされた防衛線の第一ラインを破るため、
満載したミサイルを一斉射して、刺し違えるように集中砲火を浴びた。
機動兵器を操る機能と引き換えに、名前さえも奪われた強化人間たちの最期の声は、
死の残酷を即時正確に伝えるよう調整された人造のシステムボイスだ。
『620 反応ロスト』
コンソールのディスプレイから光点がまた一つ消えるのを想起する。
620は仕事をした。猟犬たちの行く手を塞ぐ超大型戦車、その旋回砲塔の標的を引き受け、粉砕された。
620の作った隙を突いて回り込んだ617が、戦車の制御ブロックに激突するように取り付いた。
そして、回転する銃身がめり込む勢いで銃弾を叩き込む。
617は真っ赤に焼け付いたガトリング砲を引き換えにして戦車を破った。
『ターゲット情報更新 フェーズ3 パターンE』
僚機と手持ちの兵装をすべて失った617だが、まだ仕事は終わりではない。すかさず俺が新たな命令を下す。
防衛線の最奥には、直径100メートルほどの目玉のような大型レーザー砲が、未だに睨みを効かせている。
『617 ロスト』
そして617も仕事をした。
最後に残った武装、機体の胴体[コア]部分から内蔵エネルギーを爆発させ、防衛線の目玉たる大型レーザー砲を道連れにした。
『ハンドラー・ウォルターに報告 ミッション完了』
幾人もの強化人間を機動兵器に詰め込んで、消耗品のように使い潰し、惑星ルビコン3にたどり着いた。
そこへ送り込むことのできた新たな1人の奮戦が、ルビコン3の最奥への道を切り開いた。
――ようやくたどり着いた、俺の故郷。今は亡き友人たちとの、約束の地。
そこは、高度計がマイナスに振り切れるほどに大深度の地下空間。
分厚い氷床を通り抜けた日光を浴びて、砂塵にまみれたビル街が煤けた輝きを放っている。
遺[す]てられた都、ルビコン技研都市。
最奥には鋼の漏斗と形容すべき巨大構造物[メガストラクチャー]が、傾いて地下空洞の底に突き刺さっている。
眼前に広がる数百メートル級の高層ビル群をミニチュアに見せるほどの、狂ったスケール感。
まっすぐ立て直せば惑星の大気圏外へと達する鋼の漏斗――
バスキュラープラントと呼ばれる、それの根元にたどりつくこと。
それが、今まで俺を導いてきた独立傭兵に与えた最重要任務、"集積コーラル到達"である。
行く手を阻むのは、惑星ルビコン3で発見された新物質・コーラルの、
狂った研究過程で産まれた狂った産物と、それらを塞き止める安全弁。
半世紀も前に作られたコーラル兵器群が、現行兵器を遥かに凌駕するスペックを以て、
俺の最も信頼する傭兵へと襲いかかった。
その時ハンドラーとして俺は、ウォルターは、あいつに何をしてやれた?
