「…くっ、やめろ!俺はお前らと…戦う気は…っ…!」
「…そんな弱腰な態度の人、組むに値しないよ。キャスター…ひと思い終わらせてあげて」

会場内の一角の、ある雨の日。小柄な少女が、オレンジ色の髪色の青年に向けて魔術を行使し追い詰め…己のサーヴァントにより青年を屠ろうとしていた。
青年はサーヴァントを連れて歩いていない時に、運悪く少女達主従の襲撃を受けてしまった形である。

(…ここで、死ぬのか。俺は……裏切られて、親父に殺されて…ここに来て、結局、何も出来ねぇまま…俺はっ……!)

悔しさを感じながらも、抵抗する気力もない有様な青年だったが……キャスターが魔術を放つその刹那。

『私の世界(ザ・ワールド)!』

周辺の時が止まり…そして動き出したと同時に、青年を庇うような形で、青年と同年代かそれより下程の銀髪のメイドの少女が現れる。
それと時を同じくして、キャスターの胸に深々とナイフが突き立てられており……そのまま斃れ、キャスターは消滅した。


「…ぇ、ぁ、ぁあっ…キャスター…っ、あぁあ"!!?」
「…ごめんなさい、マスター。心配だから霊体化と能力を使って見に行ったら貴方が…殺されそうになってたから」

キャスターのマスターが一瞬呆然とした後、悲痛な叫びをあげる一方…メイド少女は心なしか、申し訳無さそうな表情を浮かべている。

「咲…アサシン、お前っ…分かってんだろ!?サーヴァントが消えたマスターは、再契約できねえと…!」
「……だからって、みすみすマスターを殺させる訳には行かないわよ」

そう言う2人に対し、サーヴァントを一瞬にして喪ったマスターの少女は……何処からか手に入れた、或いは冥界に招かれた時から持っていたのだろう拳銃を、震える手で自らの頭に当てる。

「お前っ、何を!?やめろ!」
「…もう、ダメみたい…そっちに逝く、から……役立たずのお姉ちゃんで…ごめんねっ…──」

咄嗟に静止しようとし、また令呪を切ろうとすらする青年だったが…それよりも早く、銃声と、肉がぶち撒けられる音がした。
青年は間に合わないまま、吐き気を堪える。

少女だった肉塊から、溢れ出る血は激しくなる雨により流れていく。誰がどう見ても彼女は即死したと、そう判断するだろう。

「……ちくしょう……!」

オレンジ髪の青年はそう、悔しさを滲ませた表情で壁を殴る。
喉から出かけた、「何で見殺しにした」という言葉を押し込みながら。そうした理由など…青年は分かりきっていた。

(俺に…力が無いから、力が無いせいで…あいつに手を汚させちまった…そもそも俺の反応が間に合わなかったのもそうだけどよ…それ以上にっ…さっき俺を助けた時に、宝具を使わせて消耗させちまった。
力さえあれば、俺一人で…殺さず止める事も出来たかもしれねえのに…!!)

「…クソっ!……こんな、こんな勝ち方があるかよ!!!」

そう絞り出すかのように叫ぶオレンジ色の髪の青年…マスターの名は黒崎一護。「元」死神代行にして、取り戻せた筈の力を奪われ信じてた者達に裏切られたどん底からこの聖杯戦争へと招かれた者。自らを死人と思い込んでいる生者。

一方、それを申し訳なさと哀しみが入り混じった表情で見ながら、何も言えずにいる少女の…サーヴァントの名は十六夜咲夜。アサシンクラスのサーヴァントにして人の身のまま、吸血鬼の主に仕えた完全で瀟洒な従者。夢を通じてマスターの過去を観せられた結果、思い悩む女。

