打つ、打つ、打つ、打つ、打つ。
弾丸を入れ替え、また、打つ。
打つ、打つ、打つ、打つ、打つ。
気持ち悪いことを言ってたのに、もう物言わない。
駄目だ、止めちゃ駄目だ、確実に仕留めろ。
させない、もうさせない、ユメ先輩の様にはさせない。
させな――
「もうやめでいいシールダー、もうそいつ消滅したわ…」
止められた、打ってた場所を見る。
サーヴァントの姿は無く、あったのは弾丸で焦げた床。
◆
東京都、海外沿いのビル。
黒塗りの高級車から、特徴的な髪型の男が出る。
「カシラッ!お疲れ様ですっ!」
「帰ってきたぞ愚民ども、早速仕事に取りかかれぇ」
「はっ!」
素早い手つきで部下に命令し、自身も足取りを早くし拠点へと入る。
「…うちの組長はどこで遊び呆けてるんじゃあ」
「きょ、今日裏カジノに行かれたかと…」
「ちっ…無脳が…とことん組の仕事をほっといてくれる…」
男、野田一はこの組のカシラだ、極道組織の№2、肩書に惚ける事なく、前線に立ち仕事に取り掛かる。
苛烈な所を除けば、常に部下を守るいい上司だ。
一方、この組の組長は筋金入りのクズだ。
社会のはぐれもんが何を言うんだという話だが、組の仕事をほっぽり、挙げ句組員に外道まがいの仕事をさせようとする。
幸い、野田が実質的な組長であるため、その下の本部長以下の人員は教育の結果、仁義を重んじる男達揃いだ。
(教育…って言っても、おやっさんや工藤の兄貴、阿久津のカシラが俺にしてくれたことの真似事だからな…まぁ、それでもこの組はよく立て直せた)
組員にはついでに、自分の様な刺繍…令呪を持つ者の捜索もさせている。
もちろん、そいつの身辺調査もして、仁義外れなのかどうかも確かめる。
「それじゃあ俺は仕事に移る!部屋にはちゃんとノックして入れぇ!」
「ははっ!」
◆
「ふぅ…出てきていいぞ、シールダー」
「…相変わらず真面目な人だ、組員にも部屋に入らないよう、徹底させてる」
出てきたのは、ピンク髪の女。
どことなく悲壮感を漂わせ、その裏にはピリピリとした波動を滲ませている。
「まぁな、お前にはいつも頼りにさせてもらってる、ほんの礼だ」
野田はシールダーの眼の前に紅茶とケーキを出す。
「どーも…まぁ、サーヴァントとして当然の事ですし…」
上記の通り、部下に他のマスターの捜索に当たらせている。
今日討伐してきた主従は外道だった、NPCとはいえ、多数の人を犠牲にする黒魔術を行使しようとしていた。
マスターは野田が当たり、そいつのサーヴァントのランサーはシールダーが当たった。
「でも、お前は戦闘中に前が見えなくなることがある、そこは気をつけぃ」
「…はい…」
シールダーは、守り手のクラスを冠する割に、強烈な攻撃者(アタッカー)だ。
これまでの戦いでも、敵が消滅しても、手持ちのショットガンを打ち続ける。
まるで、絶対に悔いを残さぬように。
「それじゃあもういいですか?ケーキも頂いたし」
「おう、構わねぇ」
それじゃ、と一言いい、霊体化する。
野田は立ち上がり、窓から見える東京の夜景に目をやる。
「天王寺組との戦争を終えてこれからって時に…たまったもんじゃないわ…」
誰かを踏みにじって作る聖杯を野田は認めない、そんな仁義外れなことは絶対にしない。
帰る手段も重要だが、とにかくこの戦争は止める。
「なにか別な手段を使うしか無いが…とにかく、この俺はこんなの認めない、絶対に叩き壊す」
男はタバコを蒸す、東京の夜風を添えて。
◆
そうじゃあ、お気をつけてと。
見送ったのはずいぶん前で。
ここに未だ還らない。
彼が僕自身ということに気づいたのは。
今更になってだった。
ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」
【CLASS】シールダー
【真名】
小鳥遊ホシノ@ブルーアーカイブ
【ステータス】
筋力C 耐久C+ 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具B
【属性】中立・中庸
【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。
自陣防御:B
味方、ないし味方の陣営を守護する際に発揮される力。
防御限界値以上のダメージ削減を発揮するが、自分はその対象には含まれない。
また、ランクが高ければ高いほど守護範囲は広がっていく。
【保有スキル】
忘却補正:B
人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。
忘却の彼方より襲い来るシールダーの攻撃はクリティカル効果を強化させる。
本来はアヴェンジャーのクラススキル。
特殊霊基:EX
本来、小鳥遊ホシノという英霊がシールダーとして召喚される場合、「シャーレの特別顧問の来訪」という出来事以降の霊基が与えられる。
しかし、今回現界した際は、なぜか「梔子ユメの死亡」前後の時系列の霊基を与えられている。
本来、この霊基ではシールダーとして召喚できず、アヴェンジャー、もしくはバーサーカーとして召喚されるはずである。
【宝具】
『二度と、手放さない(シックス・ザ・ショット)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:100人
この宝具の発動条件は二つ。
1:マスターとの間に、シールダー本人が認めるほどの絆があること。
2:そのマスターが瀕死である事。
この条件が揃うと、この宝具は発動する。
特殊な魔力を込めた弾を装填、合計6回射出する。
本宝具はどんな対魔力スキルといった防御スキル及び宝具、幸運判定をすべて無視。
全てを貫通し、相手を打ち放つ。
二度と大切なものを失わない、その彼女の覚悟が籠もった宝具。
【weapon】
ショットガン
【人物背景】
アビドス高校在学。
大切なものを、失った少女。
【サーヴァントとしての願い】
ユメ先輩ともう一度やり直す。
【マスターへの態度】
少なくとも優秀なマスター、十分頼りにはできる。
【マスター】野田一@ヒューマンバグ大学
【マスターとしての願い】
特に無し。
【能力・技能】
とてつもないレベルの狡猾さ、アイスピックを戦闘や拷問に扱い、爆発する「アイスピックアドバンス」、遠距離操作の「アイスピックドローン」を開発するなど、発想力にも優れる。
なお、座右の銘は「正々堂々」。
【人物背景】
妾の子。
愚連隊に落ち、仁義を教えられ、カシラとなった男。
【方針】
仁狭モンとして、犠牲を持って作られる聖杯は認められない。
同じ思想を持つものがいないかも捜索。
仁義ハズレの主従も探して、修正する。
【サーヴァントへの態度】
優秀、だが、なにかに取り憑かれているようなのが気になる。
最終更新:2024年04月24日 20:18