せいぜいフットボールの試合で駆け回る子供に、観客席から無意味な激を飛ばすことくらいのものだった。
恋人の一人も作っていそうな年頃の子供の父親みたいな面をして、俺は。
だがともかく、あいつは勝った。勝ったところで――背中を刺された。
用心深く息を潜めていた刺客――コーラルの独占を目論む、企業付きの傭兵に。
激戦を経て損傷したあいつの機体の足元に、氷原の化け物殺しの電撃砲弾が着弾。
完全に機能を停止し、頭垂れる機体。
それが俺の見た、コンソール画面越しの最後の光景だった。
あいつの激戦と、その後に急襲される様子に取り乱した俺は、
オペレーティングルームに企業の手の者が押し入ってくることさえ気づかなかった。
――そこで俺は死んだのだろう。
死んだから、俺の与えた仕事で死んだ猟犬たちの声が聞こえるのだろう。
「…621」
思わず口に出したあいつの呼び名。だがしかし、あいつの声だけは聞こえてこない。
ならば、あいつはきっとまだ生きている。希望だけは、残っている。
あいつの仕事――あるいは"選択"を見届けられないことだけが、わずかな心残りだった。
『――問おう。貴官が本官たちのマスターか?』
◆ ◆
俺達、スピアヘッド戦隊がこの"東京"という街を訪れてまる一日が経とうとしている。
特別偵察任務に出ておよそ一ヶ月、武器弾薬がほぼ尽きた状態でレギオンと交戦し斃れたはずの俺達は、気づいたらここにいた。
俺達5人の中に、"活きている"街の記憶はほとんどなかった。
12歳まで良心ある"白系種[アルバ]"のバアさんに匿われていた俺――ライデン・シュガは、まだマシな方だろう。
他は皆、物心ついた頃から強制収容所のクソみたいな環境で育ってきた。
かつて人間の街だった廃墟を、特別偵察中に偶然見つけたくらいのものだ。
見たこともない人波だった。黒い瞳に明るい色の肌、極東黒種[オリエンタ]が多いように見える。
人の密度だけなら強制収容所にも劣らないだろう。
だが、皆が皆小綺麗な身なりをして、憲兵に怯える様子もなく、ある者は道端で談笑し、
ある者は書類鞄を抱えて小走りに、ある者は美味そうな何かを食べ歩き、ある者は板状の情報デバイスを熱心に睨みながら、
――思わず右手が腿のホルスターに伸びた。
それは他の連中――"シン"こと、シンエイ・ノウゼンを除く3人も、同じようだった。
俺たちは、"平和"というものを知らなかった。
現状に理解の追いつかない俺達は、背中合わせで周囲を警戒した。
銃を抜きそうになった仲間の一人――クレナ・ククミラを制止した。
それはいけないことだと、そういう知識がいつのまにかあった。
数分もしないうちに濃紺色の服に身を包んだ壮年の男がこちらに近づいてきた。
それがこの街の警察であるという知識があった俺達は、
シンの手を引いて、一目散に駆け出した。人のいない方へ。人のいない方へ。
――どこまで行っても人がいた。
ともかく、警官を撒くことはできた。
たどり着いた先、路地の奥まったところは流石に人も少ない。
「シン。ここに敵はいるのか?」
ここに来てからずっと、ぼうっとした様子のシンに、俺達は口々に問うた。
「いない。――少なくとも、この近くには」
シンが言うには、この東京23区は周りを亡霊の群れで埋め尽くされている。
内側にも亡霊がいて、そいつらは特別に強い、らしい。
シンが有する異能だ。シンは100km以上離れた死者の声を聞くことができる。
大型哺乳類の神経系や、人間の脳をコピーして情報中枢としている機械仕掛けの亡霊・レギオン。
そいつらの声も死者のうちに入っており、俺たちはシンの異能に大いに助けられてきた。
話が逸れたが、何のことはない。
ここは死者の国で、俺たちもそこに迷い込んだというだけのことだった。
それから俺たちは、死者の国・東京の観光に洒落込んだ。
俺達は生まれて初めて海を見た。書き割りのイルミネーションに輝く水面。セオト・リッカは画材がないことを悔しがっていた。