2人に降り注ぐ雨は止む気配は無く、さながら今の一護が抱いている悲しみを表すかのように勢いを増していくのであった。



『…やっぱり……やっぱりお前もなのかよ、石田………!!』

『解らないのか!!!僕を斬ったのは、お前の後ろに居る奴だ!!!』

『だが、勘違いするなよ。俺は月島に斬られてお前の敵になった訳じゃない。
月島に2度斬らせて、元に戻ったんだ』
『貰うぜ、お前の完現術(フルブリング)』

『返せよ銀城…俺の力を返せ………』

『銀城……銀城!!!』

『……そうか……そうかよ……親父たちまで…そうなのかよ……』

胸を刀で貫かれ、そう絶望の中呟くとほぼ同時に…黒崎一護は冥界へと招かれてしまった。



「……夢…か」

雨が止んだ夜、与えられた高校生としてのロール相応の家ではなく、拠点としたあるマンションの一室で、一護は悪夢から…この聖杯戦争に招かれる前の出来事を再現した夢から目を覚ます。

護る為の自分の力を取り戻させてくれたと思っていた相手は、力を奪い取る為に協力していたに過ぎなかった。
それどころか、自らの師とも言える相手や、父親ですら…自分を刀で刺した。チャドや井上ら友であり仲間のように能力で裏切らされたのか、共謀していたのか…最早一護には判断がつかないが、敵に回った事、そして冥界なる所に招かれた以上…自分はそれにより死んでしまったという事が、彼の視点からすると確かな事実となっていた。

(…もう、なにも…信じねぇ方がいいのかもな…)

これ以前にも、彼は一人彷徨いていた所、声を掛けられ告げられた同盟の提案を…悩んだ末に受けるとし、条件通りに一人で赴いたものの…裏切られサーヴァントに助けられていた。
これもまた、一護が相手を信じたいとしたが為に起こった出来事だった。

(でも…石田が来た時疑わずに信じてれば……俺は…クソっ!!)
「……すまねぇ、石田……お前の事、すぐに信じてれば……」

一護は思わず仲間で級友、そして友達(当人は認めないだろうが)の名を呟き謝る。
どういうつもりか分からないが、自分が用済みにされ、更に殺されてしまった以上は…他の皆と同じように挟まれたか、或いは…自分と同じく始末されてしまったのか。そんな最悪の事態も脳裏に浮かんでしまう。

(…聖杯で…勝ち残れば聖杯で願いが叶うって言われても…どうすりゃいいんだよ…サーヴァントを倒せば、再契約出来なかったマスターは亡者になっちまうのに……他のマスター殺してまで、願いを叶えたくなんてねえ…けど……それを使わなきゃ、もし元の世界に戻れても俺は……!!)

例え蘇りを果たし、元居た世界への帰還が出来たとしても…記憶を挟み込む能力者月島秀九郎によって殆ど全ての仲間・身内が銀城空吾らの味方となり自身の敵に回った今、戻った所で袋叩きに遭い再び冥界か、或いは尸魂界か…送られてしまうだろうと、そう一護は考えていた。
もしそうなれば…他ならぬ一護自身がそんな状況に耐えれない。既に彼の心は、度重なる裏切りでへし折れきっていた。

(…咲夜にも…迷惑かけてばっかだな…何考えてんだか、いまいちわかんねえけど…俺を守ろうとしてるのは本当だと思う。
…だからこそ…俺はっ…!!)

そう、未使用とはいえ令呪という形で縛れるのもあって、現状唯一全幅の信用を置ける存在であるサーヴァントの事を浮かべる。

(…あいつがサーヴァントってので、幽霊に近い物なぐらい…聖杯からの知識ってのでわかってる…だからって、俺と同じくらいか、年下の姿の女に…戦いで任せっきりにするしかねぇのも、殺すって選択肢を取らせちまうのも……今の俺が何にも持ってねえ、無力なせいだ。
……申し訳なくて、情けなくって……自分で自分が許せねぇよ…)

『…貴方が気にする事じゃないわ。あくまで此処に居る私はサーヴァント、使い魔に過ぎない…だから人殺しをさせたなんて、背負い込まなくていいの』

いつか彼女に言われた言葉を思い返すも、それは一護にとっては受け入れ難い物であった。

「…だからって…人殺しをさせていい理由にはならねえ、だろ……ちくしょう…護るどころか、護られて…俺は……俺はっ……!!」

理屈は理解出来ても受け入れれず、そう悔しさを滲ませながら呟く。

『…もう、ダメみたい…そっちに逝く、から……役立たずのお姉ちゃんで…ごめんねっ…──』
彼女の最期の言葉が頭に浮かび、更に一護の心は傷付く。

「…あいつも…誰かにとっては姉だった、なのにっ…なのに俺は、止めれなかった……ちくしょうっ…!!