ショーウィンドウの中で輝くドレスに、クレナと、それからアンジュ・エマの視線は釘付けになっていた。
不思議と腹は減らなかったし、眠気もなかった。
東京を野戦服で徘徊する少年少女の集団に対して、奇異の目を向けられることもあったし、
警官にも何度か追い回された。だが少なくとも、肌や瞳の色で敵視してくる者はいなかった。
そうしてまる1日ほど東京をぶらついているうちに、終わりがくるのがわかった。
髪が、指の先が、服の裾が、光の粒子を吐き出してうっすらと透けてきている。
"時間切れ"らしい。何の時間かは、ともかくとして。
俺たちはここで消えてなくなり、外側にいる亡霊たちと一緒になるのだろう。
ここの街が俺たちの終着点というなら、それも悪くない。
「――いる」
シンが声を上げた。東京を彷徨っているあいだずっと所在なさげにしていたシンが。
弛緩していた俺達4人の空気がギュッと引き締まった。
「敵か?」
「ハンドラー、いや、"葬者[マスター]"の声が聞こえた」
◆ ◆
『――問おう。貴官が本官たちのマスターか?』
ウォルターは首の後ろ、脊椎から脳幹に繋がる部分がジリジリと熱を持つのを感じた。
聞こえてくる声は、声変わりを終えたでばかりであろう少年の、澄んだ声。
「それは、俺に対しての問いか?」
『生きている人間の声は、あなただけだ』
「ならば、…多分そうなのだろう」
知識が植え付けられていた。
聞こえてくる少年の声が、サーヴァント。俺がそのマスター。
役割を与えられて、ここに喚ばれていた。
身を起こしたウォルターが今まで横たわっていたのは、シンプルな造りのベッドの上だった。
部屋は広く清潔で、外に見える市街の様子と比較しても高級さを感じさせる。
だが殺風景な部屋だった。数日間生きるのに最小限のモノが片隅に集まっているだけの。
『あなたが俺のマスターであるというなら、正式な契約を結びたい』
マスターになり、聖杯戦争を勝ち抜けば、使命を果たすことができる。
コーラルを焼き払うという、俺に課せられた使命を。
――いや。コーラルという物質を最初から存在しなかったことにすることさえできる。
それが叶うならば、コーラルによる強化手術という狂気の産物は――
俺が使い潰した強化人間は最初からいなかったことになり、
ただの人間として、普通の人生を送ることができていたかもしれない。
迷う余地などない。
しかし。
――621。正式名称、強化人間C4-621。その名で呼んできたあいつも、存在しなかったことになる。
『戦わないというなら、それでも構わない。――ただ、早く決めてほしい』
俺によぎった迷いを看破したかのように、少年が続けた。
また命令されて戦うのかよ、と、声変わりの済んでいない少年の愚痴が聞こえた。
このまま消えてしまうのも惜しいかしらねぇ、と、育ちの良さそうな少女の声が聞こえた。
「…わかった。まずはサーヴァントとしての契約を結ぼう」
話はそれからだ――。
◆ ◆
サーヴァントとしての契約を結んだシンたちにまず与えられたのは、家だった。
『サーヴァントとしての契約はしたが、仕事の契約は別だ。
これからお前たちに依頼を出す。受けるかどうかはお前たちの意志で決めろ』
サーヴァントとして契約したとき、マスター――ハンドラー・ウォルターはそう言った。
そして程なくしてこの場所へ行け、指示を出し――歩いて到着した時に飛んできたドローンの運んで来たものは、
眼の前の家の鍵だった。
次いで、衣服や家具が山と送り込まれ、これで足りなければもっと買え、とばかりに通販のカタログがおまけで付いてきた。
「何のつもり?」
とセオトが口火を切ったが、それはシンたち全員の総意だった。
『ここでどう振る舞うにせよ、拠点は必要だろう。
…この家はサーヴァントとして俺と契約を行った時の契約金だと思え』
というハンドラーの言葉は正論であり、嘘はなかった。
だが、依頼を受けてもいないのに、あまり待遇が良すぎるのも不信を招くものだ。
半地下に備えられたガレージは、ジャガーノート5機とスカベンジャー1機が収まるほど広い。
周囲の家がスライスしたパウンドケーキのような形状なのに比較すれば、ここは破格の豪邸だ。
シンたちはガレージで各人の乗機に搭乗し、通信用モニターに目を光らせていた。
出撃ではない。通信のためだ。
『これは …ある友人、いや、俺からの私的な依頼だ。
俺やお前たちの拠点の近辺で、シャドウサーヴァントと思しき存在が戦闘を行った形跡が見つかった』
モニターにはクレーターのようにくぼんだアスファルトや、真っ二つに切断された電柱の画像が届いていた。
『今回お前たちには、これらの交戦跡を残したシャドウサーヴァントの偵察に行ってもらいたい』
次いで映る画像。街灯の下を闊歩する黒い影たちの空撮暗視画像。
『シャドウサーヴァントは、東京23区の外から亡霊を集めて率いていると見られる。
…放っておいても交戦は避けられん相手だ。戦力が揃う前に始末したい』
依頼を受けるべきか否か、わざわざ質問のダイアログをよこしてきた。
Yes、とシンが返信。
『ライダーとお前たちの技能については、ここまでの道程であらかた聞かせてもらっている。
…だが、気を付けて行って来い』
案じる声色は、なぜか生前のハンドラーである銀鈴の転がるような声を思い出させた。
そうして、最初の任務は何事もなく終了した。
機体に乗るまでもない。というか、偵察に目立つ機体は不要だ。
おまけに、シンたちは生身ではサーヴァントと認識されないらしい。
ともかく、なんということはなく終わった任務だった。
帰り道に買い物ができたくらいには気楽だった。
報告。
近辺に潜んでいるのは、キャスターのシャドウと思しき存在が1体。
死霊の兵士は、普段道路の下、地下に隠れている。
そしてもう1体、シャドウがいる。恐らくは三騎士。
『よくやってくれた。…そうだ、"これ"を忘れていたな。』
ハンドラーが言うと、いくつものリードを握りしめる筋張った手のアイコンが届いた。
調教師[ハンドラー]たる彼のシンボルとなるエンブレムである。
『俺の、俺たちの知る傭兵の流儀だ。お前たちにシンボルマークがあるかどうかはわからないが』
少し時間を置いて、シンたちはそれぞれに返信した。
牙剥く人狼のエンブレム、<ヴェアヴォルフ>。
箒にまたがる魔女のエンブレム、<スノウウィッチ>。
2丁の銃が交差したエンブレム、<ガンスリンガー>。
やや遅れて、口角が釣り上がった狐のエンブレム、<ラフィングフォックス>。
そして、スコップを担いだ首なし骸骨のエンブレム、<アンダーテイカー>。
たった今機外に降りて撮影してきた。
シンたちのパーソナルマークの画像データだ。
そして、動物が鳴くような抑揚の電子音とともに、
大きな単眼カメラアイの写真画像。ファイドと名付けられた、支援ユニット。
『それから、今回の任務の報酬だが――』
「報酬は不要です、ハンドラー・ウォルター。顧みられることなく消え去るはずの俺たちが、
英霊の座にたどり着いていた事を知ることができた。今は――それで十分です」
俺たちの総意として答えたシンとは別に、
事前にアンケートを受けていた料理のフードデリバリーと、
直方体状になるまで紙幣が詰まった封筒が家に届いていた。
ハンドラーから次の依頼が届いたのは、その数時間後のことである。
『ライダー 仕事だ。
これは…俺からの、私的な依頼だ。先刻見つけたシャドウサーヴァントたちを討伐する。
まずはブリーフィングを行い、戦闘プランを確認する。
俺からたたき台となる案を提示するが――偵察に行ったお前たちの視点で忌憚のない意見をもらいたい』
◆ ◆
「今日の仕事は終わりだ。…帰って、休め」『了解しました』
通信を切ったウォルターは、自動操縦中だった観測用ドローンたちに帰還指示を下し、
大型スクリーンの電源を落とすと、泥のように濃いコーヒーをすすって息をついた。
「あんなものを、"ジャガーノート"と呼ぶとはな」