そして暫く後…どうにもならないままに、再び一護は眠りに落ちた。
その眼から少し溢れていた涙は……一瞬の後、まるで拭き取られたかのように、綺麗さっぱり無くなっていた。

拠点の周辺のみ、ほんの僅かな間時が止まっていた事に…気付く者は誰も居なかった。



私の主は、生涯お嬢様…レミリアお嬢様ただ一人というのに。
……それが私、十六夜咲夜が最初にこの冬木市にサーヴァントとして召喚されて思った事だった。

あくまで自分が人の身のままお嬢様に生涯仕えた「十六夜咲夜」当人じゃない、影法師のような存在だというのは知っている上で…それでも胸にあるのはどうにも釈然としない気持ち。
…勿論、だからといってサーヴァントとして…従者として喚ばれたからには、相応の働きをしないと…とは思っていたけど。そうでなければ、完全とも瀟洒とも名乗れないもの。

とにかく、ひとまず召喚したマスター…仮の主を探しに行ったけど……彼はひとり座り込んでいた。
とりあえずサーヴァントな事を名乗った後に、マスターならロールに従った生活基盤があるんじゃないの?と聞いた所…返ってきたのは「家には…帰る気になれねえ」との一言。

何か理由があるって事は、憔悴しきった様子からも読み取れた。だからそれには触れず…近くに空き部屋が無いか探し、見つけた部屋を一先ずの拠点とする事にしたわ。勿論、部屋の内部は時間を操る程度の能力で見た目よりも広くして。

彼のロールは高校生だったけど、通っている事になっていた学校には、『今は行きたくねえ』と。直感でなんとなく、自分の家(として用意されてるモノ)に帰りたくないのと同じ理由な気はしたから…触れないでおくことにしたわ。
触れられたくないって思ってそうな表情をしてたし、「今は」と付けてる以上…下手に踏み込むべきじゃなさそうねと判断した。
……正しいのかどうかは、今でもわからない。

彼が外に出る時は霊体化して周囲を警戒しながら付き添ったり、放っておくと何も食べない彼に料理を作って食べさせたり(仮とはいえ、主を飢え死にさせる従者がいてたまるものか)と、幸運にもこの時点では他マスターやサーヴァントと出会わないままだったけれど……ある時、夢を見た。
それは、今は何の力も持たない主…黒崎一護が、死神の力を手に入れ死神代行として戦う姿…気付くと私は夢を通してマスターの、一護の過去を視ていた。



死神と言われて最初に私の頭に浮かんだのは、三途の川の船頭をしているサボり常習犯の死神(小野塚小町)だった。
だからてっきり、一護の夢の中で現れた彼女や彼らは外の世界に出向く、死者のお迎え担当の死神なのだと思っていた…のだけど、過去が進んでいく中、私は勘違いに気付いた。どうも私が生前居た幻想郷とこの冥界のように、世界自体が違うみたいね…と。

それはともかく、最初の夢で視れたのは、一護が死神代行になってから、仲間達と尸魂界なる場所に殴り込みに行くまでの所だった。
翌日それとなく、「何か夢を見なかったかしら?」と一護に聞いたけど…「覚えてねえんだ、なんでか思い出せない」って言われてしまった。私が一護の過去を視たように、彼も私の過去の何かを視たのかしら…?

そして次の夢、私は再び一護の過去の、その続きを視ていた。
今度は尸魂界へ殴り込んだ一護が、死神達と戦い…最終的に黒幕には負けて逃げられこそしたけれど、恩人の処刑を防ぎ、頑なだったその兄の心を救った後…恩人と別れるまでを視た。
再び一護になにか見たかと聞いたけど、やっぱり何も覚えていないらしい。この調子だと、下手に聞いても変に疑われるだけになりそうね…と考え、とりあえず聞く事は止めた。

その次の夢は、ある一人の少女を巡る戦い…最終的に誰からも忘れ去られた筈の戦いの夢だった。
忘れ去られた筈の少女の事を、最後にたったひとり思い出した一護が…抱えて前に進む事を選んだ話で……。
…少女の、自分を犠牲にして、一護が居る世界を救うという決断は理解できた。
もし私の犠牲と引き換えに、お嬢様達が居る世界が救われるなら…何の躊躇いもなく、この身を投げ捨てるでしょうから。