ジャガーノートと名付けられた、彼らの搭乗する多脚戦車の概要を知ったときウォルターは耳を疑った。
歩兵の小火器さえ防げるか怪しい装甲、重量に対して過小な火力、
それらは歩行兵器を装輪兵器と比較した際の宿命的な弱点としても――
唯一の強みのハズの運動性さえ、あの脆弱な脚部では満足に発揮できずにいる。
本来、消耗品の無人機として扱うべき代物に何らかの事情で人間を詰め込み、
敵前に放り出して合法的に抹殺する。――そういう破綻した設計思想が見て取れた。
ブリーフィングにおいても、彼らライダーたちは武装や得意とする兵種については詳しく話してくれたが、
本名をはじめ、出自について話そうとはしなかった。
彼らは一種の懲罰部隊だったのか? そうだとしても、あの兵器は。
人としての尊厳を与えられなかったのだろうか、彼らは。
本来、あんなものに詰め込んで殺していい人間ではないことは、今までの短いやり取りで十分にわかった。
あまりにも若く、善良で――普通の人生を送り、普通の幸せを掴むべきはずだった彼らが
英霊となり果てるまで戦わざるを得なかった理由とは――。
しかしもはや英霊となってしまった彼らを救う方法も義理もなく、
今までの猟犬に対してそうしてきたように、使い潰すしかないのだろう。
ウォルターは、ひとまずそう結論づけて、ベッドに身を横たえた。
◆ ◆
「今回のハンドラーは、こんな感じか?」
セオト――ラフィングフォックスのプロセッサーである少年が
液晶タブレットに描いたのは、オールバックに整えた白髪、三つ揃いのスーツ、
左手にステッキ、右手にいくつも犬のリードを握った老紳士――を豚の頭で戯画化したイラストだ。
ちなみにリードの先には首輪だけがぶら下がっている。
「もう。今回は強制されて戦ってるわけじゃないんだから、豚扱いは……」
そう言いつつ、クレナ――ガンスリンガーはけらけらと笑っていた。
令呪という命令権をマスター、あのハンドラーが握っている以上、立場はそう変わっていない。
いくら傭兵として雇うという体でいても、だ。
「あなた達、あまり騒ぐと近所迷惑でしょう……ね?」
真夜中の任務を終えてからの、リビングでの馬鹿騒ぎである。
アンジュ――スノウウィッチは笑顔で諭すが、胸元で握った右拳には血管が浮き出ている。
リビングの灯が消えた。
寝室にはそれなりに上質なベッドが5つ並んでおり、そのうちの二つを少年たちが占拠していた。
「正直、契約なんてしないと思ってたぜ」
ベッドに寝そべって、スマートフォンでWordleに挑んでいたライデン――ヴェアヴォルフが隣の少年に話しかけた。
この亡者の街、東京に流れついてからというもの、こいつはどこかぼうっとして、気力が抜けているように見えた。
もっともそれはそれ以前、――あの特別偵察任務の最初の交戦からだっただろうか。
憑き物が落ちたようによく笑うようになった、と思ったら、現世への興味を一切失ったように勝手に一人で死にに向かった。
俺達を少しでも長く生かすためとはいえ、一緒に行けるところまで行こうと誓った俺たちを置いて。
「あのハンドラーが、俺たちを必要としていたから」
ベッドの上で壁に背を預け、難解そうな本のページをめくっていたシンことシンエイ――アンダーテイカーが応えた。
サーヴァントの召喚とは、そういうシステムだ。何らかの"縁"が、互いを引き寄せる。
戦うことでしか自己を定義できなかった俺達に必要だったのは、戦いの意味。
戦いに意味を与えてくれるマスターこそがふさわしい。
今までの俺たちの闘いに意味はなかった。
レギオンから共和国を守るというのは建前で、実質は俺たちを死なせるために敵前に突き出されていただけのことだった。
それでも俺たちが闘い続けたのは、クズばかりの共和国の中にもマシなやつがいたのを知っていたからで、
俺たちもそのマシな側でいたい、という――ある種の自己満足に過ぎないからだった。
「あのマスターは、戦いしか持たない俺たちに意味を与えてくれる――それだけでも、大したものだと思うんだ。
そう思わないか、みんな?」
俺と、寝室に入ってきたアンジュ、そして(アンジュに首根っこを掴まれていた)セオト、クレナに対して
シンが問いかけた。その時の俺たちの中に異論を唱える者は、一人もいなかった。
【CLASS】
ライダー
【真名】
アンダーテイカー@86 -エイティシックス-
【ステータス】
(サーヴァント本体)
筋力D 耐久D 敏捷D 魔力C 幸運E 宝具E
(M1A4ジャガーノート搭乗時)
筋力C 耐久E 敏捷B 魔力C 幸運E 宝具E
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
騎乗:B(陸上を走行する機械に限りA++)
【保有スキル】
直感:B
世が世なら、不世出の英雄になると評される戦闘センスの持ち主。
それはジャガーノート搭乗時のみならず、生身の際も発揮される。
パラレイド(感覚共有):C
人類が普遍的に有するとされている集合的無意識を利用した、精神感応能力の一種。
マスターとライダーたちで五感を共有することができる。
但し、視覚の共有は過度の使用で失明する、五感すべてを共有すると過剰な情報量で廃人化するなど、
マスターが感覚を共有するリスクは非常に大きい。
通常は聴覚のみを共有し、妨害・傍受されづらい無線通話機能としての運用に留まる。
サーヴァント化にあたって、魔力のパスをどんな距離でも支障なく繋ぐことができるという恩恵が付随している。
コード「バーレイグ」:A
ライダーが有する、死者の声を聞く異能。
有効範囲は半径100km以上。この聖杯戦争の会場である東京23区をすっぽり覆うほど。
遠距離であればその数や距離・方角を把握するに留まるが、近距離ならば擬似的な読心能力のレベルまで精度が上がる。
この能力は英霊の写し身たるサーヴァントにも有効であり、索敵や哨戒、直接戦闘に大いに役立つ。
但し、生きた人間である他のマスターなどの声は当然、聞けない。
上述のスキルであるパラレイドの感度を上げすぎると、マスターにも死者の声が聞こえて精神的な負荷が掛かり、最悪、発狂する。
ライダーのこの異能の発現となったきっかけが瀕死の状態から息を吹き返したことであるためか、冥界化した領域に対する耐性をほんのわずかだけマスターに付与する。
プロセッサー:E
ライダーはweaponの項目に記載される機動兵器、ジャガーノートに搭乗していない限り、
サーヴァントとして認識されない。『無力の殻』に類似するスキル。
但し、本来サーヴァントに傷を与えられないはずの神秘を有さない攻撃で負傷するリスクを負う。
人間としての本名が明かされている対象には、認識阻害は機能しない。
グラン・ミュールの境界:E
ライダーたち、サンマグノリア共和国の防衛線外に追いやられた者が抱える呪い。
生前のライダーは共和国での戦いにおいて、一度も防衛線内の指揮管制官(ハンドラー)と顔を合わせることがなかった。
ゆえにこの戦いにおいても、ライダーたちとマスターは何らかの因果が働いて
面と向かって会うことができず、互いの素顔を知ることもできない。
代わりに、このスキルがある限りマスターは敵対するサーヴァントからの攻撃対象とされることがない。
対象を取らない攻撃(流れ弾や無差別の範囲攻撃)までは防げない。
このスキルはマスター、サーヴァントともに所持していることを自力では認識できない。
マスターとサーヴァント、両者の同意の下で直接会うことができたとき、このスキルは解除される。
【宝具】
『我らが死神、アンダーテイカー』
ランク:E 種別:対"物"宝具 レンジ:なし 最大捕捉:580
兄を含む576のプロセッサーの形見と、サンマグノリア共和国における最終任務・特殊偵察に赴いた4名、
計580名の魂を運ぶ宝具。
ライダーが生前から集めてきた、機体の装甲片をはじめとする形見の品である。