…けれども、護れたと思った所で、犠牲になる事で自分が逆に護られてしまう…そうなってしまった一護の悲しみは…察するに余る物だった。

そしてその次の、4回目の夢は…逃げた黒幕がきっかけとなり産まれた存在たる破面(アランカル)と、死神達の戦いの中、仲間の一人を助け出す為死神達と肩を並べ戦い…最終的には助け出す事に成功し、黒幕を打倒するも…戦う為の、護る為の力を喪うまでを視た。

そして現状最後の5回目の夢、敵サーヴァントとマスターを仕留めた今日視たのは…力を喪ってから17ヶ月後、一護が完現術(フルブリング)という技を習い、死神の力を取り戻そうとし…月島秀九郎という男によって身内が次々偽りの記憶を挟まれる中…力を取り戻したものの裏切られ、絶望に沈む中…この聖杯戦争の舞台たる冥界へと飛ばされるまでの夢だった。
…彼が与えられたロールに基づいた学校や家に行きたくない理由が、わかった気がした。
…もし元の世界での、月島に挟まれた知り合い達がNPCとして再現されていたら…そう考えると、行く気になれなかったんでしょうね。それくらいに彼は…一護は、傷を負ってしまっているのだがら。

…彼の戦いの過去を視て、心底思ったのは…一護は、彼はどうしようもなく、殺し殺されの環境に向いていないという事。
喧嘩好きな一面は確かにあったように視えたし、また戦いを楽しんでた時も…視た限りではなくはなかったと思う。でも…殺し殺されをするには、少々彼は優しすぎる。

『こんな勝ち方があるかよ!!!』

互いの生死のかかった戦いかつ、一度自分が殺された相手だというのに…内なる虚(ホロウ)による暴走もあったとはいえ、こんな事を言い自分も対等の状態になろうとする辺り、本当に向いていない。仲間を…井上という少女を助けようとする中で、見ず知らずの破面達を助けようともしていたし、筋金入りのお人好しの類なのだと思う。弾幕ごっこはやって行けそうだげ、根本的に幻想郷ではやっていけないタイプね。
彼が殺意を見せたのは、視えて、わかった範囲だと月島相手だけ、それも…自分の家族や友人達の記憶に偽りの過去を挟み込んで陥れようとされた末だから…もしそんな事をされたら普通は耐えれないでしょうし、私だって我慢は出来ないわ。何が何でも…相手を殺そうとするでしょうね。

ともすれば甘さと言えるし、実際チョコラテとも言われてたその優しさで一護は……戦いの中で敵対していた相手を絆したり、味方につけたり、改心させたり、救ったりしていた。
だけど…普通の、サーヴァントが消滅してもマスターが消えないルールの聖杯戦争ならともかく……猶予時間や再契約による生存手段があるとはいえサーヴァントの消滅がマスターの死に繋がりかねない、この聖杯戦争のルールと彼の優しさは…あまりにも相性が悪い。

彼を護ろうにも、サーヴァント殺しがマスター殺しに直結しかねない現状では…私が護る為、倒す度に…彼は苦しむだろう。
既に彼は…一護は、過去を視てわかった限りでは、心に癒えるかどうかも怪しい傷を2つ負っている。
自分を庇ったせいで母が死に、妹達から母を奪ってしまったという…サバイバーズ・ギルトめいている強い負い目。
少女を…茜雫を護る為に戦い抜いた筈が、最後の最後に自分を犠牲にする形で逆に護られてしまい、それを止めれなかった事…その上、銀城にも浦原にも父親にすらも裏切られ、殺された事も合わせれば3つ。
…山ほどの人を護りたいと、彼は言っていた。でも…今の現状で、彼を護ろうとすれば…彼の心を傷付ける事は避けれない…。

…こんな時、お嬢様なら…彼を、一護を……見限る可能性も無くはないでしょうけど、溢れるカリスマで立ち直らせれるんでしょうね。
でも…私は私。お嬢様にはなれないのだから……。
…とりあえず、過去に触れられる事は、母親絡みの件からして避けたがるだろうし…下手に夢で見た事は言えないわ。