ライダーがライダーというクラスを得たゆえんは、この宝具にある。
人である事を否定され、ドローンの処理装置として戦地に赴いたプロセッサーたちは、
その死さえも本国・サンマグノリア共和国に否定され、現地での死体の回収、葬儀も厳しく禁じられた。
そんな中で始まった友軍の形見の回収という習わしは、かつてのライダーの所属隊長から始まり、
その死後はライダーに引き継がれた。
どんな過酷な戦地に赴いても生き残り、友軍の形見を残さず回収して持ち歩くライダーはやがて
アンダーテイカー(葬儀屋)のパーソナルネームを得て、我らが死神と親しみを込めて呼ばれるようになり、
プロセッサーたちの魂の最後の拠り所となっていった。
共に戦った全ての仲間を、その心を、行き着く果まで連れて行くのが、ライダーである。
故に、ライダーが召喚されたなら、共に戦った仲間が勝手に現界するのも道理である。
この聖杯戦争においても当初召喚されたのはライダーのみであったが、
特殊偵察任務まで同行した4名は既に乗機を連れて現界している。
【weapon】
○サンマグノリア共和国製 無人戦闘機械 M1A4 ジャガーノート
全長5.4m。全高2.1m(主砲除く)。
主兵装 57mm滑腔砲×1
副兵装 格闘用高周波ブレード×2、ワイヤーアンカー×2
4本脚の蜘蛛が大砲を背負った形状の、多脚戦車型無人式自律機械。
本来は自律兵器群・レギオンの侵攻に対抗するための無人兵器(ドローン)として開発されたが
AI開発の実用化に失敗したため、人権を剥奪した"有色種(コロラータ)"を"情報処理装置(プロセッサー)"として
搭乗させることで、"無人機"として運用している。
その開発経緯から生存性は劣悪で、アルミ合金の装甲は小銃弾に耐えられるかどうかの脆弱さ。
加えて、主砲はレギオンの主力である戦車型の正面・側面装甲に通用せず、
細い4本の脚は、接地圧の高さから走破性に不安を抱える上、無理な機動をとると頻繁に故障する。
要は、走・攻・守が揃ってダメな欠陥兵器である。
この動く棺桶未満、アルミの棺桶をあてがわれて戦場に放り出されたプロセッサーたちの1年生存率は0.1%未満とされている。
ライダーのジャガーノートは各所のリミッターがカットされているなどのピーキーな調整がなされており、
他と隔絶した運動性を発揮する一方で、通常の3倍の早さの脚部損耗率を誇る特別仕様である。
なお、副兵装としてブレードを使用する変態はライダーのみ。他はみな機関銃を使う。
○スカベンジャー ファイド
ジャガーノートと共に戦地に赴く支援機。
給弾や搬送、そして破損したジャガーノートからの部品や形見の回収も行う。
こちらは自律稼働だが、AI技術の未熟さから戦闘に耐えるものではない。
ファイドとはシンが与えた個体名であり、シンと共に長く転戦していた。
○レイドデバイス
プロセッサーたちの首の後ろにインプラントされた疑似神経結晶素子と、右耳のイヤーカフ。
これらの機器によって、限られた者の異能だった感覚共有は誰にでも発現できるものとなった。
○アサルトライフル・ハンドガンなど、小火器
気休め。
【人物背景】
人間としての本名、シンエイ・ノウゼン。愛称、シン。
年齢、16歳。
黒い髪に赤い瞳を持つ。彼らの世界でいう、黒系の貴種・夜黒種(オニクス)と赤系の貴種・焔紅種(パイロープ)の混血児。
常に空色のスカーフを首に巻いており、その下には斬首跡のような傷跡がある。
寡黙で、関心のない事柄には極端に無頓着かつ、雑。仲間を思う気持ちもあるにはあるが、その出力は不器用。
自身では耳を塞ぐこともできない死者の声をごまかすため、読書を趣味としている。
サーヴァントとしての真名、<アンダーテイカー>(葬儀屋)とは、プロセッサーとしてのパーソナルネームである。
パーソナルネームは、1年生存率0.1%未満の戦場を生き抜いたプロセッサーに与えられる歴戦の証であるが、
その中でもシンが所属していたサンマグノリア共和国 東部戦線 第一戦区 第一防衛戦隊「スピアヘッド」は、
戦歴4年以上のベテランが属する。
そんなベテランの中でなお、シンの操縦技量と戦闘力は飛び抜けて高い。
参戦時系列:アニメ版 シーズン1 11話、原作小説 第1巻 第七章 終了直後
【サーヴァントとしての願い】
無い。
仲違いしたままレギオンに取り込まれた兄を討つことだけを考えて戦いに身を投じ、
その宿願を果たして特別偵察任務という死出の旅路に出た。
そのような時期であった彼は、生きる意味さえ失っていた。
【マスターへの態度】
必要とする人がいるのなら、戦うことでそれに応えたい。
【マスター】
ハンドラー・ウォルター@アーマード・コアⅥ ファイアーズ・オブ・ルビコン
【マスターとしての願い】
コーラルの焼滅あるいは抹消。可能であれば、最初から存在しなかったものとする。
【能力・技能】
機動兵器、アーマード・コア(AC)の戦闘を後方から支援するオペレーターとしての技能。
他にも、ドローンでの偵察、惑星封鎖機構に対する通信妨害、相手の心理を突いた話術による傭兵の売り込みなど、
長らく傭兵を支援してきたことが伺える、多岐に渡るスキルを有する。
自身もACに乗って出撃することがあるが、相当無理が掛かるのか、最後の手段としているようである。
なお、この聖杯戦争で東京に呼び出されるにあたって、独立傭兵の仲介者として、
あるいはオーバーシアーの一員として保有している資産(企業合意通貨)を日本円で持ち込んでいる。
その額、推定数百億円。人の人生を買い取ることさえできる額だが、"戦争"をするのには心もとない。
【人物背景】
壮年から初老の男性だが、その容姿は明かされていない。トレイラーPVで杖を突いて歩く影が描写されるのみである。
開発惑星ルビコン03において50年前、「アイビスの火」と呼ばれる、新物質・コーラルの異常増殖に起因する大災害が発生。
その後設立されたコーラルの動向を監視し、増殖の予兆があれば焼き払う
秘密結社・オーバーシアーの一員として活動を続けてきた。
能力・技能の項のとおり、主に子飼いの独立傭兵を雇って活動する。
彼の傭兵は廃棄寸前の状態で保管されていた旧式の強化人間だが、「あのウォルターの子飼い」
「さんざん苦渋を舐めされられてきた」など、その評価は高い。
ACを駆って戦う以外の機能を失った強化人間に対して、情緒や自主性が育つよう仕向けて
自由意志に基づいた活動を促すなど、あくまで一人の人間としての尊厳を以て扱おうとする姿勢が見られる。
不測の事態で傭兵が危機に遭遇したら特別手当を給付し、
自身の依頼でもないのに想定外の事故で任務不履行が発生した場合は報酬を補填するなど、
過酷な任務に放り込む使命と、それに相反する善性が隠しきれていない。
参戦時系列:チャプター4 最終ミッション 集積コーラル到達(通常) 終了直後
以下は、原作中の断片的な情報からの推測を含む情報である。
人類が恒星間移動を実現した時代、惑星ルビコン03で発見された新物質・コーラルを研究したナガイ教授の
第一助手の息子としてウォルターは生を享けた。
第一助手は息子である彼を無視して研究に没頭し、コーラルを用いた脳改造など、非人道的な研究に没頭するようになる。
彼がまだ少年と呼ばれていた頃にアイビスの火が発生。
以来、ウォルターはその人生を次なる"火"を防ぐことのみに捧げてきた。
現在の年齢は推定60代と思われる。
【方針】
勝ち残り、使命を果たす。
【サーヴァントへの態度】
あくまで、傭兵として対等な立場で扱う――が、マスターとサーヴァントという主従関係はどうしようもないし、
サーヴァントに現金の報酬を与えてもあまり意味がない。どうしたものか。
ちなみに令呪の位置は首の後ろを中心として、首を一周する形状。
86-エイティシックス-に登場するハンドラー用レイドデバイスを模した形である。
最終更新:2024年05月26日 19:09