…お嬢様のように立ち直らせれる事は出来ないけれど、それでもせめて…従者としてサーヴァントとして、彼をみすみすと殺させる事はしないと、護ってみせると…私は決めた。
仮の主とはいえ、それじゃ完全で瀟洒な従者としての名折れなのだから。
…自分を省みたとはいえ、お人好しになったつもりはないのだけども…きっと召喚時に、マスターに引っ張られた結果でしょうね。

それはそうと…最期に一護が刀を刺された箇所と、最初一護が死神の力を得た際に死神に…ルキアに刺された箇所が一緒だったけれど…何故か、気になるわ。何か関係あるのかしら…?



水没した心情世界、髭を生やした中年と白色になった一護がその中を漂う。
本来黒崎一護は父親達の手で殺されてなどおらず、また既に死神の力を取り戻している。
しかし時期のせいか或いはメンタルのせいか、それとも冥界に招かれたのが力を取り戻したのとほぼ同時だったせいか、一護に呼びかけようとする彼らの声は届かない。

「悲しい事だ。一体、いくら叫べば私達の声は…お前に届く…」

一護自身が再び立ち上がれる時が来るのであれば、声が届くのはその時であろう。

【CLASS】
アサシン
【真名】
十六夜咲夜@東方Project
【ステータス】
筋力:C 耐久:C 敏捷:A 魔力:A 幸運:D+ 宝具:EX
【属性】
秩序・中庸
【クラススキル】
気配遮断:B+
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適しているスキル。ランクBのため、完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
アサシンの場合は宝具発動時や後記のスキルを使用している際に、スキルにプラス補正が付く。
【保有スキル】
投擲(ナイフ):A+
アサシンが生前から持っていた、短刀を弾丸として投げる能力の技術がスキルとなった物。ランクの高さは正確さを表す。後記のスキル使用時及び宝具発動時は効果に補正が入る。

従者の矜持:A
感謝などの見返りを求めず、最期の瞬間まで主の生死を問わず尽くし、その願いを叶えようと動ける完全で瀟洒な従者であり続けるというアサシンの心構え・在り方がスキルとなった物。
Aランク相当の戦闘続行と、Bランク相当の無窮の武練に単独行動のスキルの効果が複合されている。また精神や魂に作用する異常に対する耐性がアップする効果もある。

仕切り直し(時):B
戦闘から離脱し、また不利になった戦闘を初期状態へと戻す能力がスキルとなった物。
アサシンの場合は、自分の異能である時間を操る程度の能力による時間停止や時間の加速によりこのスキルを発動させる。
使用時のアサシンを端から見ると、まるで突如姿を消したかのように映るだろう。

直感:C (A)
戦闘中、自分にとって有利な展開を常に感じ取る事が出来る能力がスキルとなった物。
ランクの高さは視覚や聴覚に干渉する妨害を半減させたり、攻撃をある程度予見し対応出来る程度の感の良さを表している。
生前アサシンが、2つの能力(光を屈折させる程度の能力と音を消す程度の能力)を併せた上で隠れていた光の三妖精の存在に、素で気付いた逸話から来ているスキル。
基本的にはCランク相当のスキルとなるが、視覚や聴覚に干渉するスキル・宝具等に対しては、Aランク相当にまで上昇するようになっている。

時間を操る程度の能力:EX
生まれつきアサシンが持っていたと推測される異能がスキルとなった物。人間が持つ異能としては規格外の力。時空間操作の類いの能力。
時間停止に圧縮、時間の加速や減速、空間の拡張や縮小が可能で、範囲は任意かつ対象を指定して行使可能。
空間の拡張や縮小の部分の能力を行使すれば、他者の空間系のスキルや宝具・能力への干渉や中和も可能となっている。
投げたナイフを加速させ威力を増させたり、相手を減速させて攻撃を避けやすくしたり減速により攻撃の威力を殺したり等が出来る。
自身を加速させた場合は筋力と敏捷、与ダメージにプラス補正がかかる。

ただし、時間の逆行については「この」十六夜咲夜には不可能。また生前とは異なりサーヴァントとなった事によって、能力を行使する範囲・対象が広ければ広い程消費する魔力が多くなるようになった。また後記の宝具を使用する以外では世界全体の時間を止める事は出来なくなっている。

なお、時間を操作出来る限界については判明してないものの、当人は「時間でも止めていないとやってられない」と、紅魔館の家事について触れた際言っているので、家事をこなせる程度には状態を維持できるようである。

【宝具】
『月時計(ルナ・ダイアル)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:5人
アサシンの物であるスペルカード「時計『ルナダイアル』」がサーヴァントとなった事により宝具化したもの。時間を操る程度の能力の応用。

範囲型の時空間操作に当たる。時間停止領域を込めた時計を投擲し、命中した敵とその周辺の時間のみを停止させる効果。
停止させていれる時間はアサシンの当人主観で3秒程で、時間こそ短いが魔力消耗が少ない特徴がある。
一応時計は壊れた幻想の対象にする事が可能。

『私の世界(ザ・ワールド)』
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1~110 最大補足:100人
後記の宝具を範囲を絞る形で劣化させた、時間を操る程度の能力の応用の宝具。性能が落ちている分、『月時計』よりは重いが魔力の消耗量も本来よりある程度は抑えれている。アサシンが規格外レベルの時空間操作の異能を持つが故に可能な芸当。

アサシンの主観で、発動から9秒程の間範囲内の時間を全て停止させる。攻撃時に使う場合は、停止している間に得物であるナイフを敵の周囲に設置し、解除と同時に動き出したナイフによる一斉攻撃を行うのが基本的なアサシンの戦術となる。攻撃の回避等にも使用可能。
サーヴァントと化した事により、時が静止している範囲の中でも、アサシンのマスターは思考・行動が可能となっている。
宝具名の由来は、「東方儚月抄」の漫画版でのスペル宣言の時に呼称した「私の世界」より。

『咲夜の世界(ザ・ワールド)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~冥界全体(全世界) 最大捕捉:冥界全体(全人類)
アサシンの物であるスペルカード「咲夜の世界」がサーヴァントとなった事により宝具化したもの。時間を操る程度の能力の応用。
世界全体の時間を停止させる。本来なら全世界・全人類規模で全てを停止させれるが、今聖杯大戦では舞台の範疇である冥界全土が限界として設定されている。

停止時に攻撃する際の戦術や回避等にも使用可能な事、範囲内でもマスターは行動可能な事は前記の『私の世界』と同様だが、魔力消耗が格段に激しく、サーヴァントの身なのもあって発動してから5秒程の間しか停止させ続ける事が出来ない。
またサーヴァントとなったせいか、宝具発動時に『咲夜の世界』とスペルカード名を宣言する必要がある為、真名を勘付かれたり看破されるリスクもある。

【weapon】
『無銘のナイフ』
読んで字の如く無銘のナイフ。切れ味が良くステンレス製な点以外は取り立てて特筆する所は無い。
生前とは異なりサーヴァントとなった事で、投げた側から能力を用いて回収せずとも魔力による生成が可能となっている。
無銘のナイフなのもあって消費する魔力も微々たるものであり、投げるナイフが無くなる事態はまずないと言えるだろう。

『銀のナイフ』
魔属性に対して特攻が入る効果がある、銀製のナイフ。アサシンは異変時等に対妖怪用として用いていた。
無銘のナイフとは異なり、こちらは魔力による生成は不能。かつ数が限られている為、使用後は早急に能力を使い回収しないと盗まれたり使用不能になりかねない。

【人物背景】
元は外の世界の住人にして、流れ着いた幻想郷にて吸血鬼である主レミリア・スカーレットに、人間の身のまま仕えていた完全で瀟洒な従者にしてメイド長。
かつては館からあまり出ようとせずまた他人に冷たかったが、ある異変解決の際受けた忠告から自らを省み、閉じた自分の世界から一歩踏み出した少女。主にナイフの投擲と体術で戦う。

一見クールで真面目そうに見え実際そういう一面もあるが、意外と天然かつマイペースでお茶目な所も。テンションが上がっている時や戦闘時には勝気かつ攻撃的な言動になりやすい。(当人曰く「今の私は押せ押せモードだから」との事)
かつては交流関係が閉じ気味だったが、自身を省みてからはアウトドア趣味を持ったり交流を広げそれを楽しんだりするようになった。
なお、本来ならアライメントは中立・中庸だが、今回の召喚ではマスターに引っ張られて中立から秩序属性に変わっており、また性格面もかなり自身を省みた以降寄りになっている。
ちなみに「この」咲夜はアサシン以外ではアーチャーやキャスター、バーサーカーの適性もある。
【サーヴァントとしての願い】
特に無し。サーヴァントの身な以上、マスターの願いを叶える為に……と思ってたけど、今のマスターは願いを考えるどころじゃないから…どうしようかしら。
【マスターへの態度】
優しすぎるのよ、彼は。根本的に命の取り合いとかそういう類には全く向いてないわ。
…だから、彼の手は汚させたくない。仮とはいえ主ですもの。そういう役割は従者である私が引き受けるわ。
その上で…彼を死なせたくはない、けれども…仮に帰れたとしても、彼は……。

【マスター】
黒崎一護@BLEACH
【マスターとしての願い】
……俺は……。
【能力・技能】
かつて空手を習っていた他殴り合い等の喧嘩に強く場馴れしており、達人レベルの相手にも通用する高い身体能力と頭の良さを併せ持っているが、人の名前や顔を覚えるのは苦手。刀の扱いも参戦時期時点ではかなりのもの。
参戦時点では霊感体質や死神の力と虚の力を取り戻している他、奪われこそしたが完現術の能力も残滓程度は残っている。滅却師の力も戻っているが目覚めておらず、使用には剣八戦のように斬月のおっさんが介する必要がある状態。
ただしメンタルが最悪に近い状態なのと、この聖杯戦争に巻き込まれたのが力を取り戻したのとほぼ同時だったせいか、現状では取り戻した力を発揮出来ず霊感も無いまま。霊体化されるとサーヴァントを視認出来なくなる。

斬り合いで相手の剣・刀と合わせた際に、(当人曰く)その相手の考えや心、剣を振るうに至った覚悟が少し分かるという読心に近い事が可能。
他にも消滅すると関わった人達から関連した出来事等の記憶が全て消え去り、存在毎無かった事になる思念珠である茜雫の一件(劇場版第一作のMEMORIES OF NOBODY)を覚えていると思われる発言を、参戦時期より後にだがしている。(劇場版本編では最後に茜雫の事を思い出したかのような描写が入っていた)

一護の精神世界には住人として白一護ことホワイトと、斬月のおっさんの2名が存在している。現在は彼らから直接一護に干渉する事は不可能な状況にある。
また精神世界の状況は一護のメンタルにより左右され、悪化すると雨が降ったり水没したりする。
なお斬月は(一応)斬魄刀である為、他者(サーヴァントやマスター問わず)への譲渡や技の使用も可能と思われる(BLEACH作中でも、東仙要が他者の斬魄刀を使用している)

【人物背景】
死神の父と滅却師の母の間に生まれ虚を内に宿す死神代行にして高校生。
口調こそ荒く誤解されやすいが、本質的にはチョコラテと評される程のお人好しのあんちゃん。何度も心が折れたり折れそうになったりしつつも、護る為に戦う青年。
最初から殺す気で戦う事がまず出来ないせいで、甘さを捨てろだのチョコラテはここに置いていけだの作中ですら散々言われたり、時にはそのせいで勝てる戦いで完敗を喫したりもするが、その優しさや在り方に感化され変化を遂げた者も多い。

幼い頃自分を庇った母が虚に食い殺された一件から、どこかサバイバーズ・ギルトめいた自責の念に駆られている節があり、自分ひとりで抱え込もうとしがちな一面もある。
なお単行本の1巻に収録されているプロフィール曰く、尊敬する人はウィリアム・シェイクスピアとの事。

【方針】
…死にたくは、ねえ。けどよ……誰かを殺してまで、生きたくもねえんだ…俺は…どう、すればっ…!
【サーヴァントへの態度】
俺に力が無いせいで、あいつに背負わせて……申し訳ねえよ…俺と同じか、それより下くらいの女の子だってのに……例えサーヴァントだからって…俺は…!!

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最終更新:2024年05月28日 19:02